本音の沖縄問題 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881562

作品紹介・あらすじ

すべての問題は、1972年5月15日に始まった。裏切りと失望、依存と反発の40年。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の文才によって読みやすく軽やかな読書運びだったが、内容は執念と血肉が混濁した沖縄についての魂の本で、心をわし掴みにされました。
    左翼や右翼だの、ネットに徘徊するクソ野郎どもの極端かつ過剰な言説に惑わされることなく、沖縄が辿ってきた長い歴史の編み目と真摯に向き合うことが何よりも重要。
    東京生まれ東京育ちの自分は、まるで日本の中心にいるかのようになんの意識も携えず生きてきた。自国の過去に植民地や構造的差別、人種的な偏見や戦争被害者、それら全ての轍の上に立っているのかと思うとうかうかしてられない。
    もっと色々勉強してみる。

  • 沖縄にある構造的差別を解説した本。沖縄問題は基地問題。基地問題は土地問題と人権問題。

  • 沖縄が抱える問題、その根深さを知るこどができる。
    沖縄にルーツのある沖縄よりの人が書いている。

  •  普天間の米軍基地の辺野古移転については、マスコミでよく見るし、沖縄が戦後68年をへてもいまだに多くの問題を抱えていることは知っていたが、本書は、その詳細な現状について報告している。
     本書で読む多くの米軍基地を抱える「沖縄」の現状は凄まじい。
     「米軍基地から派生する事件・事故は1545件(1972~2010年)・・・犯罪検挙件数と交通事故数のすべてを合わせると9838件に上り月平均にすると約23件になる」。ひどいものである。
     「軍用地料」や「基地関連収入」などの経済問題も「観光」ともからみ多くの問題を抱えていることがよくわかる。
     しかし、本書は「沖縄問題」のみをあつかっているが、それのみでは「沖縄問題」のすべてを知ることはできないのではないのかとも感じた。
     米軍は海兵隊のグァム移転問題や世界的規模の戦力の再編成が進行中であるとも聞いているし、中国とアメリカの微妙な関係もある。
     もし北朝鮮情勢が変化すれば、沖縄駐留米軍にも大きな影響がでるのではないだろうか。
     本書は、沖縄問題の現状をよく知ることはできるが、その未来への考察が少ない点はちょっと不満に思えた。

  • 最近、沖縄についての本を読む機会が多い。でも読めば読むほど問題の複雑さ、解決の難しさを感じてしまう。
    この本も沖縄に移住した沖縄2世の著者が、これまでの沖縄の歴史と現在の状況を踏まえ、日本本土と問題の認識の違いを考察している。
    沖縄と言えば、毎度のように基地問題が取り上げられる。これまで日本政府は基地問題の解決を口にするが、未だに解決の糸口も無い。それは、沖縄の地勢的な観点で、周辺国との国境に位置しているため、軍事戦略的に重要な場所に位置しており、歴史的に他国からの干渉を受けやすかったことに起因している。それにより
    日本を含めた他国の侵略を受け、差別されるという歴史にもなっている。大阪に住んでいた著者も、子供の頃は日本人に差別されたらしい。沖縄は日本領でありながら、日本本土と同等に扱ってもらえない矛盾を抱えている。戦後の日本への復帰時に、独立という選択肢が無かったかという著者の主張も判るような気がするが、今となっては難しい。尖閣問題のような紛争が無くなり、基地の必要が無い平和な世の中にならない限り、この問題は解決しないように思う。

  • 沖縄旅行時に智兄から借りて帰った本。「沖縄の真実」とは正反対で、反日、反米の思想によって書かれている。かなり極端で腑に落ちない点はあるが、沖縄県民の思想の一端を見た気がした。

  • 著者は大阪生まれ・大阪育ちのウチナンチュ2世で、今は沖縄に移住しているというプロフィールの持ち主。

    そういう生い立ちを持つ筆者ならではの視点で、ときには沖縄の内側から、ときには外側から、沖縄が抱える問題、否、日本が抱える沖縄問題を真正面から論じる。基本的には沖縄に寄り添いつつも、沖縄人にありがちな、ナイチャーを受け入れない排他的な態度を批判する。

    沖縄問題の何が本当に問題なのか、「構造的差別」とは何なのか。国民的な問題意識の不在という沖縄問題の本質を見落としている「現実主義者」を自称する人にこそ読んでほしい。沖縄問題を「しょうがない、どうせ解決しない」とニヒルになっている沖縄県民にもぜひ。

  •  沖縄に関して最新の本である。自分の大阪への移住についても記載してあり、さらにテンペストなどのドラマについてもコメントしている。様々なことを一杯書いているので、読むと何かしらヒントが得られるだろう。沖縄日本復帰は間違いであったという最後のインタビューの話が印象的である。

  • 今年で復帰40年ですが、
    日本へ復帰して良かったのかどうなのか考えさせられます。
    北海道と本土の関係とは似ているようで異なりますね。
    北海道も経済状況や限界集落問題など厳しいですが、
    それ以上に沖縄の問題の方が厳しい状況ですね。

  • 読みやすいし、分かりやすいし、わりと面白かったです。
    新書ならではのある種の軽さが、面倒臭いお話をやわらかーくしているように感じました。

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著者プロフィール

作家、沖縄大学客員教授。1958年、大阪市生まれのウチナーンチュ2
世。96年、那覇市に移住。著書に『沖縄学』『ほんとうは怖い沖縄』など。

「2016年 『沖縄 オトナの社会見学 R18』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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