<中東>の考え方 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 55
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062880534

作品紹介・あらすじ

国際政治を理解するための新しい入門書。

感想・レビュー・書評

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  •  民族紛争、宗教問題、テロ…等々、中東には日本人に馴染みのない問題がたくさんあります。そもそも、中東とはどこを指すのか?そんな根本的な疑問から、欧米も絡む中東各国の複雑な利害関係まで、これ一冊にわかりやすくまとめられています。読めば、中東関連のニュースが理解しやすくなるかと思います。(こ)OPAC→http://libopac.lib.juen.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=1000009877&key=B138811788216498&start=1&srmode=0

  • 中東の国を訪れることを決めたものの、これまで中東諸国あるいはこの地域に関して、特別思い入れを持っていたわけではない。
    他の一般的な日本人と同じように、私にとって中東は地理的な意味だけでなく、情報量の少なさ、イメージの偏りの意味でも、「遠い」地域であった。

    日本のメディアから得られる情報で私が持っている中東のイメージ、ものすごく偏ったイメージを元にこの地域を旅するのがいやだったので、中東にやってくる前に購入したこの地域に関する本3冊のうち1冊が、この本だった。

    プロローグにこんなことが書いてある。

    『中東の紛争は、「神様」のせいで起きているかのようにみなされがちだ。だがそうした見方は、簡単に思考停止につながる。紛争が「神様」によって起こされるならば、「神様」の違う私たちには、その原因も解決方法もわからなくて当たり前。だから、中東でも戦争は人間の努力によっては解決できないのだーと、最初から努力を放棄してしまうことにならないだろうか?』

    『文化が違うからと言う以前にまず、戦争と占領に振り回された人々の立場に目をつむっては、わかるものもわからない。』

    『中東が「わかりにくい」と思われてしまう原因は、中東で生きる人々を主人公にして考えないことにある。』


    このプロローグを読み、著者の強い思いを感じて、期待を持って読み進めたが、内容はもちろん、私の期待を裏切らないものだった。
    大国からみた中東ではなく、中東から見る政治や紛争の原因は、ものすごくリアリティがある。

    何よりも、著者がプロローグに書いているように、この本は、今まで中東にたいして偏ったイメージを持っていた人や、中東に関する知識をあまり持たない人に対して書かれているから、私のようなまさに中東初心者には、非常にピッタリ来る。
    平易な文で、わかりやすい表現で、専門用語やマニアックなものは極力避け、面白く読んでもらいたいという著者の配慮が全体から感じられる。

    中東のことに興味があるが、良くわからない人はもちろんのこと、
    戦争に興味がある人や、イスラム教という宗教に興味がある人にとっても、また違う側面からの知識を与えてくれる本だと思う。


    この本を読む際には、ぜひ中東地域の地図を傍らに置いて、それぞれの国と国との位置関係を把握しながら読むことをお勧めします。

  • 日々ニュースで取りざたされる中東問題の、「わけのわからなさ」。その背景には何があるのか、いままで断片的にしか知らなかった。そんなときに手に取ったのが、この本。本書を読むことで、日々ニュースで接するアラブ諸国への理解が進んだように思う。予備知識がなくても、とてもわかりやすいし、かなり勉強になった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「アラブ諸国への理解が進んだように思う」
      憧れと言うと少々違うけど、エキゾ感にワクワクしつつ、宗教的な縛りに一歩引いてしまいます。そんな私で...
      「アラブ諸国への理解が進んだように思う」
      憧れと言うと少々違うけど、エキゾ感にワクワクしつつ、宗教的な縛りに一歩引いてしまいます。そんな私でも理解出来るかな?
      2012/03/23
  • イラク戦争のときの的確な解説がとても印象的だった著者による「中東」全体に関する概説書。

    「中東」といっても、そもそもそれはヨーロッパが作った概念で、具体的にどこからどこまでが「中東」なのかもわからないし、国や地域によってとても多様性がある。著者の専門は、イラクということで、その領域を超えることへのおそれも感じつつも、こういう概説がないことを踏まえて、書いてみたとのこと。

    著者の「9.11後の現代史」を最近読んで、今、中東で起きていることの意味がなんか浮かび上がった感覚があったので、より長い期間をカバーしているこちらも読んでみた。

    中東というと、イスラム教と他の宗教の対立、イスラム教の中でも宗派間の対立と、なんか宗教の問題が根にありそうな印象があるか、それは原因というより、より深いレベルでの構造が対立としてでてくるときの現れ方、みたいなものと考えた方がいい。

    中東の問題って、結局、ヨーロッパの植民地支配やユダヤ人の迫害とか、冷戦期の米ソ対立とかが根っこ。そういう欧米を中心とする世界政治の矛盾がこの地区にしわ寄せがいっている、ということなのかな?

    イスラム主義も、テロリズムだけではなくて、いろいろな立場がある。そして、それは決して過去に帰ろうという懐古的なものではなく、現代においてイスラムをどのように実践していくという課題であるとのこと。

    それは、アラブ民族主義的な運動が失望に終わったあとのアイデンティティをイスラムに求める運動なんですね。

    この本は2010年の出版で、「アラブの春」の解説がないのが残念だが、それは「9.11後の現代史」で取り扱ってあるので、そっちを読むといい。

    そして、「アラブの春」以前の段階での中東におけるインターネットやメディアの普及状況、若者の文化などについてもこの本では、しっかり言及してあり、「アラブの春」への展開もごく自然なものとして理解ができた。

  • ・サウディアラビアはほぼ自力で領土を統一し、独立した「イスラームの名主」
    ・アメリカは、ビン・ラディンをアフガンへ侵攻したソ連にぶつけた
    ・冷戦前、トルコ、イラン、アフガンは西側諸国にとっての砦だった
    ・イランは昔、「湾岸の憲兵」であった。イラン革命までは

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  • 【由来】
    ・amazonでたまたま。それと池上さんの高校イスラム本の参考図書にあったはず。また、著者は青山さんとこの辺りの本を書いてる。

    【期待したもの】
    ・[テーマ]中東。中東についての基礎知識が得られるかと。中東は、これからイスラムの勃興という点でも興味があるし、シリアでもあるし。まずはザッと速読してみて、という感じかな。良書であれば、参考図書も掲載されている可能性が高い。

    【要約】


    【ノート】

  • 【版元】
    製品 〈中東〉の考え方
    著者 酒井啓子
    発売 2010年05月18日
    価格 本体800円(税別)
    ISBN 978-4-06-288053-4
    判型 新書
    ページ数 256ページ
    シリーズ 講談社現代新書

    パレスチナ問題、イランのゆくえ、イスラーム主義、インターネットなどメディアの影響……。「中東」と呼ばれる地域のニュースは、背景が複雑で理解しにくいと言われます。著者も、大学での授業や、一般向けの講演などを通して、その困難さを感じてきました。なんとか「手がかり」となる本ができないか……。本書は、これらのさまざまな問題を、国際政治と現代史の枠組みのなかで理解することを狙いとした新書です。
    http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062880534


    【目次】
    プロローグ [003-013]
    なぜ中東情勢はわかりにくいのか?/なぜ「中東」とくくるのか?/中東は欧米が導入した言葉/「神様」や文化の違い?/世界のど真ん中で/本書の目的と構成
    目次 [014-019]
    関連地図 [020-023]

    第1章 石油の海に浮かぶ国々 020
    オイル・マネーが生んだ摩天楼/最初の中東体験/世界の動乱の鏡
    1 大英帝国の遺産「湾岸首長国」 031
    「中東」はいつできたか/大英帝国、部族長と手を結ぶ/砲艦外交
    2 サウディアラビアの登場 039
    イスラームの盟主/宗教家と部族の雄のタッグ/半島のヒーローと英外交官たち/アメリカとの蜜月/アラブ民族主義の政権が続々と/イギリスの退場と左派の台頭/石油がサウディアラビアを救った/石油が国を強くする
    3 石油の国々 058
    外国人で成立する湾岸産油国/なぜ格差が政治の不安定につながらないのか?/軍事力を持たない国の生きる道/クウェートのパレスチナ人/小説「太陽の男たち」のラストシーン/「石油の国々」の現在

    第2章 パレスチナ問題とは何か 073
    故国の味/アラブ民族意識とは何か/パレスチナは共通の問題
    1 中東の人々のアイデンティティーを考える 078
    そもそもアラブ人とは?/「アラブ民族はひとつ」という思想/「人工的な国分け」への反発とアラブ民族主義/イスラエルの建国/シオニズム思想/イスラーム地域出身のユダヤ教徒「ミズラヒーム」/イスラエルに暮らすアラブ人「イスラエル・アラブ人」/国民とはなにか/移住と衝突
    2 パレスチナ問題をふりかえる 095
    「ゲリラ」から「テロ」へ/イスラエルの外交戦略「一国ずつの和平協定」/アラファートPLO議長の登場/占領地のパレスチナ人たち/アメリカはなぜパレスチナ問題に関わったか?/オスロ合意/細切れになっていく自治地域/分離壁で切り離されて
    3 アメリカはパレスチナ問題にどのように関わってきたか 116
    アメリカの政権とイスラエルのロジック/脅威は外からひっくりかえす/アメリカの対中東政策/『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』/オバマの中東政策

    第3章 冷戦という時代があった 127
    1 アメリカとソ連の時代 128
    世界が「東」と「西」に分かれていた時代/二大ボスが世界を回す/なぜ今冷戦時代について考えるのか?/超大国を操作する技術/「二大ボス間の戦い」の時代から「仮想敵との戦い」の時代へ
    2 北辺防衛のための国々――トルコ、イラン 138
    ソ連の南下をどこで防ぐか/トルコはアジアかヨーロッパか?/冷戦時代のイラン/湾岸の憲兵/ソ連の戦略「民族主義政権を取り込め」/アメリカの関心を引くための「ソ連カード」
    3 アフガニスタン侵攻 149
    なぜソ連はアフガニスタンに軍事介入したのか?/サウディアラビアとパキスタンをパートナーに/オサーマ・ビン・ラディーンの軌跡/「アフリカの角」ソマリア
    4 アメリカの一極集中時代へ 160
    アメリカはなぜ直接の軍事関与を避けてきたのか?/「地平線のかなた」作戦/湾岸戦争が「超大国操作術」の転機に/イラク戦争/冷戦時代は中東をどう変えたのか

    第4章 イランとイスラーム主義――イスラームを掲げる人々 171
    イランの反政府運動/イスラーム主義とは
    1 イランで実現した「イスラーム共和制」 174
    「よくわからない国」というイメージ/ホメイニーはどんな指導者だったのか?/イラン革命とアメリカ/なぜアメリカは「大悪魔」と呼ばれるようになったのか
    2 「革命」政権の変質 184
    ホメイニー亡き後/ハータミーの微笑み外交/アフマディネジャードとはどんな人物か?/「救世主〔マフディー〕」と交信できる大統領
    3 「民主化が進むとイスラーム主義が強まる」のはなぜか? 194
    イスラーム主義はなぜ台頭しているのか/ヒズブッラーとハマース/民衆が支持するのはなぜか?/ムスリム同胞団
    4 「弾圧されて過激化する」 202
    アルジェリア総選挙で開いた風穴/米国同時多発テロへの流れ/アフガニスタンとアルカイーダ/イスラーム主義の多様性

    終章 メディアとアイデンティティー 209
    パレスチナのラッパー/庶民の声はどこにいった/アラビア語衛星放送「アルジャジーラ」の影響力/イランのインターネット普及率は四八パーセント/ネット空間/ヴァーチャルなイスラームの連帯/ネットでのイメージと民衆感情にはギャップも/イスラーム銀行とスカーフ/なぜスカーフをかぶるのか

    読書リスト [229-232]
    おわりに(二〇一〇年四月 酒井啓子) [233-237]
    関連年表 [i-vii]

  • 中東=テロ、というイメージ。じゃあなぜこんなにも危険なイメージが定着しているのか、中東と言われる国々の歴史を振り返りながら学べる本でした。
    最近中東関連の本をよく手に取っているのでなんとなくの知識はあったのですが、改めてまとめて読んでみると、いかに中東の国々が世界に揉まれ振り回されてきた、という事実に驚きとやり切れなさのようなものを感じました。

  • 著者の酒井啓子(1959年~)は、中東政治、イラク政治を専門とする国際政治学者で、2012~14年には日本国際政治学会理事長を務めている。本書では、「中東」という地域の抱えている問題と、その問題の原因・背景となった近現代の国際政治について、網羅的に解説している。
    本書で著者は、
    ◆18世紀以降の大英帝国の植民地政策の影響で、ペルシア湾岸・アラビア半島において、小さな砂漠の部族が、産油国として大きな富と国際経済上の重要な役回りを得ることになったこと
    ◆東西冷戦時代に米国が中東で行った場当たり的な諸政策が、アルカイダの発生や、イランの激しい反米政策などの、現在の中東の混乱の遠因の一つであり、9.11同時多発テロやイラク戦争をもたらすことになったこと
    ◆中東諸国では、欧米の概念である「民族主義」が諸問題を解決できなかったために「イスラム主義」が台頭してきたこと
    や、中東問題の根源とも言えるパレスチナ問題を取り上げている。
    本書の刊行された2010年5月以降にも、中東では、アラブの春、ISの発生、シリア内戦、大量の難民の流出などが続き、昨今の在イスラエル米国大使館のエルサレム移転表明に端を発する暴動など、本書で述べられた問題は解決されることなく、その延長線上にあることを、強く感じざるを得ない。
    中東諸国とイスラエルの対立、根付かない「民族主義」、欧米諸国・文化への反発と一部のイスラムの原理主義化、いくつもの絡み合った問題を、中東諸国と世界はいつか解決できるのか。。。
    中東問題の基本的な背景や構図を知る上で、有用な一冊である。
    (2010年11月了)

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著者プロフィール

1959年生まれ。東京大学教養学部教養学科(国際関係論)卒業後、アジア経済研究所に勤務。24年間の同研究所在任中に、英国ダーラム大学(中東イスラーム研究センター)で修士号取得。1986~89年、在イラク日本大使館に専門調査員として出向。東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授を経て、現在、千葉大学法政経学部教授兼同大学グローバル関係融合研究センター長。専攻はイラク政治史、現代中東政治。おもな著書に『イラクとアメリカ』(岩波新書、アジア・太平洋賞大賞受賞)、『イラク 戦争と占領』『イラクは食べる』(岩波新書)、『中東から世界が見える イラク戦争から「アラブの春」へ』(岩波ジュニア新書)、『<中東>の考え方』(講談社現代新書)、『移ろう中東、変わる日本 2012-2015』(みすず書房)、『中東政治学』(編著、有斐閣)など。

「2018年 『9.11後の現代史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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