国際メディア情報戦 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062882477

作品紹介・あらすじ

【あの名著『戦争広告代理店』から12年、待望の最新刊!】

情報戦というと、CIAやらMI5やらの情報機関が水面下で暗躍する、
「ごく一部の人しか知らない情報」をいかにゲットするかの戦いのことだと思われるかもしれない。

しかし、いま世界を動かしているのは、自らに有利な情報を多くの人の目と耳に届け、その心を揺り動かすこと、いわば「出す」情報戦である。

情報は、自分だけが知っていても意味はない。
現代では、それをいかに他の人に伝えるかが勝負になっているのだ。

国際メガメディアの情報空間で生まれる巨大なイメージのうねりをめぐって、大国も小国もテロリストも争っている。

それはいかなるテクニックによるのか?
急拡大する新しい「戦場」で、いま何が起きているのか?
そして、日本はいかに戦えばよいのか?

今世紀をサバイバルするための必読書!

感想・レビュー・書評

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  • 加藤陽子「歴史の本棚」より

  • PR会社や米政治、テロ組織の情報戦について、色々と面白い情報や見方が紹介されている。前2作も本書で概要は触れられているが、ディティールもっと濃口と想像できるので読んでみたい。

  •  情報戦がやらせや捏造といった不正手段を用いるのでなく、高度に洗練された形で、国際世論を誘導していった事例として、ボスニア紛争、アメリカ大統領選挙、アルカイダなどを取り上げています。著者の実体験や取材に基づいた上での見解や考察が述べられていて、文章にリアリティが感じられました。

     情報をいかに手に入れるかというよりは、クライアントに有利な情報をどれだけ多くの人の心に印象深く植え付けることが大事か、ということに現代のリーダーやPR会社が腐心しているかがリアルに見えてきます。最近ニュースサイトでも、記事に模した広告が目立つようになってきましたが、そういう広告には「Ad」といった広告とわかる表記がしていますね。あれは広告代理店の仕事で、「Ad」を表記しない形で記事に意思を反映させるのがPR会社の仕事ということかなと思います。知らないうちにそういう情報にさらされ、自分の認知にバイアスがかかってしまうものなので、普段から発信者の意図を考えながら情報に接することが大事だと思います。

     東京五輪招致は、他の事例に比べ身近な内容でした。その招致合戦を情報戦という観点で見ると、トルコの失敗や、メガメディアのスーパーアンカーによって、五輪を全く意図しない形で放送された日本の優れた社会の一面などが寄与したという観点は、興味深い内容でした。

     現代の総力戦の勝敗の要因は、倫理的優位性を広めることであるということを示すものでした。

  • TT8a

  • 『戦争広告代理店』でも語られたボスニア戦争や、ビンラディン、オバマ大統領といったメディア情報戦の強者たちの戦い方を分析し、PRの重要性を説く。

    日本のメディア戦略も国内規模では色々やっているんだろうが、ヤラセがバレて炎上してしまうお粗末なものも多い。
    実際に「戦争」に繋がる国のPR戦略は、やはり緊張感とレベルが違う。

    抜粋
    自分のもとに届く情報が、そこまでにどのような「情報戦」をくぐりぬけてきたかを考える。
    その視点を持ち、情報の裏にある意識と、そこに存在したのが誰であるかを見抜く。

  • 「重要な情報こそ外部に発信し、それを武器とすることが国際社会で不可欠。情報戦とは、情報を少しでも多くの人の目と耳に届け、その心を揺り動かすこと。いわば出す情報戦。・・・いかに他の人に伝えるかが勝負」という前書きの筆者の説明が本書の内容を端的に表すもの。それを、ボスニア戦争、ビンラディン、オバマなど実例を使いつつ、具体的な展開を説明していく。日本への提言もあり。

    名著であることは疑いない。但し、前著の戦争広告代理店の内容をまとめたというボスニア戦争時の情報戦の内容が非常にインパクト強く良く纏まっている一方、それ以降の話題がやや長くインパクトがボスニアほどではなく、読書の高揚感が徐々に薄れていく感あり。

  • アメリカ大統領選挙のメディア活用の話. アルカイダなどイスラミックテロ組織のメディア活用の話 など. 情報操作とか民衆コントロールなどという話ではなく,国際メディアをしっかり活用し,民衆の頭と心に訴えかけましょうという話. 情報は最終的には国民のものなので,誇張や強調はしても嘘はつかない,機密情報は適切な保管期間を過ぎたら国民に公開する. 米国はいい意味で正直で公正な国なのだと思った.

  • 「国際メディア情報戦」高木徹著 読了。 00年代に読んだ中で最も衝撃を受けた「戦争広告代理店」の著者による久々の新刊。アルカイダやオバマ政権のイメージ戦略など、示唆に富む必読の書。

  • メディア戦略が重要なのはわかった。
    ビンラディンの話が多すぎかな

  • 情報戦という言葉から受ける印象は、以前とは異なり情報を集めることよりも情報を出すことをさすように感じられる。

    そうした情報の出し方については一定のルールやマーケットというものが存在していることも多くの人は知るところnのだろうが、本書は過去の事例をかなり詳細に分析して紹介してあり、いわゆる情報戦の基本を知ることができた。

    現代の情報戦において、嘘や捏造はダブーというのはSNSなどの力が大きくなってきている影響などもあるが、事実ではあっても嘘くさい情報というものの取り扱いが気になった。

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著者プロフィール

1965年、東京生まれ。1990年、東京大学文学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして数々の大型番組を手がける。NHKスペシャル「民族浄化~ユーゴ・情報戦の内幕」「バーミアン 大仏はなぜ破壊されたのか」「情報聖戦~アルカイダ 謎のメディア戦略~」「パール判事は何を問いかけたのか~東京裁判・知られざる攻防~」「インドの衝撃」「沸騰都市」など。番組をもとに執筆した『ドキュメント 戦争広告代理店』(講談社文庫)で講談社ノンフィクション賞・新潮ドキュメント賞をダブル受賞。二作目の『大仏破壊』(文春文庫)では大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。

「2014年 『国際メディア情報戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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