トヨタの強さの秘密 日本人の知らない日本最大のグローバル企業 (講談社現代新書)
- 講談社 (2016年3月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062883627
作品紹介・あらすじ
売上高27兆円超。営業利益3兆円弱。いずれも圧倒的に日本一。
ではトヨタはなぜ強いのか?
日本でトヨタ本というと、いまだにそのほとんどが、カンバンなどに代表される「トヨタ生産方式(と工場における人の働き)」について書かれたものがほとんどだが、
じつは、いまのものつくりの世界では、トヨタ生産方式は世界中で普及し常識となり、
生産(工場)で差が出る時代はとっくに終わっている。
トヨタは営業が強いからという人もいるが、それでは世界の売上比率が8割を超えている現状を説明できない。
本当の答えはじつにシンプル。
「世界の人が『買いたくなる』クルマを設計しているから」
アップル社が自社工場を持たず、カリフォルニアの本社で設計した情報を
中国の委託工場に送って、製品をつくらせているように、
トヨタは本社の三河で設計した情報を世界中のトヨタ工場に送ってつくらせている。
言い換えると、消費者が買うのは、「カリフォルニアでつくられた設計情報」であり、
「三河でつくられた設計情報」である。
そしていま、世界中の企業が注目し、必死で学ぼうとしているのが、「トヨタにおいて設計情報がつくられる仕組み」。つまり製品開発の方法なのだ。
本書では、ものつくりの世界において「優れた設計情報をつくること」が決定的に重要になった現代において、世界中が学ぼうとしているトヨタの設計情報がつくられる仕組み、すなわちトヨタの製品開発の仕組みを丹念に解き明かす。
これからの企業の成否を決めるキーポイントがここにある!
感想・レビュー・書評
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685766 -
TPSはTPDありき。TPDを支えるのは人の創造力。
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トヨタの強みはTPSにあるのではなく、TPDにあるという主張。それは確かだろうけど、本文中で他の企業や研究者をバカにしすぎ。
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2016年3月期 売上27.5兆円 営業利益2.8兆円
Lean ムダのない・贅肉のない→トヨタ流 傾く/痩せた a lean, dispirited person 痩せて元気のない人
豊田市(もともと何もない)→東海道線、高速道路の建設を見越す
iPhone Designed by Apple in California, Assembled in China 企画・設計・開発の成果物である設計情報という本質的な価値を生み出しているのはアップルだと言いたい
主査制度 車種ごと 地頭力、専門的な知識を獲得、未知の領域を既知の領域へ変える能力
欧米の経営学 石油、小麦=古い財を対象 たくさん作れば間接費が下がる…→そのままは通じない事象あり☆基本を理解して違いを認識すると深い理解が可能
シリコンバレー→田舎 豊田市も田舎
☆図表、イメージがない(少ない)→文書の多さ・印象に残る部分なし -
トヨタ生産方式ではなく、トヨタ製品開発方式に関するキーフレーズを紹介している。さっと読むのには良いが、掘り下げが浅いことと他社への批判が強く残念な形となっている。
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amazonレビュー酷評が目立つけど、もったいない。
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トヨタの強さの本質を見事に突いているなと感心しました。
著書でご指摘の通り、世間で有名になっている「トヨタ生産方式(TPS)」ではなく、製品開発(TDS)を中心とした、売れて利益の出せる製品開発の仕組みだと思います。
マネジメントの仕組みとしては、製品開発の司令塔である主査制度で、マトリクス的な組織構成を実現しており、製品軸と機能軸を合理的に運用している。
まさに他社には容易に真似できない仕掛けが、世界一企業へ昇華したといっても過言ではないでしょう。 -
トヨタの強さの秘密
単刀直入に言えば、トヨタの強さの秘密というのは「売れるものを売れるだけ作る」というリーンと言われる概念を世界で早くから取り入れたことである。事実多くのシリコンバレーの企業がそのやり方を学び、実践している。テスラモーターズは現に、デザインを先に作り、どれくらい売れるかを先に知ったうえで、作り始めるというやり方を取っている。以前東洋経済で読んだアマゾンに関しては、もはや売ってからお金が入るまでの時間がマイナス、つまりまず金を貰い、商品を渡すという究極的なシステムを作り上げている。そのはしりが、トヨタだというのである。トヨタといえばトヨタ生産方式であるが、筆者はそこではなく、トヨタの「売れるものを売れるだけ作る」という設計情報づくりの高度さを指摘している。実際、モノづくりを考える上で、製作過程の無駄を省くことも重要であるが、より大きな無駄として潜在的にある「作っても売れない」というリスクをいかにして設計情報の段階でなくすかということが最も大きい。もちろん、こんなことは当たり前で、トヨタがなぜそのようなリーンを出来るのかということにトヨタのすごさがある。主査制度というものがその秘密で、トヨタでは車がどのくらい売れるかというところまですべてを網羅的に考える主査という役職がある。製品の社長といわれる主査が全権をもって製品に責任を持ち、全てを考え、作るというシステムがトヨタには永らくあり、主査をコンスタントに生み出す人材マネジメント術がそこにはある。しかし、肝心の人材マネジメント術は筆者も分かっておらず、本書には書いていない。