- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062881364
作品紹介・あらすじ
私たちはこの災禍を転機にできるのか?日本型システムの脆さ、地域経済復興の壁、災害ボランティア…新雅史、関谷直也、西田亮介、高原基彰ら気鋭の社会学者が論じる。
感想・レビュー・書評
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小川君に借りた本。
面白かった。
こういうしっかりとした記述を通じて世界を把握していく努力はとても大事だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
社会
東日本大震災 -
いくらか、象牙の塔的な、大学の研究室に篭って書きました的な、思考や論理や理論などの頭でっかちさが気になりもする本でした。
というのも、この本よりも先に、同じようなテーマの本である、東浩紀:編『思想地図β vol.2』を読んでいたからでした。『思想地図β vol.2』のほうが、実際の被災地の状況にこまかく、ソーシャルメディア空間の出来事にもくわしく、それらからのフィードバックは、現場主義的なスタンスを基礎としていて、現実に見合っている、論考集というよりはルポルタージュ的性格の強めの本でした。『思想地図β vol.2』が対象に対して直截的な性格をしているとすると、本書は、対象から抽出して加工し、学問として扱える形に
一般化するような性格をしているように読めました。時間がある人や興味のある人は、あわせて読むといいですが、震災被害の深みに触れる意味では、『思想地図β vol.2』のほうが読むべき本かなと思います。 -
本書は2011年3月11日に起こった東日本大震災とその後の問題を、社会学の立場から検証し、今後に向けて問題提起したもの。筆者たちは震災からの「復旧」を否定する。なぜなら、本来的に「日本型システム」に問題があったからであり、そのことはそもそも東京電力の原発が福島に設置されたことからも明らかである。こうした問題点を根本から、またボランティアの問題などを含めて、多面的に捉えた本書の意義は大きい。
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大震災「後」とあるが、大震災を契機に、日本と世界を改めて考え直すことができる論考集であった。
こう言っては編著者らに失礼であるが、思っていたよりも、良い本であった。
質問紙(アンケート)、面談(インタビュー)調査は、その解釈、質問事項、サンプル数に疑問を持つが、いくつか提示されたモデル化は興味深い。議論の余地は当然あるが、モデルがあってこそ、社会に対応する策の妥当性も検討できるからだ。
テーマは、社会システムモデル、グローバル化、地方と中央、経済政策の硬直性、ボランティア、防災システム(防災対応)、メディア等々多岐にわたる。現状社会学の面目躍如であり、学問的な良心もある。
・東日本大震災は未曾有か
・日本における損害は世界にも広がっていく。経済的影響、政策的影響。
・我々の中心となっているのは、「世界からの支援」であって、「世界の危機意識」ではない
・キュア(治療、対応)とケア(世話、共有)
・1998年の文書で初めて「減災」という言葉が行政文書で使われる。
・運命論的価値観の危うさ。震災後に問題を直視する。風化させない
・風評被害の起源
・天罰論は為政者に下ったものから民主へ下ったものへと明治維新を境に変わってきた
・復旧はもちろんのこと、復興も空虚。もとより衰退していた場合もあるからだ。それよりもレジリエンス。 -
社会学
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なかなか勉強になる本でした!!!!
頑張ろうニッポン!!って感じの人は是非。その他の皆様も是非。 -
東日本大震災で日本の既存の社会システムの脆弱性が限界に達し、ついに(ようやく)崩壊したという感が漂う。本書は震災が抉り出した既存システムの限界と今後のへの新たな課題を社会システム論の基本立場からまとめられた論考集。新書にしては分厚いのだが精緻な論が展開されているのですらすら読める。
震災における社会の変化やそのシステム上の課題を、その様相が表れる時系列的な変動、世界的なシステム内における変動、日本型システム自体の限界、防災システム上の課題、メディア、ボランティアの面から社会学的に分析・考察されている。中でも、日本型システムの限界はよく言われていることだが、政治にせよ社会にせよ人々が「決められない」のは、従来のスキーム内での処理で対処しようとするから、そのスキーム自体の更新をしなければ対処できない事態に全く対応できないからであることが読めてくる。さらに、災害における対応や防災想定、ボランティアにせよ、想定するがゆえに逆に自由度を狭めてしまうジレンマにも対応できなければならない課題が見えてくる。
全体的に、社会システム上の問題は震災以前から幾度も言われていることだが、ここでも露呈し、その崩壊・終焉をしなければ、新たな制度にせよ社会にせよ、描くことができないことが改めて知らしめるものになった書物である。 -
【読書その27】来月11日で東日本大震災から1年を迎える。最近、震災後の日本社会を振り返った本が多い。そんな中で若手の社会学者が震災後の防災システムの問題、地域振興策、メディアの震災報道、TwitterやFacebook等のソーシャルメディアの可能性・課題について論じている。自分と年代が近い人も多く、こういう若手の社会学者の方々が出てくるのは非常に良いことだと思う。
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システム論のたちばからメディア、企業、ボランティアなど、様々で東日本大震災について論じている。リシリエンシーについてはやや消化不良かな〜。
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一部具体性に欠け、浅さは否めない。「今後の出発点」ともあったので、致し方ないか。数年後、復興が進んだ頃にまた読むと、違った価値が得られる気がする。
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タイトルほどの内容ではなく感じる一冊。雑誌に近い。
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来年の世界大会のコングレステーマのひとつに防災・減災があることから、
思わず、買ってしまった本。
興味を引いた内容は下記。
1.未曽有の大地震に関しての反証がある。下記は江戸時代以降の大きな地震。
(1)江戸時代では大きいのが2回
元禄大地震(1703年M7.9~8.2)~宝永大地震(1707年M8.2)
元禄時:赤穂浪士の討ち入りの翌年
宝永時:巨大津波、富士山の大噴火
安政東海地震(M8.4)・安政南海地震(M8.4)・安政江戸地震(M6.9)(1854~55)
ペリー来航(1853)の翌年
江戸時:直下型地震
(2)関東大震災(1923年 M7.9)
復興に努力したのが後藤新平。今日の東京の都市デザインや公共施設整備の基盤となっている。7年後に復興は一応完了。
(3)太平洋戦争末期、直後の地震
1943年 鳥取地震(M7.2)
1944年 東南海地震
1945年1月 三河地震
1946,48年と昭和南海地震、福井地震 などなど
2.3層のモラルコンフリクトモデルに関してはここまで考える!?とも思う。
3.1998年の第五次全国総合開発計画の中に初めて出てきた「減災」の表現
4.帰宅困難者の危険性とは集団的移動行動自体が新たな災害を生み出す可能性があること
5.Resiience=自己快癒力 の定義
最近よく耳にする言葉。どう訳していいかわからなかった。 -
日本の政治、企業、ボランティア、情報といった観点から、これからの日本のことを考えるヒントがある、のかもしれない。
「かもしれない」としたのは、本書は情報の整理という感が強かったから。もちろん、著者のフィールドワーク等、得がたい情報もあるのだが。
10年先、20年先、震災はどういう言説を形作っていくのか。そのなかで震災はどのように語られるのか。
それを振り返るときに、また本書を手にしたいと思う。 -
若手の社会学者たちによる、“東日本大震災”によって可視化された現代日本の社会システムの脆弱性や陥穽についての考察群で、いわば現代日本社会の機能不全リスト。その概観を知ったうえで我々ひとりひとりが、“復旧”or“復興”の議論を越え、社会システムの“resilience(自己快癒力)”を高めるために何をすべきか?を考える足がかりとするべき良書。
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タイトルだけみて、職場の本屋の平積みから購入。
なかみはちょっとがっかり。
最初に、グローバル世界(G)、国内エリート層(N)、新興勢力(A)、一般民衆(P)と分けて、リスボン地震の時の構造、関東大震災の時の構造などを比較している。
それって意味あるのかな。
関東大震災の時とくらべなくたって、阪神・淡路大震災と比べたって、人口減少時代に突入し、景気が後退し、グリーバル経済に地元経済がさらされているなど、大きく変化している。
それ以上の歴史上の災害と、大きな階層対立の構造がちがっていようが、いまいが、復興施策に頭を悩ませている自分には、関係ないし、ピンと来ない。
社会学って、分析にフレームがよくわからないな。
大きな感想はそんなとこだが、ミクロで気になった情報。
(1)「反社協」「反行政」という思考回路をもつ人がNPO、NGO業界には存外多い。(p218)
災害時に反行政もないだろうと思うが、日頃の行政への反発がでるのかな。
(2)本来はハード対策の効果を正当に評価し、ソフト対策の難しさも考慮しなければならないのだが、そのような議論は不十分なままである。(p247)
実態は、逆で、ハードの対策ばっかり議論しているような気がする。ハードだけでなくソフトの対策が重要(避難対策、情報提供手段など)と思う。
(3)日本の場合、発展途上国に比べてはるかに人件費が高いため、被災地の人を雇ってガレキ処理をする「キャシュ・フォー・ワーク」のような取り組みを行ってもそれほど雇用できない。(p221)
これも検証が必要だと思う。確かに、人件費は高いが、被災者で職を失った人は少しでも現金が必要なはず。もしかしたら、最低賃金に縛られて、お金がひろくいきわたらないということか?
いずれにしても、自分はほとんど内容に共感できなかった。みなさんも、本屋で立ち読みされることを薦めます。