ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)

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レビュー : 504
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881005

作品紹介・あらすじ

日本人の神様とGODは何が違うか?起源からイエスの謎、近代社会への影響まですべての疑問に答える最強の入門書。挑発的な質問と明快な答え、日本を代表する二人の社会学者が徹底対論。

感想・レビュー・書評

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  •  以前はキリスト教が嫌いだった。
     特に理由もなく、多分感覚として受け入れられなかったんだと思う。
     最近は以前ほどでもなく、かといって回心する訳でもなく、ほどほどに理解できるかな、といった状況だった。
     いずれにしても、キリスト教については詳しくは知らない。
     いや、実は小さいころカトリック系教会が主催するボーイ・スカウトに入隊していた。
     毎週日曜日に教会に集まり、まず聖書の朗読をきき、讃美歌を歌い、なんてことをしていた。
     ボーイ・スカウトとして、ヨーロッパ旅行にもいった。
     あのバチカン王国にもいき、そこで僕の友達は洗礼を受けた。
     あくまでも小さい頃の話だけれど、聖書の内容や讃美歌のメロディなどは今でも覚えている。
     はてさて、そんな「キリスト教音痴」なものとして、とりあえずは知識としてのキリスト教を抑えておきたいな、ということでこの本を手にとった。
     三章に分かれていて、それぞれ「一神教を理解する」「イエス・キリストとは何か」「いかに『西洋』を作ったか」となっている。
     どの章も面白く読めたのだが、一番面白かったのは最後の「いかに『西洋』を作ったか」であった。

     この章を読み終わって受けた印象をかいつまんでメモしておいたのが以下。

     合理性を保つために、屁理屈の上に成り立っている宗教。
    「合理性」を「自分たちに都合のよい状態」と言い換えてもいいかもしれない。
     妥協案や折衷案が飛び交い、異端者を排除し、そうして濾過に濾過を重ねた結果が今の姿。
     ユダヤ教やイスラム教に比べて、不完全な印象を受ける。
     その不完全さが今日の世界主流になりえた主な要因のようにも思える。
     要するに「融通がきく」宗教だったのではないか。
    「融通がきく」あるいは「応用がきく」からこそ宗教的な事柄が、世俗化されていくという、さまざまな逆説が通用し得たのではないか。

     読んですぐに分かるように「完全に理解できたつもりになって、とても偉そうに書いている」ということ。
     自分でもちょっと赤面。

     で、実際にこの本を読んだ本当の感想は、実はこの本のオビに書かれている宣伝文句ですでに明らかにされている。
     僕の大好きな作家のひとりである高橋源一郎氏の推薦コピーがそれ。
    「読んだだけで、キリスト教が完全に理解できたような気がする、他に例のない恐ろしい本(以下略)」。

     そうなのよ、完全に理解できたつもりになれる(でなければ、前出のようなメモを書き残したりはしない)のよ。
     それがこの本のすごいところ。
     でもって、読み終わって、あくび混じりの背伸びをして、トイレで用を足した途端、書かれていた殆どのことを忘れてしまう。
     それがこの僕のわるいところ。

  • 海外の文学を読むにあたって、神の存在は無視できないことのように思うという発想から本書を購入しました。
     なんといっても総称してキリスト教と言うのは一信教ですよね・・・多神教的発想の日本人の僕に、理解できるのだろうかという一抹の不安があったのは確かです。
     【本書より抜粋】
    「自分自身が無神論者だと思っていることと、実際に無神論であることとは違うのではないか。神を信じてはいないと信じていることと、実際に信じていないこととは別の事ではないか。そう考えると、無神論とは何か、と言うことは結構難しい問題になります。」

     本書は、総称してキリスト教の矛盾点を指摘し、それにそれなりの回答を付している本です。僕の見解からすると、矛盾点は払拭されませんでした。でも、理解するように努力しなければ西洋文学は、読めませんからね・・・。

  •  なんとなくずっと、「キリスト教ってのがよくわからん」というささやかな悩みがあったんで、なんとなく話題になっていたものをあまり考えずに購入。正直に言うと、あまり期待していなかった(笑)。の割には面白かった。
     橋爪大三郎さんというのが、ぐぐって調べると東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻価値論理講座言説編成分野教授という、寿限無そのもののようなサッパリワカラナイ肩書きの人で、大澤さんっていうのは元京大の人らしい。要はふたりの学者さんの対話形式の本。
     いったいキリスト教ってなんじゃらほい、というくだけた地平線からの本。僕もそうだけど、キリスト教に興味あるからって、旧約・新約聖書読破するほど余裕ないですもんね。僕は昔、旧約の創世記とヨブ記くらい読んだか・・・新約はほんとに拾い読み程度。。。

     でもこの新書は、そのくらいの基礎知識で楽しめます。ユダヤの民っていうのはどういう人たちなのか、からはじまって、旧約聖書ってどうやってできたのか。誰が作ったのか。イエスってどんな人だったの?なんで殺されたの?新約聖書って誰がいつ作ったの?とか、そういうレベルの話のオンパレード。結構、新書の命であるところの「ガッテン度合い」が高いです(笑)。スタイルは、大澤さんという人が「フツーに考えてさ、おかしーじゃないっすか」という質問者役。それに橋爪さんが答えるスタイル。

     それでもワカラナイところはいっぱいあって、大澤さんも、「むつかしいですよねー」とお茶を濁しているところもあるんだけど、やっぱり、少なくとも僕はなんとなくの先入観で考えてしまっていたキリスト教のありようがややクリアになりました。ま、例えば、「カトリックとそれ以外ってどう違うの?」とか「キリストの頃から結婚式やってたの?」とか、そういうこと。

     なんとなくどこかに俺は知らないけど決めゴトがあるんだろうなあ、というぼんやりしたトコロが少しでもクリアになる。大勢の人がなんとなくわかった気になっているけど、なんとなく大勢が誤解していることがいっぱいあるんだ、ということ。そういうことを発見するのはなんとなく楽しいですね。
     ま、こういうの読んでも商売にも生活にも、何も役立ちはしないんですけどね(笑) これもまた読書の快楽。

  • 面白いです。
    こんな風に整理できるとは。
    売れている新書のリストから、興味を持てそうな物を選びました。

    近代に、西洋の文明や価値観が世界に広まっていった。
    民主主義も、市場経済も、科学技術も、すべての根底に実はキリスト教的な発想があり、これが日本人にはどこか理解しがたい面がある。
    それはなぜかを説き明かしていく内容。
    対談形式で、素朴な疑問から入っているので、とっつきやすい。
    あちらでは誰もが知っている聖書の内容に、少し詳しくなれます。
    わざと居酒屋談義調にしている所もあるようだけど。

    一神教と、儒教や仏教との違い。
    一神教では、神は絶対的な存在で、人間とは別次元。
    不幸や災いは神の試しで、好きなように出来る。
    すべてを作った存在だから、自然は神の物。
    科学はそれを人間が理解しようとするもの。
    奇跡は、自然の法則を作り出した神だから、その法則を越えることも出来るということ。

    キリスト教もユダヤ教もイスラム教も、同じ神を信仰している。
    ただ、ユダヤ教は律法を中心に発展した。
    イスラム教は、キリストをムハンマドよりも格の低い預言者の一人として扱っている。

    キリスト教はユダヤ教の一部として始まり、現在も旧約聖書を内包している。
    イエスはキリスト教を始めようとしたわけではなかっただろう。実在のイエス・キリストはマトリョーシカの一番内側の人形のような物では、と。

    パウロはギリシャ語で手紙を書き、それが聖書の元になっている。
    東方のギリシャ正教はそのままギリシャ語の聖書を使った。
    ローマ帝国がキリスト教を国教としたため、カトリックはラテン語の聖書を使った。
    民衆はラテン語は読めないか、そもそも字を読めなかったので、教会がなくてはキリスト教について知ることが出来なかった。
    偶像崇拝も禁止していたが、字が読めない人々に理解させるには像や絵が必要で、教会内の装飾や宗教芸術が発展していくことに。
    偶像崇拝とは、元々は土俗的な小さな神々を崇拝することを意味していた。

    さまざまな手続きが増えて教会が利権を独占していったのを、批判したのがプロテスタント。
    聖書を各国語に翻訳して、一人一人が読めるようにした。個人の信仰を大事にして、教会はシンプルに。

    日本人にとって理解しがたいのは、ユダヤ教が発展した環境が日本人とは全く違うから。
    ユダヤ人は敵に囲まれた環境で、侵略されて故郷を追われた所から、よりどころとしての宗教を進化させた。

    マルクス主義は「宗教は阿片だ」と批判したため、宗教とは正反対のように思われているが、じつは構造がキリスト教とそっくり。
    ソ連では、宗教を弾圧した代わりに共産主義が入った。
    今は中国でキリスト教が広まりつつある。

    日本人にとって神さまは先祖、身内、友達のようなもので、だから沢山いて良い。
    物にも何かが宿るという感覚があり、これはアニミズムの影響。
    物造りに熱中し、賛美するのは日本人が一番。
    イスラム国では製造業があまり発展しないのは、偶像崇拝を禁じているからではないかというのも面白い。

    イスラム圏は中世まではキリスト教圏をリードしていた。
    クルアーン(コーラン)があまりに詳しく生活の仕方なども定めているため、進歩が行き詰まった?
    キリスト教圏では、法律は人間が具体的に変えていくものという感覚で、柔軟性が強かった、など。

    テーマが大きく、歴史も長いので、おおざっぱな話になっている面もある。
    ここで力を入れなくてもと思うようなところで、力説していたり。
    日本人の宗教観も一つではないしねえ…
    ある角度から見るとこうなる、という限定付きかも。

  •  近代化、むしろ西洋化された現代社会のあり方はキリスト教の思想がベースとなってしまっている。ならば現代社会の様相を知る上でキリスト教の世界観や思想を弁えておかなければならない。そこで社会学者である二人がキリスト教について対談形式でその基本的な世界観を概説する本。
     語っている二人がキリスト教信者でもなければ宗教者でも宗教学者でもないので、ユダヤ教やキリスト教に関する教義に、キリスト教関係者ならば絶対に言わないであろうツッコミやいじりを平気で交えている。そしてキリスト教の教義や思想が社会にどのようなインパクトを与えたのかを本の最後で「社会学的に」語っている(その点が受けているのだろうか、かなり売れているらしい)。イエスの復活や三位一体説の整合性など、なかなかキリスト教に関する基本的教義が理解しにくい面があるのも事実なので、その点の論理を平易に概説しているのが分かりやすい。

  • 最近「無宗教」を公言する人をみる度に
    血液型性格診断を批判する人へ抱くのと同じ嫌悪感を覚えることが多かった

    それは「何も知らないくせに、なぜ偉そうに否定するのか」
    という気持ちになるからであって別に血液占いを肯定するものではないけど
    キリスト教や他の宗教、無宗教ということについて
    僕はあまりに知らない事が多いという実感があった

    この本はすべての世界宗教・普遍宗教を横断的に捉え
    かつ根本的な性格を理解し深い洞察力をもつ(以上は自称)
    2人の社会学者の対話篇という形で知識を提供してくれる

    読後に、少なくともこの内容くらいは理解していないと
    グローバル時代の社会人として恥ずかしい事だった
    そう感じさせられた

  • キリスト教(ユダヤ教・イスラム教)を知ると、欧米の考え方の背景がわかります。
    そういうことかっ!!と膝を打ちながら、橋爪 大三郎+大澤 真幸のやりとりを笑いながら読みました。面白過ぎます。www

    米国にやり込められないために読むべきだと思います。
    まず、思考の仕方が違い過ぎる。
    バックに神がついてると思えばこそ、彼らは強気なのよ!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「彼らは強気なのよ! 」
      無慈悲さについては、どう考えているんでしょうね?
      「彼らは強気なのよ! 」
      無慈悲さについては、どう考えているんでしょうね?
      2012/04/11
  • 分かりやすくてフラットでとてもよく出来ている。キリスト教の要素を学ぶことは現代日本を考える上で重要、というのを説明するのに私は下手だし、納得する説明が出来なかった。これなら、答えの一つになるだろう。

    あとがきにありますように、戦後日本という表札のある家族について「日本国憲法」「民主主義」「市場経済」「科学技術」「文化芸術」という子供がいるが全員養子ときた……、その当たり前を何故?と説明するのにも役に立つと思うし、他の家の養子お断りの姿勢も何となく理解するにも役に立つのかも知れない。

    でもやっぱり、宗教学概論はこれを切っ掛けに読んでほしい。

  • 予約者がそんなにいなかったのに、手元に届くまで半年以上もかかりました。
    厚くないし難しくもないのになぜでしょう?
    小説みたいに一気に読まないと気が済まない流れではないからかもしれません。

    自分はキリスト教関係の本をいろいろ読んできましたが、社会学の専門家、しかも二人で対談というのは初めてで、とても面白かったです。

    キリスト教には疑問がいっぱいです。
    この本でそのいくつかに納得できました。

    ひとつだけここに書き残します。まったく考えなかった知らなかったことなので。
    ユダの裏切りというテーマです。

    大澤「もし人類の歴史の中で最も影響力の大きかった出来事を一つ挙げろと言われたら、ぼくはイエスの処刑だと思うんです。たった一人の人間の死が、結果的には人類史に圧倒的な足跡を残し、いまでも大きな影響を及ぼしている。」

    たしかに。あそこでイエスが死ぬことなく、おじいさんになるまで平和に暮らしたら、キリスト教はなかったかもしれません。
    あの若さで。冤罪で。ローマ人のもとに。ユダヤ人のことばで。酷い死に方で。
    だからユダは大事な存在なんですね。

    橋爪「ユダは神の計画の一部で、ユダを動かしているのは神だ、とさえ考えられる。『ユダの福音書』という本があって、しばらく前に発見され、最近翻訳が出ました。そういう立場で書かれているんです。」
    「非常に短いもので、要点を言うと、ユダはイエスが最も信頼した弟子だった。イエスキリストが十字架で死ぬという計画を実現するために、どうしてもユダの協力が必要になった。そこでイエスは、ユダに言う。『ユダよ。お前は弟子たちのなかでいちばん信頼できる。私を銀貨で売り渡してほしい。これを頼めるのはお前だけだ』。でユダはそのように実行した。
    これは、ペテロが一番の弟子で天国の鍵を預かり、ペテロ以降代々、法王の座を受け継いでいまに至っているというカトリック教会にしてみると、絶対に認められない福音書なんですね。それでこの翻訳が出たら、バチカンが声明を出し、英米圏のメディアでは大きく扱われたけど、日本では一行もニュースにならなかった。」

    そうでしょうね。ユダは悪役で。このままでいいと思います。キリスト教はほんとうに素晴らしいけど、すべてが真実である必要はないのだと思っています。
    続編も読みます!

  • 一般人がキリスト教に持つ疑問、違和感が対話形式で専門家が解説している。ユダヤ教やキリスト教、イスラム教等の一神教は何故、発生したのかの考察は新鮮で興味深い。一言で言えばその民族が経験した過酷な運命が多神を捨てさせる結果になったと。

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プロフィール

1949年、神奈川県生まれ。社会学者。東京工業大学名誉教授。77年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。95~2013年、東京工業大学教授。主な著書に『はじめての構造主義』『はじめての言語ゲーム』(以上、講談社現代新書、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)、『世界は宗教で動いている』『戦争の社会学』(以上、光文社新書)、『国家緊急権』(NHKブックス)、『政治の教室』(講談社学術文庫)、『丸山眞男の憂鬱』(講談社選書メチエ)、『フリーメイソン』(小学館新書)、『世界は四大文明でできている』(NHK出版新書)など多数。

「2018年 『政治の哲学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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