超解読! はじめてのヘーゲル『精神現象学』 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062880503

作品紹介・あらすじ

予備知識なしに、重要哲学書がわかる「超解読」シリーズ第1弾!
「小説みたいにおもしろい」。メルロ=ポンティがこう語ったという、『精神現象学』。自然、自己、他者、共同体、神などに関するさまざまな人類の経験を経ながら、主人公である「意識」はいかに成長していくのか。近代社会に生きる人間の「欲望」の本質は何か。ヨーロッパ哲学史上、最も重要にして最も難解なヘーゲルの主著を、おなじみのコンビがわかりやすく読み砕く。


【著者紹介】
竹田青嗣(たけだ せいじ)
1947年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。明治学院大学国際学部教授を経て、現在、早稲田大学国際教養学部教授。哲学者、文芸評論家。著書に、『現象学入門』(NHKブックス)、『人間の未来』(ちくま新書)、『ハイデガー入門』『完全解読ヘーゲル『精神現象学』』(共著)『完全解読カント『純粋理性批判』』(いずれも講談社選書メチエ)などがある。

西 研(にし けん)
1957年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。和光大学現代人間学部教授を経て、現在、東京医科大学教授。哲学者。著書に、『実存からの冒険』『哲学的思考』(ともにちくま学芸文庫)、『ヘーゲル・大人のなりかた』(NHKブックス)、『哲学のモノサシ』(NHK出版)、『完全解読ヘーゲル『精神現象学』』(共著、講談社選書メチエ)などがある。


【目次】
まえがき――自由のゆくえ
緒論
第一章 意識
第二章 自己意識
第三章 理性
第四章 精神
第五章 宗教
第六章 絶対知
おわりに

感想・レビュー・書評

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  • うわー、こんな人いるいる、つーか俺のことじゃん!みたいな意識の成長物語

  • 竹田青嗣と西研の二人が、ヘーゲルの『精神現象学』の内容をわかりやすくパラフレーズしている解説書です。

    『精神現象学』の入門書としては、加藤尚武編『ヘーゲル「精神現象学」入門』(講談社学術文庫)が有名で、わたくしも以前読んだことがありますが、多くの執筆者が参加しているために全体像が少し見えづらいような印象がありました。本書は、竹田と西の二人が分担執筆していますが、両者は思想的に非常に近い立場に立っており、ほとんど二人のあいだの齟齬を感じることなく、『精神現象学』の全体像がクリアに描きだしています。

    西は『ヘーゲル・大人のなりかた』(NHKブックス)で、竹田は『人間的自由の条件』(講談社学術文庫)や『哲学は資本主義を変えられるか―ヘーゲル哲学再考』(角川文庫)で、それぞれの関心にもとづいたヘーゲル解釈をおこなっており、本書にも若干そうした両者の立場からの解釈が見受けられるようにも感じますが、おおむね『精神現象学』そのものの叙述にそった解説になっています。生命主義的な観点を強く打ち出している長谷川宏の『ヘーゲル『精神現象学』入門』(講談社選書メチエ)よりはニュートラルな解説だと感じました。

  • 2017.9.13
    主と奴の部分の承認をめぐる闘争、ストア主義、スケプシス主義、不幸の意識などはまさにという感じで、誰もが経験を覚える部分だろう。私は社会にあまり関心がないので、この本の人間学的部分にのみ焦点を合わせて読んだが、この自己意識の章と、そして良心の章はもうかなり感動した。行動する良心と批判する良心の違いはそのまま実存的視点と俯瞰的視点の違いであり、これもまたどちらも、経験の覚えのあるものである。両者の和解の先にあるものは、『ヘーゲル 大人のなり方』のレビューに書く。
    私は自由を求める、つまり自分の欲したように生きたいと欲する。他者も同様である。ここで対立が起こる。この対立が、相互承認の契機となる。相互に相互の自由を承認し合うことで、互いが最も自由に生きられるからである。さらにこの過程を経て人間は、「私」と「みんな」が折り合う地点を探る。それは私の欲望でありかつ、みんなの欲望でもあるという、個別的欲望と普遍的欲望の一致する点に、大きな価値を見出す。道徳は、普遍的欲望は持つが、そのために個別的欲望をないがしろにしている、自己否定的な人間であり、故に徳福の不一致が問題になる。こうして個別と普遍が一致した状態を、良心と呼んでいるのではないかと解釈する。
    しかしその良心を持つ人間においても、その個別的普遍的欲望=価値を直感的に把握し行動する良心と、それを批判する良心が現れる。良心は個別と普遍の一致であり、つまり外側から見れば、それはお前のエゴイズムだと言い得る。そして行動する良心は自らに対する無批判から、それに許しをこう。行動する良心の欠点は、自らの持つ普遍性を無批判に行動に移し実現しようとしたところにある。対して批判する良心にも非がある、なぜなら彼は自分が傷つかない場所から言いたい放題なだけで、自分を行動によって世界に開いていないからである(これは私である。痛み入る気持ちである)。つまり批判する良心の欠点は、自らの普遍性を現実に試すことなく周りを相対化するだけということである。
    さて、両者の和解の先は?

  • ヘーゲル哲学の入門書。ヘーゲルを読むのに何から始めて良いか分からず、竹田青嗣さんの本はこれまでにも読んでいたのでこれにしましたが、とても分かりやすかったです。これから訳書を読むに当たり、とても心強い入門書です。

  • まったくわけがわかりませんでした。

  • 自己と主体性という観点からようやく読み終わりました。ふう。ヘーゲルははるかに遠いけど、少し近づきました。

  • 4ヶ月ほどかけて丁寧に読ませて頂きました。
    原典を読んでも何一つ理解できなかったと思いますが、そんな『精神現象学』を少しでも分かった気にさせてくれる本著は本当にありがたいです。
    人間の「意識」はどのように成長して、「絶対知」を得ることができるのか。人間はどのようにして「自由」な社会を実現できるのか。
    まさにこの現代に必要な理解が『精神現象学』で語られていると感じました。

    本著をきっかけに、別の入門書や解説書にも挑戦してみたいと思います。(「もう無理だ…」と心折れずに最後まで読めた本著はやっぱりすごい。)

  • 「はじめての」とあるけど、難解すぎた。日本語で書かれているけど、理解がついていかない。

    末尾で「形而上学的専門家集団の隠語ゲーム」を揶揄しているけど、俺にとっては本書がまさにそれだ(笑)。

    意味不明でも『精神現象学』に直行したほうがいいのかもしれない。その難解さに打ちのめされるのが全てのスタートになるような気がする。

  • NHKの100分で名著で扱っていたのを見てとても興味を持って、まずは解説本としてこの本を買って読んでみた。世界3大難書の一つというだけあり解説本でも理解が難しい部分はあるが、内容はとても面白く、現代や自分の仕事の上でも生かせる考えが多く、ヘーゲルや精神現象学という本に出会えて良かったと思えた。哲学書なのにまるで物語のように主人公が失敗を繰り返しながら成長して最終的な真理に辿り着くという構成も面白い。最終的に行き着いた考えは自分にとっても共感でき生かせるものだった。私のバイブルになった。いつか原書も挑戦してみたい。

  • 1ヶ月かかりましたが読了。
    もはや修行に近かったです。
    これを意味あるものとできるのかは今後次第かなと、現時点では断片的な理解の気がしています。
    さておき、精神の章は原文も読んでみたいなと思いました。

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著者プロフィール

1947年生まれ。哲学者、文芸評論家。著書に『「自分」を生きるための思想入門』(ちくま文庫)、『人間的自由の条件ーヘーゲルとポストモダン思想』(講談社)など。

「2007年 『自由は人間を幸福にするか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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