分類思考の世界 (講談社現代新書)

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著者 : 三中信宏
  • 講談社 (2009年9月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062880145

分類思考の世界 (講談社現代新書)の感想・レビュー・書評

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  • この本は生物の分類だけではなく、分類一般について論じていますが、分類を集合論的に基礎付けしてみたり、分類の形而上学まで紹介がされていて、とても刺激的でした。考えてみると分類とは不思議な思考の様相です。

    身の回りにはいろんなモノ・コトに満ち溢れていますが、それらは酸素や直角三角形のようにキチンと定義できるモノから、民族やプランクトンのようにキチンと定義できないモノまで多種多様な在り方をしています。私たちはものごとを分類せずにはいられないのですが、分類されたモノが実在するのか、それともそう認識されるだけなのかは、哲学的にもおもしろい問題です。

    ところで、生物種の体系(構造)を集合論ではなく圏論に結び付けて考えてみるとおもしろいのではないかと思いました。集合論だと要素がキチンと定義しできるモノをあつかうイメージがあるけど、そもそも生物は変化(進化)しているし、個々の生物はそれが何であるかなんて定義デキマセン! 生物の体系を考えるということは、個々の種が何であるかではなく、種と種の関係のあり方を問うていることなので、個々の要素をそれほど気にしなくてもいい圏論と相性が合うのではないかと考えました。

    姉妹編の「系統樹思考の世界」、「進化思考の世界」と併せて読むことをお薦めします。

    図書館モニター ジロ

  •  分類学あるいは系統学という分野は一種のメタ学問であり、絶えず自らの存在意義を示し続けないとすぐに存亡の危機に至る。筆者はそんな立場から一般向けの啓蒙書を書いたものの、かなり自由奔放な筆になってしまったようだ。

     本書で考察されるテーマの一番の中心は「種」の定義だろう。種は生物分類の一番細かい単位であるが、果たしてその実体は何か? 普段漠然と捉えている概念に疑問を突き付けられると少なからずとまどうが、本書は疑問の意味と回答の困難さを丁寧に語っている。

     と同時にまた、学者としての経験から来る様々なエピソードが面白い。そういう部分がなかったら退屈になってしまうであろう、小難しい話をうまくこなしている。それでも、テーマに興味が持てなかったら体躯なのだが。

  • 物事の分類はその物事の性質というよりは人間の心理的性質である。

  • 新書文庫

  • ちょっと苦手感。

  • ・コンパニオンサイト(本書についての情報。正誤表なども。)
    http://cse.niaes.affrc.go.jp/minaka/files/SpeciesRIP.html


    【目次】
    目次 [003-008]
    プロローグ 生まれしものは滅びゆく(二〇〇六年オアハカ、メキシコ) [009-020]
    第01章 「種」に交わればキリがない 021
    第02章 「種」よ、人の望みの喜びよ 045
    第03章 老狐幽霊非怪物、清風明月是真怪 065
    第04章 真なるものはつねに秘匿されている 083
    第05章 いたるところにリヴァイアサンあり 103
    第06章 プリンキピア・タクソノミカ 123
    インテルメッツォ:実在是表象、表象是実在(二〇〇七年ニューオーリンズ、アメリカ) 145
    第07章 一度目は喜劇、二度目は茶番 161
    第08章 つながるつながるつながるなかで 181
    第09章 ナボコフの“ブルース” 201
    第10章 目覚めよ、すべての花よ 221
    第11章 時空ワームの断片として 243
    第12章 「種」よ、安らかに眠りたまえ 259
    エピローグ 滅びしものはよみがえる(二〇〇八年トゥクマン、アルゼンチン) [283-296]

    あとがき 「分類のための弁明」に代えて(二〇〇九年八月 レオシュ・ヤナーチェックの〈〉が鳴り響く残暑の明け方 三中信宏) [297-303]
    私的ガイド付き文献リスト [306-325]
    索引 [326-328]

  • あまり読まないまま手放す

  • 池田清彦『分類という思想』に続いて読んだのが,講談社現代新書のこの一冊。池田氏の本のなかで,この著者である三中氏は,学術雑誌に掲載された論文が批判されていました。生物分類学としても池田氏が批判していた「分岐分類学」の立場にある三中氏が,この一般向けの本でどんな議論を展開してくれるのか,楽しみです。なお,著者は同じ講談社現代新書で『系統樹思考の世界』という本を既に出していて,前著が縦糸,本書が横糸ということで,姉妹編になっているとのこと。まずは目次ですが,300ページの新書判で12章は多い気もします。

    プロローグ 生まれしものは滅びゆく
    第1章 「種」に交わればキリがない
    第2章 「種」よ,人の望みの喜びよ
    第3章 老狐幽霊非怪物,清風明月是真怪
    第4章 真なるものは常に秘匿されている
    第5章 いたるところにリヴァイアサンあり
    第6章 プリンキピア・タクソノミカ
    インテルメッツォ 実在是表象,表象是実在
    第7章 一度目は喜劇,二度目は茶番
    第8章 つながるつながるつながるなかで
    第9章 ナボコフの”ブルース”
    第10章 目覚めよ,すべての花よ
    第11章 時空ワームの断片として
    第12章 「種」よ,安らかに眠りたまえ
    エピローグ 滅ぼしものはよみがえる

    また,目次のタイトルも凝っていて,わかりにくいですね。本書でも分類というものが生物学に限らず,また学術研究に限らず人間の基本的な思考だと位置づけ,さまざまな例を持ち出して議論を進めます。特に著者はクラシック音楽にはかなり詳しいようで,なにやら音楽関係の共訳本もあるようです。その他にも,本文で言及されない図版が多く掲載されているのですが,アルチンボルドの絵画や石川雅之氏の漫画作品などにも言及が及びます。非常に博学であることがわかります。
    生物学に関しても,日本ではあまり知られていない歴史上の人物や,日本のなかでも顧みられない学説などにも言及する辺りは読み物としては面白いです。しかし,章が次々と分割されて展開し,その都度,著者自身が学術会議の出席で訪れた国々の話など,全く余計な話も多い。
    さて,そんな展開でありながらも,池田氏の本にはなかった重要な議論があります。それが「種問題」というもので,分類学のそれぞれの立場において「種」というものをどう捉えているのか,あるいはそれに関する形而上学な議論をせずに済ませてきたのかということについて随分ページを割いて論じています。しかし,明確な立場を持つ池田氏に対して,本書ではその辺もあいまいに終わってしまいます。まあ,分類同様,分類の前提となる種を決定することすら難しいことはわかりました。しかし一方では分類に関してはあまりまとまった議論がなく物足りない印象です。

  • 「種とは何か」という問題にはいまだ決着がついていない。分類という行為を巡って重層的に織りなされる筆者の文章。いったい分類という行為はそもそもなんなのか。

    文章がわかりにくい。筆者の主張もわかりにくい。
    が、本質主義、レトリック、廃墟、妖怪、正名思想、集合論、歴史哲学、認知科学といった興味が出てきそうなトピックがあちこちにちりばめられており、有益だった。
    参考文献リストがありがたい。

  • なぜ人は分類したがるのか?それはもちろん、分類されてないものがあると気持ち悪いからである(それは私のこと)。考えてみればマインドマップも分類思考の一つではなかろうか?思考の整理がつくと心の整理もつく。それだ!

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