現実脱出論 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 718
レビュー : 69
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062882743

作品紹介・あらすじ

目に映っている現実は、決して唯一無二の世界じゃない!

目で見ることも、手で触れることもできないけれど、
たしかに存在するあの〈懐かしい世界〉へ読者を誘う

ベストセラー『独立国家のつくりかた』で〈社会〉と対峙した坂口恭平が、
今度は私たちの〈無意識〉にダイブする!

感想・レビュー・書評

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  • “今後、集団という概念はさらに拡張し、個人の匿名化はどんどん進んでいくだろう。かつ、国家という集団を保持するための警備はますます強化されると考えられる。”=175ページ・「自殺問題の根にあるもの」=

    ↑まさに今世界中で起っていることが書かれていた。
    全体的に難しくて読んでいて眠気に襲われて、何より頭の中がぐるぐるになった…。裏表ひっくり返されたような感覚に陥った。だけど時々、この感覚すごくわかるよー!という章があって感じ方一つで、世界の見え方が変わってくるのだと思った。

    どことなく高橋源一郎さんとか、保坂和志さん、中島義道さんが言ってることと似ているように感じた。こういう風に世界の在り方を多次元的に見ることがことが出来る人がいる、と思うだけで少し気持ちが軽くなるような気がする。

    2020年積読本消化23冊目。ブックオフにて購入。
    精神的に苦しくなった時に役に立つと思うので、本棚で保存。
    きっとまた読むと思う。私は躁鬱じゃないけど、躁鬱的な波が激しい時があって坂口さんといい、絲山さんといい世界との向き合い方や自分の解説書とか、この手の内容の本は、とてもありがたい気持ちで読むことができる。“本薬”で少し助かる。
    読むたびに感じるものが変わる本だと思う。

  • 「現実逃避」ではなく、「現実脱出」。似ているようでまったく異なる。
    坂口氏は、一般的に言われる「現実」も、自分の周りにいくつかある仮想空間のうちの1つでしかないという。彼の言う「現実を脱出すること」=「思考」であり、「まずは、現実に自分の体を合わせるのではなく、自分自身の思考をちゃんと中心に置くことだ。現実という他者に合わせて生きるのではなく、自分が捉えている世界を第一に据えよう。」と主張する。
    思考こそが、生きることそのもの。見えているものが世界のすべてではない。数年したら再読してみたい一冊。

  • これはやばい!めちゃくちゃよかった!
    正直、読み途中はそんなに良いとは思わなくて、ブクログでもそこまで評価を高くしたいとは思わなかった。

    個人の思考と集団の意識のこととかは誰もが思っていながら言葉にできなかったことだし、それを独自の言葉と組み立て方で整理して表現したことは確かに本書の重要な成果だと思う。
    だけど、行間から強烈な承認欲求が染みだしまくってて、どうしても白けてしまう!苦手だ!

    ……と、まあそんなことを書こうと思ってた。
    なんだけど、終盤に向かうにつれて、そんな承認欲求のようなものはとても些末なことに思えてきた。
    それは著者自身にすごい熱意と行動力があるからなんだよね。
    新政府いのちの電話として自身の携帯電話の番号を公開し、「希死念慮に苦しむ人」と対話した、というのは本当に驚いた。誰かがツイートしてたけど、この著者は本気で世の中を変えようとしてる。そしてそのことは、本書に書かれていることに強い説得力を持たせてる。

    それがとても良くて、白けは一気に尊敬にかわってしまった…すげえ傲慢だが……すいません……。
    僕はこういう人になりたいなあ。

    おすすめです!

  • あるブログで薦められていたので、手に取る。

    冒頭から引き込まれ、一気に読めた。論というほとカタくなく、むしろ著者独自の体験に根差した提案であり、エッセイ集という感触だった。また、『独立国家のつくりかた』(未読)の著者とは知らなかった。
    文章が美麗。修辞が豊か。単なる麗句ではなくて、その表現である必然を感じる。

    広義の創造行為が鍵かな、と。

  • いつ買ったかは覚えていないけど、読了。

    「人とズレてる」とか「アブノーマル」とか、はたまた「イかれてる」とか形容されがちだけど、確かに私が感じていて、今も息しているあの感覚を、どうしてこの人はこんなにも見事に言語化できるんだろう。

    「現実」とか「常識」とかに対する一種独特の距離感は私にも見覚えがある。というかありまくり。
    そういう感覚というか、正確にはある種の「テクニック」なんだけど、言語化も出来なければ、人にも勧められなかった。

    坂口さんにとっては、大事な創造の源泉であり、創作活動そのものなんだなということが分かった。俄然、この人についての興味は高まるばかりである。

  • 社会の表層だけが変わっても、社会は変らない。
    個人の中にしまわれている深い感覚や多様さに気づくことが必要なのかも。

  • 社会集団による共通認識としての「現実」に対して、埋没し隠されてしまいがちな個人の特異性の、尊重・表出(=創造)を進言する書。著者自身の躁鬱病との関わりや、少年期の思考遊び、一風変わった知人たちのエピソードを織り交ぜて述べる。そのプロセスがいわば建築作業的でもあり面白い。一方、まとめの最終章などは繰り返しのような内容で、未成熟さや物足りなさを感じる。そもそも言語化できない、すべきでないことを、自ら言葉で説明しようとしてしまっているから無理がある。「詩」と「論」のあいだで揺れ動いている、その中途半端さがあることは否めない。

  • 現実脱出論

    「独立国家のつくりかた」の2匹目のドジョウのようで、あまり参考にならなかった。
    ただ、本書にある「躁も鬱も機械の動作に過ぎない」という言葉。
    これを理解するために、自分は進化心理学や脳科学の本が好きなんだと再認識した。

  • 非常に面白かった。
    ざっくりと理解したところでは、「現実」=社会的に共有された規範や知覚とは異なるものとしての個人的な思考の価値を称揚しているととることができそう。
    要復習。

  • 哲学

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著者プロフィール

一九七八年熊本県生まれ。二〇〇四年、路上生活者の住居を撮影した写真集『0円ハウス』(リトルモア)刊行。以降、ルポルタージュ、小説、思想書、画集、料理書など多岐にわたるジャンルの書籍、音楽、絵などを発表している。二〇一一年五月、福島第一原発事故後の政府の対応に疑問を抱き、自ら新政府初代内閣総理大臣を名乗り、新政府を樹立。希死念慮に苦しむ人々との対話を「いのっちの電話」として、自らの携帯電話(〇九〇-八一〇六-四六六六)の番号を公開。近年は投薬なしの生活を送るようになり、二〇二〇年、その経験と「いのっちの電話」をもとに行ったワークショップを誌上で再現した『自分の薬をつくる』(晶文社)、また「いのっちの電話」を十年続けてわかったことを記した『苦しい時は電話して』(講談社新書)を刊行。また、自らの「薬」として描いた風景画集『Pastel』(左右社)刊行。

「2020年 『病と障害と、傍らにあった本。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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