社会を変えるには (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1509
レビュー : 157
  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881685

作品紹介・あらすじ

いま日本でおきていることは、どういうことか。社会を変えるというのは、どういうことなのか。歴史的、社会構造的、思想的に考え、社会運動の新しい可能性を探る論考。

感想・レビュー・書評

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  • この本は、社会を変える方法を書いているわけではない。

    思考の方法としては、現象学と弁証法を、思想としてはホッブズ、ロック、ルソーなどの政治学やアダム・スミスやマルクスといった経済学の大物を採り上げ、説明がしてある。これほど広い分野の考え方について触れることができる新書も珍しい。

    政治参加については、古代ギリシアから現代スイス、日本では日米安保に反対するデモ、学生運動などから現在の反原発デモまでをなぞっている。

    それを踏まえて、社会の一人一人が変わっていくことが、社会を変えていくことにつながることを暗に示し、無謬性についての痛烈な批判が感じられる文章となっている。
    無謬性への批判は、社会に対する私の根本的な思想であるので、とても共感することができた。

    と、このように本書をまとめることを著者は望んでいない。しかし、このように本書をもとに思考を巡らすことを筆者は望んでいるのだろう。

  • 「社会を変えるには」どうすればいいのか?というつもりで読んでみたが、いい意味で期待を裏切られた。
    この本にあるのは、正解ではなく、正解を考えるための基礎的な知識。
    「社会を変えるには」人任せではなく、自分で考えて一歩を踏み出すことから。
    あとがきの、「デモをやって何が変わるのか」という質問に「デモができる社会がつくれる」と答えたとい話がとても印象的だった。

  • 現在の日本の社会構造の問題、政治・政策の問題を、過去の政治の移り変わりや世界的に有名な思想を元に、めちゃくちゃ丁寧に解説しくれています。

    特に興味深かったのは、

    自由を求めた結果、多様な生き方が生まれ、カテゴリー化した政策は効果が薄く、むしろカテゴリーから外れた人の疎外感から反感が生まれる結果になりやすいこと。

    また人は誰かから認められたい、人との関係の中で生きて行くのであって、自由になったとしても、よりどころが無いとどこまで行ったのか分からず、不安定になってしまう。自分は作り、作られの関係にある。再帰的なのである。

    だからどうすべきだ、という明快な答えはなく、自分で世の中を理解して、自分と見つめあって、最善だと思われる行動をとっていこう、ということ。自分が良いと思うこと、正しいと思うことをやる、発信する。やり方は、多種多様だけど、知識とやりたいことが分かれば、自ずと見えてくる。

    やるか、やらないかはその人次第。やらないより、やる方がマシ。だって、一度きりの人生だもの。

    結果、自分の理想と違うかもしれないけど、再帰性が増大するんだから仕方が無い。だって、人間だもの。

    個人的には、民主主義とは、大きな政府と小さな政府とは、について今まであんまり理解していなかったことに気付けたことが一番大きかった。

    一度読んだだけでは、薄〜く理解しただけなので、時間を置いてもう一度読み直したいと思います。良書です。

  • あまりのタイトルの直截さに目が止まった。
    その数日前に知人の大学生と歩いていたら、路上でおじさんが脱原発集会のチラシを配っていた。一度通り過ぎたが、引き返してチラシをもらった。するとその大学生は「行くんですか?」と尋ねてきた。
    「いや何となく気になって」と自分。
    「なんかこういうのって、お祭りみたいに騒いでるだけですよね」
    いや違うだろうと直感的に思ったけれど、学生時代冷ややかにデモを眺めていた自分を思い出して口をつぐんだ。
    それが気になっていたのか、数日後この本に出会った。過去の学生運動や社会運動の流れをとてもわかりやすく解説してくれている。そして、今の日本は相当「ヤバい」ということも改めて実感。
    本書は、上の大学生の一言に対するひとつの返答にもなっている。
    それは、楽しく反対してもいいじゃない、ということ。
    わざわざ東京まで出向く気にはならないけれど、縁があれば、脱原発デモに参加してみようと思う。

  • とても興味深く拝読。
    日米安保闘争と全共闘の違い、またその社会的背景の整理。
    日本の地方が衰退に向かった原因、
    冷戦構造や国策による体制の変化、
    それらが原発に繋がるという流れが充分に把握できた。
    勉強せなあかんなー!ったく!

  • 読んだあとに「なるほど」となるより、書いていないことが気になるような本が好きだ。そんな本。

  • 「新書大賞2013」を受賞した作品。だけどそこまでよい作品とも思えなかった。なぜなら、あまりにも理想論、建前論に寄りすぎているからだ。内容は大半が社会運動史の概説に近く、理論的なことをダラダラと述べているだけの部分も多い。歴史や方法を知ることが社会を変えることの第1歩なのはそのとおりかもしれないが、しかしいくら高邁な理想を掲げていても、できうるかぎりの方策を講じてみても、じっさいには限界があってなかなか社会は変えられないのである。その好例が、著者がたびたび言及している原発問題だろう。あの事故いらいスッカリ日本じゅうに原発を嫌悪するムードが漂い、世論調査においてもつねに反対派が多数派を占めるようになった。それでも現在の安倍政権は、再稼働に向けて着着と準備を始めている。社会を変えようとアレだけデモをしても、けっきょくなにひとつ変わっていないではないか。理想と現実が異なるのもまたあたりまえのことであり、それで著者を責めるのも酷かもしれないが、そのことにたいするエクスキューズはもうすこし言及してほしかった。また、内容の信憑性も微妙。安保闘争などにかんするくだりは、伝聞なども多い。体系的な先行研究がすくないのかもしれないが、ならば厖大な参考文献をつくるなどして、内容の真実性を担保すべき。内容についていえば、2012年の刊行ということもあって、現在でみるとどうなのかなと思う部分があった。社会を変えようと思うことはよいことかもしれないし、その方法を学ぶことに意義はあるだろうが、本作を読んだだけではかえって絶望感だけが強まりかねない。

  • 多少は面白かった。ただ、少し長くて飽き気味になってしまった。

  • ○社会学者である小熊氏の作品。
    ○東日本大震災以降の日本社会の現状を踏まえ、「社会を変えるには」をテーマに、過去の思想史や政治史、民主主義の成立や共産主義、全共闘といった一昔前の権力闘争まで、いかにして社会を変えていくのか、どうやって社会を動かしていくのかについて、著者の論をまとめたもの。
    ○新書でありながら、内容が濃く、充実したもの。読み応えがある。

  • 多くの人々が集まって生きていくとはどういうことなのか、民主主義の根本?のようなものがわかりやすく書かれていてよかった。
    読んでいて、学級経営の到達点は、「民主的であること」を目指すことなのだと思った。

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