- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062880534
作品紹介・あらすじ
国際政治を理解するための新しい入門書。
感想・レビュー・書評
-
中東と呼ばれる地域の歴史、宗教、民族を概観。
とかく複雑、狂信的、怖い、などと誤解されがちな地域。様々な角度で丁寧に解いていけばこんなにも分かる。とても面白かった。著者の他の本も読みたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日々ニュースで取りざたされる中東問題の、「わけのわからなさ」。その背景には何があるのか、いままで断片的にしか知らなかった。そんなときに手に取ったのが、この本。本書を読むことで、日々ニュースで接するアラブ諸国への理解が進んだように思う。予備知識がなくても、とてもわかりやすいし、かなり勉強になった。
-
「アラブ諸国への理解が進んだように思う」
憧れと言うと少々違うけど、エキゾ感にワクワクしつつ、宗教的な縛りに一歩引いてしまいます。そんな私で...「アラブ諸国への理解が進んだように思う」
憧れと言うと少々違うけど、エキゾ感にワクワクしつつ、宗教的な縛りに一歩引いてしまいます。そんな私でも理解出来るかな?2012/03/23
-
-
民族紛争、宗教問題、テロ…等々、中東には日本人に馴染みのない問題がたくさんあります。そもそも、中東とはどこを指すのか?そんな根本的な疑問から、欧米も絡む中東各国の複雑な利害関係まで、これ一冊にわかりやすくまとめられています。読めば、中東関連のニュースが理解しやすくなるかと思います。(こ)OPAC→http://libopac.lib.juen.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=1000009877&key=B138811788216498&start=1&srmode=0
-
中東の国を訪れることを決めたものの、これまで中東諸国あるいはこの地域に関して、特別思い入れを持っていたわけではない。
他の一般的な日本人と同じように、私にとって中東は地理的な意味だけでなく、情報量の少なさ、イメージの偏りの意味でも、「遠い」地域であった。
日本のメディアから得られる情報で私が持っている中東のイメージ、ものすごく偏ったイメージを元にこの地域を旅するのがいやだったので、中東にやってくる前に購入したこの地域に関する本3冊のうち1冊が、この本だった。
プロローグにこんなことが書いてある。
『中東の紛争は、「神様」のせいで起きているかのようにみなされがちだ。だがそうした見方は、簡単に思考停止につながる。紛争が「神様」によって起こされるならば、「神様」の違う私たちには、その原因も解決方法もわからなくて当たり前。だから、中東でも戦争は人間の努力によっては解決できないのだーと、最初から努力を放棄してしまうことにならないだろうか?』
『文化が違うからと言う以前にまず、戦争と占領に振り回された人々の立場に目をつむっては、わかるものもわからない。』
『中東が「わかりにくい」と思われてしまう原因は、中東で生きる人々を主人公にして考えないことにある。』
このプロローグを読み、著者の強い思いを感じて、期待を持って読み進めたが、内容はもちろん、私の期待を裏切らないものだった。
大国からみた中東ではなく、中東から見る政治や紛争の原因は、ものすごくリアリティがある。
何よりも、著者がプロローグに書いているように、この本は、今まで中東にたいして偏ったイメージを持っていた人や、中東に関する知識をあまり持たない人に対して書かれているから、私のようなまさに中東初心者には、非常にピッタリ来る。
平易な文で、わかりやすい表現で、専門用語やマニアックなものは極力避け、面白く読んでもらいたいという著者の配慮が全体から感じられる。
中東のことに興味があるが、良くわからない人はもちろんのこと、
戦争に興味がある人や、イスラム教という宗教に興味がある人にとっても、また違う側面からの知識を与えてくれる本だと思う。
この本を読む際には、ぜひ中東地域の地図を傍らに置いて、それぞれの国と国との位置関係を把握しながら読むことをお勧めします。 -
発行から十年以上経つが、現在にも通ずる中東の成り立ちをわかりやすく解説した良書。
19世紀以降の石油産油国と欧米諸国の利権、サウジアラビアの登場と非産油国のアラブ民族主義化
イスラエル建国によって、アラブ人が非アラブ人、イスラムかユダヤ教の二軸対立構造でアインデンティティを突きつけられるどちらにも属する人々
中東での冷戦問題 アフガニスタンでのソ連駐留に代表される東西冷戦に利用されるたアラブの若者たちと9.1 1に代表されるアラブの反撃
二軸対立の中で強かに大国を利用してきたアラブ国家
-
中東に関して幅広くかいてあるが、多くの国にまたがっているため、時々どの国の話をしているのか混乱してくる。中東ではさまざまな要因により、今が成り立っていることがわかった。
-
2010年発行の中東解説書。現時点では少し状況が変わっているかもしれないが、それまでの歴史的経緯を知るには十分な情報量がある。全体像をつかむには良いと思う。是非アップデートした内容での続編を希望する。
-
中東に関する各種論点について、基礎的な知識を提供してくれる入門教科書。
・西洋諸国の干渉と近代から現代までの経過
・石油に絡む問題
・冷戦の影響
・イスラム主義の位置づけ
についてそれぞれ解説している。 -
イラク戦争のときの的確な解説がとても印象的だった著者による「中東」全体に関する概説書。
「中東」といっても、そもそもそれはヨーロッパが作った概念で、具体的にどこからどこまでが「中東」なのかもわからないし、国や地域によってとても多様性がある。著者の専門は、イラクということで、その領域を超えることへのおそれも感じつつも、こういう概説がないことを踏まえて、書いてみたとのこと。
著者の「9.11後の現代史」を最近読んで、今、中東で起きていることの意味がなんか浮かび上がった感覚があったので、より長い期間をカバーしているこちらも読んでみた。
中東というと、イスラム教と他の宗教の対立、イスラム教の中でも宗派間の対立と、なんか宗教の問題が根にありそうな印象があるか、それは原因というより、より深いレベルでの構造が対立としてでてくるときの現れ方、みたいなものと考えた方がいい。
中東の問題って、結局、ヨーロッパの植民地支配やユダヤ人の迫害とか、冷戦期の米ソ対立とかが根っこ。そういう欧米を中心とする世界政治の矛盾がこの地区にしわ寄せがいっている、ということなのかな?
イスラム主義も、テロリズムだけではなくて、いろいろな立場がある。そして、それは決して過去に帰ろうという懐古的なものではなく、現代においてイスラムをどのように実践していくという課題であるとのこと。
それは、アラブ民族主義的な運動が失望に終わったあとのアイデンティティをイスラムに求める運動なんですね。
この本は2010年の出版で、「アラブの春」の解説がないのが残念だが、それは「9.11後の現代史」で取り扱ってあるので、そっちを読むといい。
そして、「アラブの春」以前の段階での中東におけるインターネットやメディアの普及状況、若者の文化などについてもこの本では、しっかり言及してあり、「アラブの春」への展開もごく自然なものとして理解ができた。 -
・サウディアラビアはほぼ自力で領土を統一し、独立した「イスラームの名主」
・アメリカは、ビン・ラディンをアフガンへ侵攻したソ連にぶつけた
・冷戦前、トルコ、イラン、アフガンは西側諸国にとっての砦だった
・イランは昔、「湾岸の憲兵」であった。イラン革命までは