経済学の犯罪 稀少性の経済から過剰性の経済へ (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881715

作品紹介・あらすじ

私たちが、誤った「思想」を信じ続ける限り、危機からは脱出できない。日本を代表する知性が、経済学の源流、貨幣の誕生まで遡り、危機の本質に迫る知的興奮の書。

感想・レビュー・書評

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  • 現在の経済学が、いかにしいまの不安定な社会に繋がっているかの本。

    現代の先進国に暮らす全ての人に薦めたい。
    経済や経済学に対する考え方を大きく揺さぶり、変えるほどの衝撃をもった本。

    それとともに、全ての経済学徒に薦めたい。
    スミスの経済学は必ずしも現在の市場至上主義の経済の源泉とは言えないなど、経済学の捉え方について、新しい視点をもたらしてくれる。

    ここ最近で一番のヒット。

  • これは最近読んだ経済の本の中で、最もヒットかもしれません。経済思想史を今更ながらもう一回やりたくなったのと、あとは多分学生時代には分からなかったんだろうけれども、いま社会人になって(当時よりは)賢くなった時点で読むと、流れが目から鱗のように分かりました。

    先般のリーマンショックは100年に一度、と言われてましたが、それよりも足元の経済政策、金融政策の転換は1980年から続いてきた流れからの変局と捉えられるかもしれないです。

    こういう景気循環論、昔から個人的にも好きであるし、こういった長期波動を捉えたいと考えています。

    それにしても、もっと自分も勉強しなければ。

  • 大学生のときに経済学の講義を取らなかった(今でも後悔している)が、学生の時に本書を読んでいれば経済学の講義を受講していたと思う。

    受講していないので大学の経済学で何を学ぶかわからないが、おそらくStiglitzの経済学の教科書を片手に数学的な手法によって経済を分析する手法を学ぶのではないだろうか。
    もっと進んで、市場を詳しく分析するために確率微分方程式を学び(伊藤のレンマ!)、市場をモデル化するのだろうか。

    翻って、このような経済学は、希少性のある財をいかに効率よく分配するか、という基礎をおいている。
    即ち、人は効率良くかつ合理的に動くことを仮定しているし、公開されている情報はすべての人に対して対象であるし、企業は最適な戦略をとることを仮定している。

    そもそもこんな人間がいるのかという疑問はさておき、そもそも価値基準はすべての人にとって同じであろうか?
    お金儲けを第一と考える人もいるだろう。いやいや、働かず気ままな生活を望む人もいるだろう。環境を第一に考える人もいるだろう。
    これらの考えを、無味乾燥な数式に置き換えることは可能であろうか。

    経済学を勉強するのはもちろん良いのであるが、そもそも経済学の基礎をなす仮定をおろそかにしてはいけない。

    本書は経済学にかかわるいろいろな論点が議論されている。
    このような論点があるのか、ということを知るためにも良いと思う。

  • いろいろと考え、感じていたことが、昔から経済学でちゃんと扱われてきたことが分かった。そして、私は左派なのだと理解した。
    二重の経済という考えがとてもしっくりきた。

  • 経済

  • 経済学の歴史と批判的検討がわかりやすくて面白かった。ただ少し分量が多くて読了するのはやや苦労した。

  • なかなか。

  • 枝広さん 推薦。経済学の歴史あたりが面白い。借りたのは2回目だと思う

  • リーマンショックからのEU危機の年代に書かれた本。
    主にアダム・スミスとケインズを中心にして、グローバル経済や金融問題について書かれている。

  • いまお金と時間が十分にあったら何に使うだろう。やはり本を思い存分買うかな。レコードプレーヤーを買って、むかし買いためたレコードも聴きたい。旅行にも行きたい。パリには早く行っておきたいけれど(2001年9月18日出発予定が、すべてキャンセルになった)、近場の温泉にもつかりたい。エコカーを買おうか、ソーラーパネルをつけようか、もっと動きのいいパソコンを買おうか。やっぱりお金が十分にあれば、買いたいものはあるよな。けれど、全体としては車がどんどん売れるわけではないし、家がどんどん立ち並ぶわけでもない。収入は減るし、安いものばっかりが売れる。というか、何でもかんでもびっくりするほど安くなった。選挙があれば、景気の回復とか、経済の成長をうたう政治家たちがいるけれど、もう成長はいいよな。人口も減り始めているわけだし、あくせく働かずに、もう少しおおらかな気持ちで過ごしてもいいよな。十分に満足しているわけではないけれど、お金の呪縛からは逃れて、太陽の恵みを受けて、幸せを感じながら暮らしていければいいかなあ。本書を読んで、私のそんな気分が、理論的にもそれほどまちがっているわけではない、ということがわかった。

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著者プロフィール

経済学者、京都大学大学院教授

「2011年 『大澤真幸THINKING「O」第9号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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