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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784062880695
作品紹介・あらすじ
坂本龍馬も、勝海舟も、「攘夷」派だった! 生麦事件や下関砲撃事件など、幕末期に吹き荒れた攘夷の実相とは? ロシアの脅威、そしてペリー来航に直面した当時の日本人の対外認識とは? 尊皇攘夷と公武合体の対立という幕末史の構図を捉え直す1冊。
坂本龍馬も、勝海舟も、みんな「攘夷派」だった!
ロシアの脅威、そしてペリー来航に直面した当時の日本人の対外認識とは?
尊王攘夷と公武合体の対立という幕末史の定説をくつがえす一冊。
【目次】
序 章 幕末のイメージと攘夷
第一章 東アジア的視点から見た江戸時代
第二章 幕末外交と大国ロシア
第三章 坂本龍馬の対外認識
第四章 攘夷実行と西国問題
第五章 攘夷の実相・朝陽丸事件
終 章 攘夷の転換と東アジアの侵略
【著者紹介】
町田明広(まちだ あきひろ)
一九六二年長野県生まれ。上智大学文学部・慶應義塾大学文学部卒業、佛教大学文学研究科修士課程・同博士後期課程修了、博士(文学)。日本近現代史(明治維新史・対外認識論)研究者、佛教大学非常勤講師。著書に『島津久光=幕末政治の焦点』(講談社選書メチエ)、『幕末文久期の国家政略と薩摩藩――島津久光の皇政回復』(岩田書院)がある。
みんなの感想まとめ
幕末の「攘夷」思想を深く掘り下げ、その複雑さと歴史的背景を探る一冊で、尊王攘夷と公武合体の関係について新たな視点を提供します。著者は、これらの概念が対立するものではなく、むしろ並立可能であることを主張...
感想・レビュー・書評
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[評価]
★★★★☆ 星4つ
[感想]
「尊王攘夷」と言われるが、「尊王」と「攘夷」は全く別の概念で対立していると思われている「公武合体」とは対立している概念ではない
これらは並立可能であるという考えが本書のキモだと思う。
幕府内でも外国使節に対して、どのような対応を行うかは様々な意見が存在し、幕府が一枚岩ではないという事がよく分かる。
また、長州藩と小倉藩が対立し、戦争状態になったということは全く知らなかったので非常に驚いたし、長州藩のやり方は非常に過激だと感じたよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新書文庫
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分かりづらい幕末
攘夷を切り口にしたら理解できる? -
開国は手段であって全て攘夷の範疇に入る。
朝陽丸事件の事は全然知らなかったが、とばっちりみたいなノリで殺害された方々に哀悼したい。 -
「鳥の目と蟻の目」という言葉がある。「鳥の目」とは大空を舞う鳥のような視点から全体を鳥瞰すること、「蟻の目」とは地べたを這うように詳細な内容を見ることを表しているが、歴史を見るにはこの両方の視点が必要と思われる。
本書は、この「蟻の目」の視点の本としておもしろく読めた。
幕末期のいわゆる「尊皇攘夷」の思想についてはわかりにくいところがあったと思う。ざっくりといえば、後日明治政府を構成する薩摩・長州の反徳川勢力が「攘夷」という対外戦争を主張し、旧体制の幕府側が「開国」を主張したのが歴史の推移だ。一見逆のように見えるこの関係を本書は詳細に解き明かしている。
本書により幕府の対外政策をみてみると、幕府はイギリス捕鯨船とのトラブルを受けて1825年(文政8年)に攘夷のさきがけと言われる「無二念打ち払い令」という強硬方針を決定。
その後1842年(天保13年)「薪水給与令」という対外融和政策に政策を転換した。
そしてぺリーの来航(1853年、嘉永6年)と日米和親条約(1854年、嘉永7年)の締結だが「この段階では鎖国を堅持したというのが同時代人の認識だった」と本書は語る。
その後鎖国政策の転換である日米修好通商条約(1858年、安政5年)の締結となるわけだが、攘夷思想に凝り固まった孝明天皇の勅許獲得をめぐる混乱や、有力諸侯の動き等々で情勢が一気に流動化していく経過が本書では克明に描かれている。
本書では「政争の本質はどこにあるのか?」という点を詳細に分析し、当時の対立点は「攘夷vs開国」ではなく、「大攘夷vs小攘夷」だと論証している。
大攘夷とは「現状の武備では西欧諸国諸国にはかなわないとの認識に立ち、通商条約を容認しその利益を持って海軍を起こし、大海に打って出る」という帝国主義的な路線であり、「小攘夷」とは「幕府が締結した通商条約を一方的に破棄し、それによる戦争も辞さない」というものだという。
本書による歴史の詳細な解説は幕末の時代を立体的により深く理解できるとおもしろく読めた。
本書最終章の「幕末の攘夷の残影」についてはいろいろと考えさせられると思った。
幕末の時代認識としては「尊王攘夷vs公武合体の観点で理解してはならないのだ。通商条約を容認するのか破棄するのか、武備充実後まで攘夷実行を先送りするのかしないのか、これらの考え方の相違から政争が繰り広げられた時代だったのだ」というのだ。
本書末尾の「先の未曾有の大戦も、つまりは、幕末の呪縛によるものなのだ」との結論には思わずため息が漏れた。
ただ、本書はとっつきにくい。いろいろおもしろいと感じたのは、本書の後半となってからで、前半は学術書のように細かい展開が続いている。それを乗り越えなければおもしろさにはたどりつけない。
これは「蟻の目」の視点とはそういうものなのか、それとも筆の力なのかどちらかなのだろう。本書は幕末期への理解を進めることができる良い本であると思った。 -
本書で紹介されている幕末に行われた攘夷運動の中には初めて知るものが多かったので、大変興味を持って読むことができました。枝葉に別れ細分化して複雑な攘夷思想ですが外交策、国防論いずれにしてもその究極目的は日の丸の旗の下に世界統一(征服)する事であり、その手法の違いが幕末に混乱を招いたひとつの要因だったのだと改めて思います。この攘夷思想が後に大東亜共栄圏や八紘一宇のスローガンなどに繋がったと思うと、良し悪しは別として歴史の連続性を感じます。考えてみれば神武東征も古代の熊襲や蝦夷征討も攘夷なのですよね。
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この本を読んで幕末の長州諸隊と昭和の関東軍、長州藩政府と陸軍中央、幕府と帝国政府が、おいらの中でカブるようになりました…
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