賭ける魂 (講談社現代新書 1942)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062879422

作品紹介・あらすじ

競馬・カジノ・麻雀…長年のギャンブル経験から得た不確実な時代を生き抜く知恵とは。

感想・レビュー・書評

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  • 宗教学者であり、ギャンブラーとしてメディアにも登場する著者が、自身の来歴を振り返りながら、ギャンブルについて思いを綴ったエッセイです。

    エッセイとしてはおもしろいのですが、せっかく阿佐田哲也や桜井章一についても触れられているので、独創的な宗教学者としての観点から、もうすこし突っ込んだ考察を展開してほしかったように思います。たとえば、ドゥルーズの研究者として知られる檜垣立哉の『哲学者、競馬場へ行く』(青土社)のような掘り下げ方も、著者には可能だったのではないかと思うだけに、期待外れでした。

  • ギャンブル関係では久々に面白い新書。単純にギャンブルに関係している話がおもしろいだけではなく、ギャンブルと自分自身の関係性を一歩引いて客観的にみながらも、ギャンブルとは距離を置かないという生き方、あるいは一種の人生哲学みたいなものには強く惹かれる。

  • ギャンブル好きな人なら、共感したり、あるある、と感じるところが多いのではないだろうか。
    筆者のギャンブルとの関わり方、これまでのエピソードも面白かったが、仕事をするためではなく、どうやったら遊ぶ時間が確保されるかは人生最大のテーマだった、という文があったが、自分でも常々そう思っているだけに、一冊読み終えても印象に残っている。

  • カジノと競馬が主な話題。でもギャンブル全体に通じる話題で、まずまず面白く読むことができた。

  • 5月は色々な理由があって、読書を一ヶ月やめてみようと思っていたので、6月になって久しぶりに本を読みました。

    再読だけど、植島啓司さんの「賭ける魂」にしたのは、
    たまたま手を伸ばした先にあったから。
    全くの偶然です。

    と、いうような不確実性(単純な意味で)ものの中にこそ、確実なものはあるのでは、
    言い換えると、確実に不確実なのであれば、それは確実では?というような理論になっているようななっていないような内容の本です。

    植島さんの文章は凄くシンプルなんですが、これは推敲を重ねたというよりも、僕にはただ「めんどくさい」ように見えて、
    それも凄く好きな理由です。

    人間は何かと結びついているという意識(意味付け?)なしには生きていけなくて、
    そのためにはギャンブルにする事で強いコミットを生んでいくという方法もある、
    というギャンブル依存症の言い訳と取るか、
    宗教人類学者の深い一言ととるかで
    評価のまっぷたつになりそうな事をさらっと書くのも凄く好きです。

    読む前はいつも忘れてるんだけど、
    読むといつも、僕は小学生の頃とかは植島さんみたいな
    人になりたかったんだよな…と思い出します。

  • たいして勉強もしてない自分ではあるが、植島先生のことはめちゃ×2尊敬しているのである。到底、あの境地には達しえないが、私のアイドルだ。とにかく、モテるんだよなぁ。

  • パチンコや競馬、カジノなどのギャンブルで賭けるものは「お金」
    それに対して人生で賭けているものは「時間」
    恋愛で賭けるものは「プライド」かもしれない。

    あらゆる場面で僕らは「賭け」を行うタイミングに遭遇する。
    そんなとき、僕らが一番やっちゃいけないことは「負ける」ことではなく「賭けない」ことではないか。
    最近そう感じ始めた。

    例えば、この先日本国内でも「英語」ができなければ働けなくなるかもしれない。
    そのために英語を勉強しようと考えたとき、僕らは手持ちの「時間」を賭けて「英語」を勉強する。
    その結果、賭けた「時間」と「英語」を習得して得られる効用がイコールではないかもしれない。
    結局英語なんて勉強しなくても十分生活できるかもしれない。
    賭けた分以上の対価が得られないことを「負け」とするならば、この英語の勉強は「負け」であろう。

    ただ、「賭けを行った結果負けた」のと「賭けなかった」ことでは、「英語による効用が得られていない」ということでは一緒かもしれないが、意味合いが全く異なる。
    人生は偶然がものを言う世界。今は役立たなくても5年後10年後は分からない。

    もしかしたら無駄になるかもしれないことに対し、時間を賭けることは勇気がいる。
    負けることを怖がっていたら決して賭けを行うことなどできない。

    だけど人生には最も大切な「時間」を賭けなければならない瞬間がいくつもあると思う。

    そんなとき怖がらず賭けを行うには、常に「賭ける」ことの敷居を低くしておく必要があると思う。
    その格好の練習場として、ギャンブル場というものが存在するのではないか。

    人生で最も大切な「時間」は二度と手に入らないが、お金なら働けば手に入る。
    人生で負けることは許されないが、ギャンブルであれば負けることは許される。

    「負ける」ことへの恐怖心を和らげ、人生において自分が「やっておいたほうが良いと思うもの」へ躊躇なく時間を賭けられるように態勢を整えておく。
    ギャンブルというものはそういった側面も持ち合わせていることを忘れてはならない。

  • 何ら学術的根拠に基づかない、著者が標本数1としての経験と研究もどきから導き出した妄想が内容の全てである本。つまりゴミ。こんなのはブログか日記に書くべきであって、出版して金を取るなど言語道断である(ただし小説としてなら許されるかもしれない)。
    著者が本当にこのような妄想を信じて生きているのかはわからない。本当ならば救い様がないし、そうでなければ学者としての倫理観に欠けている。どちらにせよ、この本は学問としての宗教人類学の看板に傷を付けるものであると思われるので、次回作は自重されたい。

  • 最近書いてなかったので、書いてみよう。

    タイトルからもわかるとおり、賭けるってどういうことって話。
    要するにギャンブルね。

    まあ俺は賭け事とか好きやから、おもろくてスラスラ読めた。
    内容も軽めで読みやすかった。

    ギャンブルっていうと、あんまよくないイメージを持つ人も多いかもしれないけど、ぶっちゃけ賭け事のひとつやふたつもできないような人はあんまおもしろみがないね。
    アメリカやとすぐWanna bet?と会話にでてくるが、日本人との会話ではあまり、賭ける?って聞かない。健全っちゃ健全なのかもしれない。
    のくせにパチンコ業界とかがここまで発展してるっていう。
    俺はパチンコはギャンブルやないと思う。あんなものは、宝くじと同じ。
    ほんとうのギャンブルは人と人とのぶつかり、心理戦、読みあいとかそういうものがないと。何より、自己と向き合い自分の弱さと戦う行為やと思う。
    そういう意味では、スポーツやらなんやらの全ての勝負に通じること。
    またベガス行きたい。

    って、本からちょっと反れてしまった。
    作者は東大出て、大学院行って、シカゴにも留学してる。
    宗教人類学者らしい。
    なのに競馬とカジノが好きなんだなーこの人って感じの内容。

    運とは、偶然とは、とかも語ってて、おもしろい。
    またヘミングウェイ、ドストエフスキーなどにも触れてて興味深い。

    まあサクっと読めるのでおすすめ。

  • [ 内容 ]
    競馬・カジノ・麻雀…長年のギャンブル経験から得た不確実な時代を生き抜く知恵とは。

    [ 目次 ]
    1 人間は自分以外の力を必要とする(サマルカンドの死神 ギャンブルと経済とゲームは同じ ほか)
    2 自分のことはわからない(わからない 羽生名人「将棋の手はほとんどが悪手である」 ほか)
    3 賭ければパラダイス(競馬の快楽 賭博師の破滅 ほか)
    4 われわれはどこへ行くのか(運は一方的に下降する ドストエフスキー『賭博者』 ほか)

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著者プロフィール

1947年東京都生まれ。宗教人類学者。京都造形芸術大学教授。東京大学卒業。東京大学大学院人文科学研究科(宗教学)博士課程修了後、シカゴ大学大学院に留学、M・エリアーデらのもとで研究を続ける。NYのニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチ(人類学)客員教授、関西大学教授、人間総合科学大学教授などを歴任。四十年以上、世界各地で宗教人類学調査を続けている。主な著書に『生きるチカラ』『偶然のチカラ』(共に集英社新書)、『官能教育』 (幻冬舎新書)、『賭ける魂』(講談社現代新書)ほか。

「2017年 『運は実力を超える 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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