ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)

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感想 : 568
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881005

作品紹介・あらすじ

日本人の神様とGODは何が違うか?起源からイエスの謎、近代社会への影響まですべての疑問に答える最強の入門書。挑発的な質問と明快な答え、日本を代表する二人の社会学者が徹底対論。

感想・レビュー・書評

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  • 対談形式でキリスト教の謎を解き明かそうとする良書。
    ユダヤ教、イスラム教、儒教、ヒンドゥー教、多神教の日本との関係。さらに政治、経済、芸術などへの影響をとてもわかりやすく解説してくれる。

  • 面白いです。
    こんな風に整理できるとは。
    売れている新書のリストから、興味を持てそうな物を選びました。

    近代に、西洋の文明や価値観が世界に広まっていった。
    民主主義も、市場経済も、科学技術も、すべての根底に実はキリスト教的な発想があり、これが日本人にはどこか理解しがたい面がある。
    それはなぜかを説き明かしていく内容。
    対談形式で、素朴な疑問から入っているので、とっつきやすい。
    あちらでは誰もが知っている聖書の内容に、少し詳しくなれます。
    わざと居酒屋談義調にしている所もあるようだけど。

    一神教と、儒教や仏教との違い。
    一神教では、神は絶対的な存在で、人間とは別次元。
    不幸や災いは神の試しで、好きなように出来る。
    すべてを作った存在だから、自然は神の物。
    科学はそれを人間が理解しようとするもの。
    奇跡は、自然の法則を作り出した神だから、その法則を越えることも出来るということ。

    キリスト教もユダヤ教もイスラム教も、同じ神を信仰している。
    ただ、ユダヤ教は律法を中心に発展した。
    イスラム教は、キリストをムハンマドよりも格の低い預言者の一人として扱っている。

    キリスト教はユダヤ教の一部として始まり、現在も旧約聖書を内包している。
    イエスはキリスト教を始めようとしたわけではなかっただろう。実在のイエス・キリストはマトリョーシカの一番内側の人形のような物では、と。

    パウロはギリシャ語で手紙を書き、それが聖書の元になっている。
    東方のギリシャ正教はそのままギリシャ語の聖書を使った。
    ローマ帝国がキリスト教を国教としたため、カトリックはラテン語の聖書を使った。
    民衆はラテン語は読めないか、そもそも字を読めなかったので、教会がなくてはキリスト教について知ることが出来なかった。
    偶像崇拝も禁止していたが、字が読めない人々に理解させるには像や絵が必要で、教会内の装飾や宗教芸術が発展していくことに。
    偶像崇拝とは、元々は土俗的な小さな神々を崇拝することを意味していた。

    さまざまな手続きが増えて教会が利権を独占していったのを、批判したのがプロテスタント。
    聖書を各国語に翻訳して、一人一人が読めるようにした。個人の信仰を大事にして、教会はシンプルに。

    日本人にとって理解しがたいのは、ユダヤ教が発展した環境が日本人とは全く違うから。
    ユダヤ人は敵に囲まれた環境で、侵略されて故郷を追われた所から、よりどころとしての宗教を進化させた。

    マルクス主義は「宗教は阿片だ」と批判したため、宗教とは正反対のように思われているが、じつは構造がキリスト教とそっくり。
    ソ連では、宗教を弾圧した代わりに共産主義が入った。
    今は中国でキリスト教が広まりつつある。

    日本人にとって神さまは先祖、身内、友達のようなもので、だから沢山いて良い。
    物にも何かが宿るという感覚があり、これはアニミズムの影響。
    物造りに熱中し、賛美するのは日本人が一番。
    イスラム国では製造業があまり発展しないのは、偶像崇拝を禁じているからではないかというのも面白い。

    イスラム圏は中世まではキリスト教圏をリードしていた。
    クルアーン(コーラン)があまりに詳しく生活の仕方なども定めているため、進歩が行き詰まった?
    キリスト教圏では、法律は人間が具体的に変えていくものという感覚で、柔軟性が強かった、など。

    テーマが大きく、歴史も長いので、おおざっぱな話になっている面もある。
    ここで力を入れなくてもと思うようなところで、力説していたり。
    日本人の宗教観も一つではないしねえ…
    ある角度から見るとこうなる、という限定付きかも。

  • 新書大賞を受賞してから割と早いうちに買ったのにずっと積みっぱなしだった。もっと早く読めばよかった。

    一神教について、期限としてのユダヤ教、ユダヤ教から生まれたキリスト教、あとから生まれたイスラム教。

    自分は他の多くの日本人と同じように、無宗教と言うか信仰に篤くない。でも海外の人たちは一神教を信じ、その信仰に基づく行動をとったりしている。一神教がそんなにいいのかな?なんて思いながら、もうちょっと理解したいとは前から思っていた。

    この本は、素人にもわかりやすくさまざまなキーワードについて対談形式で説明してくれる。しかも狙いとしては専門家にとっても読みごたえのあるものにしたいとしている。けっこう、大事なことは何回もしっかり取り上げてくれるので親切。本の厚さにビビっていたところがあったけど、親切のおかげで厚くなってたのねと感謝した。知的な人と知的な人が対談するとやっぱり面白い!

    世の中の近代化、科学、資本主義など、世の中のおよそあらゆるものが西洋つまりキリスト教の影響でできている。本書の中で述べているように中国がもっと影響力を高めていくのかは不明だけど、とにかく一神教の人たちの世界が進んでいくのはきっと間違いないと思うので、彼らの考え方を理解しておきたい。

    ずっと本棚に置いておきたい一冊。

  • 普通に生活している日本人が、キリスト教なるものにぼんやりと抱きがちな疑問について、社会学者が対談という形で「解説」する本です。

    本書は他のメディアやレビューにおいても絶賛されており、何よりよく売れた本ですので、ここではわたし個人が特に気になっていた2つの「ふしぎ」についてまとめておきたいと思います。

    ひとつめは、「三位一体」です。これは単なる理屈の問題のように思われますが、ディベートで劣勢に陥った体制派が、苦し紛れにひねり出したヤケクソのこじつけ、のように思われてなりませんでした。こんなものがなぜ「正統」として受け入れられてきたのか。

    これは第三部の最初(P.241~)に取り上げられます。「三位一体説を含め、さまざまな教義の矛盾を解決されるために「公会議」という権威が生み出された、公会議の結論を、強制力のあるものとして受け入れるのが"キリスト教の習慣"である」というような答えとなっています。しかし大澤氏は最後に"でもまあこれ(三位一体説)は、いつまでも何を言っているのかわからない説でもあります"と述べています。やはり外から見れば、"苦肉の策"ということのようです。

    ふたつめは、「救済予定説」です。「いかに勤勉に生きようと堕落しようと、そいつが救われるか否か、は最初から決まっている」。これをそのまま受け取ってしまうと、信者に対するきわめて冷淡な宣告であるように思われます。M.ウェーバーの有名な議論もありますが、信者が仮に「プロ倫」を読んだところで、わたしと同じように、わかったようなわからんような感じ、を抱いて終わってしまうのではなかろうか。それでも、「予定説」が粛々と受け入れられてきたのはなぜか。

    これは本書終盤のP.295~で取り上げられています。橋爪氏が持ち出すのはなんと「ゲーム理論」です。このゲームでは、自分の利益を最大化するならば、自堕落に暮らすことが支配戦略になります。ここまでは実感の通りです。しかし、ここから思わぬ展開になるのです。引用します。

    "このような状況で、もし勤勉に働いている人がいたら、それは神の恩寵によってそうなっているのです。勤勉に働くことは、神の命じた、隣人愛の実践である。この状況で、勤勉なことは、神の恩寵のあらわれです。となると、自分が神の恩寵を受けていると確信したければ、毎日勤勉に働くしかない(P.302)"

    要は、"自分はこのゲーム(=自分の利益最優先)からはみ出していること、すなわち神の恩寵を受けていることを証明したい"がために、勤勉に働く。ここまで説明されれば、完全に説得されたとは言えないまでも、とりあえず納得できました。

    その他、全体にわたって興味深いQ&Aが目白押し。目からウロコの傑作です。

  • 海外の文学を読むにあたって、神の存在は無視できないことのように思うという発想から本書を購入しました。
     なんといっても総称してキリスト教と言うのは一信教ですよね・・・多神教的発想の日本人の僕に、理解できるのだろうかという一抹の不安があったのは確かです。
     【本書より抜粋】
    「自分自身が無神論者だと思っていることと、実際に無神論であることとは違うのではないか。神を信じてはいないと信じていることと、実際に信じていないこととは別の事ではないか。そう考えると、無神論とは何か、と言うことは結構難しい問題になります。」

     本書は、総称してキリスト教の矛盾点を指摘し、それにそれなりの回答を付している本です。僕の見解からすると、矛盾点は払拭されませんでした。でも、理解するように努力しなければ西洋文学は、読めませんからね・・・。

  •  なんとなくずっと、「キリスト教ってのがよくわからん」というささやかな悩みがあったんで、なんとなく話題になっていたものをあまり考えずに購入。正直に言うと、あまり期待していなかった(笑)。の割には面白かった。
     橋爪大三郎さんというのが、ぐぐって調べると東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻価値論理講座言説編成分野教授という、寿限無そのもののようなサッパリワカラナイ肩書きの人で、大澤さんっていうのは元京大の人らしい。要はふたりの学者さんの対話形式の本。
     いったいキリスト教ってなんじゃらほい、というくだけた地平線からの本。僕もそうだけど、キリスト教に興味あるからって、旧約・新約聖書読破するほど余裕ないですもんね。僕は昔、旧約の創世記とヨブ記くらい読んだか・・・新約はほんとに拾い読み程度。。。

     でもこの新書は、そのくらいの基礎知識で楽しめます。ユダヤの民っていうのはどういう人たちなのか、からはじまって、旧約聖書ってどうやってできたのか。誰が作ったのか。イエスってどんな人だったの?なんで殺されたの?新約聖書って誰がいつ作ったの?とか、そういうレベルの話のオンパレード。結構、新書の命であるところの「ガッテン度合い」が高いです(笑)。スタイルは、大澤さんという人が「フツーに考えてさ、おかしーじゃないっすか」という質問者役。それに橋爪さんが答えるスタイル。

     それでもワカラナイところはいっぱいあって、大澤さんも、「むつかしいですよねー」とお茶を濁しているところもあるんだけど、やっぱり、少なくとも僕はなんとなくの先入観で考えてしまっていたキリスト教のありようがややクリアになりました。ま、例えば、「カトリックとそれ以外ってどう違うの?」とか「キリストの頃から結婚式やってたの?」とか、そういうこと。

     なんとなくどこかに俺は知らないけど決めゴトがあるんだろうなあ、というぼんやりしたトコロが少しでもクリアになる。大勢の人がなんとなくわかった気になっているけど、なんとなく大勢が誤解していることがいっぱいあるんだ、ということ。そういうことを発見するのはなんとなく楽しいですね。
     ま、こういうの読んでも商売にも生活にも、何も役立ちはしないんですけどね(笑) これもまた読書の快楽。

  •  近代化、むしろ西洋化された現代社会のあり方はキリスト教の思想がベースとなってしまっている。ならば現代社会の様相を知る上でキリスト教の世界観や思想を弁えておかなければならない。そこで社会学者である二人がキリスト教について対談形式でその基本的な世界観を概説する本。
     語っている二人がキリスト教信者でもなければ宗教者でも宗教学者でもないので、ユダヤ教やキリスト教に関する教義に、キリスト教関係者ならば絶対に言わないであろうツッコミやいじりを平気で交えている。そしてキリスト教の教義や思想が社会にどのようなインパクトを与えたのかを本の最後で「社会学的に」語っている(その点が受けているのだろうか、かなり売れているらしい)。イエスの復活や三位一体説の整合性など、なかなかキリスト教に関する基本的教義が理解しにくい面があるのも事実なので、その点の論理を平易に概説しているのが分かりやすい。

  • 最近「無宗教」を公言する人をみる度に
    血液型性格診断を批判する人へ抱くのと同じ嫌悪感を覚えることが多かった

    それは「何も知らないくせに、なぜ偉そうに否定するのか」
    という気持ちになるからであって別に血液占いを肯定するものではないけど
    キリスト教や他の宗教、無宗教ということについて
    僕はあまりに知らない事が多いという実感があった

    この本はすべての世界宗教・普遍宗教を横断的に捉え
    かつ根本的な性格を理解し深い洞察力をもつ(以上は自称)
    2人の社会学者の対話篇という形で知識を提供してくれる

    読後に、少なくともこの内容くらいは理解していないと
    グローバル時代の社会人として恥ずかしい事だった
    そう感じさせられた

  • キリスト教(ユダヤ教・イスラム教)を知ると、欧米の考え方の背景がわかります。
    そういうことかっ!!と膝を打ちながら、橋爪 大三郎+大澤 真幸のやりとりを笑いながら読みました。面白過ぎます。www

    米国にやり込められないために読むべきだと思います。
    まず、思考の仕方が違い過ぎる。
    バックに神がついてると思えばこそ、彼らは強気なのよ!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「彼らは強気なのよ! 」
      無慈悲さについては、どう考えているんでしょうね?
      「彼らは強気なのよ! 」
      無慈悲さについては、どう考えているんでしょうね?
      2012/04/11
  • 新書大賞2012.橋爪大三郎×大澤真幸対談集
    芸術、音楽、哲学に多大な影響を与えたカトリック。
    ペスト後のプロスタントによる自然科学、金融市場、資本主義の発展。
    そしてポストコロナの世界は何処へ。
    ざっくりキリスト教お勉強いいかもです。

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著者プロフィール

橋爪大三郎(はしづめ・だいさぶろう)
1948年、神奈川県生まれ。社会学者。大学院大学至善館教授。東京工業大学名誉教授。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。著書に、『仏教の言説戦略』(勁草書房)、『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『教養としての聖書』(光文社新書)、『死の講義』(ダイヤモンド社)、『中国 vs アメリカ』(河出新書)、『いまさら聞けないキリスト教のおバカ質問』(文春新書)、共著に、『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』(以上、講談社現代新書)、『世界史の分岐点』(SB新書)など多数。

「2022年 『ゆかいな仏教』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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