思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
3.54
  • (23)
  • (51)
  • (55)
  • (14)
  • (2)
本棚登録 : 436
レビュー : 64
  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062879781

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「はじめに」を読んで、法令遵守の何がいけないのかと思ったが、読み進めていくうちに著者の考えが理解できた。マスゴミの曲解による煽情的な報道、それに迎合する検察、裁判員制度の欠陥、法科大学院の問題など、著者の言うとおりだ。
     しかし残念ながら事態は何一つ良い方向に変わっていない。昨今の食品偽装問題でもシャケ弁をトラウト弁に言い換えるとか、大の大人がくだらない議論をしているのを見ると心底がっかりする。司法当局の認識の通り、90%以上の日本人は馬鹿か幼稚かのいずれかだ。これは間違いない。低俗なTVの報道を真実と思い込み、納豆が体にいいと聞けば納豆が棚から消え、バナナを食べれば痩せると聞けばスーパーでバナナを奪い合う。まさに思考停止だ。
     もう5年ほどTVを見るのをやめているが、この世からTVが無くなっても結局ほかの何かに騙されるだけで、日本人の馬鹿と幼稚はずっと変わらないんだろうな、と思う。

  • 先日、社内会議の席で「思考停止」というフレーズを
    連発するヒトがいて、なかなか面白い表現をするなぁ
    と思っていたところ、本書を書店で見つけた。
    そこで、すかさず購入。

    食品企業の不祥事や、年金記録の改ざん問題、裁判員
    制度などを取り上げて、「法令遵守」という「思考停止」
    に警笛を鳴らしている一冊。

    不二家の信頼回復対策会議の議長を務めた郷原さんの
    論理展開は実に明晰で、説得力も十分。
    (不二家のところは少し甘い気もするが。)
    法曹界の方には必読の書、と言ってもいいほどの内容と
    思う。

    ただ、マスメディアを斬った章はやや物足りなかった。
    本書で取り上げられている「思考停止」はどれも罪は
    深いが、中でももっとも罪深いと思うのはマスメディア
    だから。

  • "多くの人に読んでもらいたい本の一つだと感じた。たまたま私は、伊藤ハムの事件について、従業員の声も聞けたし、柏市の保健所の立場の声も聞けた。概ね本書に記載の通りである。中核市になった柏市が保健所を自主運営する最初の仕事が伊藤ハムの水質問題になった。本書に記載の通り、見誤った対応のすえ、何ら食品に問題がない商品の回収をせざるを得なくなった企業の風評被害は甚大であり、従業員たちの苦労も聞いているだけに、正しい報道をすることのないマスコミには憤りを感じる。
    同様に、本書のTBSと日テレの対応の違いとその後の処分の違いに、また怒りすら感じてきてしまう。
    いずれにしろ、風説に惑わされずにしっかり実態を把握できる教養なり、感覚を持ちたいものである。"

  • コンプライアンスについて、誤った適用の事例が多く集められている。
    不二家の食品偽装や裁判員制度導入の問題など、著者が直接関わった事例も多く、内容に説得力がある。

    マスコミの一方的な報道、それによって作られるムードによって、社会がまさに「思考停止」しているとの指摘は、決して他人事ではない。

    コンプラ関連として、合わせて読んでみるべき1冊。

  • 情報弱者とか強者とかいうけど、真実を理解するには相当ニュースを読み込んで、客観性をもって考えないと強者にはなれないなと感じた。行き過ぎたコンプライアンスに陥らないために、マスコミもうまく使いこなせないと墓穴をほるのでしょうね。今まで「不二家のケーキは買わないぞ」と思ってましたが、考えを改めます<(_ _)>

  • 法令遵守の観点でしか物事を考えない、その背景、実態には目を向けずに単純化され、思考停止社会に陥っている。マスコミには視聴率のためなら事実を曲げて報道し、間違っていても逃げ続ける。マスコミの視聴者受けするための単純化優先の論理が社会の思考停止を助長する。
    これまでの報道、一般に認識されてきた事実はマスコミの都合、舛添元厚労相の無責任な発言などに起因することが指摘されている。
    普段感じるマスコミのレベルの低さを改めて認識させるものだか、その改善策は今ひとつハッキリしたものがなく、問題点指摘にとどまっている感がある。

  • 法令を守ることだけを主眼としてしまって、その奥にある真の目的を守れなくなっている現状を、元検事の視点から解き明かした本。

    具体例としては、食料品の偽装、建築の構造計算、経済司法の問題、裁判員制度の問題、厚生年金の問題、マスメディアの問題点を挙げている。

    思考停止になることの問題点を考えるならば、ぜひ一読すべき本だと思う。

  • 思考停止社会か。本書に出てくる、事件は当時メディアでよく騒がれていた。年金の問題、食品偽装、livedoor事件等。自分も思考停止に陥っていて、「ああ、また悪いことしているよ」と思っていた。

    それは何故か。今、出た答えは、固定観念が強くて知ろうとしなかったことがデカイのかも。

    でも、そこから知ったきっかけは何だったんだろう。うーん。

  • 今まさに読むべき本。なぜ日本人が思考停止しているのかがよくわかる。

  • 法令遵守の御旗の下で繰り返されるマスコミのバッシング、マスコミ自体の虚偽報道、その他。
    年金改ざんの問題の実態をきくと、じゃあどうすればいいのか、という気になる。役人が良心に基づき良かれと思ってやっていることなので、目をつぶるべきなのか。その前提で着服、使い込みをしたのがそもそものきっかけではなかったのか。
    賢者による善政が敷かれたのは、奴隷によって市民が労働から解放されていた古代ギリシャぐらいだろう。不信感の充満した現在の日本で、ガス抜きバッシングが頻発するのは当然とも思える。

著者プロフィール

1955年生まれ。弁護士(郷原総合コンプライアンス法律事務所代表)。関西大学社会安全学部特任教授。総務省コンプイライアンス室長・年金業務監視委員会委員長。東京大学理学部卒業後、民間会社を経て、1983年検事任官。東京地検、長崎地検次席検事、法務総合研究所総括研究官等を経て、2006年退官。「法令遵守」からの脱却、「社会的要請への適応」としてのコンプライアンスの視点から、様々な分野の問題に斬り込む。

「2017年 『青年市長は“司法の闇”と闘った 美濃加茂市長事件における驚愕の展開』 で使われていた紹介文から引用しています。」

思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本 (講談社現代新書)のその他の作品

郷原信郎の作品

ツイートする