オリーブの罠 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062882880

作品紹介・あらすじ

『オリーブ』とは「モテの戦場」からの解放だった――

女子高生時代から『オリーブ』愛読者であり執筆者でもあった著者が、少女達を夢中にさせ、その人生観にも影響を与えた伝説の雑誌を振り返る。
大人になった今だからわかること――「オリーブの罠」とは何だったのか。

マーガレット酒井先生復活! 「元オリーブ少女&少年の面接時間」全4回を収録

感想・レビュー・書評

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  • 愛読者であり、執筆でも携わっていた酒井順子さんだからこそ書けるオリーブ論。こんな本をずっと待っていた!オリーブが休刊して何年たつだろう、唯一無二の存在だったとつくづく思う。
    私のオリーブデビューは90年代初期の大学時代と遅咲きで、ズブズブにハマったのは20代後半。酒井さんがオリーブに関わっていた頃とはちょうど時期がずれている。渋谷系なガーリー・カルチャーが私にとってのオリーブだったため、自分の知らない初期オリーブは当初はあまり興味がなかったけれど、アメリカン風や付属校カルチャーなど様々な変遷を経て「リセエンヌ」カラーに辿りついたという歴史が結構面白かった。オリーブより先にリセを取り上げていたan・anが、どういう経緯でその流れをオリーブに繋いだかも。となると、無性に80年代黄金期のオリーブを読んでみたくなる!当時の表紙やDCブランドもまた懐かしかった。勿論、柔らかい口調で鋭い指摘の酒井節は健在。タイトルにもあるように、オリーブの「罠」=オリーブが少女達にどんな影響を与えたかの考察は、ひとつひとつがアイタタタで…さすが酒井さん。今回は新書という形態だから、理論立てての語りがすごくわかりやすかった。
    興味深く読んだのは、「元オリーブ少女の面接時間」と題した、元愛読者4人との対談。付属校出身者、元オリーブ少年、私のような90年代オリーブ読者…立ち位置の違いでオリーブへの目線もまた微妙に異なるのが新鮮だったが、一番脳天貫かれたのは、三陸オリーブ少女。何しろ自分も三陸出身なもので…私よりちょっと世代は上だが、オリーブのオも知らなかった田舎の高校生時代に、オリーブにどっぷり浸かっていた人がいたなんて!カルチャーショックでした。田舎でじりじりしていた気持ちが手に取るようにわかる。地方の女子たちにこそ多大な影響を与えていたんだということが今更ながら驚きでした。
    今でもオリーブの休刊は哀しく寂しく、オリーブ的なナチュラル系雑誌はあるものの、やっぱり別物だなと感じてしまう。オリーブのバックナンバーをしっかり保存し、時々読み返すという人が多いのにも納得。わかる人にはわかると思うけど、表紙とかペラペラで、きれいに保存するのが結構大変な雑誌なのに、だ。私自身もお気に入り号は大事に取っており、何度か古本屋でバックナンバーを買ったりもしました。そこまでするほど愛着があり、いまだに支持する人が多いからこそ、時々は雑誌で復活特集が組まれたりと、2015年のマガジンハウス70周年記念事業のオリーブプロジェクトにつながっていくのだろう。「かわいい」の軸が、今の若い子とは微妙にずれているんだろうなぁとも感じるけど…似たような流れを汲む森ガールがブームになったこともあったし、若い子がオリーブ的なものにちょっとでも関心を持ってくれたら嬉しいよなと思う。

  • オリーブ少女大好きだった元こじらせ男子としても、痛く刺さる箇所がところどころにある「オリーブとは?オリーブ少女とは?」を、オリーブ人気連載エッセイストであった酒井順子が語る。
    フランス五月革命に源を発するリセエンヌのファッション自由化が学園紛争の日本にan・anを通じて輸入され、ファッション至上主義の非モテオリーブ少女へと繋がっていたとは寡聞にして知りませんでした。
    ファッションというものは信条というバックボーンがあってこそ浸透し長続きし、そしてその思想性の故に時代に適合しなくなり廃れていく。
    当事者がメタ視線で語るファッション史文化史としても十二分に価値のある一冊。

  • 新書だからと構えていたけど、酒井さんの文章、面白い!読みやすい!

    すっかり酒井さんのファンになりました。他の本も読んでみたいと思います。

    そして、、オリーブに3つの時代があったのは初めて知りました。

    わたしは末期のオリーブしか知らず、読み始めて数年後には休刊になってしまったので、かわいい雑誌だなーという印象しかありませんでした。

    この本を読んで、しっかり読んでいた人たちへの多大なる影響について少し分かった気がしました。

  • 面白かった〜!後期のオリーブを読んでいたときは女子大生でしたが、大好きでした。オリーブ。今はクウネルやリンネルにオリーブの魂は生きているのですね。酒井さんの本、本当好きです。初期オリーブがアメカジ志向だったとは知りませんでした。今もこんなロマンチックな雑誌があればいいけれど…難しいんだろうなあ。

  • オリーブの変遷史。
    オリーブ少女でもなく、オリーブを愛読していたわけでもないが、その愛らしさに羨望し、「オリーブの罠」というタイトルに惹かれて読んでみた。
    ふわふわして可愛いい雑誌という印象が強かったが、大きく3つの時代があり、一貫していたのは「男に媚びない」、非モテ系というのは意外だった。
    (図書館)

  • かなりざっと読みしてしまいましたが、作中掲載のオリーブの表紙や記事を見るだけでも楽しい。

  • なんの疑問もなくヤンキー文化に身を起いていたのに、高校受験を目の前にしたときオリーブ&mcシスターと運命の出会い。志望校ふくめいっきに方向転換したという点でも、私にとっても忘れられない雑誌。なんてことない、中3のとき、小さな海街に唯一の中型書店ができて、そこで初めてオリーブに出会ったというだけですが。でも、日本全国にそんなエピソードはゴロゴロあるでしょ。酒井さんの東京私学の感覚がまぶしい。

  • 酒井順子さんの新しい本を次々読んでいこうと決めたものの、『オリーブ』は読んだことがないので、「どうしようかな」とギリギリまで悩みました。
    でも腹を決めて読み始めたら、これがとても面白い!

    社会学っぽいですね。
    酒井順子さんの著書を大きくいくつかに分類したら、『ユーミンの罪』と同じグループに入るかと思います。

    関わらないで済ませようと思っていた、彼女の歌舞伎やグルメ(?)関連の本も読んでみてもいいかなー。

  • 自分はあんまり雑誌に思い出がないんですよねぇ…これもやっぱり世代でしょうか。高校生くらいん時にはもうインターネッツがジワジワと世間へと広がりつつありましたからねぇ…こういった思い出を持っている人が羨ましくもあります。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    オリーブ少女とかいうのが紹介されてましたけれども、もしこういうのが身近に居たらなんというか自分は離れたいと思ってしまいますねぇ…だって今で言う「不思議ちゃん」でしょ? ちょっとねぇ…

    ↑という感じのことを述べていますけれども、実際オリーブ少女とかいうのを見たことがないので分かりません…どんな感想を持つのか…。

    ファッション誌とかも特に買ったことがないとは言いませんけれども、それらを楽しみに日々を過ごした経験なぞ皆無ですので共感はできませんでした…まあ、著者が酒井さんだからこそ買った一冊ですねぇ…さようなら。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • オリーブという雑誌から見えてくる社会の変化。女性の価値観・生き方の変化がおもしろい。

    自分はそれほどオリーブという雑誌に傾倒した方ではないけれど、当時のオリーブ的な思想を信じて守り、結果的に社会的には敗者になった感がある。

    まだ人生終わっていない。

    SNSの普及などで
    当時のオリーブには想定できなかった
    まだまだ多様な生き方ができるはず。

    と、信じてがんばるけどね。
    命尽きる日まで。

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著者プロフィール

エッセイスト

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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