城を攻める 城を守る (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062882484

作品紹介・あらすじ

本書を手に取った方々は、一過性の趣味として城めぐりをしているわけではないはずだ。おそらく城好きが高じて、その歴史的背景までも知りたいと思っているのではないだろうか。本書は、そうした方々を対象としている。「日本百名城」ブームを一過性のものとして終わらせないためにも、その城で過去にあった攻防戦に目を向けてもらい、その城の経てきた歴史に興味を持っていただく必要がある。本書は、そうしたことを念頭に置いて書いた「戦う城本」である。

【白河城】 東北戊辰戦争の行方を左右した城郭攻防戦
【会津若松城】 幕末最大の悲劇の舞台となった白亜の名城
【五稜郭】 箱館戦争の舞台となった欧州式稜堡型城郭
【新井城】 武士の時代の終わりを告げた海城
【河越城】 新旧交代の舞台となった武蔵国の要衝
【箕輪城】 孤高の奇才・長野業政の築いた城郭網
【鉢形城】 戦国時代の黎明から終焉まで、激戦の舞台となり続けた要害
【八王子城】 関東平野を睥睨する巨大山城
【水戸城】 血で血を洗う同士討ちの舞台となった名城
【川中島合戦と海津城】 信玄の高速道路を支えた一大兵站拠点
【一乗谷朝倉館】 現代によみがえる中世城郭都市
【七尾城】 北陸有数の巨大山城を攻略した謙信の軍略
【春日山城】 謙信が手塩にかけて造り上げた戦国最強の山城
【桶狭間合戦をめぐる城郭群】 伊勢湾経済圏支配をめぐる織田・今川両家の熾烈な攻防戦
【懸河城】 今川家の駿遠防衛構想の切り札となった要害
【二俣城攻防と三方ヶ原合戦】 巨匠武田信玄が最後の筆を揮った会心の一戦
【長篠城】 戦国時代の流れを変えた山間の城
【高天神城】 栄光と没落の分岐点となった東海一の堅城
【山中城】 緒戦の大切さを教えてくれた戦国山城の最終型
【韮山城】 四万四千の豊臣軍を翻弄した北条家創業の城
【小谷城】 戦国時代を代表する難攻不落の大要害
【有岡城】 戦国有数の悲劇の舞台となった怨念の城
【賤ヶ岳合戦と陣城群】 天下の帰趨を決めた陣城戦
【大坂城】 外交的駆け引きに敗れ去った難攻不落の巨城
【原城】 泰平の世を震撼させた宗教戦争
【熊本城】 国内最後の城郭攻防戦を耐え抜いた名城中の名城

感想・レビュー・書評

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  • 小説家である著者は、自著の作品の根拠として城を研究してきた。その成果が本書であろう。それも、現存または復原天守だけではなく、山城までを含め、城郭攻防という視点から書かれていることに好感を覚える。北海道から鹿児島までの城を順に紹介するが、やはり西に行くほどエピソードが増えていくのが面白い。最後の熊本城は、日本の内戦の終焉という意味でも象徴的な城だ。中世の城址に近世の模造天守を建築してしまったり、復原天守にエレベーターを設置する・しないで揉めてしまう我が国。遺構の少ない山城は見向きもされない悲しさを感じた。

  • 城紹介だけにとどまらず、そこで起こった合戦の状況、いかに攻め、いかに守ったか、何度でも読み直したくなる名著だと思う。旅行に行く際にはもう一度、前もって再読してから城めぐりをしたい。

  • いやー面白かった!
    「実戦あってこそ城には魅力がある」という主題で書かれたこの本、さすがさすがと言わんばかりのマニアックな城の数々。歴史・城ファンにはたまりません。(逆に天守閣とか景色良い本とか探してる方には絶対オススメしません。笑)
    著者は小説家だそうですが、事細かに自分の足で調べ、客観的に書かれてるのだなと思いました。

    個人的に行ったことある城もあるのですが、
    まだ行けていない北関東の河越、箕輪、鉢形、八王子辺りは特に面白い。
    箕輪は長野業政という、この本読むまで全く知らなかった人に関する城なのですが、戦国期には珍しく国人との橫のつながりを重視することで敵の侵入を防ごうとした、中小企業的合理的な考えをもって支配をし、これを武田が打ち破るのに実はすごく時間がかかってたという、
    いやまさにこれが歴史の面白さ、というエピソードがいい。そうこうしてるうちに信玄の寿命が来てしまい織田の時代がやってくるんですよね。間接的になんでもない人間が天下を動かすという面白さ。

    東海地方の高天神、山中、韮山辺りも面白そうだなぁ。韮山なんかは1日で落城した山中城に代わって4ヶ月も持ちこたえたとは知らなかった。

    西日本編に入って、小谷、有岡、と来たときはこの本さすがだなー!!とニヤニヤしてしまいました。(どっちも行ったことがある)
    有岡城は特に今「黒牢城」で流行ってるのでめちゃ面白くなるのではないでしょうか。

  • 人気歴史小説作家が城を訪れ過去の戦に思いを馳せる。城の構えなど具体的な記述が楽しい。

    最近多くの著作のある作家。小説ではなく実際に城を歩き歴史を交えて書いた作品。攻防戦について詳細に記述したところが特長だろう。

    一つの城ごとにもっと深く掘り下げても楽しめそう。戦国時代限定でなく島原の乱の原城と西南戦争の熊本城、戊辰戦争の白河城など広い時代を描く所も良い。やや東日本に偏ってはいるが。

    筆者の小説をさらに読んでみたくなるし、実際に城跡を訪ねてみたくなる。

    良くできた1冊でした。

  • 実際に戦闘の舞台となった城について、図とともに解説。あとがきにもあるとおり、作家さんが内容にこだわって書かれた逸品。図が秀逸すぎる。それぞれの城に行く前に再読したい。

  • [評価]
    ★★☆☆☆ 星2つ

    [感想]
    城に関する攻防で比較的に有名な戦いから江戸時代末期の戦いまで多くの戦いがわかりやすく紹介されており、読みやすい内容だった。
    ただ、定説に対する新説、もしくは著者の考えと思わしき内容が書かれているのだが、根拠となる参考文献についてが書かれていないので、どこまで信用できる内容なのかがさっぱりとわからなかったのが残念だ。
    また、著者が小説家であるためなのか、死んでいった者達が浮かばれないや、武士らしく死なせてやりたいと思ったなどの著者の思いが書かれているのは不要だと思う。
    その思いは大切な者だとは思うが、後書きで著者が書いているように小説家が書いた歴史研究書という見下しを受けないように書いたという言葉とは相反する内容になると思う。
    量が多いから参考文献リストを記載しない時点で歴史研究書どころか、研究結果でもないと思う。
    量が多くなろうが、間違ってしまおうが記載すべきだ。

  •  【白河城】 東北戊辰戦争の行方を左右した城郭攻防戦
    【会津若松城】 幕末最大の悲劇の舞台となった白亜の名城
    【五稜郭】 箱館戦争の舞台となった欧州式稜堡型城郭
    【新井城】 武士の時代の終わりを告げた海城
    【河越城】 新旧交代の舞台となった武蔵国の要衝
    【箕輪城】 孤高の奇才・長野業政の築いた城郭網
    【鉢形城】 戦国時代の黎明から終焉まで、激戦の舞台となり続けた要害
    【八王子城】 関東平野を睥睨する巨大山城
    【水戸城】 血で血を洗う同士討ちの舞台となった名城
    【川中島合戦と海津城】 信玄の高速道路を支えた一大兵站拠点
    【一乗谷朝倉館】 現代によみがえる中世城郭都市
    【七尾城】 北陸有数の巨大山城を攻略した謙信の軍略
    【春日山城】 謙信が手塩にかけて造り上げた戦国最強の山城
    【桶狭間合戦をめぐる城郭群】 伊勢湾経済圏支配をめぐる織田・今川両家の熾烈な攻防戦
    【懸河城】 今川家の駿遠防衛構想の切り札となった要害
    【二俣城攻防と三方ヶ原合戦】 巨匠武田信玄が最後の筆を揮った会心の一戦
    【長篠城】 戦国時代の流れを変えた山間の城
    【高天神城】 栄光と没落の分岐点となった東海一の堅城
    【山中城】 緒戦の大切さを教えてくれた戦国山城の最終型
    【韮山城】 四万四千の豊臣軍を翻弄した北条家創業の城
    【小谷城】 戦国時代を代表する難攻不落の大要害
    【有岡城】 戦国有数の悲劇の舞台となった怨念の城
    【賤ヶ岳合戦と陣城群】 天下の帰趨を決めた陣城戦
    【大坂城】 外交的駆け引き

  • 戦国~明治初期にかけて戦いの行われた城に着目して書かれた本。
    面白いのですが、私には少し前提知識が足りませんでした。

    一つ一つを掘り下げて欲しいのですが、その場合は著者の別の本を読むしかなさそうですね。

  • 日本の城の解説本だが、美しい写真集や名所案内ではなく、攻城・籠城戦を紹介する異色作。対象となる城そのものの攻略法・守り方というよりは、近隣の城主の調略や陸海路の確保など、大局的な要素が勝敗を握る重要な鍵となった事例が多いのが興味深かった。

  • 城ほど外部影響を受けるファクターはないね。

  • 私には前提知識が不足していたようであった…

  • 歴史小説作家である伊東潤が2014年に発表したお城を紹介した本。本書では、戦のためのお城を取り上げており、五稜郭や会津若松城、大阪城など有名な城もありますが、あまり一般的ではない山城などを選択しているのが特徴。著者が歴史小説の題材として取材旅行などをしたことのある場所というのも選考の基準だったのかもしれません。ある程度、お城を好きな人向けに書かれているため用語や歴史的背景が端折られている部分がありますが、一般的なお城紹介本に飽きた人には面白く読めると思います。作者の推論が多いので読む際に注意が必要。

  • 日本のお城の話。それなりに面白かった。

  • 戦国歴史作家である著者が、戦国時代の有名な合戦を「城」の観点から読み解こうとしている本。両軍の軍事作戦における城の役割を軍略的観点で大局的に述べることを主眼としており、防御施設としての城の構造や、局地的な攻城戦についてはそれほど記述していない。それどころか、「精神的な支柱」の一言で片づけられてしまった城すらある(春日山城の章)。それでも、地政学や外交的な駆け引きも含めた軍略全般に興味があれば、本書はそれなりに楽しめると思う。

  • 各地の城の攻防戦

  • 城郭攻防戦。おもしろかった。大河ドラマや他の時代劇で見て知った合戦や城取りが取り上げられていた。戦いから人生を学んだ徳川家康、学ばなかった武田勝頼などの人物評、奇襲戦といわれる合戦の多くが不測の遭遇戦。力による勝利よりも内通による敵の寝返りによる勝利。中央集権的・垂直的主従関係ではなく、地方分権・並列的主従関係など。「信長の城」参照。

  • 他の天守閣とかの写真で城をもてはやすのではなく、戦いを前提に今は城跡、ただの山みたいになってる城をも取り上げ、歴史を自説も交えて説明してくれるんだよね。そこがおれの感性に凄くあったとゆうか、こういった知識を持って城跡巡りしたらもっと学こと大なんだろな。

  • 7月新着
    日本史好きの人はぜひ!
    冒頭の白河城・会津若松城・五稜郭の幕末から、春日山城・二俣城・高天神城そして小谷城・有岡城の戦国時代まで、城にまつわるエピソードが満載。各攻防戦についてガッツリ書かれていて、読み応えアリ。

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著者プロフィール

1960年神奈川県横浜市生まれ。私立浅野中学、浅野高校、早稲田大学卒業。日本IBM(株)入社後、おもに外資系日本企業の事業責任者を歴任。
著書に『戦国関東血風録 北条氏照・修羅往道』(叢文社)、『悲雲山中城 戦国関東血風録外伝』(叢文社)がある。
加入団体に『八王子城とオオタカを守る会』『八王子城の謎を探る会』『ちゃんばら集団剣遊会』『三浦一族研究会』等。
趣味 中世城郭遺構めぐり 全国合戦祭り参加 ボディビル エアーギター アマチュア・ウインドサーファーとしてソウル五輪国内予選に参加(8位) 「湘南百年祭記念選手権」優勝等各種レース入賞多数
*ご意見、ご感想等の連絡は下記のメールアドレスへ
jito54@hotmail.com

「2006年 『虚けの舞 織田信雄と北条氏規』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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