天皇陛下の全仕事 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062879774

作品紹介・あらすじ

天皇陛下はどんな日常生活を送っているのか?国事行為、晩餐会から宮中祭祀、稲作まで。知っているようで知らない、天皇陛下の毎日の仕事を、元宮内記者がやさしく解説。

感想・レビュー・書評

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  • 著者は、産経新聞の元宮内庁担当記者。
    天皇陛下は、去る8月8日に生前退位についてのお言葉を国民に向けて述べられ、その中で、「・・・何年か前のことになりますが、二度の外科手術を受け、加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった頃から、これから先、従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合、どのように身を処していくことが、国にとり、国民にとり、また、私のあとを歩む皇族にとり良いことであるかにつき、考えるようになりました。・・・天皇の高齢化に伴う対処の仕方が、国事行為や、その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには、無理があろうと思われます。」と仰っている。
    我々は、日々のニュース報道等の中で、天皇陛下が被災地を訪問されたり、外国の要人の晩餐会を催されたり、様々な公式行事に参加されたりすることを見聞きすることは少なくないものの、天皇陛下の毎日の仕事に想像が及ぶことはあまりない。
    本書では、天皇陛下の住まい、皇室の構成に始まり、「天皇陛下の仕事」としての、執務(書類の決裁)、皇室祭祀(宮中祭祀)、儀式(新年祝賀の儀、親授式、親任式、認証官任命式等)、会見と引見、大使らへの鴨場接待、親書・親電、宮中晩餐会、外国訪問、三大行幸啓、各地へのご訪問、園遊会、皇居内での稲作などについて、詳細に取り上げられている。
    今般表明された「生前退位」について国民レベルで議論を共有するためには、我々はまず天皇陛下が日々どのような行為をされているのかを知らなくてはならない。
    2009年に出版されたものであるが、今まさに読まれるべき一冊と思う。

  • 天皇陛下の全仕事

  • 園遊会での直訴事件を機に実際の天皇の公務とは何か? と気になり読んだ。
    もっと宮内庁がギシギシに管理しているかと思っていたが、陛下の意思など意外と反映されているのだという(被災地への慰問、訪問など)。

  • Kindle

  • ◆戦後、象徴としての天皇制とその職務を何もないところから切り開いてきた様が見て取れる。具体的職務内容に多く言及するのは、象徴天皇の国事行為・公的行為・私的行為のレファレンス機能を果たす書と目されよう◆


    2009年刊行。
    著者は産経新聞特集部記者(元社会部皇室担当)。

     タイトルどおりの書である。
     具体的な職務内容ほか、印象に残る部分としては、
    ① 途轍もなく多いご先祖様の祭祀。
    ② 火曜・木曜の午後は執務。午前実施の閣議決定への署名押印。遠方でも書類が追いかける。
    ③ 外国大使の接待に、鴨猟(ただし猟銃は使わず、大きな網で捕獲)や御料での鵜飼の場合あり。
    ④ 新幹線。お召し列車は殆ど使われず、一般車両を特別列車に仕立てる。
    ⑤ なお、天皇・皇太子以外の皇族の移動は、一車両貸切にすらならず、一般人と同乗。前後にお付きの人はいるけれど…。
    ⑥ 石原慎太郎元都知事による暴露的失言。あの内奏では、政治的重要課題が進講されていたことが白日に。言われてきたことではあるが…。
     目を引いたのはこれくらいであろうか。

     ところで、生前譲位は若干の言及あるも、現実には想定されていなかった時期の著作だ。
     とはいえ本書にある皇太子と秋篠宮の余りの違い(仕事内容)を考えると、ここでの早期の譲位は、自身の加齢・健康面の不安に加え、皇太弟となる秋篠宮の、将来の天皇即位のための教育期間ではないかとの感も生まれる。
     それほど皇太子は様々な行事に、天皇に近しい存在として、共に参加することが予定されている。これが理解できただけでも、現代象徴天皇制の内実を知る上で有益だったと言えそう。

  • いやあおもしろかった。
    陛下はめちゃめちゃお忙しいではないか…。
    トリビア的内容もあって興味深く読んだ。

  • 読了。
    対外的には国家元首と看做されているが、実際は国事行為と同等、若しくはそれ以上に宮中祭祀のポーションが高い事が良く分かる。我々が目にする天皇陛下の公務は極一部に過ぎず、人知れず只管日本国民の安寧を祈る祭司でもある。中国や西欧の感覚でEmperorと訳す故に誤解が生じるのだと思うが、西欧人の感覚的には教皇や総主教のような立場と説明した方が、実態に近いのではないか。いずれにせよ、天皇陛下の激務の実情を詳らかにした功績は大きいと思う。

  • 今まで詳しく知らなかった天皇陛下や皇室について、とても分かりやすく丁寧に解説されていて、天皇陛下がより身近な存在として感じられるようになった。

  • 今上天皇のビデオメッセージを機に天皇の生前退位の問題が論じられつつあるが、なぜ本書が話題にならないのだろう。たしかに、出版されたのは7年前の平成21年であり、著者が皇室担当の記者をしていたのは、その更に前であるが、全容があまり知られていない天皇の仕事を知るには絶好の一冊ではなかろうか。
    本書は、事実を細大漏らさず記載しようとしており、やや詳細に過ぎる気はするが、公務である国事行為と公的行為、そして、私的行為といいつつ公的な性格を帯びたものまで、天皇の行為・行動・行事を丹念に拾い上げている。その分類も分かりやすい。こうして見ると、高齢の天皇が単独で担うのは厳しい気がしてくる。いずれにせよ、日本国の象徴という特異な責務を負う天皇の日常を知ることのできる貴重な一冊であろう。

  • 憲法で規定されていない「公的行為」や、私的・公的が曖昧な「その他の行為」が、「天皇の仕事」のうちテレビで取り上げられやすい「仕事」の多くを占めていることを知った。
    例えば「国際親善」「宮内晩餐会」「外国訪問」「地方訪問(行幸啓)」は公的行為になる。そして地方訪問に付随する「福祉施設訪問」や付随では無くそれ自体が目的となる「被災地お見舞い」は「その他の行為」であり、そしていわゆる「平成流」の天皇の行為になっている。
    この施設訪問やお見舞いでは、分単位で予定が決められている天皇が侍従の耳打ちを「聞かない」ことがある。これは、全ての人に対して同じように対応するのが天皇の仕事であり、時間が詰まったからといって短縮するわけに行かない、と今上天皇が考えていることを示している。
    昭和天皇の行幸時にお見舞いなどの行為がほとんど無かったことは、この本で改めて指摘されて気付いた。既に平成も28年になり、昭和天皇のときにどうであったか、ほとんど忘れてきている。それほど、今上天皇の「平成流」行為は浸透しているのだと思う。
    今上天皇の生前退位の「お気持ち表明」(http://www3.nhk.or.jp/news/special/japans-emperor/)において「日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方」と仰せの行為は、この「平成流」のことなのだと思うし、おそらく国民もこの平成流が好ましいと感じているのではないだろうか。
    ただし、今上天皇の仕事のうち、その全てを次の天皇の仕事とするのは多すぎるかもしれない。実際、皇太子時代からそのまま引き続いて天皇の仕事としているものもあるようなので、それに関しては皇太子や皇族に改めて振り分けるのも大事だと思う。
    また、天皇の仕事のうち、皇后を伴う仕事も多くを占めているが、譲位後に現皇太子さまが雅子さまを伴って仕事出来るかという疑問がある。もちろん皇后が必要と規定されているわけでは無いが、例えば「お茶会(いわゆるティーパーティーであり昼食会を含む)」などで夫婦伴って招いた場合、主催者側も夫婦で応対するのが普通になってきている。そのときに次期天皇が一人で応対するのはどうなのか、とは思う。そのような面からも「平成流」の仕事は今上天皇のみになるのかもしれない。
    いずれにせよ、高齢者である今上天皇の余命はさほど長くない。生前退位云々はともかくとして、次期天皇の仕事の範囲を考える上でも良い本であろう。

    目次(http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062879774):
    1 信任状捧呈式
    2 天皇の住まい
    3 皇室の構成
    4 「天皇の仕事」の内訳――どのような仕事をどのように
    5 「公的行為」とは何か
    6 執務――書類の決裁
    7 皇室祭祀(宮内祭祀)はどのように行われるか
    8 皇居・宮殿での儀式・行事
    9 国際親善の仕事
    10 宮内晩餐会
    11 外国訪問
    12 地方訪問
    13 福祉施設訪問と被災地お見舞い
    14 追悼と慰霊の旅
    15 国会開会式と戦没者追悼式
    16 拝謁と会釈
    17 さまざまな儀式・行事
    18 式典出席や文化の振興
    19 進講と内奏
    20 伝統文化の継承――稲作と和歌
    21 展覧会、コンサート、スポーツ観戦
    22 静養と研究
    23 スケジュールはどのように決まるのか

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著者プロフィール

1968年神奈川県生まれ。地域医療機能推進機構(JCHO)東京高輪病院内科管理部長。医学博士。1994年東京慈恵会医科大学卒業。日本赤十字社医療センター研修医、東邦大学医療センター大橋病院循環器内科などを経て現職。専門は心臓血管のインターベンション治療。生活習慣病の患者さんには予防・改善のためにウォーキングをすすめている。趣味はマラソン(自己ベスト3時間49分)

「2016年 『医者に「歩きなさい」と言われたら読む本 メタボ・糖尿病・高血圧を改善!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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