落語の国からのぞいてみれば (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062879477

作品紹介・あらすじ

時間の感覚、死生観、恋愛と結婚、酒……今の暮らしは、どこかヘン!? 江戸を向いて歩こう! 恋愛こそすべてという圧力、名前に対する過剰な思い入れ、死んだらおしまいと言えないムード……どこか息苦しくないか? 落語のなかに生きる人々の姿から、近代人のおかしさを撃つ! (講談社現代新書)

感想・レビュー・書評

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  • 落語の世界から除いた現代論。「我々は取り換え可能」に救われる。個性的でなくたっていいのだ。

  • 江戸の世界観を現代に伝える落語。子どもの頃に両親に連れられて上野鈴本で観た正月公演。そこから落語好きになったのだが、今は江戸、明治という時代の雰囲気を楽しんでいる。著者は京都生まれで上方落語や江戸(関東)落語に深い造詣があることをひしひしと感じる。ライブで落語を聞けないとき、DVDではなくCDを推す著者の主張に納得だ。桂米朝を聞いてみたくなった。

  • ○テレビウォッチャーでコラムニストの堀井氏の作品。
    ○落語の登場人物や描写、時代背景などを、テーマごとに選りすぐり紹介したコラム集。
    ○典型的な古典落語から、新しめの創作落語まで、様々な話について、横串をさして紹介している点が斬新的。
    ○内容がやや小難しい部分もあるが、全体として面白かった。

  • <閲覧スタッフより>
    「落語」とは?
    江戸中期に始まった庶民的な話芸。 人情ものや怪談ものなど、様々なカテゴリがあり、噺の最後に「落ち」と呼ばれる結末がつくため、「落語」と言われます。 また、同じ噺でも噺家によって違ったりと、色々な楽しみ方があります。

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    所在記号:新書||779.1||ホリ
    資料番号:10186169
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  • 多く落語の舞台となった江戸下町の常識が詰まった一冊。
    実際に音声として聞いてみたい落語も多く、ハンドブックとしての活用もアリか。

  • 請求番号:S-K/1947

  • 落語を題材にした、江戸時代の庶民の生き方。
    面白い。
    が、ちょっとこの、舐めた文体が、時に苛つく。

  • 落語噺の住人も現代人も、のぞいてみればおんなじだ。
    人間ってもんをわかりやすく教えてくれる。落語にはそんなところもある。

    古典落語を聴く。なんも難しいことなんてねえ。ただ、聞けばいい。ちょっとのぞいてみようかなって感じでいいんだ。

  • 勉強になりました。ホリイ先生の文体が読みやすくて分かりやすくて好き。こういう文章を書きたいな~

  • 江戸時代の価値観で現在を見直してみると、意外に面白い。

    落語を聞いていて、どうしても現代の感覚からするとピンと来ない場合があります。
    ちょっとしたことだと移動の距離感や貨幣価値、労働環境など。
    そうしたこのと知識も得られて楽しいのですが、
    中でもおもしろいのは「公」と「個」に関する観念の違いでした。

    例えば「左利きの侍はいない」という話。
    現代の我々の感覚では当然左利きの武士だっていただろうと思ってしまいます。
    しかし、いない。日本刀の扱いはすべて右利きを前提に定められており、例外は認められないのです。
    なぜなら生存をかけた争いが激しかった時代においては、少数派の存在を考慮する余裕がない。有無をいわさずその型に嵌めた方が効率が良い。ましてや侍とは「さぶらう」つまり貴人の側にいてそれを護る役割であり、あくまでも「公」の存在。個人の好みや個性などという「個」の要素とは最も遠い存在であったのです。
    したがって左利きの侍は存在せず、左利きの落語家も、扇子を刀や箸に見立てるときは右利きとして演じる訳です。
    ちなみに現代の剣道においても左利きであろうが右利きと同じ構えで教えられます。

    あるいは結婚についての話。
    庶民にとって結婚はああだこうだ言わないで勧められたらするもの。それ以上でもそれ以下でもない。恋愛なんてのはあるにはあったけれど、閑で金のある人間がするもの。まぁ吉原やら川崎やらでお金を払ってそれらしい遊びをするのがせいぜいで。ここでも「共同体の存続」を「個人の生き方」よりも優先するのが合理的であった時代であることが窺えます。

    まぁそんな感じで、現代人からみたら堅っ苦しくて不自由で耐えられないと思いますが、なにしろそんな自由なんて概念すらなかった時代です。でもその中でけっこう泣いたり笑ったり、貧しいながらも人間らしく暮らしていたようにも見えますね。

    けっして「江戸時代に戻りたい」という訳じゃなくて、こうした「200年前の今とは全く違う価値観の社会」での出来事がこうして落語というかたちで現在も語り継がれ、しかもその人間性に充分共感しうるという事実に驚き、なかなか素敵なことだなぁと思うのです。寄席に行ってみたくなりますね。

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著者プロフィール

1958年生まれ。京都市出身。コラムニスト。
著書に『かつて誰も調べなかった100の謎 ホリイのずんずん調査』(文藝春秋)、『青い空、白い雲、しゅーっという落語』(双葉社)、『東京ディズニーリゾート便利帖 空前絶後の大調査!』(新潮社)、『ねじれの国、日本』(新潮新書)、『ディズニーから勝手に学んだ51の教訓』(新潮文庫)、『深夜食堂の勝手口』(小学館)、『いますぐ書け、の文章法』(ちくま新書)、『若者殺しの時代』『落語論』『落語の国からのぞいてみれば』『江戸の気分』『いつだって大変な時代』(以上、講談社現代新書)などがある。

「2013年 『桂米朝と上方落語の奇蹟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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