日本の雇用 ほんとうは何が問題なのか (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062879972

作品紹介・あらすじ

正社員の2人に1人が不安を感じている。景気の悪化。会社への不信。ミドル・シニア社員問題。もはや非正社員3割超なのに正社員中心の組織の制度疲労。そして働くひとりひとりの孤立…。現場を知る第一人者が語る真実。

感想・レビュー・書評

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  • @山崎>寄贈しました

  • 日本の現状を分析し、解説されていることはよくわかりましたが、この著者は新卒一括採用方式には肯定的なようです。
    また、今の日本の雇用は外国に比べればひどいということではなく、マスコミが言うほど心配することではないらしい。
    抜本的な改革をしなくても大丈夫なように聞こえますが、果たしてそうでしょうか?格差もそんなにひどくないということですが・・・

    根本的な、若年層の就職への意識、教育にはあまり触れられてないし、ミドル以上の雇用の流動化への方法論についても物足りなさは否めません。
    確かに、社会人であれば、知らないではすまされないですし、最低限の事は知っておく必要はあり、自己研鑽の意識を持つことも必要です。しかし、自己責任だけではすまされない部分もあります。最低限の法律やセーフティーネットについても「知ろうとしない人」「他人(会社・国)任せの人」が多く存在しているので、そこをどう変えていくかということも少しは言及してほしかったです。

  •  「日本の雇用構造の冷徹な考察」。本書はまさにそれだと思えた。
     5000万人の就労者のうちで非正規社員がすでに2000万人を越えており、社会的にもさまざまな問題が引き起こされていることは周知の事実だが、、その現在の日本のおかれた困難な状況とその全体像を冷静に考察している。
     「非正規社員化が生み出した光と影」は、「非正規」に否定か肯定かどちらかの意見が多い中で、「企業にもたらした光」とともに「賃金格差」の影も同時に指摘している。
     「長い歴史の中で『今』を考える」「雇用構造の三層化と雇用調整の現実」では、企業経営者の立場からの「雇用」についての考察を行っているが、「景気の山谷は循環的にやってくる。そして雇用調整は避けて通ることができない。その時に企業にはどのような選択肢が残されているのか。山谷を越えられない企業は経営を維持でき」ない、とある。
     これをどう考えるべきか。日本の雇用システムの現状は出口のないデッドロックに入っているということなのだろうか。
     本書ではヨーロッパでの「同一労働同一賃金」についても考察しているが、日本においては「どのような税や年と金の体系を描くのかという問題とセットで議論しなければならない」と、まさにそのとおりと深くうなずいてしまったが、日本の政治の現状を見ると、そのような制度の大改革はきわめて難しいのではないか。
     日本の雇用情勢に最も詳しいだろう著者の最後の結論が「おわりに」にある「私的セーフティネット構築のすすめ」である。
     著者自身が「非正規化」のもたらす賃金格差による労働者の「悲惨さ」はよくわかっているのだろう。
     しかし、日本の現状と企業の選択肢はそこからの有効な脱出策がないこともまた事実である。
     とすれば、政府も企業も個人を守ってくれない以上は、自分自身で守るしかないということなのだろう。
     このような正直な感想を本書の末尾の結論に書いている著者を人間的には尊敬するが、それにしてもこのような出口がないような日本の雇用制度の現状を、過去の人間は「末世」と言っていたのではないのか。
     かつて「総中流社会」といわれていたのは1980年代だっただろうか。日本もひどい国になってしまったものである。
     本書を日本の雇用制度の現状を労働者・企業経営者に偏ることなく冷静に考察した本として高く評価したい。

  • 評価4(買って満足)
    雇用の構造、問題点、対策の提示、課題がわかりやすくまとめられている。漠然と雇用に対する不安や疑問を抱えている人は一度読んでみると自分のポジションが整理できて良い。
    具体的に次に自分がとるべきアクションを考えるきっかけになると思う。

    こんな人におススメ
    ・雇用不安を抱えている人
    ・35歳を超えたミドル世代でこれからのキャリア展望をどうすればいいか途方にくれている人
    ・近い将来に転職を考えている人
    ・派遣で働いている人

  • 新書でありながら「日本の雇用」に関し、何が行われているのか、どこが問題なのか、どうすればよいのかを幅広く記す。特に政府の直接雇用対策の問題点、日本でワークシェアリングが根付いていくのか、雇用保険のジレンマについては興味深く読めた。

  • 内容は覚えていないが、新鮮味がなかった思う。

  • 第2週 1/18(水)~1/24(火)
    テーマ「学ぶ」こと・「働く」こと

    ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00172957

  • 現代は雇用不安が大きな時代である。この本では雇用問題について歴史などいろんな視点から書かれている。筆者が最後に私的セーフティネット構築をすすめている。個人年金や貯金、家族や知人とのネットワーク、社会保障に関する知識、どこでも通用するスキルなど。雇用の実態を理解し、課題を整理していく必要があると感じた。

  • 2009年の著作。それから2年後。この本で提唱されていた対策等は実現されているだろうか。いや、あんまり・・・。

    っていうことは机上の空論が多かったのかな。

    読んでいて、救われるべき非正規雇用者は高い能力・モチベーションを秘めているのに報われない人という風に考えていると感じられた。

    そもそも力のある非正規雇用者は景気が回復すれば正規社員として復活できるだろう。

    もっと問題なのは(言い方は悪いが)能力の低い人たち。
    どうやら最近の日本の子供たちはやる気があまりない子が多いらしい。そしてなまじ親が裕福なもんで「働かなくてもいいじゃないか。」と考えている者もいるらしい。
    そういった人たちが結局仕事に就かず何もせずにいて、ある時一斉に生活に困窮したと言って押し寄せてきたらどうするんだろう。

    そういった人たちはどこに行けばいいのか。そういった核心に触れていない。

    まぁこの本の論点がそこでないのだろうけど。

    不景気の時にこそ職業訓練で人材育成に励むべきだと言うが、果たして本当にきちんと人材育成ができる土台が日本にはあるのか。

    むむぅ・・・やはり机上の空論だったのか??(-公-;)

  • ぅ~ん。
    著者はリクルートワークス研究所の所長であり、分析的に述べていますが。。
    例えば、ワークシェアリングに否定的な態度はもうちょっと制度を確立していかないと根付かない問題だと思うし、高齢者の活用云々については基本的に賛成だけど、「じゃあ一体誰が財源を確保するんだ?」って話で、ボランティアの活性とか言いますけど実際問題生きていくには少なからずのお金がいるわけで、ちょっと机上の空論みたく感じました。
    失業手当の項目に関しては特に目新しいことは無く、もはや制度として崩壊している…
    まぁ。
    決して駄作ではないのですが、この本を読んでみて、最終的に「へぇ~」という感想しかありませんでした(笑)

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著者プロフィール

リクルートワークス研究所アドバイザー。株式会社職業能力研究所 代表取締役
1983年一橋大学経済学部卒業。同年株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)入社。人材総合サービス事業部企画室長、地域活性事業部長などを経て1999年にリクルートワークス研究所を立ち上げ、所長に就任。2010年~2012年内閣府参与を兼任(菅内閣、野田内閣)。2011年専門役員就任。2012年人材サービス産業協議会理事就任。専門は、人材マネジメント、労働政策、キャリア論。

「2023年 『一人ひとりを幸せにする 支援と配慮のマネジメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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