「空気」と「世間」 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
3.98
  • (63)
  • (109)
  • (52)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 901
レビュー : 85
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062880060

作品紹介・あらすじ

会社、学校、家族、ネット、電車内-どこでも「うんざり」してしまう人へ。「空気」を読まずに息苦しい日本を生き抜く方法。人気の脚本・演出家がこの10年間、ずっと考えてきたことの集大成。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「ほんの少し強い『個人』」という考え方はいいな、と思った。強い個人でいられるほどの強い支えになるような何もないのに強い個人でいなければ、というのはたしかに無理のある話だと思う。西欧の制度が素晴らしいからとそのまま輸入しても日本では成り立たないよ、というのは、このあたりの考え方や文化の問題もあるのだろうなぁ、と改めて感じた。
    最後の方で複数の共同体/社会への所属の勧めがあったけど、本当にそうだと思う。一つしか居場所がないのは、苦しい。

  • 内容は先達の焼き直しかもしれないけど。秀逸な本。日頃、生活の中で違和感を持ったり疑問を肌で感じる人にはお薦めできる。この前に読んだ『孤独と不安のレッスン』より、僕はこちらのほうが好きだな。

    「空気や世間とはいったい何者なのか?」を説いた著書。
    これが正解とは言い切れないけど、一側面としての要素は大きいと思う。


    少し学術的な面もあるけど、そのバランスとわかりやすさが、なかなかによい。
    日常生活で「実践」できるかどうかは難しいけど、知っているのと、よくわからないのでは大きく違ってくるんじゃないかな。

    鴻上さんは、この著書の中でも絶妙な立ち位置で書いていると思う。
    自分の意見は、「僕は思います。」と表記を定めているのがいい。
    「~である。」「~なのです。」でなく「僕は~と思います。」

    また、読みなおす時がくるかもしれない。

  • 今、自分の同世代の間でかなり多用されている「空気」という言葉

    私自身この言葉が大嫌いで、どうにかこの言葉に打ち勝つ何かがないかと日々考えていた

    この本を読んで、心のつっかえがとれたというか

    結局、みんな怖いんだ

    という感想を持った

    なぜ「空気」という言葉が多用されるかといえば、それに多くの人が執着するからであって誰もなんの興味を示さなければ使われないのである

    そこで、関係性が見えてきたのが「世間」である

    現在の日本の「世間」というのは「空気」同様、固定化された確固たるものが薄れつつある

    何かあった時のセーフティーネットとしての世間が崩れているからこそ

    みんな空気を実感して安心したがる

    でも、それって日本の悪い部分というか

    「個」がないというか

    もちろん自分だって「独り」でいるのは寂しいし、不安にだってなる

    だけど、自立・自律して生きていくのって結局独りを受け入れなくちゃいけないと思う

    逆に独りだけでももちろん生きていけない

    人に支えられながら生きていくのが人間だとも思う

    だからこそ、この本でもいっていた通り

    うまく世間と社会を行き来して

    確固たる「世間」がないのなら

    多くの社会に属して多くの人とちょっとしたコミュニケーションをとることで

    自分の存在を確認していけばいいんだと思う

    この本に出会えてよかった

    ほんの少し強い「個人」というのが、自分の生活の仲でどのような人間のことを指すのか意識して生活していこうと思う

  • 演出家・鴻上尚史が新書を書いたというので気になって読んだ。
    意外と(失礼)面白くてびっくり。
    平たい文章と分かりやすい例で書かれていて、読みやすい。
    しかも、内容もかなりしっかりしてる。

    ・空気は世間が流動化したもの
    最近はよく「空気読め」と言われますが、この「空気」って言うのは、
    最早古いイメージがある「世間」が流動化したもの。
    「世間」であるために必要な要素のうち、いくつかが欠けたものが「空気」。
    私達日本人は、世間から逃れられないんだな、っと思った。
    でもそれは文化であって、悪いことではないのだとも。

    ・「いらっしゃいませ」
    店員さんはお客様に「いらっしゃいませ〜」と言いますが、
    あれはお客様に話しかけているのではない。ただの独り言。
    何故なら日本人は「社会」に話しかける言葉を持たないから。
    アメリカだと、「個人−社会」の関係が成り立っているから、
    店員さんはお客様に「話しかける」ことができると。
    一度アメリカに行ってみたいね。でもなんとなく納得する。

    ・宗教
    アメリカの「個人−社会」の関係が成り立っているのは、
    その背後にキリスト教の影響がある。
    この話はとても興味深い!
    それから、この本を読むと、宗教を信じる人の気持ちが分かるという特典付。

  • 世間と社会の違いを論じる。
    世間は、多分に情緒的で、排他的で、共有する時間があり、神秘的。

    この辺、甘えの構造とか、タテ社会の人間関係などと通じる。

    宗教に背中を守られる個人からなる西洋社会と異なり、日本人はそも、世間との関わりでしか自分がないのだが、この世間が失われていく中で、空気、というものが捉えられる。
    そもそも、日本語が、極めて世間に立脚した言語であるし。

    まあ、なるほどと思わせる内容だが、保守、ネトウヨを、世間原理主義とぶった切るのは辟易。
    リベラルが別段、理知的というわけではないし。

    ま、10年以上前の本出し、その頃はそうだったのかな。

  • ・自分を精神的に支えているものは何なのか考え直すきっかけとなった。
    ・単なる国民性の優劣ではなく、欧米と日本の歴史的・文化的な違いからの考察は説得力がある。
    ・日常生活に活かしたいので、もう一度くらい読み直して内容を自分の中に落とし込みたい。
    ・著者が参考にした書籍が本文中で複数紹介されているので読んでみたい。

  • 考えさせられる。

  • 世間が崩壊しかけているからこそ「空気」という言葉が乱発するようになったという視点は興味深い。空気中心の現代社会を生き抜く提案としての「複数の共同体にゆるやかに所属する」は、平野啓一郎氏が提唱する分人主義にも通底するものがあると感じた。

  • 読書ジャンルのバランスを整える為、あえて自分では絶対に選択しない書籍をチョイス。 屁理屈が書いてあるのでなく、日本民族がなぜ「空気を読む」ようになったのかも非常に興味深い。

  • 先達の文献を引用しつつ、「空気」「世間」そして「社会」について独自の考察を加える。日本の「世間」とアメリカのキリスト教の比較が興味深い。これからは「世間」とのつき合い方を模索しながらそれに代わるよりどころを自分で見つけ維持する必要があるのだ。

全85件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

鴻上尚史(こうかみ しょうじ)
1958年愛媛県生まれ。早稲田大学法学部卒業。作家・演出家・映画監督。大学在学中の1981年、劇団「第三舞台」を旗揚げする。87年『朝日のような夕日をつれて87』で紀伊國屋演劇賞団体賞、’94年『スナフキンの手紙』で岸田國士戯曲賞を受賞。2008年に旗揚げした「虚構の劇団」の旗揚げ三部作戯曲集「グローブ・ジャングル」では、第61回読売文学賞戯曲・シナリオ賞を受賞。代表作の著書に『不死身の特攻兵』などがある。2019年9月20日、「AERA.dot」連載で度々SNSで話題となっていた連載、『鴻上尚史のほがらか人生相談』を刊行。

鴻上尚史の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
遠藤 周作
三島由紀夫
有効な右矢印 無効な右矢印

「空気」と「世間」 (講談社現代新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×