トヨタの強さの秘密 日本人の知らない日本最大のグローバル企業 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883627

作品紹介・あらすじ

売上高27兆円超。営業利益3兆円弱。いずれも圧倒的に日本一。

ではトヨタはなぜ強いのか?

日本でトヨタ本というと、いまだにそのほとんどが、カンバンなどに代表される「トヨタ生産方式(と工場における人の働き)」について書かれたものがほとんどだが、
じつは、いまのものつくりの世界では、トヨタ生産方式は世界中で普及し常識となり、
生産(工場)で差が出る時代はとっくに終わっている。

トヨタは営業が強いからという人もいるが、それでは世界の売上比率が8割を超えている現状を説明できない。

本当の答えはじつにシンプル。
「世界の人が『買いたくなる』クルマを設計しているから」

アップル社が自社工場を持たず、カリフォルニアの本社で設計した情報を
中国の委託工場に送って、製品をつくらせているように、
トヨタは本社の三河で設計した情報を世界中のトヨタ工場に送ってつくらせている。
言い換えると、消費者が買うのは、「カリフォルニアでつくられた設計情報」であり、
「三河でつくられた設計情報」である。

そしていま、世界中の企業が注目し、必死で学ぼうとしているのが、「トヨタにおいて設計情報がつくられる仕組み」。つまり製品開発の方法なのだ。

本書では、ものつくりの世界において「優れた設計情報をつくること」が決定的に重要になった現代において、世界中が学ぼうとしているトヨタの設計情報がつくられる仕組み、すなわちトヨタの製品開発の仕組みを丹念に解き明かす。

これからの企業の成否を決めるキーポイントがここにある!

感想・レビュー・書評

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  • トヨタ生産方式+トヨタ流製品開発のセットで概要がつかめる本。

    リーンやアジャイルがトヨタの逆輸入という話は初耳。いまさらながらトヨタと学ばねば!と思った。
    著者の主張にキレがあって、そこまで言い切るかという内容もあり、印象強い。

    トヨタの開発は、機能別組織であり主査制度(プロマネ)が横串を刺して、全体として機能している。それを支えているのは、①十分な権限付与 ②重量級のタレント性、である。つまるところ、”人の問題”であり、ここに大企業も中小企業もない。
    当たり前の帰結だけど、人を育てる仕組みがあるかが長期的強みに左右する。中期的強みは、情報資産の蓄積。

    逆説的には、トヨタは、タレントを生かせる制度を導入しているとも言える。ティール組織はフラットな組織で多くの「個を生かす」ことを特性としているが、トヨタは階層組織で「優秀な個を活かす」体制を構築しているという対比はなんか面白い。

    また、トヨタは、情報資産を蓄積する仕組みを日々の業務の中にうまく作っているようだ。蓄積のための蓄積はやる側のモチベーションも持たないから、コストを下げるか、報酬を増やすか、それに特化した管理組織が必要と思う。

    トヨタの組織や制度は大変参考になる。特に、中長期的に人材開発・組織開発が大いに貢献できる可能性があるとわかったので、もう少し詳しい書籍も手に取ってみたい。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685766

  • TPSはTPDありき。TPDを支えるのは人の創造力。

  • トヨタの強みはTPSにあるのではなく、TPDにあるという主張。それは確かだろうけど、本文中で他の企業や研究者をバカにしすぎ。

  • 2016年3月期 売上27.5兆円 営業利益2.8兆円

    Lean ムダのない・贅肉のない→トヨタ流 傾く/痩せた a lean, dispirited person 痩せて元気のない人

    豊田市(もともと何もない)→東海道線、高速道路の建設を見越す

    iPhone Designed by Apple in California, Assembled in China 企画・設計・開発の成果物である設計情報という本質的な価値を生み出しているのはアップルだと言いたい

    主査制度 車種ごと 地頭力、専門的な知識を獲得、未知の領域を既知の領域へ変える能力

    欧米の経営学 石油、小麦=古い財を対象 たくさん作れば間接費が下がる…→そのままは通じない事象あり☆基本を理解して違いを認識すると深い理解が可能

    シリコンバレー→田舎 豊田市も田舎

    ☆図表、イメージがない(少ない)→文書の多さ・印象に残る部分なし

  • トヨタ生産方式ではなく、トヨタ製品開発方式に関するキーフレーズを紹介している。さっと読むのには良いが、掘り下げが浅いことと他社への批判が強く残念な形となっている。

  • amazonレビュー酷評が目立つけど、もったいない。

  • トヨタの強さの本質を見事に突いているなと感心しました。
    著書でご指摘の通り、世間で有名になっている「トヨタ生産方式(TPS)」ではなく、製品開発(TDS)を中心とした、売れて利益の出せる製品開発の仕組みだと思います。
    マネジメントの仕組みとしては、製品開発の司令塔である主査制度で、マトリクス的な組織構成を実現しており、製品軸と機能軸を合理的に運用している。
    まさに他社には容易に真似できない仕掛けが、世界一企業へ昇華したといっても過言ではないでしょう。

  • 「タレント」の時代の続編とみた。基本的な内容は変わらない。

    ポイント
    ・設計情報が重要
    ・トヨタの強みはTPD(開発)とTPS(生産)だが、今の強みはTPD
    ・TPSは国内外問わず、とっくにどこの企業も真似してやっている
    ・リーンスタートやアジャイルの考え方もすべてTPDが源流
    ・中途半端な理解の学者や経済人が伝えたTPDがリーンスタート等の考え方につながっている
    ・アメリカ流のリーンスタートは中途半端、GEのファストワークも同じ
    ・トヨタでは主査がタレントであり、主査制度によりTPDを支えている
    ・主査が不要と思う基礎研究は売れる商品につながらないのでやる必要がない

  • トヨタの強さの秘密

    単刀直入に言えば、トヨタの強さの秘密というのは「売れるものを売れるだけ作る」というリーンと言われる概念を世界で早くから取り入れたことである。事実多くのシリコンバレーの企業がそのやり方を学び、実践している。テスラモーターズは現に、デザインを先に作り、どれくらい売れるかを先に知ったうえで、作り始めるというやり方を取っている。以前東洋経済で読んだアマゾンに関しては、もはや売ってからお金が入るまでの時間がマイナス、つまりまず金を貰い、商品を渡すという究極的なシステムを作り上げている。そのはしりが、トヨタだというのである。トヨタといえばトヨタ生産方式であるが、筆者はそこではなく、トヨタの「売れるものを売れるだけ作る」という設計情報づくりの高度さを指摘している。実際、モノづくりを考える上で、製作過程の無駄を省くことも重要であるが、より大きな無駄として潜在的にある「作っても売れない」というリスクをいかにして設計情報の段階でなくすかということが最も大きい。もちろん、こんなことは当たり前で、トヨタがなぜそのようなリーンを出来るのかということにトヨタのすごさがある。主査制度というものがその秘密で、トヨタでは車がどのくらい売れるかというところまですべてを網羅的に考える主査という役職がある。製品の社長といわれる主査が全権をもって製品に責任を持ち、全てを考え、作るというシステムがトヨタには永らくあり、主査をコンスタントに生み出す人材マネジメント術がそこにはある。しかし、肝心の人材マネジメント術は筆者も分かっておらず、本書には書いていない。

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著者プロフィール

酒井 崇男(さかい たかお)

1973年、愛知県岡崎市生まれ。グローバル・ピープル・ソリューションズ代表取締役。東京大学工学部卒業、東京大学大学院工学系研究科修了。大手通信会社研究所勤務を経て独立、人事・組織・製品開発戦略のコンサルティングを行う。リーン開発・製品開発組織のタレント・マネジメントについて国内外で講演・指導を行っている。前著『「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論』(講談社現代新書)では、グローバル企業の人材戦略について詳細に解き明かし、大きな反響を呼んだ.。

「2016年 『トヨタの強さの秘密 日本人の知らない日本最大のグローバル企業』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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