信頼学の教室 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883474

作品紹介・あらすじ

得るのは難しく、失うのは簡単。
そして失ったものを回復するのはもっと難しい。
それが「信頼」。
信頼研究で知られる心理学者が、その仕組みを二人の登場人物の軽妙な対話とともにやさしく解説。
個人にとっても、組織にとっても必須の知識がとってもよくわかる!

「7日間にわたる信頼学個人授業」
若手メーカー社員のシンジ君、最近異動した広報・管理部門における課題は社会からの信頼向上。
しかし、新しい部署では、その課題以前に部署内の信頼関係もうまくいかなくてなんだかギクシャクしている。
困ったシンジ君は、学生時代から親しくしている心理学のナカヤチ先生に連絡を取り、仕事帰りに研究室を訪ねることに……。
以降、信頼についての個人講義が7日間にわたって開かれることになった。

そこで出てくる事例は、東日本大震災時における組織の信頼調査から、DJポリス、童話「ないた あかおに」における村人と鬼の信頼関係、さらには浮気防止のための爆発時計まで。
信頼コミュニケーションの仕組みを学ぶのに最適の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 「つまり、相手から被害を受けるリスクがあるからこその信頼なのです。」

    話の進み方は『嫌われる勇気』に似ている。これは少しくどいかも。内容はわかりやすい。途中で3.11に関した信頼について学問的に書かれている。

    信頼は、”価値共有”、”能力の高さ”、”動機”から成り立つ。

  • 人類が文明社会を築けたのは、信頼のシステムを発達させて、他者と協力し合ったから(※1)。
    本書は、信頼のからくりについての社会心理学の成果を先生と生徒の対話形式で紹介する。

    ※1
    NHK取材班(2014年)『ヒューマン』角川書店.

  • 対談形式は冗長だと思う。
    自分なら、信頼を感情的要素と、論理的・合理的要素に分類したうえで、信頼の非対称性は前者から発生すると書くだろう。
    思わぬ指摘があり(文明と信頼の関係、敵対関係から信頼関係を構築するのに必要な条件など)、十分有益で、満足した。

  • ( オンラインコミュニティ「Book Bar for Leaders」内で紹介 https://www.bizmentor.jp/bookbar )

  • 言われればそうだよねという感じだが、実験を通して信頼の構造を明らかにする過程はおもしろい。
    おかしな掛け合い風のつくりも楽しめた。

  • 卒論で信頼とは何かをテーマに書いた事をきっかけに、大学卒業時に芳賀先生から贈って頂いた一冊。
    信頼を得るのは大変な苦労なのに、信頼を失うのはほんの一瞬。信託銀行に勤める事になった為に選んだテーマだったけど、また久しぶりに読み直したい。

  • 他人を評価する軸は、能力と人柄の2面ある。

  • ・人を騙して利益を得ようとする人すらいる世の中で、相手を信頼することは、リスクを伴いますけど、相手を信頼しないことには、生きていくことはできません。さて、信頼はどのようにして築けば良いのでしょうか?

    >信頼が高い人については、良い情報が重みを持ち信頼が維持され、信頼が低い人については、悪い情報が重みを持ち低い信頼が維持されやすい。とか、信頼を高める最も強い要因は同じような価値を持っているという認知である。など、過去の経験と照らし合わせても、腑に落ちる内容でした。

     信頼を獲得するためには、相手が持っている価値観や行動原則に注意をはらい、小さなことでも疎かにせず、真摯に対処することで、抜け漏れを最小限に食い止めることが大切ですね。どのようなことでも、プロセスの最終段階になってしまうと、方向転換が難しいので、最初の段階から精度を高めておく必要がありますね。

     信頼を失った組織は、損害を与えた相手の立場に立つことが重要である。とのことですが、組織のトップは、蚊帳の外から感想を述べるだけのような、相手の立場を理解できていない。と思うような対応が多いのではないかと思いました。信頼を回復するために方法とは?

  • 理由もなく積読状態になっていて、今読もうと思ったのも偶然だった。
    でも、今読むのにふさわしい一冊だった!

    特に「7日目 東日本大震災後、不安の波及は起こったのか」は、コロナ禍の今、改めて読む価値がある。
    大きな社会的リスクのさらされると、対比効果や「心配総量有限仮説」といった心理的な動きが働いて、それ以外のリスク管理への信頼が理由んkなく高まってしまう、という指摘は興味深い。

    それにしても、コロナ禍の中、信頼を集める政治的リーダーもいれば、そうじゃない人もいる。
    それはなぜなのかということを考えるヒントを、たくさんくれる。

    信頼の非対称性(築くのに多くの時間と手間がかかるのに、失われるのは一瞬)をはじめとする、「信頼の構造」が明かされる。

    そして、信頼構築には三つの要素がある、という。
    ( )内は私の整理だ。
    ・「価値共有認知」(相手も同じ価値意識を持っていると思えること)
    ・「能力認知」(あることをやり遂げられる能力があると思えるか)
    ・「動機づけ認知」(あることをやり遂げようという気持ちがあると思えるか)
    この三つの要素は、どれも大事だそうだが、「価値共有認知」の働き方が曲者だ。
    信頼が損なわれた組織に対しては影響力が最も大きい。
    ところが、信頼が比較的高い相手の場合は、それほど重要度が高くない。

    また、政策を通しての政府への信頼度は、論争の余地なく支持を集める政策では「能力認知」の影響が大きく、賛否が分かれる政策では「公正さ認知」の影響が大きい。

    こんな話だが、人様のことだけでなく、自分自身も振り返る手掛かりにもなるかな?

  • 社会

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著者プロフィール

1962年生まれ。同志社大学卒業。 同大学院の心理学専攻を単位取得退学後、 日本学術振興会特別研究員、静岡県立大学、帝塚山大学を経て現在、同志社大学心理学部教授。人が自然災害や科学技術のリスクとどう向き合うのかというリスク認知研究、および、リスク管理組織に対する信頼の研究を進めている。著書に『安全。でも、安心できない……』(ちくま新書)、『リスクのモノサシ』(NHKブックス)、『信頼学の教室』(講談社現代新書)などがある。

「2021年 『リスク心理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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