「超」集中法 成功するのは2割を制する人 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883320

作品紹介・あらすじ

本書で述べるのは、「さまざまなことに『コア』と呼びうるものがあるので、努力をそこに集中すべきだ」ということです。「コア」とは、「核」という意味です。コア機能、コア商品、コアメンバーなどというように使われます。 

全体の中でコアが占める比率は量的には2割程度であることが多く、他方で、「コア」によって全体の成果や価値の8割程度が生み出される場合が多いのです。このことは、「2:8法則」とか「パレートの法則」と呼ばれます。
したがって、努力をコアに集中させれば、仕事の効率は飛躍的に高まります。これを意識するかどうかで、結果に大きな違いが生じるのです。

ところで、以上のことは、昔から知られていました。実際、「2:8の法則」という言葉を知らなくとも、多くの商店は、店舗に売れ筋の商品を置こうとします。また、ダイレクトメールを出すなら、コアの顧客を中心に出します。「重要なものを重点的に扱う」というのは、いわば当然のことなのです。 
では、なぜいま2:8法則についての本が必要なのでしょうか? それは、これまで2:8法則について述べた本は、つぎの2つの問題に対して答えを提供していないからです。

(1)コアは、どうすれば見出すことができるのか?
(2)コアが変化したとき、どのように対応したらよいのか?

「コアに集中せよ」というアドバイスを実行するために、これらの問題に対する答えが必要なことは明らかです。したがって、これらに対して意味のある答えを提示しなければ、有効なノウハウにはなりません。世の中には、ノウハウになっていない「疑似ノウハウ」が多いのですが、右の問いに答えを与えずに「2:8法則に従え」というのも、その例です。 ノウハウとなるための最も重要な部分が欠落しているため、品質管理などの分野を除くと、2:8法則が実際に活用される例はそれほど多くありませんでした。 この問題に対して解を与えようというのが、本書の目的です。

感想・レビュー・書評

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  •  パレートの法則について、きれいにまとめられている本。文章も癖がなく、読みやすかった。

  • 「超」集中法 成功するのは2割を制する人 (講談社現代新書) 新書 – 2015/9/17

    新しい技術の登場を馬鹿にしないという態度が重要であるように思われる
    2015年9月23日記述

    野口悠紀雄氏による著作。

    重要な事に集中する。
    当たり前の事と思われているけれども
    現実に世の中でどれだけその事が徹底されているだろうか。
    瑣末なことにエネルギーを費やす前に重要項目を完璧にする必要がある。
    なぜなら時間制約があるから。

    特に書類の整理、試験勉強のようなコアが変化しないものに対する具体的な方法が本書で示されている。
    著者の超整理法、超勉強法などを読めば更に理解が深まると思います。
    タイトルの「超」集中法という名前から集中する為の具体的な方法が記載されていると期待してしまう人が出るのもやむを得ない。
    (書類の整理、試験勉強については示されている)

    ただこれまでの著者の本を読んできた経験から指摘すると何をおいても重要なのは「とにかく始めること」である。
    思い切ってやり始めることである。
    (もちろん何がコアかは分かっておく必要がある)
    そして「重要だけれども簡単には処理できない案件」を片付けるのだ。

    ビジネスにおいてはコアがよく変動する。
    これが勉強との最大の違いであり、受験秀才が会社で必ずしも活躍出来ない理由。
    職場で仕事の出来る、成果を上げる人達をよく観察し分析しコア発見術を盗んで回る。
    特に新しい技術の登場を馬鹿にしないという態度が重要であるように思われる。
    (昔、電話が登場した当初はおもちゃと見なされた。最近で言うと仮想通貨の登場)

    本、専門書においては索引があることが極めて重要。
    (英語の専門書にはほぼ必ず索引がついている)
    索引のある本は「手抜きしていない本」であることの証拠。

  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 2割に集中する人が成功する/第2章 2:8法則を無視する人々/第3章 「超」整理法は自動的にコアを見出す/第4章 試験勉強でこそ2:8法則が有効/第5章 変化するビジネスのコアをつかむ/第6章 世界は偏っている/第7章 8割の逆襲?ロングテールとブラック・スワン

  • パレートの法則について紹介している。

  • とりあえず2:8の法則に基づいて、コア部分に集中投資しろということらしい。

    正しい時流をどう掴むかなんて、誰にもわからないんじゃないのかな。

  • 核になるもの(およそ全体の2割)に努力を集中すれば,8割の効果・価値が得られるという理論(古くから「2:8法則」と呼ばれている)。大事でない部分にも均等に万遍なく努力を注ぐのは損。核になる部分が何なのかを見つける方法,その一つが,著者が提唱してきた押し出し式ファイリングに代表される「超」整理法。試験勉強などでは,核になる部分は不変,核になる部分を教えてくれる「よい教師」の言葉に耳を傾けるべし,図書館の本を下から見たときに黒くなっているページあたりが大事だとか。ビジネスの分野では核になる部分は時とともに変化するので難しい。高いところからものを見ることができるビジネスリーダーの存在が必要だ。

  • いまさら
    でも必要

  • ・ある事項を調べたいときに参考文献が10冊あったとすると、2冊だけ読めば問題の8割程度は理解できる
    ・文章を書く作業は、見たまま感じたままを書くことではない。その中から書くに値することを抽出することである。見たこと、感じたこと、考えていることの大部分を切り捨て、書くに値するものを抽出する
    ・指導者に求められる資質は大局の判断において間違えないこと
    ・現在の日本においては、政治の指導者、企業の経営者などすべて、こうした資質が欠如している。経営者が経営者としての仕事をしていない。これは、今に始まったことではなく、第2次世界大戦中の日本の最大の問題点は、指導者が歴史的大局観を持たなかったこと
    ・大企業や官庁には、重要なことと些細なことの区別ができない人が大勢いる。彼らにとって最大の関心事は「言い訳」である
    ・事態の大きな変化に正しく対応するには、大局的判断ができる指導者が不可欠である
    ・よい教師がいない場合に勉強のコアを見出す方法は、?過去問題で勉強するのが最も効率的?入門用の簡単な教科書を見ること
    ・シュテファン・ツヴァイクの著作には、世界史習得に役立つ面白い歴史ものがいくつもある
    ・索引のある本は、手抜きしていない本であることの証拠である
    ・コアを見出すには全体を把握しなければならない。そのため、途中で分からないことがあっても、できるだけ早く進む必要がある。「一度つまずいたらその先が分からなくなる」というのは、数学などの教科の問題ではなく、人間の心理の問題
    ・年賀状や挨拶状を出す相手のうち、重要な人は2割ぐらい。すべての人に印刷物だけの書状を出すより、その人たちをきちんと扱い、書き入れをした書状をだすほうがよい
    ・生産、在庫、展示のコストがある限り、ロングテール戦略を取れるのはIT分野の大企業が中心

  • 野口先生の文章と考え方が好きで、よく読むのだが、本書は内容が薄く感じた。

    本書でいう「集中法」は、「どうやって集中力を高めるか?」という話ではなく、いわゆる「20:80の法則」の話。コアに集中しましょうね、という話だった。

    (160)

  •  タイトルから「集中力を高める極意」が開陳された本を期待したのだが、そうではなかった。これは、いわゆる「80対20の法則」(本書は「2:8法則」と表記)「パレートの法則」についての本なのだ。

     野口は、“世の中のことはたいてい、2割の人・こと・モノが全体の8割の成果を上げている。「コア」となるその2割に力とリソースを集中することが、仕事・勉強・組織作りの極意である”とし、その実例を挙げ、2割の「コア」を見極める方途を探っていく。

     野口がたくさん出してきた「知的生産」本のうち、真に独創的なのは最初の『「超」整理法』だけだと思う。
     それ以後の著作は、そこそこ参考にはなるものの、独創性はあまりない(一般書の話。経済学者として出した専門書の独創性については、私にはわからない)。

     本書も、「80対20の法則」を援用したビジネス書・知的生産本ならほかにも多いし、とくに独創的ではない。

     それに、過去の著作の焼き直しにすぎない章もあって、その点でも感心しない。
     第3章は『「超」整理法』の焼き直しだし、第4章は『「超」勉強法』の焼き直しだ(『「超」整理法』も『「超」勉強法』も、じつは「2:8法則」に沿った方法論だった、というエクスキューズがつけられている)。

     あと、本書は過去の野口の著作と明らかに文体が違う。読点が妙に多い、ノロノロした感じの「です・ます調」になっているのだ。おそらく、ライター等に話をまとめさせたのだと思う。過去の著作は歯切れよい明晰な文体がそれ自体魅力的だったので、その点もマイナス。
     まあ、野口ももう後期高齢者だから、自分で書くのはシンドイのかもしれないが……。

     それでも、随所に卓見はあるので、「駄本」とまでは言わない。
     たとえば、古典や歴史を学ぶことの重要性についての指摘(140ページ~)。

     ビジネスであれなんであれ、何が2割の「コア」に当たるかを的確に見抜く目を持つためには、全体観を持たねばならない。その全体観を養うために大切なのが、古典や歴史を学ぶことなのだと、野口は言う。

    《古典は、学問が現代のように専門化し細分化していなかった時代の知を表しています。ですから、古典をいま読むことは、全体像を把握する上で、有用です。
     歴史は、教養の中で重要な地位を占めています。技術が進歩し、資本蓄積が進んでも、社会活動とは、所詮人間集団の営みだからです。権力者や大国が勃興し、滅びるさまを見ると、現代社会の把握にも、重要な示唆を与えてくれます。》

     これはまったくそのとおり。大前研一など、底の浅い「古典的教養無用論」を説く論者が最近散見するが、私はこれからの時代こそ、ビジネスシーンにおいても、古典をしっかり学んでいる人の重要性が増すと思う。

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著者プロフィール

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業。64年大蔵省入省。72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て2017年9月より早稲田大学ビジネスファイナンス研究センター顧問。専攻はファイナンス理論、日本経済論。ベストセラー多数。Twitterアカウント:@yukionoguchi10

「2023年 『「超」整理手帳 スケジュール・シート スタンダード2024』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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