大学論──いかに教え、いかに学ぶか (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
3.82
  • (13)
  • (18)
  • (16)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 231
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062880435

作品紹介・あらすじ

いま、大学でいかに学ぶのか。大学全入時代だからこそ改めて問う体験的エッセイ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 大塚英志の本は昔よく読んでいた。最近はぽつぽつと気になるものだけ読んでる。
    今は神戸の大学で漫画を教えているらしい。
    彼がこれまで考えてきたことややってきたことを
    試行錯誤しながら若い学生に教え、
    学生は知識を学び頭を動かし手を動かし作品を作り上げる中で
    それぞれが自分のスパンでぐんぐんと成長していく。
    「合作」を作る作業の中で、自分の位置をシビアに感じながら
    自分の役割を探り懸命にまっとうする姿は感動モノだ。
    勉強ってこういうことだと思うし、
    教えるってこういうことだと思う。

  • 大学教員になるのに、教員免許はいらない。なぜかと言えば、教員は教えるプロではないが、学生の君たちはすでに学ぶプロなのだから。そういうことを、1年生によく話す。
    大学教員は、体系的に教え方を学んでいない。だから、自分の授業をひねりだす時も、カリキュラムを考えるときも、自分の学びの経験を参考にすることが多いと思う。師匠の影響も強く受けるし、社会人になってからの経験を援用する人も多い。
    また、大学関係者であるなしに関わらず、最近の大学(改革)について語る言説の多くも、そのような自分の学びの経験をベースにしていることが多いと感じる。
    結局、それらの大学論は、客観性のない個人的経験である。

    一方で、そのような傾向を憂い、個人的経験に基づかない客観的な「そもそもの大学論」をすべきとの主張もある。

    さて。この本は、大塚氏自身の学びの経験をベースにした学びのプロセスが語られている。また、自分の大学/学科の学びを説明しているともとれる。学生集めのための本ではないか、といぶかしく思う部分もある。

    なぜ、大塚英志ともあろう人が、このようなものを著してしまったのだろう。

    大塚自身が、大学という場で、教えたり学んだりする学生と関わりのなかで、ちょっとばかりハイになっているため、という可能性もあるが、それは巻末で「錯覚」と自分で書いているので、それは却下しよう。

    おそらく、なんと言われようとも、大塚自身が、自己の学びのプロセスをベースとすることが、出発点として重要と考えたからだろう。
    そもそもの大学論を議論しようとする者たちからの批判にさらされようとも。

    おそらく、自己の学びを出発点にすることが、教える側の能力を最大限に引き出すことができる。(なにしろ、教え方を学んでいないんだから。)

    この本は「大塚英志の大学論」っていう本なんだ、きっと。そして、たぶん、この主張はアドミッションポリシーだ。アドミッションポリシーは、教える側だけでなく、教わる側にもよいメッセージとして伝わるだろう(と文科省もいっている)。だから、これから大塚氏の元で学ぼうとする者は読んでおくべき。(読まない方が、大学はおもしろいと思うけど。)

    大塚氏のこの思いと情熱(そしてそれを維持できるのか、どう変化していくのか)たのしみ。

  • いわゆる大学論ではない。読みものとして楽しめた。こういうのもせっせと読んでいきたい。

  • 物語の構造への関心が、
    カリキュラム開発と結びついていることを、
    大塚氏の実践を知ることを通じて確信できるように思う。

    8、9章の「一瞬の夏」という、
    大掛かりにして細密なOJTについてのエッセイは緊迫感があり、
    青春小説でも読むようにして一気に、しかし没入して読んだ。[more]


    【読書メモ】
    ・ 「方法」のみを教えることが「描くべきもの」を逆に導き出すことが表現にはあるのだとぼくは思う。 p17[more]
    ・ 「描く」ためには自分の内側にあるそれを掘り起こし、時には暴走させることさえ必要だが、一方で、それを最終的に「表現」として出力させるためにきちんと制御できなくてはいけない。「方法」はそのためにこそ必要なのである。 p18
    ・ ぼくたちが教わったのは神の宿る細部の見つけ方だったように思う。この特異店を探すには「だいたい」の感覚が実は必要なのである。 p40
    ・ この場合の「物語」とは一定の構造をもったものを指し、つまり、「厄介なもの」を「物語る」ということはそれを「構造」に押し込むことを意味する。「押し込むこと」を「物語を生きる経験」と言い換えてもいい。 p57

    【目次】
    1.二年目の儀式
    2.ぼくは大学でいかに学んだか
    3.何故「描く方法」を教えるのか
    4.つくり方を「つくる」ということ
    5.まんがはいかにして映画になろうとしたのか
    6.ルパンの背中にはカメラのついたゴム紐が結んである
    7.日本映画学校と十五年戦争下のカリキュラム
    8.一瞬の夏(前編)
    9.一瞬の夏(後編)
    10.ジャンルを「翻訳」するということ
    11.高校でまんがを教える
    12.AO入試は下流なのか
    13.千葉徳爾とぼくの「自学」

  • 大学での学生との日々や学生たちを美しく書きすぎているような気がするのは、ひがみか?
    ちょっと変わった学科だからこの本のようなことになるのか、
    他の大学でこういう盛り上がりがないところは教える側がダメなのか?
    いずれにせよ、教える側として時間や労力を割いているのはすばらしい。

  • <閲覧スタッフより>
    大学教員が学びのおもしろさを語った本、学生がゼミや授業で学んだ成果をまとめた本を集めました。大学での学びがよく分からない方、さまざまな学びに興味のある方、ぜひご覧ください!
    --------------------------------------
    所在記号:新書||377.1||オエ
    資料番号:10196816
    --------------------------------------

    ※『大学で学ぶとは』にも使用

  • マンガの大学で教えることを通して学ぶ。
    マンガを支える思考と方法(技術では内)の論理を学生が見つけ身につける環境として機能する。

  • よかった.

    筆者の体験を踏まえて,大学4年間での学びをこのようにしたという話が書かれている.

    話が行ったり来たりして,ついていけないところもあるし,
    うんちくが地の文に書かれていて,
    アニメーションや漫画のことを知らないとすっと読めないかもしれないけれど,
    本質はそこではなくて,
    大学の教育についてどのように考えて実践したかということ.

    学ぶことについて悩んでいたこともあり,
    今の私には良い書籍だと感じた.

  • 神戸芸術工科大学でマンガの授業をおこなっている著者が、大学教員の立場からどのようにマンガに関わったのかを振り返り、同時に著者が民俗学を学んだ千葉徳爾にまつわるエピソードを紹介しながら、「近代」という時代における「教育」の行き着く先についての考察を展開している本です。

    雑多なエピソードがちりばめられているために、ややまとまりの悪さを感じますが、そのような仕方でしか語られないような「教育」がある、というのが、著者の立場なのかもしれないという気がします。例えば著者は、学生時代に民俗調査の実践に放り込まれることで「人に会う」という社会的な振る舞いを身につけたことを語り、それは「現代思想」でしばしば「他者に対して開かれる」と述べられていることを、地を這うようにして身につけることにほかならなかったと述べています。そして、著者が大学で学生たちに教えている内容も、アミカケの仕方のような具体的なテクニックでもなければ、現代思想を駆使してマンガ批評をする作法でもなく、現実の歴史の中でマンガがたどってきた道筋を、まさに身をもって知ることだと言ってよいと思います。

    そのような著者の立場から離れてややうわついた言葉を使えば、「近代」を生きる個人が、まさに「近代」の中に「棲み込む」ための作法を、本書を通じて学ぶことができると言うことができるのではないかと思います。

  • マンガという特殊な分野ではあるが、他の一般大学教員としても考えさせられる点は多い。
    著者の教員という仕事への思い入れが感じられる。
    たぶん多くの大学教員はこういう思いで仕事に取り組んでいないのではないかと思われるが、これからは大きく変化していくだろう。
    大学に秘められた可能性を信じて、教授ではなく教員として学生との関わりを楽しんでいければいいなと感じた。
    現実は難しい面も多いのだが・・・

全38件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

批評家

「2020年 『柳田國男民主主義論集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大塚英志の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
村上 春樹
三島由紀夫
有効な右矢印 無効な右矢印

大学論──いかに教え、いかに学ぶか (講談社現代新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×