ハイデガー哲学入門──『存在と時間』を読む (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 173
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883412

作品紹介・あらすじ

『存在と時間』は20世紀に大きな波紋を投げかけ、現在も広く読まれている書物である。その世界概念の重要性。 「不安」を引き受け、「実存を遂行」する「現存在」という言葉。「存在」と「時間」の関係など哲学の意味を原点から問う本書は、入門書であり決定版である。ハイデガーの哲学界での重要性も探る。
ハイデガーの主著『存在と時間』は、サルトル、レヴィナス、デリダ等のフランス現代思想や、アメリカのネオ・プラグマティズムに大きな影響を与え、ドイツのフランクフルト学派からは克服すべきドイツ的な思考の象徴と見なされてきた。この著作についてはこれまで多くの解説書が出されてきたが、そのほとんどは、アリストテレスや中世スコラ哲学、新カント学派、フッサール現象学、ユクスキュルの生物学等からの影響や相関関係をめぐる専門的な問題に集中しすぎるきらいがあった。それがどうして当時のドイツやフランスの若者を引き付けたのか、どうして現在でも多くの哲学者を魅了しているのか、彼の思考の枠組みは従来の哲学とどう違うのか、「実存」や「存在」に関する彼の問いかけや「ひと」に対する批判は、普通の人の人生にとってどういう意味があるのか、最も知りたいことについてストレートな説明を与える入門書は少ない。本書は、影響関係や他のテクストに関する記述はできるだけコンパクトにして、『存在と時間』の主要な――専門家でない哲学学習者にとっても興味深い――箇所を細かく読解しながら、このテクストがそもそも何を問題にしているか明らかにすることを試みる。

感想・レビュー・書評

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  • ハイデガーの『存在と時間』の入門的解説書です。

    著者は「はじめに―ハイデガーは何故重要なのか?」で、「日本でも多々出版されてきたハイデガー入門書・解説書にしばしば見られるような、哲学史的な過度の拘りは避けるつもりである」と述べて、ハイデガーの「存在史」の構想から『存在と時間』を位置づけるような議論にあまり踏み込まないと断っています。

    新書形式の入門書としては、木田元の『ハイデガーの思想』(岩波新書)が、実存哲学としてハイデガーの思想を捉える見方を否定して、正当なハイデガー解釈を打ち出しており、細川亮一の『ハイデガー入門』(ちくま新書)も同じ路線で、よりマニアックな議論を展開しています。一方、本書と同じ講談社現代新書から刊行されている古東哲明の『ハイデガー=存在神秘の哲学』は、ハイデガーの秘教的な側面への偏愛と明晰な議論の展開を両立させた名著だと思うのですが、本書はこれらの入門書とは違う特徴をもっています。

    著者は、「『存在と時間』の“実存主義=ヒューマニズム”的な側面を切り捨ててしまうのは惜しいような気がする」とも述べており、じっさい『存在と時間』の実存哲学的な部分についてていねいな解説をおこなっています。こうした性格の入門書としては、竹田青嗣の『ハイデガー入門』(講談社選書メチエ)がありますが、竹田が自身の欲望論の土俵にハイデガーを引っぱり込んでいるのに対して、著者はもっとハイデガー自身の思索にそくしたかたちで解説をおこなっているといえそうです。竹田がほとんどハイデガーを離れてみずからの哲学を開陳している「先駆的覚悟生」や「良心の呼び声」についても、ドイツ思想史の背景を紹介しながら解き明かしており、勉強になりました。

  • いつの間にか溜まったTポイントで購入。なかなか挑戦的で面白そう。

    これは「存在と時間」の解説に徹した好著であるように思う。しかし、原本を読まずにこれを手にした人が最後まで読み終えることができるかは、甚だ疑問であり「入門書」と看板を付けるのは不適切であるかもしれない。しかし、一度読んだ人が原本を読み直すのは面倒なときに、思い出すためにはたいへん助かる本であることは間違いない。さらに言えば、よくわからないながらこの本を読み通し、そのあとこの本で引用されている岩波文庫の熊野訳で読んで、該当ページに来たときに、この本を傍らにおいて読めば、きっと途中で挫折することはなくなるだろう。岩波文庫とのコラボ本という位置づけもできる。

  • 著者の主観的解釈や脱線部分が少々読みにくいのだが、概要を理解するにはいいのかもしれない。ただし、書き方が少々皮肉っぽいところが気になる。何作か読めば慣れるのだろうが。
    ハイデガーは「ダスマンを否定しているわけではない」と述べているが、どう見ても(読んでも)否定しているとしか思えないのは自分だけだろうか?

  • 『存在と時間』の解説本は、講談社新書から3冊出ているはずですが、古東哲明のは読んではみたものの自分は受け付けず。もう一冊のは書店でまったく見かけず。でも読みたい知りたい。そもそも『デリダ入門講義』を読む前にハイデガーの基本のところは知っておきたい、と思って仲正昌樹版を大型書店で見つけて購入。

    どちらかというと、哲学よりも他の分野の本を読む時間の方が(圧倒的に)多く、哲学については入り口あたりでいつまでもウロウロしている自分にはこういう著者の存在は、ほんとうにありがたい。

    進化生物学、脳科学と認知、進化心理学について書かれた翻訳物を読んでいると、ヒューム、ハイデガー(あとはレヴィ=ストロース)あたりの考えを(肯定的に)言及することがあまりに多いが、そこがよく理解できず、著者が感動しているのは明らかなのだが、その感動を中途半端にしか共有できずにいるため悔しい思いを続けている。
    自分が特に興味のある「認知」や「意識」についてより深く知る上で、上記の2名の考えはどうしても理解しておく必要があるようなので、機会を見てまた読み直したい。

    で、次は『デリダ入門講義』に挑戦。でもざっとめくって見たけど全然「入門」て感じがないけど読むだけ読んでみる。

    https://twitter.com/prigt23/status/1018073559187386369

  • 18/04/22。

  • 図書館で借りた。深すぎてよく分からん

  •  基本的には岩波文庫の熊野訳を引用しながら、あるいはハイデガーの造語の成り立ちにも目配せをしながら、「現存在→実存→世界内存在→気遣いの構造→決意性+先駆性→時間性」という『存在と時間』の論理展開を詳しく説明している。

  • 『存在と時間』。過去なんども読破に挫折。本書でようやくわかったような気分になれて、やっと胸のつかえがとれた感じ。

  • 2016年1月新着

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著者プロフィール

1963年、広島県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究博士課程修了(学術博士)。現在、金沢大学法学類教授。文学や政治、法、歴史などの領域で、アクチュアリティの高い言論活動を展開している。著書に『「不自由」論』『お金に「正しさ」はあるのか』(以上、ちくま新書)、『日本とドイツ 二つの全体主義』(光文社新書)、『集中講義!アメリカの現代思想』(NHKブックス)、『カール・シュミット入門講義』(作品社)、『精神論ぬきの保守主義』(新潮選書)、『今こそアーレントを読み直す』(以上、講談社現代新書)、『いまこそハイエクに学べ』(春秋社)などがある。

「2018年 『思想家ドラッカーを読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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