歌舞伎 家と血と藝 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 204
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062882217

作品紹介・あらすじ

当代の役者はいかなる歴史を背負っているのか?

明治から現在まで、歌舞伎の世界には、
世襲と門閥が織りなす波瀾万丈のドラマがあった――。
歌舞伎を観るのがもっと楽しくなる本。

○市川團十郎家はなぜ特別なのか?
○松本幸四郎家は劇界の毛利三兄弟?
○中村勘三郎の死は何を意味するか?
○偶数系片岡仁左衛門の悲劇とは?
○栄華を極めた二人の中村歌右衛門の戦略とは?
○尾上菊五郎家の歴史は繰り返す?
○新しい歌舞伎座を担うのは誰か?

「二〇一三年四月二日、歌舞伎座新開場柿葺落の初日に出かけた。この日、いちばん盛り上がったのは、人間国宝や藝術院会員たちの重厚な演技ではなく、中村勘九郎の息子・七緒八が花道を歩いて出てきた時だった。セリフを言うわけでもなければ見得を切るわけでもない。ただ歩いて出てきただけだ。……それなのに、「中村屋」との掛け声と万雷の拍手――こういう光景は歌舞伎ならではのものだろう。こういう世界は、たしかに入りにくい。だが、入ってしまえば、ひとりの幼児の背後にいる何世代にもわたる歴史が見えて、それだけで面白い。」(あとがきより)

感想・レビュー・書評

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  • 歌舞伎に興味を持つようになって最初の疑問が家系だった私には、この上なく魅力的な一冊だった。
    思うこと、感じることはたくさんあるが、新米歌舞伎ファンとしては、家を継いだ役者さんも、血を受け継いでる役者さんも、藝を引き継いでいる役者さんもそれぞれ輝いて、もっと歌舞伎が盛り上がれば良いな、と。
    この本が出た後に、三津五郎が入院したり、福助が歌右衛門を襲名することになったり、変化がどんどんあるので、新しい動きについても、いつか本が出ることを期待している。

  • 明治~現在までの歌舞伎役者の権力闘争についての歴史の本。登場人物が多すぎて、同じ人でも名前が変わるし、しかも襲名するから同じ名前の人ばっかり出てくるしで、昨日読んだ箇所をまた読まないと前に進めない難しさはありましたが、よくまあこの膨大で複雑な物語を一冊にまとめてくれたと思います。新書にしてはさすがに厚い。
    省略なしの大家系図でも付録についていたら良かったけれど、お手軽な新書形式であることも本としての魅力のひとつなので、多くは望むまい。むしろ、大家系図を作る作業を自分でやったらすごく勉強になりそうだ(何の勉強だ…)。

    つい今年、なんの知識もなしに出会った歌舞伎でわーっと好きになったにわかファンの私。「荒事と和事」とか「だんまり」とか「大向こう」とか、観賞の上での基礎知識を貪り食うように取り込む季節を経て、次は演じる人々の背景が気になってきたお年頃。市川団十郎ってどうも権威があるらしいけどどういうこと?とか、どうして松本幸四郎の息子が市川染五郎なの?とか、同じ市川や中村でも人気や偉さ(?)にずいぶん差があるようだが何か決まりがあるのか?とか、松竹って何様?とか。そんな今の私にうってつけの本でした。2013年8月出版という同時代感も良かった。(福助の歌右衛門襲名は、筆者は予期していなかったけどね!)

    筆者の中川右介さん、歌舞伎の他にもいろんな文科系分野の著書があり、面白そう。

  • 歴史
    ノンフィクション

  • 養子、ボンクラ実子、愛人、跡目争い、殺人(!)・病による非業の死・・。音羽屋、中村屋、播磨屋、高麗屋等々、血縁関係が入り乱れ、わかりにくい歌舞伎の門閥・芸筋を、芸能ニュース的要素も交えつつ、わかりやすく下世話に解説して、極めて、充実感のある一冊である。今までもやもやはからなかったところが、かなりハッキリした。「カブキ・ハンドブック」(良書)と並んで、歌舞伎鑑賞のお供に欠かせない一冊になりそうである

  • 「悲劇の名門 團十郎十二代」の後、同じ著者の別の本を読もうかと思っていたが、より包括的な書名のものを見つけたのでこちらを。期待どおり、「悲劇の〜」のノリを歌舞伎界の主だった家系に広げた、興味深い本だった。
    ただ、体裁はどうにもいただけない。時代ごとにブロック分けした上、「その範囲内での」それぞれの家の推移を書いているので、「第一章・了。第二章は別の家に関して記す。この家のその後については第八章(XXXページ)へ」というありさまで、昔なつかしい「ゲームブックかよ!!」とつっこみたい気持ちを抑えられなかった。
    系図を細切れにして各所に挟むやりかたも相変わらずで、これはもう確信的なものであろう。思えばこの著者は、「世界の十大オーケストラ」でも、この手の独特の構成だった。
    ただ、内容に関しては文句なしの力作。多くの役者が顔写真付きで紹介されているので、門外漢にも馴染みやすい。五代目坂東玉三郎と十八代目中村勘三郎について、私は名前程度しか知らなかったが、彼らの存在そのものにほとんど奇蹟とも言うべき大きな意味がある(あった)ことをしみじみと悟った。

    ただ——これは「悲劇の〜」でも書き、あまつさえそちらでは天皇家に言及していたのでこれまた確信的だと思うが——男系男子で家を繋ぐことは「かくも難しい」というのは正しくない。難しいのは男系男子の「父子相続に限定すること」で、従兄弟や甥、もっと範囲を広げての養子相続を採用すれば、難しいどころかむしろ容易となる。
    役者の世界は血統だけでない「才能」というものが必須なので多少難しくもなろうが、単に「ある血統を男系男子で繋ぐ」だけなら、何も難しいことはない。それを難しくしているのは、「男系男子の中でも実の息子しか不可」といった、あとから恣意的に嵌められた枠にすぎない。
    誤解されがちなこの点について、特に記しておく。

    2015/5/17読了

  • 20140915読了
    「オペラの運命」と前後して読む。同時期に発生した西洋のオペラ、極東の歌舞伎、それぞれの歴史をざっとたどりたかった。●歌舞伎の有名人はメディアをとおして耳にこそすれ実はよく知らなかった。いくつかある家のルーツを1冊にまとめてあり、読みごたえがある。同じ名前を○代目、○代目と継いでいくので誰が誰だったか分からなくなり、家系図に何度も立ち戻らざるを得なかったけれども。●明治から敗戦前に活躍した、ハーフの歌舞伎役者がいたのに驚き。その父であるフランス系アメリカ人は明治政府に採用されたお雇い外国人で、当時、日本政府の外交に大きく貢献したとのこと。それで(ここからがすごいのだが)大隈重信と伊藤博文が彼に妻を与えることにした(!)とのこと…奥さん(もちろん日本人)あげちゃったよ、すごい時代だ。妻となったのは由緒ある血筋だが生活に困窮して芸者をしていた女性だそうで、その子どもが歌舞伎役者になった15代目市村羽左衛門。●この伊藤博文が関わるエピソードを読んだ頃、並行読みしていた「ピアニストという蛮族がいる」(中村紘子)にも伊藤博文エピソードが登場。明治15,6年、ワイマール公国でフランツ・リストのピアノ演奏を聴いた伊藤博文が感激し「この者を日本に連れて帰りたい」と言いだした、とのこと。あのリストを!…どちらのエピソードも衝撃度が大きかったよ!

  • 読了。

  • 図書館で借りたけど一回通り一遍に読んだくらいじゃあ頭に入らないので今度買って来ようと思います。面白かったし中々色々勉強になりました。

    団十郎家、菊五郎家、という家系ごとの成り立ち等は読んだことがあるのですが歌舞伎界全体として、という本は読んだことが無かったのでなるほど、と初めて知ることが多かったです。が、なんせ名前は襲名されていくし姻戚関係が多いので何とも分かりにくい。言っては失礼ですが狭い世界でなんだかごにゃごにゃやってるなあというのが本音というか。歌舞伎界のプリンス、御曹司がちやほやされるのは確かにそうですがそれ以前に10歳にもならない子供のころから舞踊や長唄なんかの稽古をしたがる子供が居ないのも事実なんだろうな。そういう意味では子供歌舞伎とか良しあしはともあれ復興させた方が間口が広がるのも事実かもしれないです。が。まあ歌舞伎人口もそれほど多い訳でもないから無理に間口を広げる必要もないのか。それでなくても子孫はたくさんいるわけだし。

    それにしても門閥外から出てきた初代幸四郎の子孫が今ではプリンスだ御曹司ともてはやされるわけだから何とも物事はどう転ぶかわからない世界です。私はこの頃はまったまだまだ新参の俄かファンなので一通り学ぶには最適でした。今度は歌右衛門とかその辺りを詳しく読んでみようかな、と思います。面白かったです。

  • 色々と賛否両論あるようですが、個人的には、今活躍されている役者さんの関係図や、それぞれの名前の意味するところがよくわかって、とても勉強になりました。

  • 地元の図書館で読む。

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著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。「カメラジャーナル」「クラシックジャーナル」を創刊し、同誌のほか、ドイツ、アメリカ等の出版社と提携して音楽家や文学者の評伝や写真集などを編集・出版。クラシック音楽、歌舞伎、映画、漫画などの分野で執筆活動を行っている。

「2019年 『阪神タイガース1985-2003』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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