- 講談社 (2014年5月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784062882620
作品紹介・あらすじ
「生命の起源」は誰でも一度は抱く疑問で、その謎への挑戦は科学ロマンの一つである。粘土鉱物の専門家である著者は、生命の源となる分子の誕生には、地球に大量に飛来した隕石が深く関わっており、しかも、それは海中ではなく、地中の奥底深くで行われた可能性が高いという。「生命はなぜ生まれ、なぜ進化し続けるのか?」。きわめて原初的な問いかけに対して、科学的に明晰に答えたエキサイティングな作品。(講談社現代新書)
「生命の起源」は誰でも一度は抱く疑問で、その謎への挑戦は科学ロマンの一つである。ソビエト連邦の生化学者アレクサンドル. I. オパーリンの著書『生命の起源』(1924)に始まる、生命の起源を探る研究は有機化学の一分野として確立し、タンパク質や核酸がどのような化学反応を経て“非生物的に”合成されたか、を探る研究が積み重ねられてきた。
しかしながら、こうしたアプローチには「環境の変化と自然選択」という進化論の重要な視点が希薄であり、物理学、化学的にも説明のできない不十分なものだった。
物質・材料研究機構で、粘土鉱物を研究していた著者は、生命の源となる分子の誕生には、地球に大量に飛来した隕石が深く関わっており、しかも、生命誕生のプロセスは海中ではなく、地中の奥底深くで行われた可能性が高いことを、隕石衝突を模した実験で見事に証明した。
「生命はなぜ生まれ、なぜ進化し続けるのか?」。きわめて原初的な問いかけに対して、科学的かつ論理的に明晰に答えた、知的好奇心を刺激するエキサイティングな作品である。
生命の起源を探る研究を進めていくと、物理や化学の論理だけでは説明できない、さまざまな謎に直面します。なぜ岩石や鉱物ばかりの原始地球に炭素や水素でできた有機分子が出現したか? しかも、アミノ酸や糖など生物をつくる基本的な有機分子はみんな、なぜ水溶性で粘土鉱物と親和的なのか? なぜ、それらがタンパク質やDNAなど高分子に進化したのか? いずれもよく知られた事実ですが、「なぜそうなのか?」は今の物理や化学では説明できていません。生命の起源や進化に関する“なぜ?”には、生物学、物理学、化学など個々の専門分野の常識では答えられない謎がたくさんあるのです。その最たるものは「なぜ、生命が発生して、生物には進化という現象があるのか?」という根源的な命題です。(本書より)
感想・レビュー・書評
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気軽に読み始めたら未知の世界過ぎて面食らった。自分は化学に弱いことを痛感させられたが、非常に興味深い読物だった。特にホモキラルだのラセミだののあたり、物理界の対称性の話題はお馴染みだが、化学にも左右の概念があったとは。ぜひ覚えておきたい。
まず、筆者は「生命は海で生まれた」という常識を徹底的に否定する。理由の一つとして、水中では加水分解が進むためむしろ分子進化には適さないことが上げられる。
筆者の説は独自のもので、広く受け入れられた学説とは言い難いようだ。まだまだ推論を重ねただけという部分もある一方、一部は非常に説得力を感じる。
●「生物はエントロピー増大化法則に反している」
よもやこのパラドックスを説明する論説があったとは。曰く、地球はその誕生以後熱を放出し続けている→全体としてのエントロピーは増大している→地球自体は冷える→地球のエントロピー低下→地球内は秩序化する。つまり地球規模で考えれば生物とは、地球誕生時の軽元素が秩序化した結果である、と。
もっともこれは「そう考えれば説明できる」というだけで、証明されているわけではないし証明できる事柄でもないだろう。どちらかというと概念的な問題に思える。
●初期の生命は細胞内共生による進化があったため、親から子への遺伝子を辿るだけでは、「最初の生命」には辿り着けない。
●”有機分子ビッグ・バン説”
前提:”還元的”環境であればアミノ酸など生物有機分子は発生しやすいが、原始大気は”酸化的”だった。
筆者説:隕石の後期重爆撃によって生じた蒸気流は一時的に”還元的”になる。この瞬間に生物有機分子が大量生成された。
●生物有機分子の地下深部進化仮説
高分子化は海洋堆積物の地下深部での続成作用による。
●プレートテクトニクスの結果、生命誕生。
”膜で囲まれた小胞”つまり「個体」の成立→”小胞融合”つまりエントロピー「代謝」→分裂による自己複製つまり「遺伝」
これで「個体」「代謝」「遺伝」という生物条件を満たした、すなわち「生命誕生」である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「なぜ、生命が発生して、生物には進化という現象があるのか?」この問いに対して、誰もが納得するような解答を示した人は未だかつて存在しません。それは、「生命は自然に発生して、生物は進化するもの」と私たちは、ハナから思い込んでいるからです。
「生命の起源や進化に関する”なぜ?”には、生物学、物理学、化学など個々の専門分野の常識では答えられない謎がある」と著者は言います。さて、この「生命の起源」について科学的な説明を試みた一人にアレキサンドル・I・オパーリンというソビエト連邦の生化学者がいます。彼が著した「生命の起源」は、有機化学の知識や成果を用いて「生命の起源」を探り、それまでの生命観を一新するモデルを作り上げました。
生命は、アミノ酸などの有機分子を含む太古の海で発生したという想定のもと、化学者たちは、タンパク質や核酸が、どのような化学反応を経て、非生物的に合成されたか、水溶液中の化学合成の研究を繰り返してきました。しかし、彼らの研究には生命が進化すること、つまり、「環境の変化と自然選択」という進化論の基本的な視点が抜け落ちていたのです。 -
約46億年前に誕生した地球において、どのように生命が誕生したかについて考察した本でした。
本書では、一般的には最初の有機物、及び生命は海底の熱水噴出口の付近で誕生したと考えられていますが、それとは異なり、地理学的な視点からの新たな視点から考察されていました。
約40億〜38億年前の激しい隕石の衝突である後期重爆撃によって、水が超臨海水から超高温の気体となり、衝撃後蒸気流が発生した。この中で水が水素イオン、酸化物イオンに分解され、酸化物イオンは金属を酸化して吸収されるので、水素イオン過剰の状態となり、大気が還元大気となった。その結果、窒素が還元されアンモニアとなり、海洋中に炭酸水素イオンとアンモニウムイオンが安定して存在するようになり、アミノ酸が生成されたという説が提唱されており、理論的には納得するものでした。
また、その後の生命の発生については、地中の粘土鉱物の中で起こったと考える、地理学的な新しい発想の説であり興味深いものでした。
様々な実験データも記載されており、信頼性のある本であると感じました。
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宇宙の誕生、太陽系の誕生、地球の誕生、生命の誕生。なぜ、こんな世界が存在しているのかは永遠の謎。生命の誕生と進化は、地球内部の熱の放出に伴うエントロピーの低下という物理の一般法則による必然である、という発想に納得してしまう。いろんな説があるが、確率的に信憑性が高そう。
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「生命誕生」読了。
地球誕生から生命発生にいたるアミノ酸やタンパク質の前駆体ができるまでの課程について、物理的にあり得る経過を考えながらわかりやすくまとめている。
まず、地球が放熱しエントロピーが減少することによるプレートテクトロニクス機能した。そして、海ができた後の隕石の後期重爆撃が海洋・大気の化学反応を発生させて有機分子ができた。その後、海洋中の粘土物質とともに有機分子が海底に沈殿し、圧密・昇温効果で脱水重合することで有機分子が高分子化した。海底にできた高分子がプレートテクトロニクスにより移動し、小胞を形成することのできた高分子は熱水鉱床のエネルギーを利用して生き延び、その後、小胞が融合して内部のタンパク質が代謝機能を持つようになり、RNA/DNAを形成して種を作ったという仮説である。
説明の課程は論理的で説得力があり、いくつもの地質学的な証拠や実験による検証などが示されており、明確でないところは明確でないとはっきりさせていて科学者としての態度には好感が持てる。特に水さえあれば、あるいは海さえあれば生命が発生するという安易な考え方はしておらず、生命発生に対してのアプリオリな考え方を廃しすべて物理法則に則っているはずだという考え方にはぶれがない。
新書としてはレベルの高い内容だと思うが、著者は74歳になり物質科学を研究してきた者として広く生命誕生の研究の最前線を知ってほしいという意気込みと、この本をきっかけに若き研究者が興味を持ってくれるように新書にした気持ちがよくわかる一冊だと感じた。しかし、生命についてここまで具体的に唯物論的な説明がされてくると哲学や宗教はいったい何なのか考え込んでしまう。 -
背ラベル:461.6-ナ
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はぁ、やっと読み終わった。生命が誕生するまでの流れを地球で起きたイベントとリンクさせて解き明かそうとする著者の考えを書いてますが、とにかく読みにくい。一番最後に全体をまとめた章があって、それで繋がりましたが、それまで各論が続くので……。
あと、現在主流の理論とは違う新説だということを強調したいのか、主流説に対する攻撃が多すぎて。皮肉っぽい言い方の箇所もあるのがどうにも好きになれません。
また、新説とは言っても今は著者のような考えのほうが主流と思うので、そこまで20世紀の説を攻撃しなくてもと思いましたです。 -
著者の主張する第二章(エントロピーと進化の関係の話)が全く受け入れられず、全体的に斜に構えた姿勢で読み込んだ。第二章のツッコミどころが多くてどうする?
本当は化学進化における様々な説を知りたくて最初にこの本を手にしたのだが、この本では自説以外の説はほぼ否定する始末。特に後半は持論に沿った仮説の話でお粗末。説を裏付ける物的証拠に触れないまま理屈一辺倒であるため、途中から辟易。
化学進化についていろいろ知りたかったものの、著者の自説に感化されそうになり、中立的な判断ができなくなりそうだ。
内容的に★2つぐらいが妥当であるが、参考文献など含め丁寧に書いている箇所もあるので、おまけで★3つ。 -
どうやって地球に生命の元となるアミノ酸等の有機物が生じ、そこから高分子が形成されたのか、どうしてそれらはすべて親水性なのか。
従来言われていたような有機物の海で雷等のエネルギーからアミノ酸が生じるというようなことは起こりうるが、長い目で見ればいずれ加水分解、酸化分解してしまうはず、というもっともな疑問から、考古学データ、物理化学等を元に全然違う仕組みを当時の地球全体の動きの中で捉えようという視点。
データが裏付ける太古地球への隕石の衝突時、その莫大なエネルギー下で生じた様々な有機化合物のうち、親水性で海中のコロイド(粘土性鉱物)と一緒に凝集して海底へ沈降していったものだけが海中、海面、外気での分解を免れて堆積していった。それが地球の冷却で生じたプレートテクトニクスの中で高温高圧の還元雰囲気環境下で脱水縮合するものが生じたという見方。
膨大な量が生じたであろう有機物の中で、様々な条件をたまたまかいくぐって残ったものが今生命の素材となっている。
この時、堆積していても条件の違いで炭化してしまった有機物(遠い祖先の仲間たち)がダイヤモンドになったというのも心にじんわりと残る。
その後それらアミノ酸由来の高分子のうち無機の小胞と融合したものが外部との境界を持つことにより、分解を免れ代謝が始まっていったというのが生命の起源としている。
この辺にはちょっと飛躍も感じるが、複製能力はその後できてきたものであって、まずは外界との間での代謝(他の小胞との融合による負のエントロピー獲得等)が先に始まったとするところはなるほどと思う。
まず複製ありきでは全く説明ができていないと感じていたのでこの点は目から鱗。
疑問点もあるがこういう視点にはワクワクする。
また世界の見方を広げてくれた貴重な一冊。 -
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何事も広い視野を持って考えることが大事。
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大変意欲的な作品で、生命誕生だけにとどまらず、そもそも生命誕生の歴史とは地球誕生の歴史であることを痛感させられた。
「生命体はエントロピー平均化の法則に反している?」という謎、「ユーリ・ミラーの実験はほんとうに正しいのか?」という謎、「海が生命誕生の基ではなく、地球内部の圧力と熱による?」など、その仮説だけではなく実験によっても実証している。
無機物質しかなかった原始地球において、高度な「有機物質結合体である我々がどのように生まれたのか?翌々考えてみると、窒素や酸素、水素、炭素をただ並べても何も起きないのに、高度に組成すると生命体になるのだ。これは地球の大きな営みが隠されている。
骨太で大変読み応えがあるが、多少は化学の前提知識は必要であろうとは思う。
とてもおすすめな本だ。 -
我々が地球の子であることが証明されている。有機分子のビッグバンが起こったことにより、地球で生命が誕生したと説明している。
有機分子のビングバンとは概ね次のようなことらしい。
40〜38億年前に隕石の海洋衝突による”還元的”な衝撃後蒸発気流の中でアンモニアが大量に生成される。そして、”後期重爆撃”の時代には、一度隕石が衝突した付近の海域に再び隕石が衝突し、アンモニアやカルボン酸、あるいは炭酸水素アンモニウム、アミンやアミノ酸などが原料となってより複雑な有機分子が生成された。
また、熱力学第二法則に基づき、「生命の発生と生物進化は、地球のエントロピーの減少に応じた、地球軽元素の秩序化(組織化・複雑化)である」としてる視点も面白い。 -
「生命誕生」という大テーマに挑んだ野心的な書籍。新書形式だが、その内容はかなり重厚である。
生命の誕生から、その進化の探求については、近年ではニック・レーンの2009年の著作『生命の跳躍 - 進化の10大発明』という非常に野心的な良書がある。著者もレーンも、生命の誕生のもとになる有機分子の発生メカニズムについて、雷による化学反応で有機分子が生まれるという有名なミラーの実験を否定している。レーンは、前掲書にて海底での熱水噴出孔説を採ったが、著者は「隕石衝突よる有機分子のビッグバン」および「分子進化の自然選択説」という独自の仮説を採る(熱水噴出孔説を著者は明確に否定している)。著者の説は、約40億年前に、隕石の大量の衝突があり、それが有機分子の大量の生成につながったというものだ。著者は実際に隕石衝突を模擬した実験で、アミノ酸の部品に相当する有機分子が多量にできることを示している。
また、有機分子から生命への進化についても、他の学説とは異なる「生命の地下発生説」を採るのも特徴的だ。
「「生命はどこで誕生したのか?」との御質問が、生命機能を開始した最後の段階を指すとすれば、答えは「海底の地下の、熱水の通る厚い堆積層の中」だと言えます。それら“原始生命体"は、遅くとも34億年前には地下の厚い堆積層の中に「地下生物圏」を造って、次に海洋に出て適応放散する機会を待っていたでしょう」
というのが著者の答えだ。この説を受け入れることで「「生物有機分子がなぜ水溶性で粘土鉱物親和的か?」の謎は、歴史的事実の逆で、「水溶性で粘土鉱物親和的な有機分子だけがサバイバルして生命の素になり得た」」と言うことができるとする。自分はそれが謎であることも知らなかったが、そう言われるとそんな気がする。とにかく著者がそう信じていることによる力強さを感じる。
著者の学説が魅力的に思えるのは、生物の発生と進化を、熱力学と自然選択という基本原則によって説明を試みている点にある。著者によると「分子も生物も、そして固体地球も、すべからく進化は熱力学第二法則に従った現象だ」と言う。そして「進化の物理的必然性はエントロピーの減少をともなう地球の熱放出であり、分子進化の諸反応を整理する"軸"は全地球史だ」と言う。著者の説が正解かどうかは自分には判断する知識はない。著者本人もまだまだ未知領域が拡がっている、と認識している。ただ、生物誕生の必然性を提供してくれる魅力的なフレームワークであると思う。有機分子の発生に隕石の衝突が出てきて、代謝機能やRNA/DNAの出現に際してプレートテクトニクスが出てくるその説は非常にダイナミックだ。
著者は当初、生命の起源というテーマに当たって「ミラーの実験、リボザイム、RNAワールド、タンパク質ワールド、古細菌、生物三界説、セントラル・ドグマ・・・・・・などなどなど、生命の起源をめぐる膨大な知識に溺れていて、研究の手掛かりがつかめなかった」と言っている。そこから思考を巡らせて辿りついたのが、本書で何度か登場する「地球軽元素進化系統樹」である。この図の理解がこの本の理解のポイントではあるだろう(小さくてよく読めないのだけれど...)。
著者の仮説がこの後、主流のパラダイムになるのかどうか、はっきりいうとわからない。あと何年かした後に、その検証とアップデートをぜひお願いしたい。そもそも今でもどのように学会で扱われて評価されているのかもわからないのだが。 -
生物は一つの単細胞から多様な種に進化していったとするのが生物学の常識だが、では最初の生物はどのように誕生したかに対しては歯切れが悪い。太古の海は有機物のスープであったとか地球外から隕石で運ばれてきたからとか、である。
本書は分子がどのようにして有機物となり、重合化して核酸などの生物のもととなったかについての仮説を提示している。これを地球の成り立ちから説明しており、きわめて蓋然性が高い説だと思う。
地球の歴史を見ると生命が誕生するのは必然的であったとも言えるし、地球が生物が誕生するようなシナリオを描いてきたのはミラクルな偶然であるとも言えるかもしれない。 -
9月新着
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無機・有機化学、地球物理が示唆している事実を積み重ね、大胆で新たな生命史像が提示されている。RNAワールド仮説をはじめとする生物学の「定説」を覆すことに成功している。これまで読んだ生物系の本とはアプローチが異なり、非常に面白かった。未解明の部分を明確化したことの意義も大きい。参考文献が丁寧についているのも新書とは思えないクオリティだ。
・古代の磁性鉱物の向き。地球磁場の化石という見方。大陸移動説の確立。
・生命の発生は地球の熱の放出に伴うエントロピーの減少という物理の一般法則の結果。だからこそ他の天体にもありうる。
・バクテリアには生物進化の初期だけにある「細胞内共生」という進化の別の機構があり、遺伝子分析の方法ではその先がたどれない。
・遺伝子は量子力学の支配する「分子」でなければならない:シュレディンガー
・「生物有機分子がなぜ水溶性で粘土鉱物親和的か」の謎は歴史的事実の逆で、「水溶性で粘土鉱物親和的な有機分子だけがサバイバルして生命の素になり得た」。
・有機分子が地球上に生成しても、海水では多量の水に希釈されて、反応に必要な濃度にならず、重合して高分子になることはできない。
・「太古の海は生命の母」の呪縛に縛られて、いかにも原始的な熱水環境で古細菌が見つかったことで、熱水噴出孔こそ生命発現の場かもしれないと期待してしまった。
・アミノ酸など生物有機分子は、還元的な海洋堆積物の続成作用による高圧・高温の脱水環境で、自然に重合して高分子になる。
・いくら仮定を増やしても、宇宙起源説では、生命が発生するほどの種類と量の生物有機分子がどうやって蓄積したのか、説明できない。
・まず小胞群が代謝機能を獲得して、続いて自己複製機能を獲得した。しかし、この逆のRNAのような遺伝情報を担う巨大分子が先にでき、後に代謝機構を獲得したするシナリオには、説明不可能な問題や矛盾がある。
・地球軽元素は、みずから生物となるまで、分子のときは結合、高分子のときは複合化、そして小胞となってからは融合など、いずれも結合や合体や融合することで、それぞれの環境をサバイバルし、同時に軽元素のエントロピーを下げて、地球冷却の要請に応えてきた。 -
有機物の生成と、代謝システムの獲得まで。化学式が理解できれば、説の妥当性が判断できるのかもしれない。
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現代新書からほぼ同時に出ていた「生命のからくり」と合わせて読んだが、どっちもかなり面白かった。こちらは特に「有機分子ビッグバン」から、粘土コロイド上でのアミノ酸や核酸塩基が重合というシナリオに迫力があり、目から鱗の感じを受けた。核酸様の分子ができた後の過程は「生命のからくり」の方が、生物を知っている人の話という印象。ただ、逆に言えば、そういうこれまでの生物学の常識の枠に収まらないのがこの本の魅力と言えるかも。
