ゼロからわかる 経済学の思考法 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881784

作品紹介・あらすじ

お金の役割、「好み」を数式化、ゲーム理論、需要・供給の原理…魅惑の講義、ここに開幕。

感想・レビュー・書評

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  • [第1刷]2012年10月20日

  • 数学科出身の経済学教授が解説した本(第2版)。
    著者いわく、普通の入門書と異なるアプローチで、ミクロ経済学の基本を解説した本。「需要と供給」を中心に、貨幣や市場とは何かを解説、さらにゲーム理論の概要から、最後には再び「需要と供給」の原理に帰ってくる。
    ロジカルな説明なので、「まあそうなるな」という印象で、経済学全く初学の私にとっては逆にそれほど驚きはなかった。
    ただ、第2版で加筆されたという前書き、後書き著者の経済学に対する愛情(のようなもの)と、その裏返しの歯がゆさが、とても面白い(エモい)。

  • 「需要・供給の原理」。経済学の入門編を勉強すると出てくる、ノの字型のグラフが交わるあれである。理屈は簡明そのものなので原理の当否について深く考えたこともないが、実際の経済においてその原理が成立しているさまを観察するのは意外に難しい。この本の大きな枠組みは、その「需要・供給の原理」がいかに成立するかをゲーム理論でもって再発見してやろうというもの。終盤戦はけっこうややこしいが、なんとか理屈を追いかけることはできた。

  • ミクロ経済学の基本、とくに需要・供給曲線の意味について、わかりやすく解説している本です。

    著者は、宇沢弘文の講演をきっかけに、数学から経済学に転じた経緯を語り、それまで経済学の需要・供給曲線にどのような意味があるのかということを、はっきりとつかめていなかったと述べています。その後、塾の経営者となって現実の経済の動きに触れたことで、需要・供給曲線を効用関数としてとらえるより、選好の理論にもとづいて理解したほうがその意味を明瞭に把握できると考えるようになり、本書でもそうした観点から解説がなされています。

    つづいて著者は、ゲーム理論にもとづいて、需要・供給曲線をより明瞭に理解するための見方を示しています。数学的な証明をたどっていくのに困難をおぼえましたが、直観的に理解できるような事例があげられており、おおまかな理解を得ることはそれほどむずかしくありません。じっさい著者も「もしも論理展開を面倒くさいと感じたら、次項はいったん読み飛ばして、先を読んでからもどってきても(あるいは読み飛ばしたままにしても)よいと思う」と述べているところもあり、数学が苦手な読者にとっても理解しやすいように工夫された説明がなされています。

    著者とおなじように、経済学が現実の経済と対応しているように思えないと漠然と感じている読者が、経済学とはいったいなにをめざしている学問なのかということを考えるための手がかりになるような本だと思います。

  • 本書は、「いかなる予備知識も数学の知識も前提とせずに、ゼロから『経済学の思考法』を講義するものである」とタイトルにあるとおり、数式を使わずに「価格はどう決まるのか」という点について2つの視点で説明しているミクロ経済に関する本です。

    ただし、著者も言っていますが、経済学は数学そのものなのです。
    ですから、本来は数式を使うべきところを、無理に数式を使わずに説明したせいで全般的に著しく冗長になっていてさらにいうとわかりにくく、個人的にはいまいちだった。
    しかも、経済学の理論の証明と実際に起きるかどうかは別物みたいで、それでは経済学の存在意義って何なの?って感じてしまう。

  • まえがき
    開講の前に 経済学って何なんだ?
    第1講 経済活動にも法則性がある?
    第2講 モノを交換する意味
    第3講 お金はなぜ必要か
    第4講 オークションが導く価格
    第5講 社会の協力を描写する
    第6講 グループの離反をふせぐ方法
    第7講 「社会の協力」から「需要・供給の原理」へ
    長いあとがき 経済学はどんな未来を見つめているか
    参考文献

  • 経済学は実生活には全く役立たない。趣味でやるもの。

  • 181013 中央図書館
    ゲーム理論によって、経済学の中心となる考え方が、中央集中型から分権分散型へとシフトしつつある、ということかな。

  • 経済学についての学説ではなく考え方をわかりやすく解説する。ゲームの理論の考え方を取り入れて解説しているところもわかりやすい。経済学の需要と供給の関係がふたつの考え方からも現れてくる。

  • 経済学でどう考えるか、ではなくそのものズバリ経済学がどういう風に考えているか、という意味での思考法ってタイトル
    最初から最後まで分かりやすくて基本的な部分が理解できたのでよかった。

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著者プロフィール

小島 寛之(こじま ひろゆき)
1958年東京都生まれ。東京大学理学部数学科卒業。同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。経済学博士。
現在、帝京大学経済学部経済学科教授。専攻は数理経済学、意志決定理論。
数学エッセイストとしても多方面で活躍しており、そのわかりやすい語り口には文系・理系の読者を問わず定評がある。
主な著書に『使える!経済学の考え方』『数学入門』(以上、ちくま新書)、『天才ガロアの発想力』『ナゾ解き算数事件ノート』『21世紀の新しい数学』『証明と論理に強くなる』『【完全版】天才ガロアの発想力』(以上、技術評論社 )、『無限を読みとく数学入門』(角川ソフィア文庫)、『数学的推論が世界を変える』(NHK出版新書)など多数。

「2021年 『素数ほどステキな数はない  ~素数定理のからくりからゼータ関数まで~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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