戦国の陣形 (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883511

作品紹介・あらすじ

◆鶴翼、車懸、魚鱗…「兵法」の意外な新事実◆

軍勢を軍隊へと改めたのは織田信長ではなかった!?

甲斐武田氏と越後上杉氏が取り組んだ軍制改革の中身とは!?

歴史とは事実であらねばならない――。

徹底的に真実を掘り起こした渾身の一冊。

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◆伊東潤氏絶賛!◆

川中島の、三方ヶ原の、関ヶ原の実相はこうだったのか!

頭を割られたような衝撃が走る。中世軍事史に一石を投じる快作。

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◆本書のおもな内容◆

序 章 鶴翼の陣に対する疑問から

第一章 武士以前の陣形

第二章 武士の勃興と陣形の黎明

第三章 中世の合戦と定型なき陣形

第四章 武田氏と上杉氏にあらわれた陣形

第五章 川中島・三方ヶ原・関ヶ原合戦の虚実

第六章 大坂の陣と伊達政宗の布陣

終 章 繰り返される推演としての陣形

感想・レビュー・書評

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  • 陣形というものに抱かれていたイメージを一新させる。そもそも東国のほうが優れた軍制(兵種別編成)だった、その始まりは信玄を討ち取りにいった村上義清だった、それを長尾景虎が受け継ぎ、襲われる信玄や北条氏康もそれを採用した。
    甲陽軍鑑といった文献についつの研究も紹介されてて勉強になるし、白村江の頃から採用した集団戦も対外戦がなくなり蝦夷の散兵戦術と戦ううちに日本も集団戦ではなくなってバラバラ戦う鎌倉武士が、と、戦国の陣形だけでなく日本の戦いとはどうだったのかという点でも学ぶことが多い。

  • 新聞の書評をみて読んでみた。
    戦国時代の有名な戦いの陣形図に根拠がないことを地道な文献検証に基づいた説明には説得力がある。
    確かに、10万人を超える陣立てと言われる関ヶ原の戦いが、なぜ半日ばかりで終わったのか、昔から不思議に思っていた。
    ちょっとした豆知識を身に着けられる。

  • タイトルは「戦国の陣形」だが、要点としては日本の戦国時代には実態としての「陣形」なんてなかった、という本。
    会戦に際し、兵の集団を決められた形に配置して運用する(それができるよう訓練する)陣形は日本の場合、大陸との戦闘を想定した律令制下には一時、存在したものの、結局大陸との大規模戦闘は白村江以降の古代では発生しなかった。
    蝦夷勢力等と戦う上では会戦を想定している陣形は有効ではない(相手が集団ではなく散兵であるため)。
    騎馬に乗った武士は運用としては散兵に近く、鎌倉~室町も陣形らしい陣形はない。魚鱗の陣・鶴翼の陣みたいな表現は出てくるが、密集せよ・散開せよくらいの意味できちんと決まった形はない(そもそも、領主ごとの集団や、「俺についてこい!」「おう!」みたいな固まりで戦闘してるので、司令官の下で秩序だった展開なんてしていない)。

    きちんと形の決まった陣形を導入したのは武田信玄・山本勘助であることは確からしいが、その陣形も有効に機能した記録はない。
    むしろ信玄に一矢報いるために村上氏が生み出した、旗本の下に兵種ごとに一定数の兵を揃えて、それを組み合わせて運用する(その組み合わせの力で一点突破して信玄を攻撃する)先方の方が有効で、その戦法はそのまま上杉氏に取り入れられた上、北条・武田にも波及し、後に豊臣政権⇒徳川政権にも取り入れられる(領主ごとに、各兵種を決められた数拠出することを義務付ける⇒それを兵種ごとにわけて再編成して運用する)。
    江戸時代以降に「なんか陣形ってのがあったらしい」と机上で研究が進むが、日本でそれがまともに機能したことなんてなかったらしいぞ、と。

  • そんなものはない。

  • 中世から戦国時代はとくに陣形なく、各武将の寄せ集め的な軍隊。
    村上義清が始めた五段隊形(鉄砲、弓、長手槍、総旗、騎馬)を大規模に編成したのが上杉謙信、武田信玄が対抗するために採用、東国に広まりさらに全国に広まった。

  • 定型的な戦いの陣形が無かったとの説は説得力があった。確かに、何万もの軍勢が、単純な陣形をとれるような地形はそうそうあったとは思えないし、兵種を上手く運用した方が勝てる気がする。

  •  夢とロマンがなくなるね。(誉め言葉)

  • 「君も陣形博士になれる」みたいな本では決してないので、間違って買わないように。陣形を謂れから解説。巷間に流布する色々な無駄知識と誤解について知ることができた。「勘介は『それがし、軍学は体系的に学んでござらん』と天地神明にかけて告白しているのである」という部分など笑えます

  • 甲陽軍艦等の文献の精査で,日本の古代から近代の軍隊の陣形の実態を解き明かした好著だ.村上義清と上杉謙信が五段隊形を編み出して実際に活用した事例紹介は素晴らしい.徳川時代が平和であったため,戦国時代の歴史がおざなりになったことで,当時の陣形に関する研究が不十分だったことは残念なことだ.関ヶ原の合戦の戦況展開図(p170-173)は具体的な形での考証であり,素晴らしいと感じた.

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著者プロフィール

乃至 政彦(ないし・まさひこ):歴史家。1974年生まれ。高松市出身、相模原市在住。平将門、上杉謙信など人物の言動および思想のほか、武士の軍事史と少年愛を研究。主な著書に、『戦国の陣形』『平将門と天慶の乱』(講談社現代新書)『謙信×信長 手取川合戦の真実』(PHP新書)がある。テレビ出演、監修、講演などでも活躍する。

「2024年 『戦国武将と男色 増補版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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