- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062880701
作品紹介・あらすじ
大英帝国の興亡から現代日本を考える。世界システム論、生活史を切り拓いた西洋史の泰斗による画期的入門書。高齢者問題、「外見」の重視、昼寝よりも残業という心性-。拡大する世界システム下、イギリス民衆の日常生活を描く。
感想・レビュー・書評
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イギリスの発展と衰退。現在の日本は数百年のオーダーでイギリスに起ったそれを早い速度で追体験してるのかもしれない、との話でなかなかに興味深いものでした。
やはり、日本の”衰退”は今の日本人なら誰もがきになるところ。そんな時にすでに”衰退”を体験してきた国、ヨーロッパ諸国がどうしてきたのかを考えることは参考になるはずだ。
実際、新書なので、ふわっとした話が中心となるがそれでも繁栄と衰退の概要に関する著者やそのほかの研究などがどういう理屈、研究をしているかの概要は掴める。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
英国の近代史、経済発展やその時代の人たちの生活スタイル等を知る上ではかなり良かったと思う。ある程度掘り下げられていたりするので、読みごたえもあるんじゃないかなと感じる。また、著者がプロローグで語っている様に、現在は歴史を軽視している事を危惧し、現在の事がらは過去から学べるという事でサッチャー政権と60年代を比較したりと工夫がなされている。現在から未来を見る為にも、歴史を知ることは大事なのかもねって事を感じさせてくれるかも
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15世紀〜18世紀のイギリス近代史の概観について、語り口調で著している。
歴史的な事実よりも「都市の成立とファッションの関連性」「産業革命がイギリスから始まった要因」などの「なぜ?」を考える内容である。
自分の英国史に関する知識が乏しく、消化不良感があった。いつかもう一度読み直したい。 -
よみやすい
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イギリスでなぜ産業革命が起こったか、なぜ「ゆりかごから墓場まで」と言う福祉政策が執り行われていたかなど、イギリスに関する疑問を作者独自の視点と意見で述べている
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『砂糖の世界史』で有名な川北教授によるイギリス近代史。プロローグから「歴史学は終わったのか」と挑発的に開始される。ロンドンを中心とした都市形成と生活文化の変遷、経済成長へのパラノイア、世界システム論から考える大英帝国の繁栄、シティに象徴されるジェントルマン的資本主義、戦後のイギリス経済の衰退などいずれの章も読み易く大変興味深い内容だった。最終的には、そもそも衰退と何なのか、衰退によって人々の生活はどうなるのかといったことがいままで余り議論されてこなかったことを指摘している。この後の研究も追って読んでいきたい。
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帝国と王国の違いの説明が面白い。イギリスの社会構造が、大陸とは違っており、それがたまたま産業革命を推進した。晩婚(24歳)で核家族っていうのが普通という珍しい社会。
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知ってたつもりで知らなかったことばっかり。
またゆっくり読もうかな。。 -
おもしろい。
経済とか生活に関する描写が多く、世界システム論という見方で説明する(という理解でいいのかな)。
つい雑学っぽく切り取れる部分に反応してしまうが、シティとブルク、皇帝と国王、帝国と主権国家の違いの説明などスッキリわかる。
アメリカ南部の州とカリブ諸国の辿った歴史、政治的社会的な背景の違いなども興味深い。
ついアメリカはアメリカ、カリブはカリブと切り離して把握して何の疑問も持たなかったが、なぜ南部の州はアメリカになり、カリブは植民地のままだったのかなど、そういう風に歴史に疑問を投げかけていくのかと感心した。
著者の他の著作も(一般向けの本であれば)さらに読んでみたいと思った。 -
歴史ものの新書はなぜこんなにおもしろいのだろう。
ディケンズの描く「ロンドン」のイメージが色濃い自分の中の「イギリス」がガラガラと音を立てて崩れていく。。
一般的な解釈に事実を突きつけて別の解釈が可能であることをただただ述べていく。そして教科書的な「大英帝国」という虚構の帝国を解体してしまう。
読み終えて「他の著書も読まないといけない」とあせってる。巻末の文献リストもクール。