ウェブ×ソーシャル×アメリカ <全球時代>の構想力 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
3.49
  • (32)
  • (52)
  • (58)
  • (25)
  • (4)
本棚登録 : 657
感想 : 81
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062880930

作品紹介・あらすじ

ウェブは、アメリカのプログラム(文化的伝統)をいかに継承・具現し、社会の変容にどう寄り添うのか?歴史、社会、経済、思想、工学、建築、デザインなど分野の境を超え、その「構想力」の源流をたどり、未来を語る、斬新かつ根源的論考。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • アメリカウェブ哲学の話し。
    多分拾いきれてないので、評価は本当に気持ち程度。
    あの東海岸の時代/ヒッピーの/水瓶座の世紀、縛るものからの究極の自由を探すあの価値観にシンパシーを覚える人ならば、本当に興味深く読めたんじゃないかな。
    スティーブ・ジョブズの有名な講演の最後のセリフ
    「stay hangriy,stay hoolish」はHole earth catalogの最終号の背表紙のセリフだったのだね。

    僕が関心を持ったのはこのくだり。
    ・20世紀を通じて材料工学が進歩し、機械的な制御も半導体チップのように極小化されるに従い、形状は機能から解き放たれ、むしろ自由なものになった。バウハウスの頃とは主従が逆転し、デザインそのものが使用価値を決定する事態も現れた。つまり、デザインが主体で形状がそれに従い、機能の良し悪しもデザインの良し悪しを通じて評価されてしまうような時代となった。それが20世紀後半のデザインの役割だった。
    今、問題となっているのは、それがさらに進み、むしろ、デザインがより広く問題解決のための方法論として捉えられるようになったことだ。そこでは、事実上、デザインは設計と同義だ。その反面、単なる意匠としてのデザインは後景化する。少なくともG20時代に、世界商品を前提にした時代では、設計≒問題解決としてのデザインが前景化する。

    さて、組織論では未だ機能が形状を決定すると言われている。作りたい物は組織の形に現れるのだ。これから何かが革命を起こすとしたら、産業革命が工業の効率化をもたらしたように、生産の大きなウェートを占めるようになった、サービスに変化が現れるだろう。それが今の日本から生まれないだろうな、とどうしても感じてしまうのは、stay hungriyが難しい社会だからなのだろう。高度経済成長は、政府が力を失ったから起きたんだろうね。

  • Internet
    社会

  • [private]書評より[/private]
    ■Google、 Apple、Facebook。これら時代を制したWEBサービスがなぜ生まれたのかについてアメリカの思想史をベースに説明した本。
    ■19世紀のアレクシ・ド・トクヴィル(『アメリカの民主政治』を表わした人)から21世紀のマーク・ザッカーバーグ(FACEBOOK創設者)まで、ソーシャル=メディア全盛のウェブ現在から遡り、ハッカー文化、さらにアメリカ合衆国の成り立ちまでを、単なる情報技術の視点からだけではなく、歴史や文化を踏まえた社会批評。
    ■著者の主張:2010年代以降のウェブが社会にもたらす影響を考える上で、スチュアート・ブランドのいう「全球的」な視点を持つことが有効である。


    正直、読み辛かった。
    昼休み中に飛ばし気味に呼んだ所為もあるけど。
    各書評サイトでの書評を読んで漸く分かった感じ。

  • webの世界の巨人たちに影響を与えたカウンターカルチャーなど、アメリカの根底にある思想を分析した一冊。面白い視座。

  • ◆Google、Apple、Facebookなど、米国発のネットワーク・ビジネスは、60年代米国のカウンターカルチャー、ひいては米国社会・歴史の産物。そう主張する本書の内容は、米国社会思想にまで言及する重厚さ◆

    2011年刊行。
    著者はコミュニケーション・コンサルタント。


     21世紀の中核的ネットワーク・メディア(Google、Apple、Facebookを軸にTwitterが猪口猪口。Microsoftに殆ど言及しないのが時代とも、ネットワークメディアとの疎遠さとも)夫々の特徴を比較しつつ、その淵源を
    ➀ 60年代米国カウンターカルチャー、
    さらに
    ➁ 19世紀米国の社会思想、
    あるいはさらに
    ➂ 西欧でのローマの影響力
    にまで遡行して検討している書。

     正直➀➁のアメリカ社会史的特徴を見聞する機会がなく、叙述内容は知らないことだらけ。そういう意味では、読後感はなかなか難儀な書だなぁというもの。

     ただ、エピローグを読むと種明かしもされており、PC誕生の機縁、インターネット開発の目的を考えると、冷戦の産物と言えなくもないところだ。

     一方、
    ➀ アプリを含むソフトウェア開発がハリウッド化している点。
    ➁ これらソフトウェアの社会に対するインパクトが、工学的なシステム構築・建築におけるアーキテクチャー構築に近似しているとの指摘。
    ➂ オープン・アーキテクチャーの雄たるTwitterは、オープンであるが故に必然的にフェイクという遊び・余力・伸びしろを不可避とする。つまり、フェイクニュースの拡散とは構造的に不可避である可能性に言及したとも。
    ➃ 90年代の企業評価方法の変動により、短期的利益の追求だけが評価の対象となってしまわざるを得なかったが、それでは長期(10~30年先)の展望は開けないことから、近視眼的役割を担うトップと長期的視野(=夢や未来像を語る)のトップとを役割分担している。残念ながら日本企業でこの役割を上手く分担できているトップは如何ほど在ろうか?。
    ➄ アメリカの東と西との文化的差異
    などなかなか興味深い指摘も彼方此方にある。

     もっとも、知識不足以外に起因する読みにくさもないとは言えない。「あとがきに代えて」に弁解めいた意図について書かれるが、主体的に情報の森にさらに分け入ることが即時に可能なウェブという媒体と、読み手の側の既有の知識や発想を軸に理解・反論・批判・受容・納得・賛意といった読み手の反応を惹起させる、いわば触媒というべき紙の本とは違うフォーマットであり、著者がこれを咀嚼した上で叙述・推敲がなされないと、こちらとしても困ってしまう。

  • アメリカで生まれたITサービスについて記述した一冊。

    Web2.0以降かと思いきや、それ以前のARPANETの頃から記述があり、その手の歴史が知りたい人には楽しめるかと。

  • 全球時代の構想力とは?

    →マネタイズで大切なのは何からの価値を現出させることが先決で、その価値を経済的に支え、かつ再生産可能にするための方法を考える
    開発者の内発的な創造性を引き出すためにはビジョンが不可欠
    フィードバックの揺り籠から抜け出すためには、当初の目標の外部から出て新たな目標を設定することが必要

  • 歴史的な過程を通じて、ウェブの現在を問う。スチュワートブランドに引っ掛けた展開は面白い。

  • 2013/04/03

  • 良書。濃い。包括的で哲学/思想的な思考、文章が気持ちいい。
    要再読。

    移動中に読む本がなくてたまたま入った本屋で目に止まった。講談社現代新書はもっと頻繁にチェックしておいたほうがいいな。

全81件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1965年生まれ。FERMAT Inc.代表。コンサルタント、Design Thinker。コロンビア大学大学院公共政策・経営学修了(MPA)。早稲田大学大学院理工学研究科修了(情報数理工学)。電通総研、電通を経て、メディア・コミュニケーション分野を専門とするFERMAT-Communications Visionary-を設立。著書に『ウェブ×ソーシャル×アメリカ』(講談社現代新書)、『デザインするテクノロジー』(青土社)、『ウェブ文明論』(新潮選書)など。

「2015年 『〈未来〉のつくり方 シリコンバレーの航海する精神』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池田純一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×