ビジネスマンのための「行動観察」入門 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881258

作品紹介・あらすじ

行動観察でわかったオフィスでの働き方の真実。

感想・レビュー・書評

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  • 「いたずらに対象者を増やして表面的な調査」を行った結果、検証に時間がかかってアイディアが古びてしまう…という事態にならないよう、本書の手法は、少ない対象件数でもいいので、まずは「行動観察」して、仮説を立てることを推奨する。
    そして「その仮説に基づいたソリューション案を考えた後、そのソリューションを簡易に導入して、その効果を確認する」という進め方が、スピーディーかつ知的で新鮮だった。

    スーパー銭湯の待合コーナーにいるのは男性か子供
    →飲み物を買うのは主に子供なので、自動販売機も子供に売れそうなものが1番良い場所に設置されている
    →しかし、子供が飲み物を買うためには、お父さんの承認が必要
    →「つまり、飲み物を楽しんでもらおうと思えば、買うのが子供中心であっても、まずはお父さんに買う気になってもらったほうがよい」
    →自動販売機は風呂上がりにお父さんが飲みたくなる飲み物を全面に出す
    →結果、売り上げが上がる
    というソリューションの流れなど、面白い事例がたくさん紹介されていて興味深い。

    私は営業職なので、優秀な営業マンの行動の特徴として事例が上がっていた、どのお客さんにも「必ず一つ小さな親切をしてくる」というのを実践してみたいと思った。

  • 1.自分が今後、人間分析で深めなければならないポイントは?この本を通じて自分の振り返りを行っていく

    2.行動観察とは、ありのままの生活を観察し(現実をとらえる)、問題をしっかりと把握することです。なぜ行動観察が重要かというと、①言語化されていないニーズやノウハウを抽出できること、②社会通念のバイアスを排除できること(先入観の排除)からです。つまり、現場から新しい発見を偏見なく収集できることが有効な点と著者は述べています。
    これを踏まえ、第2章では著者が携わってきた案件を紹介しながらワ-キングウーマンや残業代の軽減などあらゆる事例が紹介されています。

    3.自分に足りないところは、一度考えることでした。著者の言葉で言うとobserveではなくseeでしか物事を見ていなかったため、わからないのループ、浅い思考での理解にとどまっていました。自分の持ってる知識を結び付けてはいたものの、それがあっているのかを検証する作業が甘くなっていました。ここで臆せず人に聞いたり、再度考え直して、立ち止まって考えることをしていきたいと思いました。

  • 新書はなかなか読み進まないことが多いが、この本は文章が分かりやすく事例も豊富かつ具体的でとても読みやすかった。
    「他人から言われてやるよりも、自分で気づいて行動に取り入れる方が成長する」、これは子育てにもぴったり当てはまるなあと納得。
    人間工学や心理学を一度学んでみたいと思った。

  • サイエンスでは信頼性と妥当性の両立が求められるがビジネスでは妥当性とスピードが求められる。十分なnによる仮説の検証ではなく,現象や実態を十分に観察し妥当な仮説を生成し,それを現場のソリューションに結びつける。
    心理学の知見はどれも完全ではないが,自説に関連付いている知見を積極的に援用するところが興味深い。心理学って役に立つと思わせる。研究者は知見で説明できないことは知見の妥当性を下げると認識しがちだが,実践者は知見で説明できることがあればその知見は妥当だと認識する傾向があるのかもしれない。同じ現象でもどう捉えるか,どう見せるか,どう意味づけるかをこの本でも繰り返し述べられる。

  • 現場でひとはどう行動するのかを観察することで、その環境の問題点を改善していく!
    問題意識を持って観察すると見るべきポイントがこんなにも出てくるんだなだという感じ。

    事例が多く、参考になる。
    自分の職場ならどうか?という視点を持って読めた。

    面白かった。もっと観察しよう!

  • p.154
    観察調査員として重要なのは観察対象者との信頼関係である。そして、優秀な営業マンとして重要なのは、お客さんとの信頼関係である。その意味で、Jさんにノウハウを教えてもらった上に、さらにお昼までご馳走になったことは、私にとって何よりの勲章であった。
    → よい読書会はファシリテータと参加者の信頼関係で決まる。参加者との信頼関係が成立するまでは永遠にアイスブレークを続けることは本望である。方や、参加者を自分の都合に合わせてコントロールするなぞ、読書会としては本末転倒である。

  • 行動を観るだけでなく、観た結果、察するところまでもっていくことで、
    モノゴトのあるべき姿や性質を見極めて、課題を抽出する。

    入門書ということで、あくまで紹介ベースの内容しか記載されていない。
    これを読んだからといってできるようになったり、
    行動観察のためのフレームワークが身についたりするわけではない。

    まずは知ることが第一歩ということで。

    (以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
    ○ 「家事は達成感がないですね、私の中では」
     「褒められようなんて思ってないです。主婦になったら家事は宿命ですよね」
     家事に達成感がないという言葉には重みがあった。
     家事は毎日続く仕事である。しかも終わりがない。
     掃除、洗濯、ご飯の用意は、ずっと繰り返し続く仕事であり、
     「ある点で成し遂げたことを振り返る」タイミングがない。
     完璧にこなして当たり前であり、落ち度があれば指摘される。
     これでは「家事で達成感を感じよう」というほうが無理であろう。(P.47-48)
    ○「ヒックの法則」によると、
     「人間の意思決定にかかる時間は、選択行為おけるエントロピー量に比例する
     (T=blog(n+1) ※対数の底は2)」(P.69)
    ○プロスペクト理論とは、ごくごく簡単に言えば、
     「人間は得することよりも、損することを過大に評価する。
     そのために、得をしようと意思決定するよりも、損しないように意思決定する。)(P.76)
    ○Atention Restoration Theory(注意回復理論)という理論がある。
     疲れている人間が自然物を見ると集中力が回復するというものだ。(P.99)
    ○私たちは通常n数(サンプル数)を膨大に取っていない。
     というのは、仮説があったうえでそれを検証するのであればn数が多いのに越したことはないが、
     サービスにイノベーションを起こすためには、
     まず「何が課題か?」「どうすれば解決できそうか?」という
     「仮説を生み出すこと」のほうがはるかに重要だからである。(P.110-111)
    ○「僕はどうすれば優秀な営業マンになれますかね」という漠然とした
     一般論的な質問に答えるのは困難だが、
     「こういうシチュエーションで、こういうお客さんから、こういうことを言われたらどうすればよいか」
     という具体的な質問に答えるのはJさんにとっていとも簡単なことであった。(P.149)
    ○「生産性を上げることで余暇の時間を作ってもっと家族サービスをしよう」
     「生産性を上げて得られた時間で、次のビジネスをみんなで考えよう」
     といったように、何らかの前向きな理由の説明が必要である。(P.170)

  • 行動観察 ①観察②分析③改善
    ホームズ「君はobserveしていない。ただseeしているだけだ。私が言いたいのは観察するのと見るのは全然違うということだ」

    ワーキングマザー観察→相手に目的を伝え成功。
    家事に感謝の言葉なし→家事で達成感を感じるのは無理。→自分へのご褒美ビール,エステ

    ヒックの法則(情報が多い→理解できない)

    優秀な営業マン=優秀な観察者。脳を通してから言葉にする。
    本人が意識しなくても,行動には心理学的な裏付けがある。

    ストーリーにして覚える→「空港 カクテル 腎臓」
    車のナンバー「御社の車のナンバーは意味があるのですか?」

    会社説明 ×創立年月日データ ○おもしろエピソード

    ホーソン効果(従業員がやる気を出した。)

    自分だけは論理的に考えている→客観的にはそれほど論理的ではない(フレデリックテイラー)

    自分の価値観から自由になって考える(医師=男?)
    人間工学,心理学→役に立つ

    アメリカ→謙虚さ=自信のなさ

    行動観察→気づき→まねる→個人の能力アップ

  • 何度読んでもおもしろい本です。もっと注目されてもいいだろうけど、全体的に冗長です。ドキュメンタリーチックな感じが人によっては読みづらいというかまどろっこしく感じるかと思います。新書で教本ではないので仕方がないですが、もう少し行動観察を行う上でノウハウが公開されているとよかったかなと思います。

  • デザイン思考の勉強になる

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著者プロフィール

(まつなみ はるひと)
大阪ガス行動観察研究所所長。株式会社エルネット技術顧問。経済産業省サービス工学推進委員会委員。一九六六年大阪生まれ。神戸大学工学部環境計画学科卒業。神戸大学大学院工学研究科修士課程修了、大阪ガス入社後基盤研究所にて、生理心理学、人間工学関係の研究活動に従事。米国コーネル大学大学院にて修士号(Master of Science)取得後、和歌山大学にて博士(工学)を取得。二〇〇五年より行動観察ビジネスを開始。〇九年に大阪ガス行動観察研究所を設立し、所長に就任。共著に『ヒット商品を生む 観察工学』(共立出版)がある。

「2011年 『ビジネスマンのための「行動観察」入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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