ブリッジマンの技術 (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062879729

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  • 火山研究家が一般の人に情報をわかりやすく伝えるために学んだコミュニケーション技術をまとめたもの。
    相手の思考パターン(フレームワーク)を知って対応することがカギ。
    相手のフレームワークを知るためにには、相手の関心に関心を持つこと。
    相手の話を聞くときは、事実と意見を分けて聞くこと。
    行動だけが真実なので、相手の行動を観察すること。
    自分の思い込みを知っておくこと。
    議論してもかみ合わないので、結果をイメージして相手に合わせて自分を一時だけ変える。

  • 話が通じないのはなぜか?いろいろな理由はあるが、根底にあるものとして「フレームワークが異なる」ことがあるようだ。フレームワークの説明は難しいが、同じ言葉でもベースにある知識・記憶・感情などが異なると、意味の違ったものとして使われ、それらが総じて異なる世界が作り出される、そういうもの、らしい。
    一例だが、「湯水のように使う」というと日本では価値あるものの無駄遣いすることだが、湧き水も雨水もほとんど貯まらない島では、「湯水のように使う」とは最も大事に使うことを指す。ベースにある状況が異なるので意味が変わってしまう。
    人と人との間で「フレームワークが異なる」ことを前提に、そのフレームワークを理解することで、「分かり合えない」から「通じる」に変えていくために、著者はまず、第2章で「人を知る」ことを提起する。
    人を知るには、「『相手の関心』に関心を持つ」ことだ、と著者は言う。そして、「相手」とは、「全員」ではなく「一人ひとり」であるから、「『ひとりひとりの関心』に関心をもつ」こととなる。そのためのヒントを幾つか上げている。詳しくは本書をご覧ください。
    人を知るだけでは、「話が通じる」ことはできない。「自分を知る」事が大切だ。自分のことは案外知らない。ここでも、「相手から見た自分」がどのようにみえるのかを、自分自身で客観的に見ることが大切だ。こころとか、信念とかではなく、あくまで他人から見た自分を見るのである。
    そのうえで、「話が通じる」ために「他人」と「自分」をすり合わせるとき、変えられるのは「自分」である。そのためのヒントが興味深かった。
    折り合わないときは、「1つだけ譲歩する」。
    「負け」をイメージして、自分に大した影響が出ないことを知るとともに、逆に相手にとっては「負けカード」は最強のカードであることも知れば、負けることは怖いことばかりではなくなる。
    相手の言葉を「翻訳」する。罵声も、親しいと思うから出てくる。本当に嫌いなら、「無視」である。これから関係を築きたいと思う相手の場合は、相手の言葉を、ワンクッション置いて、自分に都合よく「翻訳」することで随分ショックを受けずに済む。
    それでもダメなら、席をたち、気分を変える、など。
    非常に実践的な内容だった。
    そこから最終章は、難しい内容を、「なぜ著者は難しい言葉や概念を使おうとしたのか」を考えながら読むことで、著者にとっての言葉や概念の「フレームワーク」を見つけ出せれば、「通じる言葉」として難しい内容も読み解ける、と、具体例をあげて示している。
    たまたま手にとった本だが、非常に面白かった。
    面白さを伝えられる文章力がないのが悔しい。

  • 簡単に言ってしまえば、コミュニケーションとは相手のことを考えてするものということ。

    筆者はそれそれの考え方をフレームワークと定義する。
    人それぞれ違うフレームワークの橋渡しをするのがタイトルでもあるブリッジマン。

    その橋渡しの技術が本書に詰まっている。
    技術というとマニュアル的に聞こえてしまうが、要するに
    相手のフレームワークに自分のフレームワークを合わせるということ。

    他人に合わせる・・・というと自分の個性が損なわれるようで現代社会ではマイナスに捉われてしまいそうだが、要するに「相手の立場になって話をしなさい」ということだ。

    当たり前だが、自分の心に手おおいて考えてみると、その当たり前のことができていないことがわかる。

    相手の嫌いなことは決してしない。相手の関心に丁寧に合わせて行動するのである。これがブリッジマンになるための一番基本にある法則なのである。

    とことんブリッジマンといういい人になるのもいいかもしれない。

  • フレームワークとは、「考え方の枠組み」
    ブリッジマンはフレームワークの橋渡しを上手にてきる人

  •  鎌田のほかの本と重複する箇所もあるが、読みやすい本である。大半が人間関係の方法(対人コミュニケーション)に絞っているが、最後の方で科学の研究論になっているので、理系学生が読んでも役に立つであろう。

  • 「相手の関心事に関心を持つ」ことから始めたい。その為には、子供のような好奇心の旺盛さが必要である。

    最近の自分は、感性が磨耗してきたので、新たな世界を見るつもりで全く異なる価値観の持ち主に話を聞いてみようと思った。

  • 参考になる箇所が結構あった。自分の感情を客観視すること、相手とのグレーゾーンを無理に埋める必要はきっとないということ。

  • 相手が話しやすい環境を作る(070~)
    変えられるのは自分だけ(097~)

  • [ 内容 ]
    コミュニケーションの達人になろう。
    人間関係も広がるブリッジマンへの道。
    読解力と伝達力を飛躍的に向上させるメソッドが満載。

    [ 目次 ]
    第1章 フレームワークは人間関係の基本原理(テレビ生出演で大失敗 「大金」はいくらか? ほか)
    第2章 相手を知る(相手の関心に関心を持つ 恋の攻略法も同じ ほか)
    第3章 自分を知り、自分を変える(自分を知る 自分のフレームワークは見えにくい ほか)
    第4章 ブリッジマンになる(個人を相手としてブリッジマンになる 数多くの代替案を用意する ほか)
    第5章 フレームワークを使ってむずかしい内容を読み解く(専門家のフレームワーク 身近でない文章を読み解く ほか)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • なにが本筋で、どうすればうまくいくのか。
    相手のフレームワークを合わせることで幅も拡がる。
    自分なりに八方美人的に応用していた部分について
    確信的に実行していく方法として勉強になりました。

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著者プロフィール

鎌田 浩毅(かまた・ひろき)
1955年東京生まれ。筑波大学附属駒場中・高等学校卒業。東京大学理学部地学科卒業。通産省、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を経て、現在京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授・同名誉教授。専門は火山学、地球科学、科学教育。「京大人気No.1教授」の「科学の伝道師」。著書は『新版 一生モノの勉強法』『座右の古典』(ちくま文庫)、『やりなおし高校地学』(ちくま新書)、『地学のツボ』(ちくまプリマー新書)など。

「2021年 『100年無敵の勉強法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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