ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • 講談社 (2011年5月18日発売)
3.89
  • (354)
  • (597)
  • (300)
  • (66)
  • (21)
本棚登録 : 5000
感想 : 604
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784062881005

作品紹介・あらすじ

キリスト教がわからないと、現代日本社会もわからない――。

イエスは神なのか、人なのか。
GODと日本人の神様は何が違うか?
どうして現代世界はキリスト教由来の文明がスタンダードになっているのか?
知っているつもりがじつは謎だらけ……
日本を代表する二人の社会学者が徹底対論!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 対談形式でわかりやすくライトに読める本。私自身の宗教への理解が深いわけではないので、この本の内容がどれだけの強度なのか判別できませんが、わりと知りたかったことが知れました。他の本とも繋がることも多くていい感じ。
    特におもしろいな〜と思ったところは宗教と科学について。むしろ科学的であるからこそ、その先に宗教を信仰している、と。個人的には納得感あってよかったです。

  • 『(前略) その大澤さんが、やっぱりキリスト教だよ、と言う。キリスト教を踏まえないと、ヨーロッパ近現代思想の本当のところはわからない。現代社会もわからない。日本人が、まず勉強すべきなのは、キリスト教ではないだろうか。
    まったくその通り!と私も思った。
    「キリスト教入門」みたいな本なら、山ほど出ている。でもあんまり役に立たない。
    「信仰の立場」を後ろに隠して、どこか押しつけがましく、でもにこにこ語りかける。さもなければ、聖書学あたりの知識を、これならわかるかねと上から目線で教えをたれる。
    人びとが知りたい、いちばん肝腎なところが書かれていない。根本的な疑問ほど、するりと避けられてしまっている。
    そこで大澤さんと相談して、対談が実現した。ボケとツッコミの要領で、ふつうのクリスチャンなら怖くて言えない話題もとりあげた。「信仰の立場」を尊重しつつも、自由にそこから出たり入ったりする、「社会学的な」議論をくりひろげた。』(p.345橋爪大三郎あとがき)
    .
    .
    .
    「旧約聖書を知っていますか」
    「新約聖書を知っていますか」
    阿刀田高著
    「名画と読む イエス・キリストの物語」
    中野京子著

    と本作の四本立てで読むと、キリスト教界隈さっぱりちんぷんかんぷん勢でも、ザザザーッと雑ながら頭の中にキリスト教界隈モノサシが備えることができるかも。
    そして、宗教や信仰としての話だけではなく、人間が生きる世界を見つめる違う目線が一つ、いや複数増える。と思う。

    ※ちなみに私はクリスチャンではありません。
    ※ゆえにキリスト教布教目的の推薦でもありません。

  • 対談形式でキリスト教の謎を解き明かそうとする良書。
    ユダヤ教、イスラム教、儒教、ヒンドゥー教、多神教の日本との関係。さらに政治、経済、芸術などへの影響をとてもわかりやすく解説してくれる。

  • 2012年新書大賞本。

    2012年!?
    今読んでも、食い入るほど、面白いんですけど。

    ユダヤ教とキリスト教(カトリックとプロテスタント)とイスラム教ってどう違うのか?

    というベースから。

    政治、経済、科学に至るまで、宗教がどう影響してきたかについて、驚くほど分かりやすく書かれている。
    分かりやすすぎて、分かってないから、アウトプットも必須。

    橋爪さんの博識が、大澤さんの鋭い質問によって、うまく展開されていくし、そこから新たな視点に持っていくのも上手い。

    正直、新書にしては割と分厚いので、読めるかなぁと不安に思っていたけれど、ゆっくり読まなきゃと自分をセーブするくらい、進みたくなった。

    最後の「モノづくり」に対する、スタンスの違いの話もめちゃくちゃ面白いなぁ。
    確かに日本は、アニミズムだわ。
    それは日本という国の立地、地政学にも由来する。

    「ふしぎなキリスト教」にまつわる本も何冊か出ているようだけど、ひとまず橋爪×大澤対談本を読みきりたいと思う。

  • キリスト教、ユダヤ教、イスラム教について、
    そもそも、たった一つの神様を信じることについて、知らないことばかりで面白かった。
    特定の神様を信じるってどんな感覚なんだろう。


    以下メモ
    ・神とは
    キリスト教(一神教):神(god)は別格、人間ではない、怖い、神中心で神の視点で世界を見る。
    日本(多神教/無神論):神は人間みたいなもの、仲間、多い方がいい、人間中心に世界を見る。
    日本人は、神に支配されたくないという感情。日本人は主体性が大好きで、努力が大好きで、努力をしない怠け者が大嫌いで、神まかせも大嫌い。


    ・ユダヤ教とキリスト教とイスラム教
    同じ神(ヤハウェ/エホバ/アッラー)をあがめている。

    →神に対する人々の対し方が異なる
    神に対するのに間に誰かを挟む、それが預言者

    イエス・キリストは預言者ではない。本人が神の子。


    ・原罪:キリスト教にある観念
    しょっちゅう罪(神に背くこと)を犯すしかない人間は、その存在そのものが間違っている。
    そのにんその人間が神に救われるためのウルトラCが、イエス・キリスト。
    イエスを神の子、救い主だと受け入れた人は特別に赦されるかもしれない。


    ・なぜ全知全能の神が作った世界に、悪があるのか
    多神教:運が悪い、悪い神様のせい
    一神教:試練と考える。神への語りかけ(祈り)を繰り返す。
    アーメン=その通り、異議なし


    ・仏教も儒教も多神教の分類だが、一神教との共通点がある。それに対して日本の宗教観は独特。
    日本:自然と人間が調和し、自然の背後にいる様々な神を拝む
    一神教+仏教+儒教:手近な神々に頼らない、神々を否定している。
    神々は放逐され、世界は一度壊れ、宗教により再建された。こっちが世界のスタンダードな宗教観。


    ・聖書を「文字通りに」正しいとは信じていない。
    聖書は矛盾していることが明らかなので、信徒が解釈を相談、決議し、それに従って信じる。
    さらに、聖書があいまいだからこそ、神が作ったこの「世界」を観察・研究する中で自然科学が発達した。


    イエス・キリスト
    預言者ではなく、初めから神の計画によって生まれた特別な存在。
    預言者は神の言葉を伝える。
    イエスは、神の言葉をじかに述べることができる。
    三位一体:神=キリスト= 聖霊
    イエスの死後、預言者は現れないので、神との連絡手段として聖霊があらわれた。
    ”一神教”なので、この3つがイコールになると解釈。


    キリスト教は、ユダヤ教の律法(旧約聖書)を残したうえで、その上に「愛」を積み重ねた二段構造。愛は人間と神との契約。
    隣人愛=人が人を裁かない。人を裁くのは神。

  • キリスト教を通じて西洋社会の成り立ちを理解することが、現代を知る上で重要になる、という前提のもと、
    •多神教と一神教の神様の違い
    •イエスとは何者なのか
    •科学技術や哲学との関連
    •権力とキリスト教の距離について

    などなど、様々な切り口からキリスト教について議論が進められていく。
    対話形式なので読み易く、智の巨人たちのあそびみたいな空気を感じられて面白かったです。


    同じ一神教でも、聖書を読み解く視点や見解に多様性があるキリスト教と、ムハンマドがほぼ直接神の言葉を受け取ることから聖典に多様性や多義性は入りようがないイスラム教という違いがある。

    ただ、キリスト教社会が寛容かと言われればそうではなく、その時々で最も力を持つ者の解釈が正統となりそれ以外は異端とされるなど、権力との関係も独自性があるという面も興味深い。

  • 一神教のgodと多神教の神様との違い
    日本人にとって、神様は仲間(自分の支え)
    godは人間を創造(所有物) 絶対的存在

    なぜ神様が創造した、この世界が欠陥だらけなのか?

    イエスが起こした奇蹟の真相  

    ユダの裏切り

  • 新書大賞を受賞してから割と早いうちに買ったのにずっと積みっぱなしだった。もっと早く読めばよかった。

    一神教について、期限としてのユダヤ教、ユダヤ教から生まれたキリスト教、あとから生まれたイスラム教。

    自分は他の多くの日本人と同じように、無宗教と言うか信仰に篤くない。でも海外の人たちは一神教を信じ、その信仰に基づく行動をとったりしている。一神教がそんなにいいのかな?なんて思いながら、もうちょっと理解したいとは前から思っていた。

    この本は、素人にもわかりやすくさまざまなキーワードについて対談形式で説明してくれる。しかも狙いとしては専門家にとっても読みごたえのあるものにしたいとしている。けっこう、大事なことは何回もしっかり取り上げてくれるので親切。本の厚さにビビっていたところがあったけど、親切のおかげで厚くなってたのねと感謝した。知的な人と知的な人が対談するとやっぱり面白い!

    世の中の近代化、科学、資本主義など、世の中のおよそあらゆるものが西洋つまりキリスト教の影響でできている。本書の中で述べているように中国がもっと影響力を高めていくのかは不明だけど、とにかく一神教の人たちの世界が進んでいくのはきっと間違いないと思うので、彼らの考え方を理解しておきたい。

    ずっと本棚に置いておきたい一冊。

  • 面白いです。
    こんな風に整理できるとは。
    売れている新書のリストから、興味を持てそうな物を選びました。

    近代に、西洋の文明や価値観が世界に広まっていった。
    民主主義も、市場経済も、科学技術も、すべての根底に実はキリスト教的な発想があり、これが日本人にはどこか理解しがたい面がある。
    それはなぜかを説き明かしていく内容。
    対談形式で、素朴な疑問から入っているので、とっつきやすい。
    あちらでは誰もが知っている聖書の内容に、少し詳しくなれます。
    わざと居酒屋談義調にしている所もあるようだけど。

    一神教と、儒教や仏教との違い。
    一神教では、神は絶対的な存在で、人間とは別次元。
    不幸や災いは神の試しで、好きなように出来る。
    すべてを作った存在だから、自然は神の物。
    科学はそれを人間が理解しようとするもの。
    奇跡は、自然の法則を作り出した神だから、その法則を越えることも出来るということ。

    キリスト教もユダヤ教もイスラム教も、同じ神を信仰している。
    ただ、ユダヤ教は律法を中心に発展した。
    イスラム教は、キリストをムハンマドよりも格の低い預言者の一人として扱っている。

    キリスト教はユダヤ教の一部として始まり、現在も旧約聖書を内包している。
    イエスはキリスト教を始めようとしたわけではなかっただろう。実在のイエス・キリストはマトリョーシカの一番内側の人形のような物では、と。

    パウロはギリシャ語で手紙を書き、それが聖書の元になっている。
    東方のギリシャ正教はそのままギリシャ語の聖書を使った。
    ローマ帝国がキリスト教を国教としたため、カトリックはラテン語の聖書を使った。
    民衆はラテン語は読めないか、そもそも字を読めなかったので、教会がなくてはキリスト教について知ることが出来なかった。
    偶像崇拝も禁止していたが、字が読めない人々に理解させるには像や絵が必要で、教会内の装飾や宗教芸術が発展していくことに。
    偶像崇拝とは、元々は土俗的な小さな神々を崇拝することを意味していた。

    さまざまな手続きが増えて教会が利権を独占していったのを、批判したのがプロテスタント。
    聖書を各国語に翻訳して、一人一人が読めるようにした。個人の信仰を大事にして、教会はシンプルに。

    日本人にとって理解しがたいのは、ユダヤ教が発展した環境が日本人とは全く違うから。
    ユダヤ人は敵に囲まれた環境で、侵略されて故郷を追われた所から、よりどころとしての宗教を進化させた。

    マルクス主義は「宗教は阿片だ」と批判したため、宗教とは正反対のように思われているが、じつは構造がキリスト教とそっくり。
    ソ連では、宗教を弾圧した代わりに共産主義が入った。
    今は中国でキリスト教が広まりつつある。

    日本人にとって神さまは先祖、身内、友達のようなもので、だから沢山いて良い。
    物にも何かが宿るという感覚があり、これはアニミズムの影響。
    物造りに熱中し、賛美するのは日本人が一番。
    イスラム国では製造業があまり発展しないのは、偶像崇拝を禁じているからではないかというのも面白い。

    イスラム圏は中世まではキリスト教圏をリードしていた。
    クルアーン(コーラン)があまりに詳しく生活の仕方なども定めているため、進歩が行き詰まった?
    キリスト教圏では、法律は人間が具体的に変えていくものという感覚で、柔軟性が強かった、など。

    テーマが大きく、歴史も長いので、おおざっぱな話になっている面もある。
    ここで力を入れなくてもと思うようなところで、力説していたり。
    日本人の宗教観も一つではないしねえ…
    ある角度から見るとこうなる、という限定付きかも。

  • 一神教について、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の違いなど理解が深まった。私たちの生活の中で、知らずのうちにキリスト教的考え方に基づいていることが多いというのもよく理解できた。

    何度か読み返して理解を深めたい本。

  • キリスト教に対する嫌悪感が増してる立ち位置。

    ざっくり見れば結局、あまりにも不安定かつ不確実なキリスト教の成り立ちを後年というか現在に至っても引き摺っているということか。

    不安定故に理詰めにしなきゃいけなくて、それが様々な学問を発展させてきたと。けれど土台が明確でないから学問もまた不確実で結論は出ない。
    “文明は西から”というのは随分前から云われてきた事だし、それ自体は事実だし西欧の心の拠り所ではあるのだろう。けれど何層にも積み重ねた理詰めな社会が今はどうか。複雑にしたところで答えは出ていないのが現状だ。

    一神教の優位性を主張したいがためにdisられる多神教、他の文化や文明。それは優位性ではなく罪悪感から来てはいないのか? 他を断罪するのはキリスト教あるあるのようだけど、他が同じ方向を向いていないと本気で思っているのなら2000年間何をしてきた?と逆に問いたくなるほど愚かだ。

    西から来た文明。要するに他を強烈に排斥する強引さで突き進んできたからでしょ?
    宗教としての傲慢さも可視化してくれる良著でした。

  • 予約者がそんなにいなかったのに、手元に届くまで半年以上もかかりました。
    厚くないし難しくもないのになぜでしょう?
    小説みたいに一気に読まないと気が済まない流れではないからかもしれません。

    自分はキリスト教関係の本をいろいろ読んできましたが、社会学の専門家、しかも二人で対談というのは初めてで、とても面白かったです。

    キリスト教には疑問がいっぱいです。
    この本でそのいくつかに納得できました。

    ひとつだけここに書き残します。まったく考えなかった知らなかったことなので。
    ユダの裏切りというテーマです。

    大澤「もし人類の歴史の中で最も影響力の大きかった出来事を一つ挙げろと言われたら、ぼくはイエスの処刑だと思うんです。たった一人の人間の死が、結果的には人類史に圧倒的な足跡を残し、いまでも大きな影響を及ぼしている。」

    たしかに。あそこでイエスが死ぬことなく、おじいさんになるまで平和に暮らしたら、キリスト教はなかったかもしれません。
    あの若さで。冤罪で。ローマ人のもとに。ユダヤ人のことばで。酷い死に方で。
    だからユダは大事な存在なんですね。

    橋爪「ユダは神の計画の一部で、ユダを動かしているのは神だ、とさえ考えられる。『ユダの福音書』という本があって、しばらく前に発見され、最近翻訳が出ました。そういう立場で書かれているんです。」
    「非常に短いもので、要点を言うと、ユダはイエスが最も信頼した弟子だった。イエスキリストが十字架で死ぬという計画を実現するために、どうしてもユダの協力が必要になった。そこでイエスは、ユダに言う。『ユダよ。お前は弟子たちのなかでいちばん信頼できる。私を銀貨で売り渡してほしい。これを頼めるのはお前だけだ』。でユダはそのように実行した。
    これは、ペテロが一番の弟子で天国の鍵を預かり、ペテロ以降代々、法王の座を受け継いでいまに至っているというカトリック教会にしてみると、絶対に認められない福音書なんですね。それでこの翻訳が出たら、バチカンが声明を出し、英米圏のメディアでは大きく扱われたけど、日本では一行もニュースにならなかった。」

    そうでしょうね。ユダは悪役で。このままでいいと思います。キリスト教はほんとうに素晴らしいけど、すべてが真実である必要はないのだと思っています。
    続編も読みます!

  • 海外の文学を読むにあたって、神の存在は無視できないことのように思うという発想から本書を購入しました。
     なんといっても総称してキリスト教と言うのは一信教ですよね・・・多神教的発想の日本人の僕に、理解できるのだろうかという一抹の不安があったのは確かです。
     【本書より抜粋】
    「自分自身が無神論者だと思っていることと、実際に無神論であることとは違うのではないか。神を信じてはいないと信じていることと、実際に信じていないこととは別の事ではないか。そう考えると、無神論とは何か、と言うことは結構難しい問題になります。」

     本書は、総称してキリスト教の矛盾点を指摘し、それにそれなりの回答を付している本です。僕の見解からすると、矛盾点は払拭されませんでした。でも、理解するように努力しなければ西洋文学は、読めませんからね・・・。

  •  なんとなくずっと、「キリスト教ってのがよくわからん」というささやかな悩みがあったんで、なんとなく話題になっていたものをあまり考えずに購入。正直に言うと、あまり期待していなかった(笑)。の割には面白かった。
     橋爪大三郎さんというのが、ぐぐって調べると東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻価値論理講座言説編成分野教授という、寿限無そのもののようなサッパリワカラナイ肩書きの人で、大澤さんっていうのは元京大の人らしい。要はふたりの学者さんの対話形式の本。
     いったいキリスト教ってなんじゃらほい、というくだけた地平線からの本。僕もそうだけど、キリスト教に興味あるからって、旧約・新約聖書読破するほど余裕ないですもんね。僕は昔、旧約の創世記とヨブ記くらい読んだか・・・新約はほんとに拾い読み程度。。。

     でもこの新書は、そのくらいの基礎知識で楽しめます。ユダヤの民っていうのはどういう人たちなのか、からはじまって、旧約聖書ってどうやってできたのか。誰が作ったのか。イエスってどんな人だったの?なんで殺されたの?新約聖書って誰がいつ作ったの?とか、そういうレベルの話のオンパレード。結構、新書の命であるところの「ガッテン度合い」が高いです(笑)。スタイルは、大澤さんという人が「フツーに考えてさ、おかしーじゃないっすか」という質問者役。それに橋爪さんが答えるスタイル。

     それでもワカラナイところはいっぱいあって、大澤さんも、「むつかしいですよねー」とお茶を濁しているところもあるんだけど、やっぱり、少なくとも僕はなんとなくの先入観で考えてしまっていたキリスト教のありようがややクリアになりました。ま、例えば、「カトリックとそれ以外ってどう違うの?」とか「キリストの頃から結婚式やってたの?」とか、そういうこと。

     なんとなくどこかに俺は知らないけど決めゴトがあるんだろうなあ、というぼんやりしたトコロが少しでもクリアになる。大勢の人がなんとなくわかった気になっているけど、なんとなく大勢が誤解していることがいっぱいあるんだ、ということ。そういうことを発見するのはなんとなく楽しいですね。
     ま、こういうの読んでも商売にも生活にも、何も役立ちはしないんですけどね(笑) これもまた読書の快楽。

  •  近代化、むしろ西洋化された現代社会のあり方はキリスト教の思想がベースとなってしまっている。ならば現代社会の様相を知る上でキリスト教の世界観や思想を弁えておかなければならない。そこで社会学者である二人がキリスト教について対談形式でその基本的な世界観を概説する本。
     語っている二人がキリスト教信者でもなければ宗教者でも宗教学者でもないので、ユダヤ教やキリスト教に関する教義に、キリスト教関係者ならば絶対に言わないであろうツッコミやいじりを平気で交えている。そしてキリスト教の教義や思想が社会にどのようなインパクトを与えたのかを本の最後で「社会学的に」語っている(その点が受けているのだろうか、かなり売れているらしい)。イエスの復活や三位一体説の整合性など、なかなかキリスト教に関する基本的教義が理解しにくい面があるのも事実なので、その点の論理を平易に概説しているのが分かりやすい。

  • 最近「無宗教」を公言する人をみる度に
    血液型性格診断を批判する人へ抱くのと同じ嫌悪感を覚えることが多かった

    それは「何も知らないくせに、なぜ偉そうに否定するのか」
    という気持ちになるからであって別に血液占いを肯定するものではないけど
    キリスト教や他の宗教、無宗教ということについて
    僕はあまりに知らない事が多いという実感があった

    この本はすべての世界宗教・普遍宗教を横断的に捉え
    かつ根本的な性格を理解し深い洞察力をもつ(以上は自称)
    2人の社会学者の対話篇という形で知識を提供してくれる

    読後に、少なくともこの内容くらいは理解していないと
    グローバル時代の社会人として恥ずかしい事だった
    そう感じさせられた

  • キリスト教(ユダヤ教・イスラム教)を知ると、欧米の考え方の背景がわかります。
    そういうことかっ!!と膝を打ちながら、橋爪 大三郎+大澤 真幸のやりとりを笑いながら読みました。面白過ぎます。www

    米国にやり込められないために読むべきだと思います。
    まず、思考の仕方が違い過ぎる。
    バックに神がついてると思えばこそ、彼らは強気なのよ!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「彼らは強気なのよ! 」
      無慈悲さについては、どう考えているんでしょうね?
      「彼らは強気なのよ! 」
      無慈悲さについては、どう考えているんでしょうね?
      2012/04/11
  • 西欧だけでなく、世界中で現代社会に大きな影響を与えているキリスト教。本書はキリスト教を社会学的な切り口から解説した画期的かつわかりやすい1冊。
    ユダヤ教、イスラム教と比較しながら、なぜキリスト教が広まったのか、やや強引ともいえるような考え方が成り立った背景はなにかなどを解き明かす。橋爪大三郎さん、大澤真幸さんという大先生の対談形式で、とてもわかりやすく楽しみながら読めました。

  • 新書大賞2012.橋爪大三郎×大澤真幸対談集
    芸術、音楽、哲学に多大な影響を与えたカトリック。
    ペスト後のプロスタントによる自然科学、金融市場、資本主義の発展。
    そしてポストコロナの世界は何処へ。
    ざっくりキリスト教お勉強いいかもです。

  • 確かにキリスト教は不思議だ。

    ユダヤ教の成立から、歴史的事実を踏まえて、なんでこんな風になったのか考えて行く。
     面白い。
     一神教と多神教の違い。
     同じ一神教でも、なぜユダヤ教でなくイスラム教でなく、キリスト教が西洋文明を作ったのか。

     多分、いい加減だから。

     いい加減なものに帰依する自分を正当化するために、いろんな理屈を考えて来たんだろうね。

     面白い。

全534件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

橋爪大三郎(はしづめ だいさぶろう)
1948年、神奈川県生まれ。社会学者。
大学院大学至善館特命教授。東京工業大学名誉教授。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。
著書に『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)、『死の講義』(ダイヤモンド社)、『権力』(岩波書店)、『ふしぎなキリスト教』(大澤真幸氏との共著、講談社現代新書、新書大賞2012)、『おどろきのウクライナ』(大澤真幸氏との共著、集英社新書)、『げんきな日本論』(大澤真幸氏との共著、講談社現代新書)、『ゆかいな仏教』(大澤真幸氏との共著、知的生きかた文庫、[電子書籍版]サンガ新社)など多数。

「2025年 『鎌倉仏教革命 法然・道元・日蓮』 で使われていた紹介文から引用しています。」

橋爪大三郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×