回復力 失敗からの復活 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062879798

作品紹介・あらすじ

「しまった」という気持ちが人を成長させる。苦境に潰されないちょっとしたコツを、失敗学の権威が伝授。

感想・レビュー・書評

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  • ちょっと思うところあって読んでみた。

    誰でも失敗しうる。それが思いがけず大きな被害をもたらすこともある。人命が関わったり、巨額の損失が発生したり、信用を失ったり。レベルは様々、日々失敗しているとも言える。

    実は先日、某ショッピングサイト利用時にクレジットカード情報が盗取されるという被害にあい、お店からお詫び文書が届いたところなのだが、仕事柄、店側(及びその店のシステム作った会社)の対応を思うと、他人事じゃないなあと苦い気持ちに。

    (脱線:盗取はされたものの、クレジットカード会社の方にはこちらはこちらでちゃんと不正使用パターンを検知するシステムがあるそうで、それのおかげで実害はなしで済んだ。それがわかったときは、そのシステム作った人ありがとうと思った!)

    で、そりゃ失敗したらリカバリーのためにやらなゃいけないこと、受けねばならない制裁などもちろんあるが、失敗を苦に思いすぎてひとりの人間が死んでしまうなんていうことは絶対にあってはいけない。そうならないためにどうしたらいいか、という観点の本なので、「正論は聞き流せ」とか「逃げてもいい」とか「お叱りを真摯に受け止めすぎるな(鈍感であれ)」とかいったことが強く言われている。

    人は弱く、失敗の直後なんてショックでエネルギーが無くなっている状態なので、事態をよくさせるための思考力や判断力や行動力はない。そういうときに下手に動いてもいいことはないから、とにかくエネルギーが回復するまで待つのが良いのだ、ということだ。なかなか難しいが、エネルギーが戻ってくれば自然と動き出せるようになるし、その時は必ず来る。だからそんなときこそ、美味しいものを食べたり、聞き上手な友人に愚痴を聞いてもらったりなどして自分に優しく過ごしなさいと。

    失敗した人があまりのんきにしてると、ちょっとは反省の色を見せろや~と思ってしまうこともあるけれど、【失敗を苦に思いすぎてひとりの人間が死んでしまうなんていうことは絶対にあってはいけない】この思いひとつのためにこの筆者さんはこういう本を書いたんだろうなあと思うと、そこは諸手をあげて賛成賛成。

  • 著者は失敗学を提唱している著名な元東大教授です。

    失敗学とは、事件や事故の発生原因を工学的に分析して、
    その原因で発生した「失敗」をどう組織や個人が受け止めるのか、
    そして、どう対応して、教訓として活かすのか考える学問です。
    非常に有益かつ、また現代の社会状況のニーズに非常にマッチした実践学問です。

    その著者が記したこの『回復力』は、主に個人の失敗に対して、失敗を個人が受けてとめるのか、
    そしていかに、その失敗から立ち直るのかが、本書で述べられています。

    背景にあるのは、個人の失敗→うつ状態→最悪自殺に至るという、
    ケースが日本で非常に多いからです。
    それは、一にも二にも、私たちが「失敗」ということに対して、体系的な知識も、対処法も、教わってもいないこと、
    また、自らも学ぼうとしていないからです。

    失敗=怖い、失敗=起こってから対処する、
    これは、何も武器を持たない人間が、戦車に立ち向かっていくぐらい無謀なことです。

    失敗は誰しもが経験する「当たり前なこと」です。
    その失敗に対して、どう準備をするのか、
    そして、失敗をしたら、どう対応するのかを、私たちは、学ばないといけません。
    なぜなら、失敗してからでは、遅い場合が多々あるからです。 

    世の中は理不尽なもので、他人の失敗や組織の失敗、また国の失敗でさえ、
    本人に影響を及ぼします。本人の失敗として、カウントされることもあります。

    生きていて、失敗から逃れることはできません。
    それは、私たちが、学び、働き、養う上で、失敗というものは、
    必然的に起こるからです。

    こういった状況を考慮すれば、本書を読む価値は十分にあると思います。

  • 回復力について知りたくて読書。

    失敗学で有名な著者の失敗した時からの立ち直りについて書かれた本。

    昨年この20年で最大級の失敗を犯した自分としては読むに値する1冊となる。どちらかと言うとメンタルヘルスマネジメントについての本に近い。

    人間は弱く失敗をするものだと知ること。そして、もし、失敗してもどう対応するか。リカバリをしていくかを知っておくことの重要性を述べる。

    結果、もし精神のバランスを崩しても自分を守ることを考え、適切な専門家へ相談し、現実的な治療をすること。

    自分にとって問題だと感じたら、紙に書き出し、客観的に眺めてみる。日々寝る前に反省と改善をするためのリセット作業の積み重ねが大切だなと考えた。

    読書時間:約50分

    本書は韓国のブックオフ(新村店)で購入しています。

  • 失敗学で有名な人ですね。
    これも少々古い本(2009年刊)でしたが、こちらは年代は関係のない内容で、失敗経験の少ない若い人には読んでおく価値は有りでしょうな。

    (2014/8/27)

  • 三葛館新書 159||HA

    どんなに優秀な人でも、人生の中で失敗してしまうことが少なからずあると思います。失敗のダメージからどうすれば復活することができるのかを、さまざまなエピソードとともにそのコツを紹介しています。
    人には必ず「回復力」というものが備わっています。その「回復力」を活かし、失敗から立ち直り、失敗と上手に付き合っていくための方法を身につけましょう。

    和医大OPAC → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=53309

  • 畑村洋太郎。

    元々は工学者らしいのですが、最近は、・・・・

    "失敗学"の研究をしている方らしいです。


    会社で受けた研修のなかでも、"失敗学"について、

    著書の一冊を紹介しており、興味を持ったため、

    最新の著書を図書館で借りてみました。


    内容は、

    個々人の失敗したときの対処法、心がまえについて書かれた本

    失敗が発覚したとき、バレテしまったときは、

    誰しも普段と比較して、フツウの状態ではなく、エネルギーを失っています。


    それでも、本来は、それに対処すべきですが、・・・・・・・・

    もし、

    それで自分がつぶれてしいそうになるとき、

    ダメになってしまいそうになったときは、

    対処できないことにヒケメを感じるのではなく、

    現在は、

    エネルギー不足のために対処できないと考えることが

    大事ということが書かれている本。


    何となく、分かっていることもあるかもしれませんが、

    時間があるときにでも一度読んでみてもいい本だと思います。

  • 組織やプロジェクトの失敗をどのようにリカバーするか。ということが書かれているのかと思って入手したのだが、そうではなかった。個人の内側の話。成功本では絶対に書かれないであろう「失敗を他人のせいにする」などある意味痛快である。
    生き続けるために必要なことは何かを考えさせてくれる本。

    P.60
    何か失敗が起こると、必ずこの"正論"を振りかざして、失敗した人を責め立てる人が現れます。
    しかし、こうした正論の通りに行動したところで、実際には失敗が完全に避けられることはほとんどありません。
    なぜなら、こういう場合に使われる正論の多くは、きちんとした分析によって導かれたものでなく、たんなる建前論になっているからです。正論とは名ばかりで、その人の主張を正当化するための詭弁であることもあります。

    一般的には、柔軟さがなく、社会をきちんと観察していない人ほど正論を好みます。

    聞く側の態度しては、一応は耳を傾けているふりをするというのが無難でしょう。

  • 失敗への心の対処。メンタルヘルス。

    ギブ3テイク1。
    いざという失敗時、間違った動きをしないこと。間違った動きとは危険危機が回避され、潔さ(正しい認識not告白)を持つこと。
    わかりません、知りません。
    失敗を正しく把握する。記録すべし。記憶のすり替えを防ぐ。

  • 苦境に立ち向かう時、「失敗した!」という時に、開く新書となった。この種の「癒し」の本は数多いが、畑村さんの筆致はたいへん説得力もあり、そして読後感はたいへん心地よい。その理由は、彼の論は常に「未来・将来」志向であるということろにあるからではなかろうか。「失敗は誰にでもある」というところを主張し続けそれに終始するわけではなく、失敗後の対処が大切と説く「失敗学」という新たなジャンルを牽引している著者ならではの「語り」は首肯させられる部分も多い。たとえば、「失敗したときの風景を思い浮かべ」シミュレーションしておくことの大切さを説くなど、失敗の仮想演習を考えろという部分(p54~58)を読むだけでも大変役に立った。

  • 人命第一

    最初から失敗を想定して行動する。

    正論というオバケ

    失敗を認める

    逆検算、仮想演習

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著者プロフィール

1941年東京生まれ。東京大学工学部機械工学科修士課程修了。東京大学名誉教授。工学博士。専門は失敗学、創造的設計論、知能化加工学、ナノ・マイクロ加工学。2001年より畑村創造工学研究所を主 宰。2002年にNPO法人「失敗学会」を、2007年に「危険学プロジェクト」を立ち上げる。著書に『図解 使える失敗学』(KADOKAWA)、『失敗学のすすめ』『創造学のすすめ』(講談社)『技術の創造と設計』(岩波書店)、『続・実際の設計』(日刊工業新聞社)『3現で学んだ危険学』(畑村創造工学研究所)など。

「2022年 『やらかした時にどうするか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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