奪われた「三種の神器」-皇位継承の中世史

  • 講談社 (2009年11月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784062880220

みんなの感想まとめ

天皇の権威とその象徴である三種の神器の歴史を深く探る本作は、中世の皇位継承を通じて日本の伝統や儀式の重要性を浮き彫りにしています。特に、神器が天皇の即位に不可欠でありながら、実際には天皇自身もその存在...

感想・レビュー・書評

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  • (2021/2/28読了)

    天皇の正統性の証とされる三種の神器をめぐるあれこれ。

    中世の天皇系譜や南北朝の構図など、歴史の勉強になる。

    なかんづく、これらの「器」に何を見、何を籠めるのか、時々の権力のご都合主義というものがよく分かる。

    草薙剣(天叢雲剣)の所在、八咫鏡の損傷は知らなかった。

  • 必要であれば理屈は生み出せる
    後鳥羽上皇のコンプレックスを
    あざ笑う知恵者たち
    二条良基 何処かに有ればよい
    一条兼良 無くても天皇いるし

    皇室を損ねる策謀を内閣がする
    権能の無い天皇の権力行使だと
    改元=報告の後で法手続きせよ
    譲位=憲法違反が議論になる愚

    この本は知りたかい歴史空白を
    埋めてくれる(赤松やるなあ)

  •  「ボール一つにキリキリ舞いさ」という有名な歌詞があるが、中世の皇室も三種の神器にキリキリ舞いだったのである。

     源平の戦いにおいて、壇ノ浦で安徳天皇が三種の神器とともに入水したのは比較的有名な話で、鏡と勾玉は運よく回収することができたが、宝剣は海底へと沈んでしまい、現在に至るまで見つかっていない。その後伊勢神宮から謙譲された別の剣に魂を移すことで新たに神器へと加えられる。
     残った鏡もたびたび火災に見舞われ、鏡が納められたとされる容器の中には灰しか残っていないという説もあるが、天皇即位の際にも実物を見ることはなく、真偽は不明である。シュレディンガーの鏡である。
     玉だけは現在も当初のものが残っているとされるが、これもやはり実物を見ることは天皇でさえも許されず、検証は不可能である。
     実際の所、「三種の神器とされるものがこの世に存在し、天皇の即位に不可欠なものである」という不可思議な状況がそこにある。

     先日読んだ同著者の本で、中世皇室、公家の窮乏ぶりと、その中でも極力伝統を守ろうとする前例主義を読んだが、三種の神器はその象徴とも言える。何しろ神代から伝わる宝物であり儀式なのだ。天皇を天皇たらしめる、ひいては日本国を日本国たらしめる三種の神器なのである。
     三種の神器さえあれば天皇になれるというわけでもなく、天皇の血を引いているから天皇になれるというものでもなく、二つが揃って初めて天皇として即位できるという決まりなのだが、そういった複雑で面倒な仕組みもまた天皇の権威の維持向上に一役買ったという部分はあるのかもしれない。

     庶民の暮らしとは遠くかけ離れた世界であるが、これもまた日本の歴史であり、鎌倉時代、室町時代といった武士の世にあっても天皇が(形式上であれ)頂点にあり続けた要因のような気もする。

  • 「三種の神器」というものは、天皇すら見たことがなく、皇位継承には絶対に欠かせないもの。

    もし御所が火事になって、天皇自身か「神器」かどちらか一方しか助けられないとしたら、「神器」を優先する。それくらいに大事なものということをどこかで聞いたことがあった。

    でも、過去に無くなってたことがあったのね。
    安徳天皇は入水したからどうなっているのかな、とは思っていたけど。

    しかし、無ければないで色々理論武装をして何とかしていくものなのだなぁ。
    そりゃそうだよね。「絶対」なんてものは存在しないし。

    その時代時代での「神器」のボジションや存在意義がわかりやすく書いてあって、なんとなくもやっとしていた部分に光を当ててくれた作品。

  • 南北朝時代の歴史が主な内容。

  • 三種の神器という言葉は日常たびたび使われ、分かった気になっている言葉ですが、その由来、歴史は知らないことが多く新鮮です。天照大神、スサノオノミコトの時代からのものとされているものが、安徳天皇と共に海中に沈んだ宝剣。そしてその代替品となった刀。後鳥羽が神器なしに即位したことから劣等感を持っていたというその背景が非常に納得いきました。南北朝時代の後醍醐が神器にこだわったことは有名でしたが、その後も後南朝を擁して反乱を起こそうとしたという赤松氏の動きは全く知らないところでした。今は神器はどうなっているのでしょうか。天照の時代からといいつつ、一体何時から有ったのか?継体が神器なしで即位したとこの本には書いてありますので、それ以前ということでしょうが、詳しくは書かれておらず、関心があります。

  • 今年の大河は清盛が主人公だけに、壇ノ浦の描写がどの程度になるのか、気になるところではありますが…。
    本書によって、平家が三種の神器を持って都落ちしたことが如何に重大事だったのかが改めて判って、その成り行きにドキドキしながらページをめくりました。

    この、源平時代の大事件のみならず、赤松氏に絡む神器争奪戦も、ほんに先が気になって気になって、途中で読み止められず、つい夜更かしを…という、歴史学術本では珍しい『ノリ』に満ち溢れております♪

    そういった、文字通りドラマチックな展開をこそ、大作歴史ドラマで拝見したい気持ちにもなったのでありますが、こと、こ~室に絡む話だけに、ドラマ化は難しいのかな…と思うたりもしておりまふ…。
    赤松氏再興を賭けた争奪戦のエピソードなどは、南北朝問題という、デリケートな部分が関わってきてしまう訳でありますし…。

    赤松氏の辺りに関わらず、この「奪われた『三種の神器』」は、もそっと、中世の歴史を勉強し直してから、じっくりとっくり再読したい気持ちが高まっております♪
    初読時は、本当に「えええーッ!!ど~なるのーーッ!??」と思いながら、かなりのスピードでワクワク読みをしてしまいましたゆえ…。

    一つ、何だか妙に感じ入ってしまいましたのが、壇ノ浦に沈んだ草薙の剣を、かなりの期間、朝廷が諦めずに探し続けていた…というくだり。(最後の探索が、27年後に行われたという記録があるそうです!)
    今のような、深海向けのダイビング道具も無い時代、「この辺?」という見当で広く深い海に潜った海人(あま)さんが居たのかと思うと、その不可能過ぎる仕事に、ため息が出るような切ない気持ちに…。

    上質のミステリーを読むかのように楽しめて…少し変わった角度から歴史が眺められる一冊だと思います♪

  • 「三種の神器」の詳細を知りたくて買った本。

  • 本書は、中世史を専門とし

    現在は大阪観光大学研究員である著者が

    三種の神器について記した著作です。


    皇位の象徴とされる「三種の神器」

    著者は、古事記に記された伝承や律令制の下での位置づけ

    そして、源平の争いの中での逸失とそれに対するの対応を紹介。

    そのうえで、鎌倉後期から南北朝の分断~再統合の中で

    三種の神器にどのような政治的意味が付与(あるいは剥奪)さたのか。

    そして、朝廷や幕府・諸大名など神器と深くかかわる人々が

    どのような政治的駆け引きを繰り広げたのかを解説します。


    神器無しで執り行われた後鳥羽の即位、

    神器の帰還に熱狂に沸く人々と一条兼良の醒めた眼差しの対比―など、

    いずれの記述も興味深いのですが、なかでも印象深かったのは

    嘉吉の乱で断絶した赤松家の再興に、

    南朝の末裔からの神器奪還が深くかかわっていたという記述です。

    赤松家と神器という関係自体が初耳で、とても興味深いうえ

    有力な旧臣の助力によって赤松家の再興が果たされた―という指摘は

    後に赤松家の家中から浦上、宇喜多など

    アクの強い家臣が出てくることの遠因のように思えました。


    政治的シンボルをめぐる政治ドラマを通じて

    中世における国制や天皇制核心のをも浮かび上がらせる本書


    日本史や政治史に興味のある方に限らず

    一人でも多くの方におススメしたい著作です

  • 20091214読了

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著者プロフィール

渡邊 大門(わたなべ・だいもん):1967年神奈川県横浜市生まれ。関西学院大文学部史学科日本史学専攻卒業。佛教大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。著書には、『明智光秀と本能寺の変』『嘉吉の乱』『流罪の日本史』(以上、ちくま新書)、近著に『戦国大名の家中抗争』(星海社新書)、『播磨・但馬・丹波・摂津・淡路の戦国史』(法律文化社)、『戦国大名は経歴詐称する』『豊臣五奉行と家康 関ヶ原合戦をめぐる権力闘争』(柏書房)、『誤解だらけの徳川家康』(幻冬舎新書)、『大坂の陣全史』(草思社)、『天下人の攻城戦』(朝日新書)など多数。

「2025年 『羽柴秀長と豊臣政権』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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