米軍と人民解放軍 米国防総省の対中戦略 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062882774

作品紹介・あらすじ

中国海軍の「本当の実力」と「アキレス腱」、
自衛隊に課せられた役割と米軍の反撃作戦とは――。

アメリカが想定する米中紛争シミュレーションをもとに、
「集団的自衛権」後の安全保障を考える。

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本書の第4章「米中衝突2030」では、台湾海峡危機と南シナ海危機に端を発する、日本と台湾を巻き込んだ米中の武力衝突を、「戦争シミュレーション」という形で描いている。

「見えない攻撃」にさらされる日米…発火点としての南シナ海、中国製端末に仕込まれていたマルウェア、実弾演習を装った奇襲…

在日米軍基地を襲うミサイル攻撃…人民解放軍が標的とするもの、迎撃を阻んだ自衛隊のDNA、在日米軍基地へのミサイル攻撃、嘉手納攻撃…

人民解放軍が日本上陸…特殊部隊によるゲリラ戦術、全国各地を襲った一斉攻撃、東京湾に敷設された機雷、F‐22 vs.Su‐30、航空自衛隊の苦闘…

米軍の視点から見た具体的なシナリオを紹介することによって、人民解放軍の現在と将来に関する読者の方々の理解が、もっとも進められると思うからだ。

今後のアジアの将来を決めるのは米国と中国であることは間違いないだろう。日本はその米国に国家安全保障を依存し、物理的には米中の狭間に位置しながら経済的、軍事的に膨張する中国のパワーと最前線で対峙している。

質量ともに日本が単独で中国のパワーと対峙できる局面はとっくに過ぎ、米国の軍事力や影響力を日本のパワーとして取り込んでいくことが死活的な利益と言える。

その意味で米国、とりわけ米軍が中国をどう捉えているのか、という視点は日本の国益に直結すると言っていい。

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【おもな内容】

第1章 米中パワーゲームの「実態」―米国が狙う経済的利益と中国の本音
第2章 人民解放軍の脅威―中国「A2/AD」能力の全貌
第3章 米軍の作戦コンセプト―「エア・シー・バトル」とは何か
第4章 米中衝突2030

感想・レビュー・書評

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  • エアシーバトルの解説なんだが、なんというか全体の論調がいいわけがましい。(著者が朝日新聞社所属だからなのか?)そして、『米軍はミサイルという新たな脅威に』とか『中国はコストパフォーマンスの良いミサイルに注目している。えらい』的なことを言われると、ちょっとどんな顔していいのかわからない。
    まあ、そんな変な部分を読み飛ばせば、ランド研究所やCSBAの研究レポートを元にしているモノのはずなのだが、「入門書」と言うには基礎的な単語、概念の説明が無く、それ以上向けと言うには明らかに勘違いしている記述が見られ、『誰が何の為に』について疑問が残る一冊である。
    で、結局ASBってなんなの?となる。A2ADの範囲外にいったん引いてから、新型爆撃機によるバックハンドブローに主眼を置いたモノなのか?

  • 内容は素晴らしい。たかだか3年しか経っていないのに、ちょっと古く感じるところがこのテーマがどれだけ進行中なのかわかった。

  •  中国の軍事と米軍の戦略につき、米の文献を基にした本。「米軍がどう考えているのか」を、膨大な英語文献を読まずとも知ることができるのでいい。筆者自身も前書きで述べているように、現実性はともかく、「あえて」米中の武力を伴う紛争シナリオを軍事面に絞って書いているようだ。
     潜水艦や水上艦艇では劣る中国のA2/AD能力で、米軍が最も注目するのが対艦弾道ミサイル(ASBM)だという。ASBMは現段階では精密性を含めた能力に疑問はあるとしても、筆者が注目しているのは米軍の介入を抑止するというその心理的効果である。そして米軍はエアシーバトル(ASB)構想でそのASBMを最大の的として想定し、C4ISR施設の攻撃によってASBMを無力化を図るのだという。その中で、日本は前方展開拠点として脱落しないことが期待されていると筆者は述べる。ただ一方で筆者は、米軍が「オフショア・バランシング」により後退して、日本が「ハシゴ外し」の憂き目に遭う悪夢のシナリオも、現段階では可能性が高いとは考えてはいないようだが、紹介している。
     刊行後数年経った現在では、ASBは新たなJAM-GC構想に変わり、新たなASBMであるDF-26も登場している。また、南シナ海はA2/ADの枠内か外征型か、「遠距離海上封鎖」戦術はASMの一部なのか又はそれと並列するものか、と他で読んだものと必ずしも一致しない内容もある。ただそんな些末な点は抜きにしても有益な本だった。

  • 2030年頃の米中紛争シミュレーション。中国側が奇襲した場合とはいえ、日米側は非常に劣勢となる可能性が高いことが分かる。米軍を少し過少評価なのかと感じる点もあったが、日本の安全保障体制について危機感を持つ良い機会となる一冊と思おう。

    また、アメリカの戦略(日本を見捨てる?)によっては日本の安全保障は非常に脆弱となる。自衛隊単独では防衛すらままならないだろう。国民はこの点をふまえて沖縄の基地問題等の議論をすべきだろう。

  • 大崎Lib

  • 戦闘機や潜水艦などの詳細部分については流し読み。
    日本ありきの米中戦争。
    この国がどのような立ち位置で、今後、安全保障の問題に向かっていくのか注視していきたい。
    在日米軍基地の再編についても、卒業論文を書いて以来、
    縁遠くなってしまっていたので、思い出す意味でもこの本を読めてよかったと思う。

  • 12月新着

  • ランド研究所の論文なんかを調べて書いてあるんだけど、A2/ADやASBが何なのかってのがわかりやすく説明されてます。
    また、米中の軍事衝突は考えにくいけど、起こりうるとしたらこうだろうって説明もわかりやすい。
    最後の2030年の米中戦争シナリオは研究所の2015年のシミュレーションと2030年のシミュレーションを合体させてるのでちょっと整合がとれてない部分もあるけど、それでも戦争が起きるならこうだろうってイメージを持てます。

  • 米中戦争が2030年に勃発したら、という仮定の話ですが、内容としては勃発するとしたらこんな風になるのだろうなあと思われます。ただ、勃発の可能性がどれくらいあるのか、という点が最大の関心事で、いたずらに「もし勃発したときのために」という安倍政権的な軍備を急ぐよりも、政治家にはより平和的な関係を築くよう努力してもらいたいと改めて思いました。あと、2030年まで中国が順調に経済成長を続けていられるかも疑問です。

  • 2010年7月、インドのINSAT 4B通信衛星がサイバー攻撃によって機能停止となったが、これは中国からのサイバー攻撃で地上の管制システムを乗っ取り、衛星システムに侵入したものと言われている。
    米軍は有事でも舞台を動かすためにこうした民間の衛星を利用しており、軍事衛星と比べてセキュリティが弱いとされる民間の衛星は恰好のターゲットとなる。

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著者プロフィール

(ふせ・さとる)1974年東京生まれ。テレビ朝日政治部記者。97年上智大学法学部卒業、同年テレビ朝日入社。これまで主に民主党、総理官邸など国内政治を取材。防衛大学校総合安全保障研究科修了(国際安全保障学修士)、安倍ジャーナリストフェロー、フルブライト奨学生としてジョージタウン大学、米CSBA(戦略・予算評価センター)での客員フェローを経て現職。

「2014年 『米軍と人民解放軍 米国防総省の対中戦略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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