不愉快な現実 中国の大国化、米国の戦略転換 (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881494

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  • 日米関係はソ連を封じ込めるために始まり、今日においては中国との距離感でその価値が語られるのもやむを得ない。米国から見れば、2010年代においては日米よりも米中かもしれないし、 日本はオフショアバランシングの駒の一つに過ぎないのかもしれない。日米同盟を金科玉条と奉じる人々に対し、筆者はそんな不愉快な現実を突きつける。

    もう一つの不愉快な現実、それは日本には中国との軍事紛争を戦う力はないということ。福沢諭吉以来の脱亜入欧の時代はもう終わり、しかし日本人の心の底に残る中国蔑視感。それでも経済でも国際政治でも軍事力でも、最早中国には敵わない。そんな中領土問題で一方的に敵がい心を燃やす危うさ。

    筆者は言う、相手の主張に知ろうとしない姿勢は危険である、と。

    中国にも自国の中核的利益を東シナ海や北朝鮮でなく対米軍事プレゼンスでもなく、国内治安や経済建設にあると考える勢力はある。そういう人々と手を結び、という発想も、領土問題にも平和的な解決手段があるという知恵も、従来の日本には欠けていた要素だけに興味深く読むことができた。

    まぁ、筆者は筋金入りの懐米論者とお見受けするので、そうと知って読む必要はあるけれども。

  • 知ろうとせずお人好しからの脱皮を。ウィン・ルーズからウィン・ウィンへ、リアリズムから複合的相互依存の関係へ。客観的事実、現実直視。

  • 左寄りの、日中、日ロ、日韓共存論。

    アメリカがすでに、日本を緩衝材としての中国政策をオフショアバランシングとしているというのはままあることだと思う。
    中国の軍事力、GDPを冷静に直視した時に、日本が考えられる行動を客観的に分析し、かつ、最も有用な策を練る。
    そんな行動ができないのは、WW2から一向に進歩してないということか。

    ただ、だからといって、手放しで中国やロシアと友好関係と行くとも思えない。
    両国民の間にある不信感や敵愾心を超えて、Win-Winの関係にするのは並大抵ではないと思うので、その対応策なども論じて欲しかった。

    読後、右から中道右派ぐらいには振り戻ったかな。

  • 対立が生じた際の対処法に複合的相互依存関係の考え方は参考になる。対中問題だけの本ではない。

  • 特に8,9章が星5。
    外交は単純なものではない。
    白黒つければ良いというものでもない。
    紛争を起こさないために、グレーのままにしておくのも一つの方法。
    尖閣諸島を東京都で買うことに何か戦略があるのだろうか。
    この本にあるように、領土問題はこのまま棚上げして、
    この地域を両国間で有効に活用するのが、よりよい対策に思う。

  • アメリカしかみていない外交をはじめ、国際問題をどう見るべきなのか、筆者の思いと現実社会との落差を強く感じました。
    アメリカ絶対主義的なところを打破していくために、私も努力していきたいと思いました。

  • 『日米同盟の正体』を読んで、孫崎さんの考え・意見に興味を持ったので2冊目。昨今の中国の大国化とそれに対応する米国の政策転換、そしてこれからの日本の生きる道について。この本でも孫崎さんは日本の政治政策に危惧を抱いている。『日米同盟の正体』同様、孫崎さんの考えには納得できてしまう。ただ、『日米同盟の正体』より少し読みづらかったように感じた。

  • まさに、タイムリーな一冊。多くの日本国民が、たとえ賛成はしなくとも、著者の提示する事実と主張を読んだうえで日本の外交戦略を考えてほしい。

  • 現実は厳しい。

  • 近年の日本の安全保障事情の解説と分析。基本書的位置づけ。

    日本の一般大衆が抱く日米同盟の「誤認識」を指摘し、米国のアジア戦略における日本の位置づけが、中国の軍事的経済的台頭によって変わっていることを、日本の安全保障事情の歴史的な背景と変遷を含め様々な情報を駆使して詳しく解説・分析している。また、日本の今後の安全保障戦略を考える上で、企業戦略の視点を導入しているところが面白い。

    残念なのが、今後日本が取るべき安全保障戦略内容の具体性に欠ける点だ。伝統的な日米同盟関係維持から脱却し、東・東南アジア諸国との関係改善に努めるという方針は賛成だ。だが、それを示しただけでは日本の今後の安全保障戦略について分析したことにはならない。次はこの点を深めた孫崎先生の見解を、是非、出版して頂きたい。

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著者プロフィール

1943年、旧満州国鞍山生まれ。1966年、東京大学法学部中退、外務省入省。駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使等を歴任。著書『戦後史の正体』(創元社)、『日米同盟の正体』(講談社現代新書)、『小説 外務省』(現代書館)、鈴木邦男氏との共著『いま語らねばならない戦前史の真相』(現代書館)等多数。

「2018年 『アーネスト・サトウと倒幕の時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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