- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062880220
感想・レビュー・書評
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必要であれば理屈は生み出せる
後鳥羽上皇のコンプレックスを
あざ笑う知恵者たち
二条良基 何処かに有ればよい
一条兼良 無くても天皇いるし
皇室を損ねる策謀を内閣がする
権能の無い天皇の権力行使だと
改元=報告の後で法手続きせよ
譲位=憲法違反が議論になる愚
この本は知りたかい歴史空白を
埋めてくれる(赤松やるなあ)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「ボール一つにキリキリ舞いさ」という有名な歌詞があるが、中世の皇室も三種の神器にキリキリ舞いだったのである。
源平の戦いにおいて、壇ノ浦で安徳天皇が三種の神器とともに入水したのは比較的有名な話で、鏡と勾玉は運よく回収することができたが、宝剣は海底へと沈んでしまい、現在に至るまで見つかっていない。その後伊勢神宮から謙譲された別の剣に魂を移すことで新たに神器へと加えられる。
残った鏡もたびたび火災に見舞われ、鏡が納められたとされる容器の中には灰しか残っていないという説もあるが、天皇即位の際にも実物を見ることはなく、真偽は不明である。シュレディンガーの鏡である。
玉だけは現在も当初のものが残っているとされるが、これもやはり実物を見ることは天皇でさえも許されず、検証は不可能である。
実際の所、「三種の神器とされるものがこの世に存在し、天皇の即位に不可欠なものである」という不可思議な状況がそこにある。
先日読んだ同著者の本で、中世皇室、公家の窮乏ぶりと、その中でも極力伝統を守ろうとする前例主義を読んだが、三種の神器はその象徴とも言える。何しろ神代から伝わる宝物であり儀式なのだ。天皇を天皇たらしめる、ひいては日本国を日本国たらしめる三種の神器なのである。
三種の神器さえあれば天皇になれるというわけでもなく、天皇の血を引いているから天皇になれるというものでもなく、二つが揃って初めて天皇として即位できるという決まりなのだが、そういった複雑で面倒な仕組みもまた天皇の権威の維持向上に一役買ったという部分はあるのかもしれない。
庶民の暮らしとは遠くかけ離れた世界であるが、これもまた日本の歴史であり、鎌倉時代、室町時代といった武士の世にあっても天皇が(形式上であれ)頂点にあり続けた要因のような気もする。 -
「三種の神器」というものは、天皇すら見たことがなく、皇位継承には絶対に欠かせないもの。
もし御所が火事になって、天皇自身か「神器」かどちらか一方しか助けられないとしたら、「神器」を優先する。それくらいに大事なものということをどこかで聞いたことがあった。
でも、過去に無くなってたことがあったのね。
安徳天皇は入水したからどうなっているのかな、とは思っていたけど。
しかし、無ければないで色々理論武装をして何とかしていくものなのだなぁ。
そりゃそうだよね。「絶対」なんてものは存在しないし。
その時代時代での「神器」のボジションや存在意義がわかりやすく書いてあって、なんとなくもやっとしていた部分に光を当ててくれた作品。 -
南北朝時代の歴史が主な内容。
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三種の神器という言葉は日常たびたび使われ、分かった気になっている言葉ですが、その由来、歴史は知らないことが多く新鮮です。天照大神、スサノオノミコトの時代からのものとされているものが、安徳天皇と共に海中に沈んだ宝剣。そしてその代替品となった刀。後鳥羽が神器なしに即位したことから劣等感を持っていたというその背景が非常に納得いきました。南北朝時代の後醍醐が神器にこだわったことは有名でしたが、その後も後南朝を擁して反乱を起こそうとしたという赤松氏の動きは全く知らないところでした。今は神器はどうなっているのでしょうか。天照の時代からといいつつ、一体何時から有ったのか?継体が神器なしで即位したとこの本には書いてありますので、それ以前ということでしょうが、詳しくは書かれておらず、関心があります。
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「三種の神器」の詳細を知りたくて買った本。
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本書は、中世史を専門とし
現在は大阪観光大学研究員である著者が
三種の神器について記した著作です。
皇位の象徴とされる「三種の神器」
著者は、古事記に記された伝承や律令制の下での位置づけ
そして、源平の争いの中での逸失とそれに対するの対応を紹介。
そのうえで、鎌倉後期から南北朝の分断~再統合の中で
三種の神器にどのような政治的意味が付与(あるいは剥奪)さたのか。
そして、朝廷や幕府・諸大名など神器と深くかかわる人々が
どのような政治的駆け引きを繰り広げたのかを解説します。
神器無しで執り行われた後鳥羽の即位、
神器の帰還に熱狂に沸く人々と一条兼良の醒めた眼差しの対比―など、
いずれの記述も興味深いのですが、なかでも印象深かったのは
嘉吉の乱で断絶した赤松家の再興に、
南朝の末裔からの神器奪還が深くかかわっていたという記述です。
赤松家と神器という関係自体が初耳で、とても興味深いうえ
有力な旧臣の助力によって赤松家の再興が果たされた―という指摘は
後に赤松家の家中から浦上、宇喜多など
アクの強い家臣が出てくることの遠因のように思えました。
政治的シンボルをめぐる政治ドラマを通じて
中世における国制や天皇制核心のをも浮かび上がらせる本書
日本史や政治史に興味のある方に限らず
一人でも多くの方におススメしたい著作です -
三種の神器といえば、神から授けられた、天皇を現人神たらしめる象徴なので、三種の神器に魅せられた人々の伝承や伝説を楽しめると思ったのですが、本書は、主権を得るために、権力の象徴である三種の神器を簒奪しようとする勢力争いが話の中心となっています。
タイトルどおり、もっと三種の神器を主題にした内容であってほしかった。 -
20091214読了