イギリス型<豊かさ>の真実 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062879767

作品紹介・あらすじ

医療費、教育費は原則無料、手厚い失業保険-年収が低くても安心して暮らせる「福祉国家」の実情。

感想・レビュー・書評

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  • 2010/05/01

  • 「プーチン最後の聖戦」からの「グリーンスパン」からのイギリス関連本検索@amazon。

  • w

  • 筆者の過去の海外経験を基にイギリスの社会保障制度を過去の経緯から解説。日本の先への提言は乏しい。

  • (内容紹介)
    ◆したたかに危機を乗り切る福祉国家像

  •  イギリスが必ずしもいいことばかりではない、けれど、日本のようにセーフティネットがきちんとしていないのはやはり不安。

  • 2010.3.1.
    三省堂書店有楽町店で購入。

  • この本は、イギリスの福祉についてなどのことが書いてあり、この本を読みながら、自分たちの国の福祉の状況や生活習慣を比べてみると面白いと思います。

  • 「ゆりかごから墓場まで」のイギリスを医療制度から分析した本。

    NHS(National Health Service)という公的機関とプライベートの医療施設。
    この2種類の医療施設でイギリスの医療制度が出来ていることが、
    第一章では最初に説明されています。
    NHSは付加価値税で運営されているため、薬代などを除いて基本的に無料。
    けれど歯医者など一部の例外は無料でなく、むしろ高額なため、
    そのような治療にはプライベートな民間の医療施設が利用されているのです。
    税金はばっちり高いですが「高負担・高福祉」のため、
    お金がないからといって医者にかかれないなんてことがないことが特徴。
    「低負担(?)・低福祉」の日本とは違った考えの国なんです。

    第二章と第四章ではそんなイギリスの福祉政策を分析しています。
    「ゆりかごから墓場まで」で有名なやつですね。NHSの誕生です。
    でもこのNHSは後にイギリス病とまで言われる経済停滞を招いた上、
    一度無料化したものを有料化するには猛烈な反発が想定されるため、
    制度撤回もできないっていうかなり困ったやつにもなったりして。
    チャーチルも、サッチャーですらこのデリケートすぎるものには手をつけられなかったのです。
    サッチャーは病院の統廃合などを推し進める事での効率化をはかりましたが、
    これにより人口の少ない地域での医療機関の不足、
    多い地域での医師の労働環境の悪化そしてそれによる医師不足が起こっちゃったんです。
    で、トニー・ブレア。イケメンの登場です。
    彼はNHSをクラウン・ジュエル(誇るべき英国の宝石)として、
    財政負担を増やしてでもNHSへの投資を惜しまなかった。
    そのためサッチャーのもとで崩壊の危機に瀕していたNHSはなんとか生き延びます。
    ただ、医師の激務が慢性化して海外へ医師が流出したり、
    そのために患者の待ち時間の長期間化(ほんとに数週間単位)は依然問題。
    イギリスとしてもいつまでもサッチャリズムの後遺症だとか言ってられないので、
    最近患者負担を求めるだの、民間のコスト意識を取り入れようと頑張ってるみたいです。

    あと第三章は飛ばしてた訳じゃなく、日本の話題が間に挟まっていたので。
    二十年も前から出生率の低下と、高齢者の増加は予期できてたのに、
    財源も確保せず、国民皆保険を守ろうとしなかったっていうのに怒ってます。
    医療施設の高度化に伴って1人あたりの医療費が高額化しただとか、
    不況だとか、まぁ政府ばかりを責めもできないけど失策は確かですし。
    きちんと負担した人にだけ支援をし、
    受給者(高齢者とか医療を享受する人)にも負担を求める政策、
    英国の様に税金を増やして「高負担・高福祉」にする政策、
    いろいろありますがどうなることでしょうか。
    まあでも林さんも書いていますが福祉は経済と違って、
    不況だから財源を減らすとしてはならない国家の根幹をなすものなので、
    なんとかきちんと説明と実行をしていただきたいものです。

    で、第五章と第六章ではそのほかのイギリスについてですね。
    若者の就職支援や失業保険、学校制度などなど。
    短いのでさらっと読めますが、一国の問題なので重いです。

    あとは最近消費税率を上げるだの日本の偉い人が言ってますがそれについて。
    日本ってヨーロッパに比べて税金がとても低いイメージってありませんか?
    確かにイギリスだと付加価値税率は17.5%ととんでもなく高い数値ですが、
    実はこれは食料品・子供服・処方箋などは非課税なんです。
    経済的弱者を守るため、生活必需品にあたるものからは税金取らないっていう。
    他のヨーロッパ諸国も基本的には同じ。
    なので食料品やサービス関連全てに課税している日本は実は高負担とのこと。
    目から鱗です。福祉大国・スウェーデンより酷税です。

    消費税3%を導入した竹下内閣、消費税を3%から5%に上げた橋本内閣、
    ともに「少子高齢化の到来に備えて、福祉のための財源を確保する」と言ってましたが、
    果たしてそれはきちんと目に見える形で実現されているでしょうか。
    増税はもちろん嫌ですが、するならどこにいくらなんのために必要なのか、
    それを提示して国民の了解を得てからして欲しいですね。
    日本国民はそろそろ怒るといい。
    てなわけで結構面白かったです。文章も平易で読みやすいしおすすめです。

  • NHSは英国のクラウン・ジュエル。

    福祉に対する見方が、当たり前になっている点が日本とは大きく違う。新自由主義に進む日本では考えられない。

    日本の社会保障は狭きセーフティネットだといわれている。やっぱり、老後安心して暮らせるというのはとても魅力的な事だと思うな。

    生活形式が日本・イギリスで大きく変わる為(たとえば、家族という言葉はイギリスでは夫婦を差し、老後も夫婦だけで暮らす!)、一概に比較することはもちろんできないが知識として知っておき、そこから発言する必要がある。

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著者プロフィール

1958年、東京生まれ。神奈川大学中退。1983年、英国ロンドンに渡り、現地発行日本語新聞『英国ニュースダイジェスト』の記者となる。日本のメディアにも寄稿を続け、1989年には『地球の歩き方・ロンドン編』の企画と執筆で中心的な役割を果たす。1993年に帰国して以降は、フリーで執筆活動に専念している。英国史・ヨーロッパ史から軍事問題、日本国憲法、サッカーに至るまで、幅広いテーマで執筆している。また、ノンフィクションとフィクション、どちらもこなせる。2013年10月には、作家・ジャーナリスト「林信吾の地球に優しいブログ」http://ameblo.jp/gojibuji/を開設した。

「2015年 『関白・前田慶次郎 ジパング大乱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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