不愉快な現実 中国の大国化、米国の戦略転換 (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881494

感想・レビュー・書評

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  • 個人的に軍事や外交関係の理論を構築する際に、孫崎氏の主張は大変参考にしている。

    以前読んだ『日米同盟の正体』とも合わせ、日本がこれから構築すべき外交戦略をしっかりと道筋立てて述べている。

    結論を先に述べると、日本は中国や北朝鮮、ロシアなどの隣国と過度な敵対的態度を取らず、相手側の主張や言い分も理解したうえで、建設的に外交努力を目指すべきとしている。そして、最終的には米国追従一辺倒だけでなく、東アジア経済圏の中でプレゼンスを発揮すべきと主張する。

    米国追従では、日本は極めて危険な状態に置かれる理由は複数ある。
    (1)日本の経済の将来性は、対米から対中へと一層シフトし、外交で対立しても全くメリットがない。

    (2)同様に米国もアジアの貿易の中心国を中国とし、安全保障の面では警戒しつつも、次第に貿易の依存度を高めている中、中国に対しては友好な態度をとる戦略に変わっている。

    (3)中国の軍事力は圧倒的に強く、ここで日本の軍事力を高めても意味がない。一番重要なのは、お互いに譲歩を引き出しながら、中国との友好な関係を樹立することだ。


    領土問題、経済問題、色々あるけれども、もっと普段のメディアで報道される問題に対し、冷静な判断材料を与えてくれる孫崎氏は、あらためて貴重な存在だと思っています。

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著者プロフィール

1943年、旧満州生まれ。東京大学法学部を中退後、外務省に入省。
英国、ソ連、イラク、カナダに駐在。駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大学校教授などを歴任。現在、東アジア共同体研究所所長。
主な著書『戦後史の正体』(22万部のベストセラー。創元社)、『日本外交 現場からの証言』(山本七平賞受賞。中公新書)、『日米同盟の正体』(講談社現代新書)、『日米開戦の正体』『朝鮮戦争の正体』(祥伝社)、『アメリカに潰された政治家たち』河出書房新社)、『平和を創る道の探求』(かもがわ出版)ほか。

「2023年 『同盟は家臣ではない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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