万葉びとの宴 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 72
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062882583

作品紹介・あらすじ

万葉時代の「宴」「宴会」に焦点を当て、当時の宴会芸、いまも昔も変わらない酒席での人々の様子を人気学者が解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 宴会、つまり令和出典となった万葉集の梅花の宴にも触れてあるのでこちらも令和ブームの中で取り上げられていた本ですね(発行は2014年でした)。
    家持の歌日誌的な部分の意味をあまり考えてなかったけど宮廷社会の儀式や宴などのしきたり、先例を遺しておくことの重要性に気付いたからとあって、つまり平安以降に子孫の為に貴族がこぞって日記を遺してるあれか…!と思うと目からウロコ。
    この本でこのエピソード好きだな~ってなったのが、平十八年の元正太上天皇天在所での雪掃奉仕と歌群かな雪かき大してしてないよね口実に酒宴ねだったんだろねという解釈がとても好きですね。元正太上天皇と橘諸兄の人徳を感じる。

  • 万葉集が編纂された時代にも、もちろん様々な宴がありました。本書は「宴」に焦点を当て、当時の宴会芸、ある意味では現在も昔も変わらない、酒席での人々の様子を解き明かしていきます。
    新元号の「令和」を引用したとする、梅花の歌三十二首序文はまさしく梅の宴での出来事です。梅の宴に招かれた人々が、主催者から庭の梅を題して短歌を作るというお題が序文。そこから、それぞれが作った短歌を披露していくことになります。そこには、知識人ならではの工夫がちりばめられています。
    他にも万葉びとの様々な宴を解説する本書、古代の人々に思わず親近感が湧いてくるかもしれません。

  • 宴という側面から万葉を読み解く、という試み。「今日、私たちは、政治と芸術というものを、別々のものとして理解している。しかし、それは、現代を生きるわれわれのものの考え方でしかない。(中略)ともに酒を飲み、あい歌い、和することこそ、政治の原点ではないのか?」
    政治の原点であるからこそ、宴で他の人々がどんな歌を詠んだか席次はどうだったかを記録して子孫に(教養やマニュアルとして)残した。それが芸術を後世に伝えることになった。
    政治的側面は切り離せないけれども、歌は歌としておもしろく、作者がよく随所でおっしゃっている「万葉集とは8世紀の声の缶詰」というのがよくわかる。
    古今和歌集にある、天地を動かし、鬼神を感じぜしめ、人倫を化し、夫婦を和ぐるは、和歌より宣しきはなし、というのがこの時代にすでに根底意識としてあったのだな、とも思う。
    令和の由来となった梅花の宴のことも詳しくかかれていて、タイムリーな一冊だった。

  • せまい貴族社会のなかでしょっちゅう宴会をやっていたわけだ。気遣いが大変そうであるが、まあ宴会は楽しいよね。

  • 軽妙な語り口で面白かった。色んなタイプの宴会とそこで詠まれる歌のパターンの解説なのだが、筆者が楽しんで書いたんだなということが伝わってきて、読み手も楽しくなる。

  • 20141016-1023 出だしからつかみはOK,って感じ。
    宴の始まりから終わりまで、主に万葉集を参照しつつ、エピソードを盛り込んでいる。昔も今も飲みニュケーションは大事なのね・・(・_・;)

  • 8月新着

  •  万葉集の作品の多くは宴席で作られている。それでは宴席とはなにか。本書は宴席の持つ異空間性と非日常性とに注目しながら、宴が文学の発生にもたらした役割を述べていく。
     ただし、一般向けに書かれた本書には学者の気取りがなく、親しみやすく面白い。かつて私も同じようなことに興味をもっていたので、このような形にまとめていただいたことを大変嬉しく思う。

  • 誰かの日記をもとにその時代の宴会の模様を中継してくれている本かと思っていましたが、歌を中心に宴会を読み解いていくという私にはちょっと高尚な本でした。

  • 歌を詠むということは、芸術ではなく、たしなみのひとつだったんだなぁということが実感できる1冊だった。万葉集の歌から当時の宴の様子を再現する、という発想が面白い。

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著者プロフィール

奈良大学文学部教授。著書『万葉文化論』(ミネルヴァ書房・2019)、論文「讃酒歌十三首の示す死生観—『荘子』『列子』と分命論—」(『萬葉集研究』第36集・塙書房・2016)など。

「2019年 『万葉をヨム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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