- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062881166
作品紹介・あらすじ
発達障害から発達凸凹へ。発達障害児の陰に潜む家庭の問題とは?こころの骨折・トラウマはどう治す?脳と神経に何が起こっているのか。
感想・レビュー・書評
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2011年の本なのだけど、紹介されていただけあって、分かりやすかった。
分かりやすい反面、読んでいると、色々苦しいことを思い出したり考えたりしたし、今もそれが考え方や行動に及んでいたりする。
発達障害と虐待は結び付きやすく、愛着形成の阻害とトラウマが加わることで悪化すること。
そして、虐待は親の代から連鎖的に受け継がれていき、親御さん自身が発達障害を抱えている場合も少なくないということ。
自閉症スペクトラム、緘黙、不登校などの背景にはこうした問題が解決されないまま、大人になっていく子どもたちもいる。
私が知っている中でも、やはり親自身も精神的に病んでいたり、兄弟も学校に行けていなかったりという背景を持っている人がいた。
ただ、トラウマや拒食症を治していく話や、発達障害への対応の仕方、また大人の発達障害の話など、筆者が患者さんたちと向き合ってきた姿が見え、希望も感じられる。
学校に行けないとか、会社に行けないという状況に対して、行きたくなければ行かなくていいよ、という言葉を私自身はすんなり言えずにいる。
よく「困り感」という言葉で表されるけれど、その困った部分を取り除けるように様々な場所に頼りながら一緒にやっていく姿勢が、まずは大事だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2023/08/24 Kindle
いい本だと思った -
とても内容の濃い本だった。発達凸凹はマイナスではなく、得意を伸ばせば独創的な活動のできる人になる。だが、発達障害となると社会や周囲への適応が難しくなり、加害性、被害性を帯びることもある。また、従来の精神科診断では見落とされがちであった「発達」と「トラウマ」の問題の重要性を指摘。発達凸凹を障害にしない、トラウマを作らないための周囲の対処法も説明されている。より理解を深めたい。
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凸凹理論、ここに。被虐待児童と被虐待経験のある成人を数多く診てきた著者だから語れるものがここにある。ラベルを貼るのではなく、特性として理解し、アセスメントすることが共生への第一歩だろう。システム論を援用した構造的な理解との併用が必要であるが...。
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発達障害治療者視点の本。重症な発達障害(虐待・第二世代・クレーマー化など)の対策も網羅されていて、専門的。本気で発達障碍者と向き合おうとしてきた著者の姿勢がうかがえ、症例も多数。
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前著も目から鱗だったが、本書も本当に知っておくべきことが学べた、という衝撃をもって読み終えた。読むのと読まないのとでは、全く人を見る目が変わってしまう著書だ。今後の精神医学にとって、トラウマと発達障害の扱いがメインテーマという著者の主張に深く首肯した。日本の転換期を作る本だ。
・胎盤の重さに関係が認められるのは、母親の年齢ではなく、父親の年齢。
・男性脳と女性脳の明確な違い。自閉症率の違いが。
・自閉症スペクトラム同士の結婚と自閉症スペクトラムと元被虐待児の結婚例が多い。
・虐待的絆。いくら忌避される記憶でも、子どもたちにはそれこそ生きる基盤になっている。
・虐待の脳への影響は、発達障害よりもはるかに甚大で広範囲。
・緘黙に自閉症が併存。入院が奏功する。外来で遊戯療法は無意味。
・人に評価されるには目立つのがよいと、無理をして立候補して、逆に顰蹙を買う。
・二つのことが一度にできない
・整理整頓が出来ない、整理魔も。
・興味の偏りが激しい。興味のないことを完全に無視する。代償はハウツー本の信奉として現れる。
・KYと他者配慮が出来ないはべつもの。
・集団での介入は難しい。親への指導を含んだ個別対応が良い。
・強く叱責された時は周囲の情報が飛んでしまい、叱られたということだけが残る。 -
発達凸凹。新しい概念。障害というより個性尊重な感じで、とらえやすい。
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精神病と自閉症スペクトラムの関係がわかりやすく説明されている本。トラウマ治療の方法EMDRをもっと詳しく知りたいし、簡易的にでも自宅で対処できる方法があれば知りたい。
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【書誌情報】
製品名:発達障害のいま
著者:杉山 登志郎
発売日:2011年07月15日
定価:本体800円(税別)
ISBN:978-4-06-288116-6
通巻番号:2116
判型:新書
ページ数:264
シリーズ:講談社現代新書
18万部のロングセラー『発達障害の子どもたち』に、待望の続編が登場! 発達障害児の陰に潜む家庭の問題とは? こころの骨折・トラウマはどう治す? 脳と神経に何が起こっているのか? 「発達凸凹」という新しい考え方とは? 保護者、教育関係者から小児科医まで必読の書。
〈http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000210602〉
【簡易目次】
目次 [003-005]
発達障害の新たな分類とその経過 [006-007]
序章 母子並行治療をおこなったヒナコ 009
第一章 発達障害はなぜ増えているのか 025
第二章 発達凸凹とは 043
第三章 発達凸凹の可能性 065
第四章 トラウマの衝撃 087
第五章 トラウマ処理 117
第六章 発達障害とトラウマ 136
第七章 発達障害と精神科疾患 その1 159
第八章 発達障害と精神科疾患 その2 189
第九章 未診断の発達障害、発達凸凹への対応 221
終章 療育、治療、予防について 239
主要参考文献 [253-255]
あとがき [256-259]
著者紹介
杉山登志郎(スギヤマ トシロウ)
1951年、静岡県生まれ。あいち小児保健医療総合センター心療科部長などを経て、2010年より浜松医科大学児童青年期精神医学講座特任教授。日本における児童精神医学の第一人者で、多くの患者や家族、医療関係者、教育関係者から信頼を得ている。