- 本 ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062881548
作品紹介・あらすじ
邪馬台国の場所と範囲を考えるうえで、もうひとつの視点として筆者が強調しておきたいことは、列島内における古墳出現前夜すなわち弥生時代後期の東国の歴史的展開についてである。二世紀後半から三世紀前半期にかけて、東国各地の日本海沿岸地域と、太平洋岸の広汎な地域内で、土器が激しく移動していることをどうとらえるべきかという問題である――「はじめに」より
箸墓は卑弥呼の墓か、纏向は邪馬台国の宮殿跡か、三角縁神獣鏡は「魏志倭人伝」の鏡か――
日本国家の起源に迫る!
邪馬台国の場所と範囲を考えるうえで、もうひとつの視点として筆者が強調しておきたいことは、列島内における古墳出現前夜すなわち弥生時代後期の東国の歴史的展開についてである。二世紀後半から三世紀前半期にかけて、東国各地の日本海沿岸地域と、太平洋岸の広汎な地域内で、土器が激しく移動していることをどうとらえるべきかという問題である――「はじめに」より
感想・レビュー・書評
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邪馬台国論争にかかわる問題点を整理して紹介した新書。一般向けの講座が元になっているようで、読みやすく分かりやすい。「論争は何となく知っているが、最近の論点の概要を知りたい」という人向け。
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著者の立場である畿内説を中心に叙述されているが、個々の問題ではなるべく断定をさけ、慎重な態度を崩さない学術的姿勢は信頼できる。ただ淡々とした紹介が中心になっていて、この本で著者が邪馬台国をどう「とらえなお」したいのかを、もっと知りたかった。新書なので仕方ないかもしれないが、文章・内容ともに物足りない。 -
邪馬台国とは?畿内説、九州説に捉われることなく文献学、考古学両方の見解から正に"とらえなおす"。これまでの発掘事実などから結果ありきではなく何が分かるのか?を説明されており興味深い。箸墓古墳の発掘が許可されればいろいろ分かるんだろうな~とやはり思ってしまう。
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最近の邪馬台国論の本。畿内説に基づく本。箸墓古墳が女王卑弥呼の墓だと言う説。ある意味まともな本である。
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本書は、邪馬台国についての現在最新の知見を紹介したものとして実に興味深い良書であると思った。
日本の弥生時代や古墳時代の年代が「放射性炭素年代測定法」や「年輪年代測定法」により大幅に時代がさかのぼっていると判明してきているとは聞いていたが、それにより邪馬台国がどこにあったのかについての本書の考察は面白かった。
「箸墓」の周壕土器の年代が西暦240年~260年となると卑弥呼の死去の年代にあう。では箸墓は卑弥呼の墓なのだろうか。その本書の考古学的検証は興味深い。
本書では、「魏志倭人伝」などの中国の文書資料や、当時の東アジア情勢、そして「鉄と鏡の考古学」や「土器と墓」等を関連付けて、専門的かつ詳細な考察を展開しているが、どれも説得力がある。
特に年代がわかってきている土器について「土器だけが歩いてくるわけはない」とはまさにその通り、人と共に土器は移動したのだろうと思えた。
では、箸墓の纒向遺跡は邪馬台国なのだろうか。本書は、その可能性の高さと共に、否定的な発見もとり上げている。纒向遺跡では「木製の輪鐙」も出土しているが、「魏志倭人伝には邪馬台国では牛馬はいない」との記載があるというのだ。
最終的な本書の結論として、「今の考古学的資料はからは奈良県桜井市箸墓古墳が卑弥呼の墓と断定できる状況にはないと言わざるを得ない」との結論は面白かった。最新の知見でも、いまだ邪馬台国の所在地は謎なのだ。だから古代史は面白い。 -
土器編年は結局、相対的な前後関係しか明らかにできない。三角縁神獣鏡は国内産の可能性あり。箸墓に先行する前方後円墳がある。なかなか結論を出せないが、弥生時代の始まりや古墳の成立などさまざまな年代が繰り上がっている。ヤマト朝廷の成立もかなり早まるのではないだろうか?
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邪馬台国本2冊目。
箸墓について触れないわけはないですよね。
てか、なんで岩手説を聞いたんだっけ??
著者プロフィール
大塚初重の作品





