ビートルズの謎 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062879705

作品紹介・あらすじ

誰がブライアン・エプスタインにビートルズを教えたか。映画『レット・イット・ビー』に「やらせ」はあったか。発禁ジャケットはなぜ生まれたか。なぜ、どのように解散したのか。伝説解明へのマジカル・ミステリー・ツアー。本書では、筆者がかねてから疑問に思っていたこと、伝説や定説とされる数々のエピソードにおける明らかな"ほころび"や矛盾、不思議、新たな謎、素朴な疑問等々に対して、可能なかぎり物的証拠を挙げ、検証を試みた。

感想・レビュー・書評

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  • 想像してたよりももっとミクロなテーマを扱った本だった。以下、一個でも引っかかった人は読んでみて損はないと思う。個人的にはifの妄想を膨らませながら面白く読めた。

    ・ホワイトアルバムのシリアルは本当に通し番号なのか
    ・誰が最初にビートルズを脱退したのか
    ・シタールを最初に取り入れたのはビートルズだったのか
    ・ビートルズのレコードをエプスタインのレコード屋に買いに来た若者は実在したのか
    ・サージェントペパーのジャケットには何が描かれているのか
    ・アメリカにおいて、何故ラバーソウルはフォークロックアルバムとして受け入れられたのか
    ・映画レットイットビーはやらせだったのか

  •  この著者のビートルズ本は、同じ講談社現代新書の『これがビートルズだ』を読んだことがある。

     『これがビートルズだ』はビートルズの「全曲制覇本」であったが、今回の本は書名のとおり、ビートルズをめぐるさまざまな謎に迫ったもの。

     といっても、「ベートーヴェンの手紙に登場する『不滅の恋人』とは誰のことか?」とか、「モーツァルトが毒殺されたとすれば、犯人は誰か?」のような、音楽史に残る大きな謎がビートルズにあるわけではない。もっとトリヴィアルな、ありていに言えばビートルマニア以外にとってはどうでもいい謎ばかりが、俎上に載る。

     たとえば、第1章は「レイモンド・ジョーンズは実在したか?」。
     レイモンド・ジョーンズとは、ブライアン・エプスタインがかつて経営していたレコード店に、デビュー前のビートルズのレコードを求めてやってきた青年。もしも彼がたまたまやってこなければ、エプスタインがビートルズと接触することもなく、彼が敏腕マネージャーとなってビートルズを売り出すこともなかっただろう。
     エプスタインと出会わなくてもビートルズが埋もれてしまうことはなかっただろうが、少なくとも彼らが歩んだ道筋はかなり違ったものになっただろう。

     ビートルズ伝説を語るにあたって、見落とせない重要な存在であるレイモンド・ジョーンズ。だが、この青年はほんとうにいたのか? エプスタインが作り上げた架空の人物ではなかったか?  著者はそんな疑問を投げかけ、さまざまな文献・データを渉猟して、ジョーンズが実在したか否かの謎解きを行なっていく。
     その謎解きのプロセスにはミステリーのような面白さがあるのだが、いかんせん、それを面白がるためにはビートルマニアでなければならない。それ以外の人々にとっては、レイモンド・ジョーンズが実在しようがしまいが、どうでもいいことだからだ。

     そのように、各1章を割いて行なわれる謎解きが、全部で8つ。ほかに、さらにトリヴィアルな謎解きがなされるコラムが章間に挟まれている。

     中山康樹の本は、音楽の評価に自分の主観を押しつける強引さがあって、そこが苦手だという人も多いだろう。しかし、本書はビートルズの音楽そのものより周辺に光を当てる内容なので、彼の本らしからぬ冷静な筆致で書かれている(得意のフレーズ「くーっ! たまらん」も出てこない)。

     ビートルマニアのハシクレである私にさえ「どうでもいい」としか思えない章もあるが、以下に挙げる2つの章はたいへん面白かった。

    第3章 『ラバーソウル』VS.『ペットサウンズ』伝説の死角を検証する
    第5章 『リヴォルバー』はどうして“回転式連発銃”なのか

     この章題を見て、「お、面白そうだな」と思える人にとっては一読の価値あり。「なんのことだかわからない」という人は読まないほうが無難。明らかにビートルマニアに向けて書かれており、それ以外の読者は眼中にない本である。

  • 著者らしい快刀ぶり。
    しっかりと資料にあたっているところも好感。

  • 物証を集めて推論を組み立てるスリル。

  • 「本人が言うことだから間違いない」とはよく聴くフレーズだが、
    「本人だからこそウソをつく」ということを、幸か不幸か我々は
    自分自身の体験として知りすぎるほど知っている。

    というプロローグで始まる本著は、語り継がれる多くのビートルズ伝説の中から、
    著者中山康樹が全8章と9つのコラムで、計17の伝説について再検証している。

    “ジョンとポールはいささかジョージを甘やかしすぎた、インド系は才能の浪費だ”
    “捨て曲だからストーンズに渡した、捨て曲だからリンゴに歌わせた”
    などと断じた中山康樹著「これがビートルズだ」の大胆不敵だが身も蓋もないのが
    笑えたビートルズ評ほどのストレートさは無い。
    検証という形をとったせいか、荒唐無稽な著者本来の魅力にはやや欠ける。

    だがHELP!のポーズ、ブッチャー・カヴァー、ホワイトアルバムの通し番号、
    ビートルズ解散の真相など、そういえば確かに気にしてたが忘れていたことを
    思い出し、再検証でき、ビートルズ好きの知識欲を補給してくれた。2008年初版。

    第1章 レイモンド・ジョーンズは実在したか
    第2章 シタールはどこからやってきたのか
    第3章 「ラバー・ソウル」VS.「ペット・サウンズ」伝説の死角を検証する
    第4章 “ブッチャー・カヴァー”回収騒動の真相
    第5章 「リヴォルヴァー」はどうして“回転式連発銃”なのか
    第6章 「ホワイト・アルバム」限定番号は世紀のペテンだった!?
    第7章 映画「レット・イット・ビー」を巡る謎と推測
    第8章 ビートルズ解散劇の舞台裏
    コラム1 《マイ・ボニー》が投げかける疑問・・・R.ジョーンズが求めたレコード
    コラム2 世紀のホラ吹きドラマーの嘘と真実・・・自称「最も多くの録音に参加したドラマー」
    コラム3 カメラマンは見た・・・ジャケット製作秘話
    コラム4 「ヘルプ」ジャケットの謎解き・・・英版「NUJV」と米版「NVUJ」の理由
    コラム5 「涙の乗車券」謎1:ビートルズ史から消えた女性…フォーク・ロックミュージシャン、J.デシャノン
    コラム6 「涙の乗車券」謎2:12弦エレキ・ギターの魔法…フォーク・ロックバンド、サーチャーズ
    コラム7 「サージェント~」のジャケットにまつわる素朴な疑問
    コラム8 スリー・ヴァージンズ?・・・トゥ・ヴァージンズに映る謎の男
    コラム9 本作より先に発売されたJAZZ版「レット・イット・ビー」

  • そうとうコアなファン向けの新書。
    ビートルズが学問的に研究されるなんてスゲーなと思いました。

    興味深かったのはホワイトアルバムのナンバーの話。

  • 逗子図書館で読む。読みやすい本です。ただし、ビートルズに一定の基礎知識がなければ読めません。僕には読めませんでした。一定の知識がある人には、お勧めです。

  • 色々な資料からビートルズにまつわる伝説の真相に迫る本。資料の数も多く信憑性は高そうだ。
    ビートルズファンからすると、少しばかり心苦しい解散の話などもアリ。

  • はたしてレイモンド・ジョーンズは存在したのか!?
    なぜ、あのレコードのジャケットは1人だけ写真が違うのか!?

    そんなビートルズの数々の謎を、
    本人たちのコメントや、周りの人たちの話から推測した
    素晴らしい本です。

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著者プロフィール

1952年大阪生まれ。『スイングジャーナル』編集長を経て音楽評論家。ロックにも造詣が深くビートルズ系の本の中でも『ビートルズを笑え!』は辛口でありながら面白く書かれている。オノ・ヨーコに批判的で日本語が読めるオノに対して批判する評論家としては希有な存在。主な著書に『マイルスを聴け』(双葉社)『エヴァンスを聴け』(ロコモーションパブリッシング)『超ブルーノート入門』(集英社)『Jazz名曲入門』『Jazz名盤入門』(宝島社)『ジャズを聴くバカ、聴かぬバカ』(KKベストセラ-ズ)『スイングジャ-ナル青春録』(径書房)『ビートルズ アメリカ盤のすべて』(集英社)『ビートルズ全曲制覇』(エイ出版)『ビートルズを笑え!』(廣済堂)『ディランを聴け』(講談社)『音楽中心生活』(径書房)『超ビートルズ入門』(音楽之友社)『クワタを聴け!』(集英社新書)『ジャズ・ヒップホップ・マイルス』(NTT出版)等がある。

「2012年 『かんちがい音楽評論[JAZZ編]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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