独立国家のつくりかた (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881555

作品紹介・あらすじ

現政府に文句があるなら、勝手につくっちゃえばいい!
東日本大震災後に熊本に新政府を設立し、初代内閣総理大臣に就任した男がいまを生きのびるための技術を明かす。何も壊す必要などない。ただ、あらゆる常識を根底から疑い、歩きかたを変えてみる。視点を変えてみる。そして、思考しつづける。それだけで世界はまったく別の相貌を見せ始める。衝撃と興奮と希望の書。
電子書籍版も同時発売。

感想・レビュー・書評

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  • 路上生活者が体現する世界の在り方を称賛しながら、一方で路上生活者がいること自体が生存権が守られておらず憲法違反だと主張している。こんな感じの細かいロジカルのズレを気にせず読み進められれば、著者の世界の捉え方・動かし方に新鮮さを感じ、自分の暮らし方を見つめ直すきっかけになるような内容。私はとりあえず中古キャンピングカーの値段を検索し、なんだどこでも生きられるじゃないかとだけ思い、安心して元の日常に戻った。

  • 思考をやめないこと、なんでもやってみること、見方を変えればどうにでもなること。著者の行動力がとにかくすごくて面白かった。

    0円ハウスに関してはあまり共感できない。0円ハウスの材料になっているのは、今のところ0円地区の外側の世界が作ったもの。ソーラーパネルやら何やらを作る技術を、0円地区の内部で持てないと意味がない。それに、やっぱり私は大きい家に住んであったかいベッドで寝たい。

  • 一貫して、自分が生み出した思想を、自分が生み出した言葉で語ろうとしているところに胸が熱くなった。要は自分のスタイル(態度)を生活のどこまでも染み込ませていく、ということだと思う。それって、「個性」が何よりも大きな基盤となるアートやファッションの世界のコンセプトでもあり、実際これらは近しいところにあるのだと思う。そのコンセプトが、社会や経済に波及していく、影響を与えていけるんだっていう可能性を感じた。

    その思想を具体的に実践されている行動力にも感動した。新しい思想が、形になっていくこの瞬間に立ち会ってることに、とってもワクワクした。まだどこにも無い新しい思想の萌芽と思う。概念が無いので、定義する言葉もまだない。不安で、でも一生懸命この新しく素晴らしい何かを伝えようとしてくれてるのが分かった。応援したい。

  •  「建てない建築家」で知られる坂口恭平。彼が何を考え、何のために活動しているかわかる。本田義孝監督の映画「モバイルハウスのつくりかた」とともに。
     家とはなにか、雨をしのぐ屋根なのか、風をしのぐ壁なのか、あるいはあたたかい家族なのか、いつも不思議に思っている。
     「自分がやりたいことをやってるんではない。自分がやらねばならないことをやっている」と言っていた。かっこいい。

  •  タイトルから想像してしまうような「反体制」な主張はない。むしろ体制に蜂起しようとすることは既にレイヤーに取り込まれていることを意味する、という主張が面白い。路上生活者の考察などの実践的レポートもまた面白いなぁ。
     しかしこりゃ、資本主義のおこぼれで成り立つ「自由な泳ぎ方」マニュアルにしか見えないので、保守的な思考の人には視点が広がり目からウロコだろうけど、きっと本当に独立国家をつくりたいような反体制な人はカチンときちゃうだろうな、とか思った。

  • 面白かったです.


    この坂口さんのような方を,私は何人か,これまでの人生の中で知っています.
    「のような」,と云うのは,正確を期していないと思う.
    というのは,その方々はみな,独自の視点,折れない信念,繊細な感性,まっすぐな態度姿勢を持っていて,
    この世に二人といないような,無視したり放っておいたりすることは出来ないような,そんな方々だからです.
    一人一人皆,違う使命や問題,状況,能力を持っています.
    共通しているのは,「自分の“生”を,最大限の力で生きている」ということです.

    人一人がなし得る事には,限りがあるかもしれません.
    現代社会における私たちが,切り離された個人であることも,アイデンティティが薄れているのも,見えない大衆主義文化に生きている事も,確かかもしれません.
    だけれど,人が社会を持続させるために「頑張る」と言う正にそのとき,意識すべきべきなのは,
    「苦しみを我慢する」「他人とうまくやっていく」事ではないのだと思います.

    人生は選択の連続です.

    坂口さんは,とても強い方だと思います.

  • 面白かった。正確にいえば著者の思考と行動の過程が面白いと感じさせるものばかりだった。なによりも大切なのは生きること。ただ生きるのではなく、自分を取り囲む枠組みやルールに素直な疑問をもつこと。思考停止状態の動物にならないこと。ルールや枠組みはそれがあると都合がよい人々が作ったものであると認識すること。今後の著者の活動にも興味を持たざるを得ない。

  • 乱読


    態度経済

    才能に上下はない

    パトロンを持つ

  • 面白かった

  • 政治経済や哲学の領域として読むと「ドリーム」になってツッコミどころ満載になるので、現代美術の表現活動の一環として本書の内容(モバイルハウス、独立国家など)を捉えれば、面白い試みとして読める著作。

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著者プロフィール

1978年、熊本県生まれ。料理家、作家、建築家、音楽家、画家。2001年、
早稲田大学理工学部建築学科卒業。2004年、路上生活者の住居を収めた写真
集『0円ハウス』を刊行。2008年、それを元にした『TOKYO 0円ハウス 0円生
活』で文筆家デビュー。2014年『徘徊タクシー』で三島由紀夫賞候補、『幻
年時代』で第35回熊日出版文化賞、2016年『家族の哲学』で第57回熊日文学
賞を受賞。著書に『cook』『自分の薬をつくる』『お金の学校』『ゼロから
始める都市型狩猟採集生活』『現実宿り』『よみぐすり』など。

「2022年 『中学生のためのテストの段取り講座』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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