若者のための政治マニュアル (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062879699

感想・レビュー・書評

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  • タイトルの「若者のための」はポイント高いのではないか

  •  非常に平易な文章で書かれていながら、政治と個人との距離を縮めるエッセンスが詰まっている好著である。

     現代の若者は、一方で政治参加を求められながら、他方では自己責任論への対応を求められている。どちらも義務的な性格が強調されるから、政治参加することのインセンティブは見えてこない。著者は、「わがままになろう」「権利の主張が過剰だなんて、馬鹿なことを言うな」と語りかけ、その見えないインセンティブ、政治が個人に何をもたらすかを教えてくれる。こうした議論は当たり前のようで、最近あまり耳にしていなかったように思う。

     ホッブズによれば、人間の自然状態とはアナーキーなものであり、国家という統治形態や関連する制度はそれにセーブをかけるものということだが、本質がそうであれば、民主主義体制下でも誰かが政治参加しないことで利を得る人が必ず存在するという事になる。自然状態下での対抗手段(暴力など)が禁じられている以上、不利益を被る側は政治参加しない限り一方的にやられるだけだ。

     若者の政治離れの本質が「政治に対する無関心」にあるのか「近寄りたくないものからの逃避」にあるのかは知らない。いずれにせよ、目に見える形で不利益が現れるには時間がかかるから「離れて」いられるのだろう。若者だけを責めることはもちろんできないが、しかし不利益の可視化を待っていては、社会的正統性を得た寡頭制が先に実現してしまう。それでは同じ若者である自分にとって困るのだ。
     
     しかし、もしかするともうこの国はそのような段階にきているのかもしれない。考えてみれば、民主主義が上手くいっている時にはこんな良心的な本が出てくる必要もないのだから。

  • 客観的に見た政治の仕組み・システムを学びたく思い本著を手に取ったが、主な内容は主観的に見た政治とのかかわりであった。

    本著から学んだことは
    ○権利とは最大限主張できる権利であり義務である
    ○当たり前を壊していくことが政治

    まずはニュース新聞を読むこと、投票をすることから始めます。


    「10のルール」
    1 生命を粗末にするな
    2 自分が一番―もっとわがままになろう
    3 人は同じようなことで苦しんでいるものだ、だから助け合える
    4 無責任でいいじゃないか
    5 頭のよい政治家を信用するな
    6 あやふやな言葉を使うな、あやふやな言葉を使うやつを信用するな
    7 権利を使わない人は政治家からも無視される
    8 本当の敵を見つけよう、仲間内のいがみ合いをすれば喜ぶやつが必ずいる
    9 今を受け容れつつ否定する
    10 当たり前のことを疑え

  • なんとなく不満を抱きながらも、実際どのようなことになってるのか分からない「政治」。

    その政治について考えるスタートラインを提供してくれる一冊です。

    本書では、二郎さんが政治を考えるうえでの10のルールを提唱しています。


    ルール1:生命を粗末にするな
    ルール2:自分が一番〜もっとわがままになろう
    ルール3:人は同じようなことで苦しいんでいるものだ、だから助け合える
    ルール4:無責任でいいじゃないか
    ルール5:頭のよい政治家を信用するな
    ルール6:あやふやな言葉を使うな、あやふやな言葉を使うやつを信用するな
    ルール7:権利を使わない人は政治家からも無視される
    ルール8:本当の敵を見つけよう、仲間内のいがみ合いをすれば喜ぶやつが必ずいる
    ルール9:今を受け容れつつ否定する
    ルール10:当たり前のことを疑え


    「若者のための」という言葉が頭についているように、とても分かりやすく記述されているのでオススメです。

  • まぁ、適当にランク付け←読みたい順につけて、よんでみた。
    一番目メディアと言葉
    二番目対立軸とは何か
    三番目理想主義と現実主義

    ものすごく記憶に残っているのが、イメージからつくられるステレオタイプである。
    それは主にメディアの放送からイメージから形成され、それが固執化すると、ステレオタイプに陥る。
    ステレオタイプにも良い面と悪い面の両面がある。
    良い面としては、処理が速くなるということではないかと思える。
    一種の仕事慣れみたいなもんだ。こうなったらこれを当てはめろみたいなもん。
    そこには思考が存在しない。
    悪い面としては、物事をその面でしかみないことだ。
    例えば、メディアが麻生内閣の支持率は20パーセントをきりました、と連日報道されたらどうなるか。
    麻生の政治は糞だーと思う人が出現し、その悪い方面でしかとらえなくなるだろう。
    これを心理学的にはどういうんだろうなぁ。
    プラス的にいえば、一貫した態度をとるので、相手にとってはこの人は信頼できると思えるので、有益な人かもしれないが、
    マイナス的にいえば、頑固な人だ。他の意見に耳に傾けない人だ。
    ここで、今感じたのは、同じ言葉でも良い面と悪い面の両方があるものだ。
    これは、人間でも右翼や左翼にわかれる人でも一緒。
    みんなが同じ考えだら怖いよなぁーでも、自分と考えがかけ離れている人も怖いよなーと人間は思ってしまうだろう。
    少なくとも自分はそうであるが、、、
    予備校時代のT先生が何事にもバランスバランスといっていたが、バランスをとるのって本当難しいなぁ。
    おっとっとぉーかなり脱線しちゃいました。

    対立軸とは何か、理想主義と現実主義とは何かという内容も面白かったですよ。
    この人の書いている立場としては、学者による反小泉構造改革派なのかなぁとは思いました。
    でも、それよりも対立軸とは何か。。
    これも本当に面白い。えっどんな点が面白いかなぁって、まず具体例がわかりやすかったね。第二次世界大戦の資本主義の先進国と後発国。これを争わせている間に共産主義が
    勢力を伸ばすなど、語ると楽しいね!!

  • 政治とは何か、権利を行使するとはどういうことかわかりやすくまとめてあってわかりやすい。

  • 名前の通りの本
    平易な文章で書かれていて非常に良いが
    ただ反小泉改革の主張が多少色濃いので反対の立場の本も読むことをお勧めする
    まあそれを差し引いてもしっかりとした左派の本として読んでおいて損は無い

    • tnkwさん
      richimonさん

      読み易くてとても刺激になったのですが、フラットに思考したいので、反対の立場の意見も勉強したいと思っていたところ、貴殿...
      richimonさん

      読み易くてとても刺激になったのですが、フラットに思考したいので、反対の立場の意見も勉強したいと思っていたところ、貴殿コメントに出会いました。

      思われるところの良書をご紹介頂くことは可能でしょうか?
      2010/01/09
  • ファンド資本主義が終息を迎えている今、政治の役割とはいったい何なのか、改めて考えさせられる好著。

  • 後半は難解

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著者プロフィール

法政大学法学部教授・行動する政治学者
1958年生まれ。東京大学法学部卒、北海道大学法学部教授、同大学院公共政策学連携研究部教授などを経て、2014年より現職。最初の著作『大蔵官僚支配の終焉』(岩波書店)により、自民党と財務省による政治・行政支配の構造・実態を暴き、1990年代から2000年代に続く政治改革の深い底流のひとつを形作る。2009年の民主党政権成立をめぐっては、小沢一郎、菅直人、仙谷由人各氏らとの交友を通じて政権交代に影響を与える。立憲主義の立場から安倍首相を痛烈に批判、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」の結成にかかわる。

「2018年 『圧倒的!リベラリズム宣言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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