子ども虐待 (講談社現代新書)

  • 講談社 (2010年10月16日発売)
4.18
  • (23)
  • (26)
  • (12)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 310
感想 : 24
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784062880763

作品紹介・あらすじ

著者の西澤哲氏は、虐待を受けた子どもの心の専門家。日本でこの問題が取り上げられるようになる前、1980年代から活動を続けてきた。その現場経験と実感を通して「虐待やネグレクトは子どもの心やその後の人生にどのような影響を与えるか?」「なぜ親が子に酷いことをするのか?」「性的虐待の実態とは?」「傷ついた心をどのように回復していくのか?」といった、多くの人が疑問に感じている事柄について語る。


著者の西澤哲氏は、虐待を受けた子どもの心の専門家です。
日本でこの問題が取り上げられるようになる前、1980年代から活動を続けてきました。
その現場経験と実感を通して「虐待やネグレクトは子どもの心やその後の人生にどのような影響を与えるか?」
「なぜ親が子に酷いことをするのか?」「ドメスティックバイオレンスと虐待の関係は?」「性的虐待の実態とは?」
「傷ついた心をどのように回復していくのか?」といった、多くの人が疑問に感じている事柄について語っていきます。
虐待問題への入門書となり、関係者には手引きの書にもなる、著者の30年の経験と知見がこめられた1冊です。


【著者紹介】
1957年、神戸市生まれ。サンフランシスコ州立大学大学院教育学部カウンセリング学科修了。
現在、山梨県立大学人間福祉学部教授。
虐待などでトラウマを受けた子どもの心理臨床活動を行っている。
著書に『子どものトラウマ』(講談社現代新書)、『子どもの虐待』(誠信書房)、『トラウマの臨床心理学』(金剛出版)、
訳書にレノア・テア『恐怖に凍てつく叫び』(金剛出版)などがある。


【目次】
プロローグ
第1章 子ども虐待とは何か
第2章 虐待してしまう親の心理
第3章 DVと虐待
第4章 性的虐待は子どもの心をどのように蝕むのか
第5章 トラウマについて考える
第6章 アタッチメントと虐待
第7章 本来の自分を取り戻すために
エピローグ

みんなの感想まとめ

虐待の問題を深く掘り下げた本書は、子どもが受ける心の傷やその影響、さらには虐待を行う親の心理についても詳しく解説しています。著者の西澤哲氏は、長年の専門的な経験を基に、虐待の本質やトラウマの影響を明ら...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 私にとって親の言葉には常に「謎」と「嘘」がありました。そのクイズに正解しないとたちどころに激怒され、物を投げつけられるため、必死で正解を探していました。

    自分でも何がおかしい。そしておかしいのは自分だと信じて疑っていませんでしたが、おかしいのは両親だと気付いても、まだ何かが嫌で怖くて仕方が無いと感じています。
    子どもから大人になると、嫌でも大人が相手のコミュニケーションが主となるので、嫌でも両親の幻を相手に見てしまいます。

    虐待をする親の心理の解説が非常に興味深いものでした。子どもに子育ては出来ないという理由がわかりました。

  • この本は今で考えると、1世代前に書かれたものだ。日本でどのようにして虐待が問題化されてきたか、その問題だけでなく、子どもの内面に渦巻く問題がどのように世の中に可視化されてきたかを知ることが出来る。トラウマ治療やプレイセラピーの先駆けを知ることができるだろう。

    いまでは当たり前となっているPTSDという症状の基準やどのように作られたかなど、背景まで書かれているため治療例まで知りたい方は必読。

  • 虐待の臨床心理に30年取り組んだ筆者による、子供虐待の入門書。
    社会問題としての虐待は、「虐待死」というセンセーショナルな事件から振り返る「身体的虐待」や「ネグレクト(ろくにご飯も与えられていなかった、など)」、安易に使われ始めた「DV」が有名だし、急性期病院の医療機関では、「体の痣」とか「原因のわからない頭の出血」とか「怪我ではない骨折」とかを見たら虐待を疑え、という教育がなされるため、医療者は我先にと「虐待」という診断をつけたがる。

     しかし、おそらく多くの虐待は、泣き寝入りされ表沙汰になることも少ない「性的虐待」や「心理的虐待」であり、それによるトラウマ反応は、その子供の発達段階に応じて変化し、さらに解離や性的逸脱、人格→アイデンティティの問題と多岐にわたる症状を慢性的に引き起こし得る。

     アタッチメントの3パターン、イメージの内在化、トラウマ記憶の物語記憶への変換など、プレイセラピーや暴露療法などの心理療法の持つ認知的意味を、虐待による障がいと併せて述べられているので、医療者にとってもとても実践的な本となっている。

     縁あって虐待を含む「家庭環境の問題を抱える子」と関わるようになって、その問題行動の多様性と、その背景の複雑さに驚かされる。しかし1つだけ言えることは、子供の反社会行動や不適応行動は、そのほとんどが人との関わりの中で生じたものであり、接し方を少し工夫するだけで改善する可能性のあるものであるということだ。本人の性格や特性のせいにするのではなく、子供に関わる人すべてが知っておいて良いことだと思う。
     

  • 2025/9/21

    しつけとは、「不快」から「快」へ子ども自身が戻せるよう、親が関わることによって自己調整能力を育てること。

    以下抜粋。

    性的虐待に向かう欲求とは、性的欲求より支配欲が先行している。

    しつけとは、本来手助けの提供を意味する。しつけという言葉は、子どもに我慢するなど自己抑制を覚えさせる」といったイメージを与えがちだが、本来はそうではない。「不快」の状態に陥った子どもが「快」の状態に回復できるように養育者が刺激を与える営みを「しつけ」と呼んだのだ。

  • 367.6

  • わかりやすい!
    自己調整能力!

  • 虐待を受けたこどもの心理状態、親の心理、こどもの治療論など。
    後半は虐待によるトラウマ。西澤哲さんの本を読んだことある人なら、後半はほぼ読み飛ばしか。
    生涯にわたってのケアが必要と言及しているからには、大人の治療論に焦点をあてた文献もいつか必ず出してほしい。お願いします。

  • 【虐待の本質①】子どもの乱用
     大人(親)が自分のために子どもを利用することは子どもの乱用であり、虐待の本質的要素である。つまり、明らかな暴力を伴わない代理性ミュンヒハウゼン症候群や「あなたのため」と称して親の欲求を満たすためにさせているEM(エデュケーショナルマルトリートメント)なども虐待と言えよう。

    【虐待の本質②】虐待のダメージは心理的要素にある
     身体的虐待、ネグレクト、性的虐待、心理的虐待のすべてにおいて共通しているのは心理的虐待である。すなわち、自転車でこけて怪我をしても傷つくのは身体だけだが、身体的虐待の本質は「親に愛されていない」という心理的ダメージにある。
     そう考えると、体罰が当たり前だった時代は、身体的暴力を受けても、それが(世間的に)非常識とされる現代ほど心理的ダメージはなかったかもしれない。


    【親が子を虐待してしまう要因】
     まず大前提として、多くの親は「暴力は振るうまい」と思っているが、その気持ちを超える"何か"が彼らを暴力(虐待)へと駆り立てている。以下では、その"何か"を列記する。

    ①性的虐待の背景には、性的欲求よりも支配欲求が強く関わっていることが多い。当然のように、結果と原因との関係は複雑で、そう簡単に視えるものではない。

    ②自分もそのように育てられてきた場合、「これまでの自分の人生」を肯定するために行われることがある(おそらく多くは潜在的に)。親御さんの人生・存在を肯定せずして、子どもの人生・存在を肯定することはできないのかもしれない(そう思っていた方が建設的な場合が多いかもしれない)。

    ③「自分の子どもが、昔の嫌いな自分に似ている」といった逆転した同一視や、「自分に暴力を振るっていた親にようになる」攻撃者との同一視といった同一視が生じる場合がある。被虐待的な環境で育っていたり精神的に不安定であったりといったリスク要因は、自我の不安定さを介して(主にネガティブな)同一視の生じやすさにつながり、結果として虐待リスクが上がるのかもしれない。


    【その他の学び】
     依存欲求は依存欲求でも、子どもとしての依存欲求とパートナーとしての依存欲求とは異なる。前者は(親に向けた)一方的な依存である一方、後者は共に支え合う双方向的な依存である。依存欲求がこのどちらであるかによって(そしてもちろんその強度によっても)、その適応性は異なるであろう。

     性器いじりや異性(の性器など)への関心は発達上正常な行為・心理である。しかし、手を用いての性器への刺激や、裸で抱き合う(あるいは人形を裸で抱き合わせる)などと、大人が行う実際の性的行為に近い行動・表現には、被性的虐待の疑いが向けられる。

     反芻したり、同じシチュエーションを誘引したりする「トラウマの再現(性)」は、トラウマ(性)体験を処理する上で通る過程である。しかし、前者の再現では、その体験に圧倒されて(例えばフラッシュバックなど)、ネガティブな体験としてさらに強固に記憶されたり、解離による社会的不適応的状態に陥ったりといった悪循環になることもある。後者の再現では、失敗する(すなわち、再びトラウマ(性)体験が引き起こしてしまう)確率が高く、これまたネガティブな信念がより強固になる可能性がある。
     「再現」という営みを安全・安心に行える環境を整える必要がある。子どもの場合は特に、大人が注意したくなるような遊び(例えば、津波ごっこ、地震ごっこ)を通して再現が行われることがあるが、それは言語能力が発達途上にある彼らが、全力でトラウマ(性)体験を処理しようとしていることを理解する必要がある。

  • 幸せってなんだろう

  • 上辺だけで知っていた知識もこの本を読むことで更に深まった。再現性の話が特に興味深かった。

  • 虐待の臨終心理に30年間取り組んでいる著者による、虐待についての入門書である。実際に著者が見聞きした、虐待に関するエピソードを交えながら虐待が起きてしまっている現状を知ることができる。児童虐待の相談件数は年々増加しており、悲惨な事件が後を絶たない。このように虐待の件数が増加している要因として、虐待の定義の拡大と認知の広がりがある。虐待には主に、身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待の主に4つがある。その中の心理的虐待は、最近認知され始めた影響で最も件数が多い虐待になっている。また最近では、子どもを嘘の病気に見立てて注目を集める「代理性ミュンヒハウゼン症候群」や、「乳幼児揺さぶられ症候群」など、新たに発見された虐待もある。児童虐待は普段生活していると遠い問題に感じてしまうが、助けを必要としている人が身近にいるということを本書は気づかせてくれた。

  • 虐待を受けた子どもの心理の「専門家」である著者が、子どもの虐待とはどういうものか、子どもを虐待してしまう親の心理とはどういうものか、また、虐待を受けた子どもをどうケアしていくかといったことについて解説。
    子ども虐待について、心理学的側面から理解するのに、優れた本だと感じた。特に、虐待を受けた子どもがどういう心理的影響を受けるのか、そこからどう回復させるかということについては、ほとんど知見がなかったので、とても勉強になった。

  • 良書。

  • 「虐待」のことばが持つ、ある意味でキャッチーな面があるという印象からこの言葉を無意識にに避けつつあったように思う。西澤先生のこの問題への取り組み方は、子どもだけでなく虐待をしてしまう親の心理、虐待をされた子どもの予後ともいえる心理変化をも含有した視点であり共感を覚える。そして、この問題がはらむ中長期的な損失の大きさを思うと、子ども虐待の根深さ、罪深さに改めて震撼する。

  • 日本医師会のシンポでご一緒させて頂きました。虐待を受けてきた子供へのアプローチ、やはり大変なことだと再認識しました。一次予防、すなわち、妊娠中からの、もっといえば妊娠前からの対応を、という自分の方向性が間違ってはいないという想いを再確認しました。

  • 社会福祉学の講義、学期末レポートの課題図書6冊から選んだ1冊。

  • ノートにはいっぱいメモをとったのですが、ここには簡単に一つだけ。
    「しつけ」は、「我慢を覚えさせる」ことじゃないんだって。「不快」の状態に陥った子どもが「快」の状態に回復できるよう、養育者が刺激を与える営み、なの。この言葉が、私にとってはとてもしっくりきた。今年5冊目にして、今年第2回目のヒット。

    だからね、日本の巷でみんながやってる「しつけ」は、本当は子どものためになっていないことも多いかもしれない。
    大切なのは我慢じゃない。自己調整できる人間に育つかどうか、なの。

  • 代理性ミュンヒハウゼン症候群

    乳児揺さぶられ症候群

  • キーワードは、アタッチメントとトラウマ。

  • 少し専門的かな・・・とも思ったけど、新書でもあり、素人の私にでも読める程度であるのでそんなに話は難しくない。むしろ、臨床心理や精神医学といった「こころ」を切り口としている本は新鮮だった。

    児童虐待における被虐待児や虐待者の心理的プロセスが、臨床の現場を通した実務的な観点から書かれている。その道に進もうと思っている人はぜひ読んでほしい。そうでなくとも、児童虐待を受けた子供の思考や心の動きやその治療、対処の一例が垣間見える、虐待問題や心理学に興味のある方にも読んで欲しいと思う。

    保護者からの安心感(アタッチメント)を適切な時期に得られなかった人は長いことその影響から脱することができない。子供を育てるには親や保護者が子供を安心させることが非常に重要であるといった本書の記述は、育児書などにも同様な点が記載されている点でもあり、親としての立場でも参考になった。

全22件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

サンフランシスコ州立大学教育学部カウンセリング学科修了。現在、大阪大学人間科学部助教授。虐待などでトラウマを受けた子どもの心理臨床活動を行っている。
【主な著書・論文】
『子どもの虐待——子どもと家族への治療的アプローチ』誠信書房、1994年。『子どものトラウマ』講談社、1997年、ほか。
訳書、アルバート・E. トリーシュマンほか『生活の中の治療——子どもと暮らすチャイルド・ケアワーカーのために』中央法規出版、1992年。
エリアナ・ギル『虐待を受けた子どものプレイセラピー』誠信書房、1997年。
ベセル・A. ヴァン・デア・コルクほか編『トラウマティック・ストレス——PTSDおよびトラウマ反応の臨床と研究のすべて』 誠信書房、2001年、ほか。

「2005年 『子どもが虐待で死ぬとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

西澤哲の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×