独立国家のつくりかた (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 2244
レビュー : 304
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881555

作品紹介・あらすじ

現政府に文句があるなら、勝手につくっちゃえばいい!
東日本大震災後に熊本に新政府を設立し、初代内閣総理大臣に就任した男がいまを生きのびるための技術を明かす。何も壊す必要などない。ただ、あらゆる常識を根底から疑い、歩きかたを変えてみる。視点を変えてみる。そして、思考しつづける。それだけで世界はまったく別の相貌を見せ始める。衝撃と興奮と希望の書。
電子書籍版も同時発売。

感想・レビュー・書評

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  • 思考をやめないこと、なんでもやってみること、見方を変えればどうにでもなること。著者の行動力がとにかくすごくて面白かった。

    0円ハウスに関してはあまり共感できない。0円ハウスの材料になっているのは、今のところ0円地区の外側の世界が作ったもの。ソーラーパネルやら何やらを作る技術を、0円地区の内部で持てないと意味がない。それに、やっぱり私は大きい家に住んであったかいベッドで寝たい。

  • 一貫して、自分が生み出した思想を、自分が生み出した言葉で語ろうとしているところに胸が熱くなった。要は自分のスタイル(態度)を生活のどこまでも染み込ませていく、ということだと思う。それって、「個性」が何よりも大きな基盤となるアートやファッションの世界のコンセプトでもあり、実際これらは近しいところにあるのだと思う。そのコンセプトが、社会や経済に波及していく、影響を与えていけるんだっていう可能性を感じた。

    その思想を具体的に実践されている行動力にも感動した。新しい思想が、形になっていくこの瞬間に立ち会ってることに、とってもワクワクした。まだどこにも無い新しい思想の萌芽と思う。概念が無いので、定義する言葉もまだない。不安で、でも一生懸命この新しく素晴らしい何かを伝えようとしてくれてるのが分かった。応援したい。

  •  「建てない建築家」で知られる坂口恭平。彼が何を考え、何のために活動しているかわかる。本田義孝監督の映画「モバイルハウスのつくりかた」とともに。
     家とはなにか、雨をしのぐ屋根なのか、風をしのぐ壁なのか、あるいはあたたかい家族なのか、いつも不思議に思っている。
     「自分がやりたいことをやってるんではない。自分がやらねばならないことをやっている」と言っていた。かっこいい。

  •  タイトルから想像してしまうような「反体制」な主張はない。むしろ体制に蜂起しようとすることは既にレイヤーに取り込まれていることを意味する、という主張が面白い。路上生活者の考察などの実践的レポートもまた面白いなぁ。
     しかしこりゃ、資本主義のおこぼれで成り立つ「自由な泳ぎ方」マニュアルにしか見えないので、保守的な思考の人には視点が広がり目からウロコだろうけど、きっと本当に独立国家をつくりたいような反体制な人はカチンときちゃうだろうな、とか思った。

  • 面白かったです.


    この坂口さんのような方を,私は何人か,これまでの人生の中で知っています.
    「のような」,と云うのは,正確を期していないと思う.
    というのは,その方々はみな,独自の視点,折れない信念,繊細な感性,まっすぐな態度姿勢を持っていて,
    この世に二人といないような,無視したり放っておいたりすることは出来ないような,そんな方々だからです.
    一人一人皆,違う使命や問題,状況,能力を持っています.
    共通しているのは,「自分の“生”を,最大限の力で生きている」ということです.

    人一人がなし得る事には,限りがあるかもしれません.
    現代社会における私たちが,切り離された個人であることも,アイデンティティが薄れているのも,見えない大衆主義文化に生きている事も,確かかもしれません.
    だけれど,人が社会を持続させるために「頑張る」と言う正にそのとき,意識すべきべきなのは,
    「苦しみを我慢する」「他人とうまくやっていく」事ではないのだと思います.

    人生は選択の連続です.

    坂口さんは,とても強い方だと思います.

  • 面白かった。正確にいえば著者の思考と行動の過程が面白いと感じさせるものばかりだった。なによりも大切なのは生きること。ただ生きるのではなく、自分を取り囲む枠組みやルールに素直な疑問をもつこと。思考停止状態の動物にならないこと。ルールや枠組みはそれがあると都合がよい人々が作ったものであると認識すること。今後の著者の活動にも興味を持たざるを得ない。

  • この方かなり本出していらっしゃるのですが初めて読みました。
    題名でつかみはOKという感じですが、まさに興味をぐいっと惹かれました。
    独立国家というと穏やかではありませんが、日本という国が行っているものとは違ったレイヤー(このレイヤーという言葉が沢山出てきます)で相互に協調しあって生きていく方法を模索しているという本です。
    あくまで日本という国の中で、独立した行政を行って場合によって自治体や場合によっては日本国と交易していくという面白い考え方です。
    この交易というのが面白くて、自分達の中で価値のあるものと世の中で価値があるものをイコールにしない事によって、貨幣経済から遊離した存在になり得るという実験のような生き方です。
    ホームレスが作る0円ハウス、そして彼らのお金に拠らない生き方。もちろんお金が必要なのは当たり前だけれども、お金が無いと生きて行けない我々と、お金は必要なものを世の中と交易する為のツールとして見て、生きる手段自体は廃棄された資材やごみから充分手に入れられる彼らの姿が、彼の眼を通して見ると画期的な生き方に見えてくるのが面白いです。
    もちろん生きていくにはお金が必要だし、彼自身、自分で書いた絵画を50万円で売ったりしているので自由主義経済の中で生きてはいるのですが、その収入自体を世の中との交易であるという捉え方には唸らされました。
    既に7年前の本のようなので、近著を読んでどういう風に考え方が変わっているか確認してみようと思います。

  • かなり危なく、ぎりぎり面白い。
    そういった印象だった。

    今の国家を否定し、新しい国家をつくるということ。
    それは、坂口さんが考えて考えて考えた結果の、行為だ。

    “こんなんじゃ駄目だ”と思った事柄に対し、向き合い必死に考える。

    何が必要なのか。
    何をすべきなのか。
    どうしたら世界が変わっていくのか。
    その行動力や態度に対しては、尊敬を覚えるし、
    思考の広がりや組み立てかたには、面白さを覚える。

    考え自体には、かなりギリギリな印象を覚えつつも、それでも惹き込まされる。
    読んでよかった本であるし、考え方の幅を広げてくれる意味で非常にいい本だと感じた。

  • 著者坂口氏が熱弁する思想について考えてたら、つい今しがた読んだ、ツイッターのまとめサイトの記事を思い出した。
    シリアのホテルのエレベーターで、ボーイさんが仕事しながらポテチ食ってた。
    日本的感覚で言うと信じられないから、投稿者はガン見してしまった。
    その視線に気付いたボーイさんは・・・
    「Ooh!」と言ってポテチを差し出した、そうな。
    ポテチ食うのをやめるのではなく、シェアする。
    投稿者はこの行動に対して「緩さがなんかいい」と、むしろ好意的に受け取っている。
    私もそして、記事を読んだ直後ほのぼのとした気分になったものだ。
    日本の過剰サービスとやらが、疑問視されて久しいし、それでも存続され続けている現状は坂口氏が言う思考停止の1つの例としてあげられるだろう。
    24時間営業が当たり前、宅配便が指定した時間に届くのが当たり前、はよく考えたらおかしいのに、当たり前を享受するのに慣れすぎて、少しでも意に反したらクレームを入れる—

    坂口氏の独立国家—みんながみんなそれぞれ得意分野の大臣、なフラットな人間関係。インフラはゼロ円で手に入れる。だから、余ったお金や能力は私利私欲の為ではなくあくまでも公益の為に使う余裕が生まれる。ああそんな、優しさに包まれたなら〜♫な理想郷良いよね。と、概ね賛成なのである。なのであるけれど・・・
    でも待てよ。この独立国家、今ある既存の国家、政府、法律がそもそもベースにあって、それらを仮想敵にしないと成り立たないのでは無いかい。全ての人々が、この独立国家的に生きてしまったら、やはり世の中も経済も上手く回らない。(本人も言っている。改革とは今あるシステムをぶっ壊すことではなく拡げることだと。)
    だからやはり、この彼の理想や態度を具現化するという独立国家とは、彼のスタンスとは、あくまでも「芸術」なのだろう。革命家ではなく、あくまでもパフォーマーなのだろう。そう考えば合点がいく。
    ジャンルで言えば、ブルーノムナーリのファンタジアと同じ。新しい芸術論。
    しかしながら、少しでも世の中を良くして行きたいという理念はとても美しいし新しいし面白い!私はこの芸術を応援したい。


  • この本が講談社現代新書で出た、というのが、考えてみればなかなかアツい。読み終えた今となっては、表紙等の装丁はノーマル(普通の現代新書らしいもの)だけど、上からかぶせられた巨大な写真入りの帯をみて、ここも著者のこだわりかなぁと思ってしまう。

    独立国家のつくりかた、それは一言でいうなら、「疑問をもつこと」。生理的な違和感を大事にすること。問い続ける(問い直し続ける)こと。自分の思いを、あきらめないこと。――そんなところか。
    そしてまた、そんな自らの素朴な信念を大事にして、法律を調べたり、図書館で写真集を片っ端から見てみたり
    という勉強をする努力も大事。そうしてさらに、見出した姿勢についてこだわり通すことだ――神は細部に宿るのだとな。

    子供のような質問を、大切にするのだ。

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著者プロフィール

坂口 恭平(さかぐち きょうへい)
1978年、熊本生まれ。建築家・作家・絵描き・歌い手、ときどき新政府内閣総理大臣。、早稲田大学理工学部建築学科卒業。
著書に『TOKYO 0円ハウス 0円生活』(河出文庫)、『独立国家のつくりかた』(講談社現代新書)、『幻年時代』(幻冬舎、熊日出版文化賞)、『坂口恭平 躁鬱日記』(医学書院)、『徘徊タクシー』(新潮社)、弾き語りCDアルバムに『Practice for a Revolution』などがある。

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