- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062883351
作品紹介・あらすじ
愛妻から「あなたは貧乏じゃなくて、貧乏くさいのよ~」と罵倒されて、高橋さんは気がついた。「せこいのか、オレ?」。確かに地元のスーパーを回ると、安売りセール、タイムセールに駐車料金1000円以上割引とか考えだして、結局、お米ひとつ買えない。安いガソリンを求めて何時間も並んでしまう。家電の寿命を考えているうちに、大型TVを選べない。一方で、「エコだ節約だ」「ポイント集めて賢く」と騒ぐ普通のニッポン人に、胡散臭さを感じてしまう。オレたちニッポン人は、損したくないと思って行動してるうちに、実は大損していないか?
そもそも、損と得とはなんなのか? ものの値段とはなんなのか? 貨幣とは? 福沢諭吉、二宮尊徳、土地の値段を決める人から、デリバティブの金融最前線で戦う人、中華街のあやしい占い師、銭洗弁天まで訪ね歩くタカハシさん。損得にこだわる今のニッポン人の行動について、タカハシさんがたどり着いた驚愕の結論とは?
ムック『セオリー』連載時から話題を呼んだ、爆笑ノンフィクション作家の「行動経済学研究」。
感想・レビュー・書評
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いつもの秀実さん節を楽しませてもらいました。
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世の中、「損したくない」と行動して実は損している人が多すぎない? 日常的な買い物から、経済、節約、貨幣、神話、宗教、結婚、人生まで、「損したくない」をキーワードに考える。『セオリー』連載を加筆し再構成。【「TRC MARC」の商品解説】
関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40230428 -
20201229読了
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<感想>
本書を読んで「健康のためなら死んでもいい」というジョークを思い出した。本書には損をしないためにコストに合わない努力をする人々が出てくる。俯瞰して眺めると明らかに非合理的なのだが、当人たちにとっては目先の小さな損得を回避することが正義になるらしい。
特に「自分の得」を「相手の損失」で測る人々の存在は身につまされた。
損得は比較の中で生まれる。比較対象が無ければ主観の満足度しかない。「損したくない」は同程度の他者との比較から生まれる感情なのだ。
最終章の年配のご婦人たちのコメントは「損したくない」感情を見事に昇華した偉人のようでもあり、哲学者の雰囲気も感じさせる。「損したくない」感情に振り回され苦しんでいた自分自身にとっては、まさに目から鱗が落ちる思いであった。
「「失敗するのもこれまた一興」であり、「せっかく生きているんだから、失敗を楽しまないとそれこそ損じゃないですか」
「一興」という日本語は心に刻んでおきたい。辛いときに呟くマイ呪文にしようっと。
<アンダーライン>
・輝かしい底値
・最終的に最安値を確認できるのは最後のスーパーを確認した時で、実際買うにはそこから最安値のスーパーまで戻らなければいけない
・知ると損した気分になる
・(ポイント)小さな得の積み重ねは大きな損に通じているのではないだろうか
・企業に損させることが彼女の得ということらしい
・価格と値段
★生きているだけで、私たちはリスクを取っている
・「分からなさ」を数値化したものを「リスク」と呼ぶ
★現在価値
★後悔はありますけどね。後悔は損じゃないから
★口にしたら本当に損になっちゃうでしょ
★損しているのを「損している」と言ったって何の意味もないでしょう。愚の骨頂じゃないかしら
★現実の損得を考えたら、結局損するからです。底値だと思って買っても次の日になるともっと安くなっているかもしれないでしょう。
★たまたま安いモノに出くわせば「ラッキー!」と得した気分になるし、高いモノを買って失敗するのもこれまた一興です。「あっ失敗しちゃった」っていうのも楽しいじゃないですか。せっかく生きているんだから、そういうことを楽しまないとそれこそ損じゃないですか -
●エルメスと同じ戦略だな。ブランドも必ず異常に高い商品を陳列している。これは売り物と言うより「この品と比べると、他のすべての商品が買えそうに見えてくる」ようにするためのダミー。専門用語でアンカー。
●新製品の開発とは旧製品の陳腐化。新たな需要を生み出すには、前の製品を次々と陳腐化させていく以外にはない。
●経済理論とは、起こったことを後から説明しているだけなので、言い訳と変わらない。
●そもそも経済という言葉の由来は、漢語、経世済民の略。世を経めて民を済う。世のため人のため。道徳的な意味。
●最も住みやすいのは富山県。薬くそ倍。原価の9倍で売れると言う意味。
●明治時代は離婚が今より盛ん。女性を粗末に扱っていた。
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お金
経済 -
損したくない生き方をしているのに、よくよく考えてみれば人生に損をしている人が多い。買い物に一円を気にする生き方が快適なのか?良く考えるべきだ。
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貨幣愛だとか行動経済学だとか、そういったことに興味があって読んだ。ヒデミネ節は楽しめるが、議論が深まっていかない感じであった。
「損失回避の原則」に疑問を呈しているが、この本はほぼ全編その話をしているような。ただ二者択一問題に対する、設問の裏をムダに読むような勘ぐりはおもしろい。
東京リスクマネージャー懇談会によるリスクの定義の矛盾はその通りと思う。リスクとは、本来的には「不測の」要素があると思うのだが、金融工学では事例の数が多ければ予測可能なものという概念になっていると思う。オッズも読めないものは不確実性として別に整理しないといけないことに。
季刊誌『セオリー』への連載を再構成したもの -
自分の身の回りをレポートした極私的日本人論だが、どれだけ蓋然性があるものやら。落ちつく先は…まあそんなものでしょう。
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914.6